{"text": "こちらを参照\n3や12などの数(定数)や、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n や \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n などの文字(変数)を掛けあわせてできる式を項(こう、term)という。\n次のようなものが項である。\nこのように一つの項だけからできている式を単項式(たんこうしき、monomial)という。\n※ あらためて「整式」を定義すると、次のような定義になる。\n1つ以上の単項式を足しあわせてできる式を整式(せいしき)という。\n以下は整式の例である。\n単項式でも、項が1つしかない整式の一つであると考えることができるので、「整式」という概念を使うことにより、多項式と単項式との区別の必要がなくなる。\nx\n−\ny\n\n{\\displaystyle x-y}\n のように減法を含む式は、 \n\nx\n−\ny\n=\nx\n+\n(\n−\ny\n)\n=\n−\ny\n+\nx\n\n{\\displaystyle x-y=x+(-y)=-y+x}\n と減法を加法に直すことができるので、\n\nx\n,\n−\ny\n\n{\\displaystyle x,-y}\n を項にもつ整式であると考えられる。すなわち、多項式の項とは、多項式を足し算の形に直したときの、一つ一つの足しあわさっている式のことである。たとえば \n\n5\n+\na\n−\n13\nx\n2\n\ny\n=\n5\n+\na\n+\n(\n−\n13\nx\n2\n\ny\n)\n\n{\\displaystyle 5+a-13x^{2}y=5+a+(-13x^{2}y)}\n の項は \n\n5\n,\na\n,\n−\n13\nx\n2\n\ny\n\n{\\displaystyle 5,a,-13x^{2}y}\n の3つである。\n次の式のうち単項式であるものを答えよ。\n(1), (2) が単項式。 (3) は項が6つあるため単項式ではない。\n上の全ての式は整式でもある。\n3\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 3x^{2}}\n + \n\n5\nx\n2\n\n+\n8\nx\n\n{\\displaystyle 5x^{2}+8x}\n の \n\n3\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 3x^{2}}\n と \n\n5\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 5x^{2}}\n のように、多項式の文字と指数がまったく同じである項を総称して同類項(どうるいこう、like terms)という。\n同類項は分配法則 \n\na\nb\n+\na\nc\n=\na\n(\nb\n+\nc\n)\n\n{\\displaystyle ab+ac=a(b+c)}\n を使ってまとめることができる。たとえば \n\n3\nx\n2\n\n+\n5\nx\n2\n\n+\n8\nx\n=\n(\n3\n+\n5\n)\nx\n2\n\n+\n8\nx\n=\n8\nx\n2\n\n+\n8\nx\n\n{\\displaystyle 3x^{2}+5x^{2}+8x=(3+5)x^{2}+8x=8x^{2}+8x}\nである。\n\n8\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 8x^{2}}\n と \n\n8\nx\n\n{\\displaystyle 8x}\n は文字は同じであるが指数が異なるので、同類項ではない。\n次の多項式の同類項を整理せよ。\n3\nx\n\n{\\displaystyle 3x}\n という単項式は、3という数と \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n という文字に分けて考えることができる。数の部分を単項式の係数(けいすう、coefficient)という。\nたとえば \n\n−\nx\n=\n(\n−\n1\n)\nx\n\n{\\displaystyle -x=(-1)x}\n という単項式の係数は -1 である。\n256\nx\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle 256xy^{2}}\n という単項式は、256という数と \n\nx\n,\ny\n,\ny\n\n{\\displaystyle x,y,y}\n という文字に分けて考えることができるので、この単項式の係数は256である。一方、掛けあわせた文字の数を単項式の次数(じすう、degree)という。\n\n256\nx\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle 256xy^{2}}\n は \n\nx\n,\ny\n,\ny\n\n{\\displaystyle x,y,y}\n という3つの文字を掛けあわせてできているので、この単項式の次数は3である。0という単項式の次数は \n\n0\n=\n0\nx\n=\n0\nx\n2\n\n=\n0\nx\n3\n\n=\n⋯\n\n{\\displaystyle 0=0x=0x^{2}=0x^{3}=\\cdots }\nと一つに定まらないので、ここでは考えない。\n単項式の係数と次数は、単に数と文字に分けて考えるのではなく、ある文字を変数として見たときに、残りの文字を定数として数と同じように扱うことがある。\nたとえば \n\n−\n5\na\nb\nc\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle -5abcx^{3}}\nという単項式を、\n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\n だけが変数で、残りの文字 \n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n は定数と考えることもできる。\nこのとき\n\n(\n−\n5\na\nb\nc\n)\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle (-5abc)x^{3}}\n と分けられるので、この単項式の係数は \n\n−\n5\na\nb\nc\n\n{\\displaystyle -5abc}\n、変数は \n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\n で、次数は3であるといえる。\nこのことを \n\n−\n5\na\nb\nc\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle -5abcx^{3}}\n という単項式は、「\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n に着目すると、係数は \n\n−\n5\na\nb\nc\n\n{\\displaystyle -5abc}\n、次数は3である」などという場合がある。\nあるいは \n\n−\n5\na\nb\nc\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle -5abcx^{3}}\n の \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n と \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\nに着目すれば、\n\n(\n−\n5\nc\nx\n3\n\n)\na\nb\n\n{\\displaystyle (-5cx^{3})ab}\n と分けられ、\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n と \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n に着目したときのこの単項式の係数は \n\n−\n5\nc\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle -5cx^{3}}\n、変数は \n\na\nb\n\n{\\displaystyle ab}\n で、次数は2であるといえる。\n慣習的には \n\na\n,\nb\n,\nc\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle a,b,c,\\cdots }\n などのアルファベットの最初の方の文字を定数を表すのに使い、\n\n⋯\n,\nx\n,\ny\n,\nz\n\n{\\displaystyle \\cdots ,x,y,z}\n などのアルファベットの最後の方の文字を変数を表すのに用いるが、一般的にはこの限りでない。\n多項式の次数とは、多項式の同類項をまとめたときに、もっとも次数の高い項の次数をいう。たとえば \n\n\nx\n3\n\n+\n3\nx\n2\n\ny\n+\n2\ny\n\n{\\displaystyle x^{3}+3x^{2}y+2y}\n では、もっとも次数の高い項は \n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\n であるので、この多項式の次数は3である。もし \n\n\nx\n3\n\n+\n3\nx\n2\n\ny\n+\n2\ny\n\n{\\displaystyle x^{3}+3x^{2}y+2y}\n(\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n は定数)であれば、すなわち多項式の \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n について着目すると、もっとも次数の高い項は \n\n3\nx\n2\n\ny\n\n{\\displaystyle 3x^{2}y}\n と \n\n2\ny\n\n{\\displaystyle 2y}\n であるので、この多項式の次数は1である。このとき着目した文字を含まない項 \n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\n は定数項(ていすうこう、constant term)として数と同じように扱われる。\n次の多項式の \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n または \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n に着目したときの次数と定数項をそれぞれいえ。\nたとえば、\nのように、次数の高い項から先に項をならべることを「降べき」(こうべき)という。\nさて、式を使う目的によっては、次数のひくい項から先に書いたほうが便利な場合もある。\nたとえば、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nが 約0.01 のような1未満の小さい数の場合、式 \n\n\nx\n2\n\n+\n6\nx\n+\n7\n\n{\\displaystyle x^{2}+6x+7}\n の値を求めたいなら、文字\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの次数の小さい項のほうが影響が高い。\nなので、 目的によっては\nのように、次数のひくい項から先に書く場合もある。\n7\n+\n6\nx\n+\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 7+6x+x^{2}}\n のように、次数の低い項から先に項をならべることを「昇べき」(しょうべき)という。\n多項式に2つ以上の文字があるとき、特定の1つの文字に注目して並び変えると、使いやすくなることがある。\nたとえば、\nの項を、xの次数が多い項から先に並びかえ、同類項をまとめると\nとなる。\nこの(例2)のように、特定の文字だけに着目して、その文字の次数の高い順に並びかえると便利なこともしばしばある。\n例2は、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nについて 降べき の順に並び変えた整式である。\n着目してない文字については、並び換えのときは定数のように扱う。\nいっぽう、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nについて、次数のひくい項から順に並べると、次のような式になる。\nこのように、特定の文字の次数が低いものから順に並びかえると便利なこともしばしばある。\n例3は、xについて 昇べき の順に並び変えた整式である。\nたとえば、式\nという式の右辺\nの次数は、いくらであろうか。\naとxを等しく文字として扱うのであれば、\n\na\nx\n\n{\\displaystyle ax}\nの次数は\nより 1+1 =2 なので、この式の次数は2である。(項bは次数1なので、\n\na\nx\n\n{\\displaystyle ax}\nの次数2よりも低いので無視する。)\nしかし、もしこの式を、定数\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nを係数とする変数\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nについての一次関数とみるのであれば、一次式と思うのが合理的だろう。\nこのような場合、特定の文字だけに注目したその式の次数を考えるとよい。\nたとえば、文字xだけに注目して、式 \n\na\nx\n+\nb\n\n{\\displaystyle ax+b}\n の次数を決めてみよう。\nすると、文字xに注目した場合の式 \n\na\nx\n+\nb\n\n{\\displaystyle ax+b}\n の次数は1になる。\nなぜなら\nよって、文字\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nに注目した場合の項 \n\na\nx\n\n{\\displaystyle ax}\n の次数は、 0+1 なので、1である。\nこのように考える場合、必要に応じてどの文字に注目したかを明記して「文字◯◯に注目した次数」のように述べるとよい。\n多項式の積は分配法則を使って計算することができる。\nこのように多項式の積で表された式を一つの多項式に繰り広げることを、多項式を展開(てんかい、expand)するという。\na\n\n{\\displaystyle a}\n を \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 回掛けたものを \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a^{n}}\n と書き、aのn乗(-じょう、a to the n-th power)という。ただし \n\n\na\n1\n\n=\na\n\n{\\displaystyle a^{1}=a}\n と定義する。たとえば、\nである。\n\na\n,\na\n2\n\n,\na\n3\n\n,\na\n4\n\n,\na\n5\n\n,\n⋯\n,\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a,a^{2},a^{3},a^{4},a^{5},\\cdots ,a^{n}}\n を総称して \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n の累乗(るいじょう、exponentiation、冪乗、べきじょう、冪、べき)という。\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a^{n}}\n の n を指数(しすう、exponent)という(a は底(てい、base)という)。ここでは自然数、すなわち正の整数の指数を考える。累乗は次のように考えることもできる。\n累乗どうしを掛けあわせた積は、次のように計算することができる。\n累乗どうしを割った商は、次のように計算することができる。\n累乗の累乗は、次のように計算することができる。\n積の累乗は、次のように計算することができる。\nこれらをあわせて指数法則(しすうほうそく、exponential law)という。\nm, n を正の整数とすると、\n累乗の定義より明らか。\n次の式を計算しなさい。\n次の式を展開せよ。\nまとめると、次のようになる。\n次の式を展開しなさい。\n複雑な式の展開は、式の一部分を一つの文字において公式を使うとよい。\n次の式を展開しなさい。\n次の式を因数分解しなさい。\n\n(備考)\n次の式を因数分解しなさい。\n次の式を因数分解しなさい。\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle a^{2}+b^{2}}\n は、\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n と \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n を入れ替えて \n\n\nb\n2\n\n+\na\n2\n\n\n{\\displaystyle b^{2}+a^{2}}\n にしても、値はもとの式と同じままである。\nこのように、文字を入れ替えても同じままになる式のことを 対称式( たいしょうしき)という。\na\n\n{\\displaystyle a}\n,\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n の対称式のうち、式 \n\na\n+\nb\n\n{\\displaystyle a+b}\n と 式 \n\na\nb\n\n{\\displaystyle ab}\n の2つを 基本対称式 という。\n基本対称式いがいの対称式は、基本対称式の加減乗除で表すことができる。たとえば、\nである。\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle a^{2}-b^{2}}\n は、文字を入れ替えると、\n\n\nb\n2\n\n−\na\n2\n\n\n{\\displaystyle b^{2}-a^{2}}\n になるが、これはもとの式を ー1 倍したものである。このように、文字を入れ替えることで、もとの式を ー1 倍したものになる式のことを 交代式 (こうたいしき)という。\na=b^2が成り立つとき、a=2となるようなb、すなわち\n\n\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}}\nの具体的な値がどのようなものか、調べてみよう。\nこのように、bを様々に決めても、aはなかなか2にならない。\n実は\n\n\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}}\nは、分母分子共に整数の分数で表すことはできない。このように整数を分母分子に持つ分数で表せないような数を無理数という。例えば、円周率πは無理数である。それに対して、整数や循環小数など、分母分子共に整数の分数で表すことのできる数を有理数という。\n有理数と無理数を合わせて実数という。どんな実数でも数直線上の点として表せる。また、どんな実数も、有限小数あるいは無限小数として表せる。\n(下記の「無限小数」の節を参照)\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}}\n が有理数であると仮定すると、互いに素な(1以外に公約数をもたない)整数 m, n を用いて、\nと表わすことができる。このとき、両辺を2乗して分母を払うと、\nよって m は2の倍数であり、整数 l を用いて \n\nm\n=\n2\nl\n\n{\\displaystyle m=2l}\n と表すことができる。これを (1) の式に代入して整理すると、\nよって n も2の倍数であるが、これは m, n が2を公約数にもつことになり、互いに素と仮定したことに矛盾する。したがって \n\n\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}}\n は無理数である(背理法)。\n0.1 や 0.123456789 のように、ある位で終わる小数を有限小数という。\n一方、\n\n0.1234512345\n⋯\n\n{\\displaystyle 0.1234512345\\cdots }\n や \n\n3.1415926535\n⋯\n\n{\\displaystyle 3.1415926535\\cdots }\n のように無限に続く小数を 無限小数(むげん しょうすう)という。\n無限小数のうち、ある位より下から、ある配列の数字の繰り返しになっているものを 循環小数(じゅんかん しょうすう)という。例えば \n\n0.3333333333\n⋯\n\n{\\displaystyle 0.3333333333\\cdots }\n や \n\n0.1428571428\n⋯\n\n{\\displaystyle 0.1428571428\\cdots }\nや\n\n0.1232323232\n⋯\n\n{\\displaystyle 0.1232323232\\cdots }\n などである。繰り返しの最小単位を循環節という。循環小数は循環節1つを用いて\n\n0.\n\n3\n˙\n\n\n{\\displaystyle 0.{\\dot {3}}}\n、\n\n0.\n\n1\n˙\n\n4285\n\n7\n˙\n\n\n{\\displaystyle 0.{\\dot {1}}4285{\\dot {7}}}\n、\n\n0.1\n\n2\n˙\n\n\n\n3\n˙\n\n\n{\\displaystyle 0.1{\\dot {2}}{\\dot {3}}}\nのように循環節の最初と最後(循環節が一桁の場合はひとつだけ)の上に点をつけて表す。\n全ての循環小数は分数に直せる。\nと置くと、\nである。(2)ー(1) より \n\n9\na\n=\n3\n\n{\\displaystyle 9a=3}\n、よって \n\na\n=\n\n3\n9\n\n=\n\n1\n3\n\n\n{\\displaystyle a={\\frac {3}{9}}={\\frac {1}{3}}}\n である。\na\n\n=\n0.\n\n1\n˙\n\n4285\n\n7\n˙\n\n\n\n1000000\na\n\n=\n142857.\n\n1\n˙\n\n4285\n\n7\n˙\n\n\n\n999999\na\n\n=\n142857\n\n\na\n\n=\n\n142857\n999999\n\n \n=\n\n1\n7\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}a&=0.{\\dot {1}}4285{\\dot {7}}\\\\1000000a&=142857.{\\dot {1}}4285{\\dot {7}}\\\\999999a&=142857\\\\a&={\\frac {142857}{999999}}\\ ={\\frac {1}{7}}\\end{aligned}}}\na\n\n=\n0.1\n\n2\n˙\n\n\n\n3\n˙\n\n\n\n100\na\n\n=\n12.3\n\n2\n˙\n\n\n\n3\n˙\n\n\n\n99\na\n\n=\n12.2\n\n\na\n\n=\n\n12.2\n99\n\n \n=\n\n61\n495\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}a&=0.1{\\dot {2}}{\\dot {3}}\\\\100a&=12.3{\\dot {2}}{\\dot {3}}\\\\99a&=12.2\\\\a&={\\frac {12.2}{99}}\\ ={\\frac {61}{495}}\\end{aligned}}}\n実数 a について、a の数直線上での原点との距離を a の絶対値といい、\n\n\n|\na\n|\n\n{\\displaystyle |a|}\n で表す。\nたとえば\nである。\n定義より \n\n\n|\na\n|\n=\n|\n−\na\n|\n\n{\\displaystyle |a|=|-a|}\n がいえる。また、\n\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\nを任意の実数とするとき、それぞれに対応する数直線上の任意の2点 \n\n\nP\n(\na\n)\n,\nQ\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (a),\\mathrm {Q} (b)}\n 間の距離については、次のことがいえる。\n数直線上の2点 \n\n\nP\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (a)}\n と \n\n\nQ\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {Q} (b)}\n の間の距離 \n\n\nP\n\nQ\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} \\mathrm {Q} }\n は \n\n\n|\nb\n−\na\n|\n\n{\\displaystyle |b-a|}\n で表される。\n\n今、2乗してaになる数bを考える。\na\n=\n1\n\n{\\displaystyle a=1}\nのとき、\n\nb\n=\n1\n\n{\\displaystyle b=1}\nとして終わりにしてはいけない。確かに\n\nb\n=\n1\n\n{\\displaystyle b=1}\nも条件を満たすが\n\nb\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle b=-1}\nも条件を満たす。よって\n\nb\n=\n1\n\n{\\displaystyle b=1}\n または \n\nb\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle b=-1}\nである。\n一般に正の数aについてa=b^2となるbは二つあり、その二つは絶対値が等しい。この二つのbをaの平方根という。aの平方根のうち、正であるものを\n\n\na\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}}\n、負であるものを\n\n−\n\na\n\n\n{\\displaystyle -{\\sqrt {a}}}\nと書く。\n\n\na\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}}\nは『ルートa』と読む。\n一方、負の数aについて考えてみても上手くbを見つけることはできない。実際のところ、負の数の平方根は実数で表すことはできない。\n2\n \n,\n \n4\n \n,\n \n9\n \n,\n \n12\n\n{\\displaystyle 2\\ ,\\ 4\\ ,\\ 9\\ ,\\ 12}\nの平方根を求めよ。\n±\n\n2\n\n \n,\n \n±\n2\n \n,\n \n±\n3\n \n,\n \n±\n2\n\n3\n\n\n{\\displaystyle \\pm {\\sqrt {2}}\\ ,\\ \\pm 2\\ ,\\ \\pm 3\\ ,\\ \\pm 2{\\sqrt {3}}}\nそれぞれのルートを計算し、\n\n±\n\n{\\displaystyle \\pm }\nをつければよい。ただし、平方根のルールに従って、簡単化できるものは簡単化することが要求される。\n例えば、\n\n2\n\n{\\displaystyle 2}\nに対しては、\n\n±\n\n2\n\n\n{\\displaystyle \\pm {\\sqrt {2}}}\nとなる。\n一般に、\n\n\n\nA\n2\n\n\n=\n|\nA\n|\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {A^{2}}}=|A|}\nである。\n根号について、次の公式が成り立つ。\na\n>\n0\n,\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0,b>0}\n のとき\nまず、 \n\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {ab}}}\n とは、定義にもとづいて考えると、2乗すると ab になる数のうち、正のほうの数という意味である。\nなので、公式「 \n\n\na\n\n\nb\n\n=\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}{\\sqrt {b}}={\\sqrt {ab}}}\n   」を証明するには、そのことを証明すればいい。\nなので、まず、\n\n\na\n\n\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}{\\sqrt {b}}}\n を2乗すると、\nとなる。\nゆえに\n\n\na\n\n\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}{\\sqrt {b}}}\nは、まず条件「2乗するとabになる」を満たす。\nそして、正の数の平方根は正なので、\n\n\na\n\n\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}{\\sqrt {b}}}\n も正である。よって \n\n\na\n\n\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}{\\sqrt {b}}}\n は、「2乗するとabになる」数のうちの正のほうである。\n(証明おわり)\nさらに、上の公式(1)により、次の公式が導かれる。\na\n>\n0\n,\nk\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0,k>0}\n のとき\n計算せよ。\n分母に根号を含まない式にすることを、分母を有理化するという。有理化は、分母と分子に同じ数をかけてもよいことを利用して行う。\nたとえば、\n\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{\\sqrt {2}}}}\nを有理化すると、\n\n\n1\n2\n\n \n=\n \n\n1\n\n2\n\n\n\n2\n\n\n2\n\n\n \n=\n \n\n2\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{\\sqrt {2}}}\\ =\\ {\\frac {1{\\sqrt {2}}}{{\\sqrt {2}}{\\sqrt {2}}}}\\ =\\ {\\frac {\\sqrt {2}}{2}}}\nとなる。\nまた、とくに\n\n\na\nb\n+\nc\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a}{b+c}}}\nについて、\n\n\nb\n2\n\n−\nc\n2\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle b^{2}-c^{2}=1}\nのとき、\n\n\n\na\nb\n+\nc\n\n \n=\n \n\na\n(\nb\n−\nc\n)\n\n(\nb\n+\nc\n)\n(\nb\n−\nc\n)\n\n \n=\n \n\na\n(\nb\n−\nc\n)\n\nb\n2\n\n−\nc\n2\n\n\n \n=\n \n\na\n(\nb\n−\nc\n)\n1\n\n \n=\n \na\n(\nb\n−\nc\n)\n\n{\\displaystyle {\\frac {a}{b+c}}\\ =\\ {\\frac {a(b-c)}{(b+c)(b-c)}}\\ =\\ {\\frac {a(b-c)}{b^{2}-c^{2}}}\\ =\\ {\\frac {a(b-c)}{1}}\\ =\\ a(b-c)}\nである。\nたとえば、\n\na\n=\n1\n,\nb\n=\n\n2\n\n,\nc\n=\n1\n\n{\\displaystyle a=1,b={\\sqrt {2}},c=1}\nとすると、\n\n\n1\n\n2\n\n+\n1\n\n=\n\n2\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{{\\sqrt {2}}+1}}={\\sqrt {2}}-1}\nである。\n分母を有理化せよ。\n二重根号とは、根号が2重になっている式のことである。二重根号は常に外せるわけではなく、根号の中に含まれる式によって簡単にできるかどうかが決まる。一般に、根号内の式が、\n\n\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle x^{2}}\nの形に変形できる場合には、外側の根号を外すことができる。\n3\n+\n2\n\n2\n\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {3+2{\\sqrt {2}}}}}\nを簡単にせよ。\n3\n+\n2\n\n2\n\n\n{\\displaystyle 3+2{\\sqrt {2}}}\nが\n\n(\n⋯\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle (\\cdots)^{2}}\nの形にできるかを考える。\n仮に、\n\n(\n\na\n\n+\n\nb\n\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle ({\\sqrt {a}}+{\\sqrt {b}})^{2}}\n(a,bは正の整数)の形にできるとすると、\n\n3\n+\n2\n\n2\n\n=\na\n+\nb\n+\n2\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle 3+2{\\sqrt {2}}=a+b+2{\\sqrt {ab}}}\nとなり、\nを満たす整数a,bを探せばよい。この関係は、a=1,b=2(a,bを入れ換えても可。)によって満たされるので、\n\n3\n+\n2\n\n2\n\n \n=\n \n(\n\n2\n\n+\n1\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle 3+2{\\sqrt {2}}\\ =\\ ({\\sqrt {2}}+1)^{2}}\nが成り立つ。\nよって、\n\n\n3\n+\n2\n\n2\n\n\n \n=\n \n\n(\n\n2\n\n+\n1\n)\n2\n\n\n \n=\n \n\n2\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {3+2{\\sqrt {2}}}}\\ =\\ {\\sqrt {({\\sqrt {2}}+1)^{2}}}\\ =\\ {\\sqrt {2}}+1}\nとなる。\na\n>\n0\n \n,\n \nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0\\ ,\\ b>0}\n のとき\na\n>\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>b>0}\n のとき\n次の式を計算せよ。\n同じ大きさの量を=で結んだ式を方程式と呼ぶことを既に学習した。ここでは、異なった量の大きさの違いを表す記号を導入し、その性質についてまとめる。\nある数A,Bがあるとき、AがBより大きいことを\n\nA\n>\nB\n\n{\\displaystyle A>B}\nと表し、AがBより小さいことを\n\nA\n<\nB\n\n{\\displaystyle Aのことを不等号と呼び、このような式を不等式と呼ぶ。また、\n\n≤\n,\n≥\n\n{\\displaystyle \\leq ,\\geq }\nも似た意味の不等式であるが、それぞれAとBが等しい値である場合を含むものである。\nなお、日本の教育においては、\n\n≤\n,\n≥\n\n{\\displaystyle \\leq ,\\geq }\nの代わりに、不等号の下に等号を記した\n\n≦\n,\n≧\n\n{\\displaystyle \\leqq ,\\geqq }\nを使うことが多い。\nx\n>\n7\n\n{\\displaystyle x>7}\nという不等式があるとき、xは7より大きい実数である。また、\n\nx\n≥\n7\n\n{\\displaystyle x\\geq 7}\nの時には、xは7以上の実数である。\n不等式では等式と同じように、両辺に演算をしても不等号の関係が変わらないことがある。例えば、両辺に同じ数を足しても、両辺の大小関係は変化しない。ただし、両辺に負の数をかけたときには、不等号の向きが変化することに注意が必要である。これは、負の数をかけると両辺の値は、0を中心に数直線を折り返した地点に移されることによる。\nx\n>\ny\n\n{\\displaystyle x>y}\nが成り立つときには、\n\nx\n+\n3\n>\ny\n+\n3\n\n{\\displaystyle x+3>y+3}\n、\n\n4\nx\n>\n4\ny\n\n{\\displaystyle 4x>4y}\nも成り立つ。また、\n\n−\nx\n<\n−\ny\n\n{\\displaystyle -x<-y}\nが成り立つ。\n不等式の性質を使って\nの両辺から3を引くと\nよって\nとなる。\nこのように、不等式でも移項することができる。\nグラフを用いて考えるとき、不等式はグラフ中の領域を表す。領域の境界は不等号を等号に置き換えた部分が対応する。これは、不等号が成立するかどうかがその線上で入れ替わることによっている。(詳しくは数学II 図形と方程式で学習する。)\ny\n>\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y>x+1}\n,\n\ny\n<\n2\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y<2x+1}\n,\n\nx\n<\n3\n\n{\\displaystyle x<3}\nのグラフ(正しくは「領域」)を描け。\ny\n>\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y>x+1}\n のグラフ(領域)は次のようになる。ただし、境界は含まない。\ny\n<\n2\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y<2x+1}\nのグラフ(領域)は次のようになる。ただし、境界は含まない。\nx\n<\n3\n\n{\\displaystyle x<3}\nのグラフ(領域)は次のようになる。ただし、境界は含まない。\n次の不等式を解け。\nいくつかの不等式を組み合わせたものを連立不等式といい、これらの不等式を同時に満たす\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの値の範囲を求めることを、連立不等式を解くという。\n次の連立不等式を解け。\n(i)\n(ii)\n(i)\n\n\nx\n+\n2\n<\n2\nx\n+\n4\n\n{\\displaystyle x+2<2x+4}\nから \n\n−\nx\n<\n2\n\n{\\displaystyle -x<2}\n10\n−\nx\n≥\n3\nx\n−\n6\n\n{\\displaystyle 10-x\\geq 3x-6}\nから \n\n−\n4\nx\n≥\n−\n16\n\n{\\displaystyle -4x\\geq -16}\n(1),(2)を同時に満たす\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの値の範囲は\n(ii)\n\n\nx\n≥\n1\n−\nx\n\n{\\displaystyle x\\geq 1-x}\nから \n\n2\nx\n≥\n1\n\n{\\displaystyle 2x\\geq 1}\n2\n(\nx\n+\n1\n)\n>\nx\n−\n2\n\n{\\displaystyle 2(x+1)>x-2}\nから \n\n2\nx\n+\n2\n>\nx\n−\n2\n\n{\\displaystyle 2x+2>x-2}\n(1),(2)を同時に満たす\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの値の範囲は\n絶対値を含む不等式について考えよう。\n絶対値\n\n\n|\nx\n|\n\n{\\displaystyle |x|}\nは、数直線上で、原点\n\n\nO\n\n{\\displaystyle \\mathrm {O} }\nと点\n\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x)}\nの間の距離を表している。\nしたがって、\n\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\nのとき\n次の不等式を解け。\n(i)\n(ii)\n(iii)\n(iv)\n(i)\n(ii)\n(iii)\n(iv)\n一般の二次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n(\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n, \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n, \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n は定数、\n\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\n)の解 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n を求める公式について考える。\nここで恒等式 \n\n\nx\n2\n\n+\n2\ny\nx\n=\n(\nx\n+\ny\n)\n2\n\n−\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle x^{2}+2yx=(x+y)^{2}-y^{2}}\n と (1) の左辺を係数比較すると、\nであるから、(1) の式は次のように変形できる(平方完成)。\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n≥\n0\n\n{\\displaystyle b^{2}-4ac\\geq 0}\n のとき両辺の平方根をとると、\nこれが二次方程式の解の公式(にじほうていしきのかいのこうしき、quadratic formula; 二次公式)である。解の公式を二次方程式の一般形に代入すると、右辺は0になるはずである。\nであることを用いると、\nとなり、確かに正しいことがわかる。\nをそれぞれ解の公式か因数分解を用いて解きなさい。\n結果の式に根号が現れない場合には、何らかの仕方で因数分解ができる。しかし、いずれの方法を使うにせよ、根号はできる限りの仕方で簡単化することが重要である。\n(i)は簡単に因数分解できるので、解の公式を用いる必要はない。\nより、\nが答えとなる。(ii)では、因数分解が出来ないので、解の公式を用いる。因数分解ができるかどうかは実際に試行錯誤して見分けるしかない。\nに、解の公式を用いると、a=5, b= 2, c=-1より、\nとなる。(iii),(iv)でも、因数分解は出来ないので、解の公式を用いる。答えは、\n(iii)\n(iv)\n(v)\nと因数分解できるので、答えは\nとなる。\n全問を通じて、因数分解が可能な方程式に対しても、解の公式を使用しても構わない。\n二次方程式\n\na\nx\n2\n\n+\n2\nb\n′\nx\n+\nc\n=\n0\n(\na\n≠\n0\n)\n\n{\\displaystyle ax^{2}+2b'x+c=0(a\\neq 0)}\nについて考える。\n解の公式に b= 2b' を代入すると\nよって、二次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\n2\nb\n′\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+2b'x+c=0}\n の解は\nとなる。\nを上の解の公式を用いて解きなさい。\n上の解の公式を用いると、a=3, b'= 3, c=-2より、\nとなる。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の解は \n\nx\n=\n\n−\nb\n±\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n\n2\na\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {-b\\pm {\\sqrt {b^{2}-4ac}}}{2a}}}\n である。\nこの式の根号の中身だけ取り出したものを判別式と呼び、2次方程式の解の個数を簡単に判別できる。\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\nの値によって次のようになる。\n(1) \n\nD\n>\n0\n\n{\\displaystyle D>0}\nのとき、異なる2つの解 \n\nx\n=\n\n−\nb\n+\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n\n2\na\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {-b+{\\sqrt {b^{2}-4ac}}}{2a}}}\nと\n\nx\n=\n\n−\nb\n−\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n\n2\na\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {-b-{\\sqrt {b^{2}-4ac}}}{2a}}}\nを持つ。\n(2) \n\nD\n=\n0\n\n{\\displaystyle D=0}\nのとき、\n\n±\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n=\n±\n0\n\n{\\displaystyle \\pm {\\sqrt {b^{2}-4ac}}=\\pm 0}\n であるので、2つの解は一致して、ただ1つの解\n\nx\n=\n−\n\nb\n2\na\n\n\n{\\displaystyle x=-{\\frac {b}{2a}}}\nを持つ。これは2つの解が重なったものと考えて、重解という。\n(3) \n\nD\n<\n0\n\n{\\displaystyle D<0}\nのとき、実数の範囲では解はない。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の解の個数は\n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\nの値で判定できる。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の解は \n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\nとするとき\n次の2次方程式の解の個数を求めよ。\n(I)\nだから、実数解はない。\n(II)\nだから、重解をもつ。\n(III)\nだから、異なる2つの実数の解をもつ。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6I/%E6%95%B0%E3%81%A8%E5%BC%8F"} {"text": "ここでは、三角比(さんかくひ)と、それを用いた定理を扱う。\n∠\nC\n,\n∠\n\nC\n′\n\n{\\displaystyle \\angle \\mathrm {C} ,\\,\\angle \\mathrm {C} '}\n が直角で\n\n∠\nA\n=\n∠\n\nA\n′\n\n\n{\\displaystyle \\angle \\mathrm {A} =\\angle {\\mathrm {A} '}}\n である直角三角形 \n\n△\nA\nB\nC\n,\n△\n\nA\n′\n\nB\n′\n\nC\n′\n\n\n{\\displaystyle \\triangle \\mathrm {ABC} ,\\,\\triangle \\mathrm {A'B'C'} }\n について考える。\n\n△\nA\nB\nC\n,\n△\n\nA\n′\n\nB\n′\n\nC\n′\n\n\n{\\displaystyle \\triangle \\mathrm {ABC} ,\\,\\triangle \\mathrm {A'B'C'} }\n は2つの角の大きさが等しいので相似である。\nこのとき、\n\n\n\nB\nC\n\nA\nB\n\n=\n\n\nB\n′\n\nC\n′\n\n\nA\n′\n\nB\n′\n\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {BC} }{\\mathrm {AB} }}={\\frac {\\mathrm {B'C'} }{\\mathrm {A'B'} }}}\n である。このことから 対辺/斜辺 は角の大きさのみに依存することが分かる。そこで、\n\n∠\nC\n\n{\\displaystyle \\angle \\mathrm {C} }\n が直角である直角三角形 \n\n△\nA\nB\nC\n\n{\\displaystyle \\triangle \\mathrm {ABC} }\n において、\n\nsin\n⁡\nA\n=\n\nB\nC\n\nA\nB\n\n\n{\\displaystyle \\sin A={\\frac {\\mathrm {BC} }{\\mathrm {AB} }}}\n とする。これを正弦(sine)という。\n同様に、直角三角形において 底辺/斜辺 は角の大きさのみに依存する。そこで、\n\ncos\n⁡\nA\n=\n\nA\nC\n\nA\nB\n\n\n{\\displaystyle \\cos A={\\frac {\\mathrm {AC} }{\\mathrm {AB} }}}\n とする。これを余弦(cosine)という。\n同様に、直角三角形において 対辺/底辺 は角の大きさのみに依存する。そこで、\n\ntan\n⁡\nA\n=\n\nB\nC\n\nA\nC\n\n=\n\nsin\n⁡\nA\n\ncos\n⁡\nA\n\n\n{\\displaystyle \\tan A={\\frac {\\mathrm {BC} }{\\mathrm {AC} }}={\\frac {\\sin A}{\\cos A}}}\n とする。これを正接(tangent)という。\nこれら、\n\nsin\n,\ncos\n,\ntan\n\n{\\displaystyle \\sin ,\\,\\cos ,\\,\\tan }\n が三角比である。\n覚え方としてしばしば以下の説明が用いられる。数学的には無意味だが、これが覚えやすければ用いてもよい。下の図の中で、小文字のsを筆記体でかくときのつづりに対応するものが\n\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin }\nであり、筆記体のcに対応するものが\n\ncos\n\n{\\displaystyle \\cos }\nであり、筆記体のtに対応するものが\n\ntan\n\n{\\displaystyle \\tan }\nである。\n三角比について次の性質が成り立つ。\n90\n∘\n\n−\nx\n\n{\\displaystyle 90^{\\circ }-x}\nは、xという大きさの角を持った直角三角形があるとき、直角でもxでもない大きさの角である。(三角形の内角の和が\n\n\n180\n∘\n\n\n{\\displaystyle 180^{\\circ }}\nであるため。)このため、\n\n\n90\n∘\n\n−\nx\n\n{\\displaystyle 90^{\\circ }-x}\nに対する三角比は、xに対する三角比を定義するのに使った三角形を用いて表わすことが出来る。実際にこの定義を導入すると、確かにこの結果が成り立つ。\nここまでで、\n\n\n0\n∘\n\n<\nr\n<\n90\n∘\n\n\n{\\displaystyle 0^{\\circ }\n0\n\n{\\displaystyle \\cos r>0}\nとなることに注目すると、\nとなる。\nさらに、\n\ntan\n⁡\nr\n=\n\nsin\n⁡\nr\n\ncos\n⁡\nr\n\n\n{\\displaystyle \\tan r={\\frac {\\sin r}{\\cos r}}}\nに代入すると、\nとなる。\n3つの角の角度がそれぞれ\nとするそれぞれの直角三角形の辺の長さの比を用いることで、\n30\n∘\n\n \n,\n \n60\n∘\n\n \n,\n \n45\n∘\n\n\n{\\displaystyle 30^{\\circ }\\ ,\\ 60^{\\circ }\\ ,\\ 45^{\\circ }}\nに対して、\n\nsin\n,\ncos\n,\ntan\n\n{\\displaystyle \\sin ,\\cos ,\\tan }\nの大きさを求めよ。\n45\n∘\n\n \n,\n \n45\n∘\n\n \n,\n \n90\n∘\n\n\n{\\displaystyle 45^{\\circ }\\ ,\\ 45^{\\circ }\\ ,\\ 90^{\\circ }}\nの直角二等辺三角形では、斜辺が一番長く、その長さは他の辺の長さの\n\n\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}}\n倍である。このことを用いると、\n30\n∘\n\n \n,\n \n60\n∘\n\n \n,\n \n90\n∘\n\n\n{\\displaystyle 30^{\\circ }\\ ,\\ 60^{\\circ }\\ ,\\ 90^{\\circ }}\nの直角三角形では、辺の長さの比は、短い順から、\n\n1\n:\n\n3\n\n:\n2\n\n{\\displaystyle 1:{\\sqrt {3}}:2}\nとなっている。このことを用いると、\nこれらの角度の三角比は重要なので覚えるべきである。もちろん、これらの有名角ではない三角比も計算することが出来る。その計算方法として、直接作図して測定する方法や、マクローリン展開(数IIIの知識があれば理解できるが、主に大学範囲)を利用して求めることが挙げられる。しかし、その計算方法は煩雑である。有名角ではない三角比の値が知りたい場合は、スマホやパソコンなどにインストールされた電卓アプリまたは、ブラウザで検索すればその値が分かる。試験で三角比の値が必要な場合は、表などの形式で三角比の値が与えられる。\n三角形の辺の長さがa,b,cと与えられ、相対する角の大きさがA,B,Cと与えられるとき\nが成り立つ。ここで、 R は三角形の外接円の半径である。\n最初に三角形が直角三角形であるときについて考える。直角三角形で,\n\n\n90\n∘\n\n\n{\\displaystyle 90^{\\circ }}\nの角をCとおき、対応する辺をcとする。このとき、外接円の半径をRとすると、\nが成り立つ。よって、角Cについて正弦定理が確かめられた。辺aについても図の三角形が直角三角形であることを用いると、\nが成り立つ。Bについても同様である。よって、三角形が直角三角形であるとき、正弦定理は示された。\n次に三角形が鋭角三角形であるときを考える。特に角Aに注目する。Aと同じ円周角を持つ点の中で、角CBDが\n\n\n90\n∘\n\n\n{\\displaystyle 90^{\\circ }}\nになるように、点Dをとる。\nこのとき、三角形BCDについて、\n\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin }\nの定義から、\n(角BDC = 角Aに注意。これは円周角が互いに等しいことによる。)となり、\nが得られて、正弦定理が角Aについて示された。角B、角Cについても同様に示すことが出来る。\n最後に鈍角三角形の場合について考える。鈍角三角形の2つの鋭角については上と同じ証明を用いることが出来る。鈍角をCと書き、角ABD= \n\n90\n\n\n∘\n\n\n{\\displaystyle 90{}^{\\circ }}\nとなるように点Dを取る。\nここで、角BDA = \n\n\n180\n∘\n\n\n{\\displaystyle 180^{\\circ }}\n - 角Cが成り立つ。(これは円に内接する四角形の相対する角a,bについてa+b =\n\n\n180\n∘\n\n\n{\\displaystyle 180^{\\circ }}\nが成り立つことによる。)これを用いると、\nとなり、確かにこの場合も成立する。よって、全ての三角形について正弦定理が示された。\n角度が\nの直角三角形において正弦定理が成り立っていることを確かめよ。\nただし、それぞれの三角形の斜辺の長さを\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nとする。\nここで、直角三角形の外接円の直径は、\n直角三角形の斜辺の長さに等しいことに注意せよ。\nの直角三角形については、\n短い辺の長さを\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\nとすると、\n正弦定理は、\nとなる。\nこれは、\nに対応するが、\nの性質からこれは正しい。\n一方、\nの直角三角形については\n正弦定理は、辺の長さを短い順に\n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\n , \n\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle b_{2}}\nとすると、\nとなるが、これは\nに対応するが、もともとの三角形の性質からいって、\nこのことは確かに成立している。\n次の三角形について、\nc\n2\n\n=\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n−\n2\na\nb\ncos\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\\cos C}\nが成り立つ。これを余弦定理という。\n点 \n\n\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {B} }\n から直線 \n\n\nC\nA\n\n{\\displaystyle \\mathrm {CA} }\n におろした垂線の足を点 \n\n\nH\n\n{\\displaystyle \\mathrm {H} }\n とする。\n線分 \n\n\nA\nH\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AH} }\n の長さについて\nA\n\n{\\displaystyle A}\n が鋭角かつ \n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n が鋭角のとき、 \n\n\nA\nH\n=\nC\nA\n−\nC\nH\n=\nb\n−\na\ncos\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AH} =\\mathrm {CA} -\\mathrm {CH} =b-a\\cos C}\nA\n\n{\\displaystyle A}\n が鈍角かつ \n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n が鋭角のとき、\n\n\nA\nH\n=\nC\nH\n−\nC\nA\n=\na\ncos\n⁡\nC\n−\nb\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AH} =\\mathrm {CH} -\\mathrm {CA} =a\\cos C-b}\nA\n\n{\\displaystyle A}\n が鋭角かつ \n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n が鈍角のとき、\n\n\nA\nH\n=\nA\nC\n+\nC\nH\n=\nb\n−\na\ncos\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AH} =\\mathrm {AC} +\\mathrm {CH} =b-a\\cos C}\nである。\nB\nH\n=\na\nsin\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle \\mathrm {BH} =a\\sin C}\n三平方の定理より、\nc\n2\n\n=\n\nA\nB\n\n2\n\n=\n\nB\nH\n\n2\n\n+\n\nA\nH\n\n2\n\n=\n(\na\nsin\n⁡\nC\n)\n2\n\n+\n(\nb\n−\na\ncos\n⁡\nC\n)\n2\n\n=\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n−\n2\na\nb\ncos\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle c^{2}=\\mathrm {AB} ^{2}=\\mathrm {BH} ^{2}+\\mathrm {AH} ^{2}=(a\\sin C)^{2}+(b-a\\cos C)^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\\cos C}\n頂点A、Bについても同様にして求めることが出来る。\n余弦定理の系\n三角形ABCについて、辺の長さ\nのとき、辺ACの長さを余弦定理を用いて求めよ。\n余弦定理\nを用いると、\nが得られる!\nよって、\nが得られる。\n上で得た三角形で、\nも計算せよ。\n元々の条件で三角形ABCは、2辺AB,BCとその間の角\nが知られていた。そのため、この三角形は完全に決まっており、それぞれの角の大きさも知られるはずである。\nそれぞれの角の大きさを計算するためには、角の大きさのための余弦定理を使うのがよい。ただし、2つの角の大きさが求められたら、3つめの角は余弦定理によるまでもなく、\nによって計算することが出来る。\nまず、角Aを求める。余弦定理を用いると、\nとなる。\nを満たす角度は簡単な形で表すことはできないが、平方根の表と三角比の表を用いておおよその値を知ることは出来る。また、\nとすると、角Cは、\nで与えられる。\n具体的にaのおおよその値を求めてみる。平方根の表より\n\n\n13\n\n≒\n3.6\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {13}}\\fallingdotseq 3.6}\nなので、\n\n\n1\n13\n\n=\n\n13\n13\n\n≒\n0.277\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{\\sqrt {13}}}={\\frac {\\sqrt {13}}{13}}\\fallingdotseq 0.277}\nであり、三角比の表でこれに近い余弦の値を探すことで、\nが得られる。\n三角形ABCについて、3辺の長さ、3角の大きさのうち、いくつかの量が与えられているとする。このとき、与えられた量以外の量を計算せよ。\n(i)\n(ii)\n(i)\n余弦定理によって、\nよって、\nが得られる。\nまた、正弦定理を用いると、\nが得られるが、この値を用いて\nを定めることができる。(余弦定理を用いて計算することもできる。 )実際に計算すると、\nが得られる。\n(ii)\n三角形の内角の和が\nであることを用いて、\nが得られる。さらに正弦定理を用いると、\nが得られる。これを解くと、\nとなる。\nの値は、最も簡単な計算法は高等学校数学IIで与えられる。詳しくは高等学校数学II いろいろな関数を参照。答えは、\nである。この値を用いると、\nとなる。\n三角形の2辺a,bとその間の角Cが与えられているとき、三角形の面積Sは、\nで与えられる。\n辺aを三角形の底辺と見たとき、三角形の高さは、\n\nb\nsin\n⁡\nC\n\n{\\displaystyle b\\sin C}\nで与えられる。よって、三角形の面積公式から、\nが得られる。\na=2,b=3,c=60\n\n\n\n∘\n\n\n{\\displaystyle {}^{\\circ }}\nの時、この三角形の面積Sを求めよ。\n上の公式を用いると、\nとなる。\n三角形 \n\n\nA\nB\nC\n\n{\\displaystyle \\mathrm {ABC} }\n の一辺の長さをそれぞれ \n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n とし、三角形の面積を \n\nS\n\n{\\displaystyle S}\n 、内心の半径を \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n 、内心点を \n\n\nI\n\n{\\displaystyle \\mathrm {I} }\n とする。\nこのとき、 \n\nS\n=\n\nr\n2\n\n(\na\n+\nb\n+\nc\n)\n\n{\\displaystyle S={\\frac {r}{2}}(a+b+c)}\n が成り立つ。\n証明\nS\n=\n△\nA\nB\nC\n=\n△\nA\nB\nI\n+\n△\nB\nC\nI\n+\n△\nC\nA\nI\n\n{\\displaystyle S=\\triangle \\mathrm {ABC} =\\triangle \\mathrm {ABI} +\\triangle \\mathrm {BCI} +\\triangle \\mathrm {CAI} }\n であるが、後者のそれぞれの三角形の面積は \n\n\n\na\nr\n2\n\n,\n\nb\nr\n2\n\n,\n\nc\nr\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {ar}{2}},{\\frac {br}{2}},{\\frac {cr}{2}}}\n である。これを代入すれば、求めていた式が得られる。\nw:ヘロンの公式とは、三角形の3辺の長さを用いて、その三角形の面積を表す公式である。三角形の3辺を定めれば三角形は一意に決まるため、当然面積は確定するのだが、その値を具体的に計算する方法を与えるのがヘロンの公式である。\nヘロンの公式は次のように与えられる。三角形の3辺の長さをそれぞれ、a,b,cとする。このとき、\nとするとき、三角形の面積Sは、\nで与えられる。\n余弦定理を用いると、角Aの大きさは、\nとなる。ここで、\n\nsin\n⁡\nA\n\n{\\displaystyle \\sin A}\nは、\nここで、三角形の面積Sは、\nとなり、ヘロンの公式が示された。\nヘロンの公式は、三辺の長さやsの値がきれいな整数値となる場合、面積を簡単に求めることができて便利である。一方で、これらの値がキリの悪い値になる場合はあまり便利ではない。これに限らずどの数学公式もそうであるが、用いることで便利になる状況を見極めたうえで用いるのが重要である。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6I/%E5%9B%B3%E5%BD%A2%E3%81%A8%E8%A8%88%E9%87%8F"} {"text": "一般に、\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\nが\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの関数である場合に、 \n\nf\n\n{\\displaystyle f}\n などの文字を用いて、\nと書き表すことができる。\nまた、x の関数 y=f(x) のことを単に f(x) と省略して言う場合もよくある。\n関数 y=f(x) において、変数xの値をaにした場合の関数の値を f(a) で表す。\nつまり、関数f(x) の x=a の場合でのyの値が f(a) である。ちなみに関数のfとは\n英語で関数を意味するfunctionの頭文字\nからとっている。2つ以上関数を扱う際にはfの次のgやhを用いることが多い。\n(範囲外)\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nのfは「入力値に対してfという操作をする」という意味の記号である。\nAを入力したらBを返す、という操作fを\n\nf\n:\nA\n→\nB\n\n{\\displaystyle f:A\\rightarrow B}\nのように表す。このとき、fという操作にAを入力したらBが出力されるので、これを\n\nf\n(\nA\n)\n=\nB\n\n{\\displaystyle f(A)=B}\nというふうに表すことにするとわかりやすいであろう。AとBが数であるとき、\n\nf\n(\nA\n)\n\n{\\displaystyle f(A)}\nは上の等式より数である。つまり、fは操作を、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは操作fにある数xを入力したときの出力値を表すので注意しよう。fは数ではなく操作を表すので、\n\n{\nf\n(\nx\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle \\{f(x)\\}^{2}}\nと\n\n\nf\n2\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{2}(x)}\nは当然異なる。(なお、右側は\n\nf\n(\nf\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle f(f(x))}\nを表す。詳しくは数Ⅲで習う。)\n「AとBが数であるとき」という文からわかるように、AとBは数でなくても良い。そのような場合は大学で詳しく扱う。\nxy座標で第1象限(しょうげん)から第4象限までの位置を、図のように定義する。\n位置と象限の番号の対応の覚え方は、x軸の正方向を基準に、反時計周り(左回り)に番号が大きくなっていくと覚えればいい。\nそれぞれの象限と、X、Yの値との関係は、左図のとおり。 \n定数 \n\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\n と、定数 \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n, \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\nを用いて\nと \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の二次式で表す事ができる関数を変数 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の2次関数という。\n以下の関数はいずれも2次関数である。\n一方以下の関数は2次関数ではない\n読者はこれを当然と思うかもしれないが、上の式は\nと表記することもできる。しかし、これは \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 二次式ではないので2次関数ではない。\nそのために、2次関数の定義において\n\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\nでなければならないというルールを設けたのである。\nまず、もっとも簡単な\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}}\nのグラフは\n\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n のとき図1のようになる。(図では\n\na\n=\n1\n\n{\\displaystyle a=1}\nの場合を表記)。また、\n\na\n<\n0\n\n{\\displaystyle a<0}\n のときは図1 のグラフを上下さかさまにしたものになる。\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n のとき2次関数 \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n は 下に凸 (したにとつ)といい、\n\na\n<\n0\n\n{\\displaystyle a<0}\n のとき 上に凸 (うえにとつ)という。また、2次関数のグラフを放物線という。\n2つの2次関数\nのグラフを書くために値を求めると、下記の表のようになる。\n表を見ると、(2) 2x2+4 の値は、つねに (1) 2x2 の値よりも4だけ大きい。\nしたがって(2) 2x2+4 のグラフは、 (1) 2x2 のグラフをy軸方向に4だけ平行移動した放物線であり、\nの放物線である。\n\ny=2(x-3)2 のグラフは、 2x2 のグラフをx軸方向に3だけ平行移動した放物線であり、\nの放物線である。\nである。\ny=2(x-3)2+4 のグラフは、 y=2(x-3)2 のグラフをy軸方向に4だけ平行移動した放物線である。\nそして、y=2(x-3)2 のグラフは y=2x2 のグラフをx軸方向に3だけ平行移動した放物線であったので、つまり\ny=2(x-3)2+4 のグラフは、y=2x2 のグラフを x軸方向に3, y軸方向に4, 平行移動した放物線である。\nよって、\nである。\nである。\n本節では2次関数の一般形と標準形について学ぶ。この知識は後で2次関数をグラフで表す際に役立つ。\n先ほど現れた\nという形の式 (\n\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\n) を2次関数の一般形といい、\nという式を2次関数の標準形という。\n(上で、\n\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\n、\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n、\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n、\n\np\n\n{\\displaystyle p}\n、\n\nq\n\n{\\displaystyle q}\nは定数で、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nは変数であるものとする。)\n一般形で表記されている2次関数を標準形で表記する事を平方完成という。\n後述するように、標準形は2次関数をグラフで表す際に用いる。\n標準形\nで表記されている2次関数の右辺を展開すると、\nとなるので、\nとすれば一般形になる。\n逆に一般形\nで表記されている2次関数は以下の手順で標準形に変換できる(この変形手法を平方完成という)。\nここで、\nとおくと、\nとなり標準形で表されたことになる。\n一般の2次関数をグラフで表現してみよう。 前述のように2次関数は平方完成の手順を踏む事により必ず標準形で表記可能なので、2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nを標準形\nに変換する。ここで、\nこの標準形のグラフは\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}}\n のグラフを \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸方向に \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n, \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n 軸方向に \n\nq\n\n{\\displaystyle q}\n 平行移動させたものと考えることができる。よって以下の事実が結論付けられる。\n2次関数にかぎらず、一般に関数 y=f(x) のグラフをy軸の正の方向に q だけ平行移動したグラフは、\nのグラフになる。\nまた、関数 y=f(x) のグラフをx軸の正の方向に p だけ平行移動したグラフは、\nのグラフになる。\nよって、関数 y=f(x) のグラフをx軸の正の方向に p 、y軸の正の方向にq だけ平行移動したグラフは、\nのグラフになる。\n\n2次関数にかぎらず、一般に関数 y=f(x) のグラフをx軸に関して対称に移動したグラフは、\nのグラフになる。\nまた、関数 y=f(x) のグラフをy軸に関して対称に移動したグラフは、\nのグラフになる。\nよって、関数 y=f(x) のグラフを原点に関して対称に移動したグラフは、\nのグラフになる。\n\n2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nのグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸に共有点があるとき、その共有点の\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n座標は0であるから、共有点の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n座標は、二次方程式\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\nの実数解である。\n次の2次関数のグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸の共有点の座標を求めよ。\n(i)\n(ii)\n(i) 2次方程式\n\n\nx\n2\n\n−\n2\nx\n−\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle x^{2}-2x-1=0}\nを解くと\nよって、共有点の座標は\n(ii) 2次方程式\n\n−\n4\nx\n2\n\n−\n4\nx\n−\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle -4x^{2}-4x-1=0}\nを解くと\nよって、共有点の座標は\n(ii)のグラフはただ1点\n\n\n(\n−\n\n1\n2\n\n \n,\n \n0\n)\n\n{\\displaystyle \\left(-{\\frac {1}{2}}\\ ,\\ 0\\right)}\nで共有し、共有点の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n座標は二次方程式\n\n−\n4\nx\n2\n\n−\n4\nx\n−\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle -4x^{2}-4x-1=0}\nの重解である。このようなとき、2次関数のグラフは\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸に接するといい、その共有点を接点という。\n2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nのグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸との共有点の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n座標は、二次方程式\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\nの実数解で、実数解の個数は\n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\nの符号によって決まる。\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle b^{2}-4ac}\n のことを 2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\nの 判別式 (はんべつしき)という。\n\n2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nのグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸の位置関係について、\n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\nとするとき\n次の2次関数のグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸との共有点の個数を求めよ。\n(I)\n(II)\n(III)\n(I)\nだから、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸との共有点はなし。\n(II)\nだから、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸との共有点は2個。\n(III)\nだから、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸との共有点は1個。\n2次間数にかぎらず、一般に関数 y = f(x)において、\n変数x のとりうる値の範囲のことを定義域(ていぎいき、domain)という。\nまた、xの値に対応して y の値のとりうる範囲のことを値域(ちいき、range)という。\n多くの場合、値域は定義域の影響を受けて変化する。\nまた、この例のように、定義域や値域を表す場合に、不等式で表す手法も多い。\n略式の記法として、定義域を表す場合に、\nのようにカッコ内の不等式で表すことも、よくある。この記法(「 y=2x    (1 ≦ x ≦ 3) 」)の場合、定義域は 1 ≦ x ≦ 3 であると主張している。\nつまり、定義域を数式ではっきりと示す必要がある場合には\nのように示すことがよくある。この関数の場合、定義域は\n\na\n≦\nx\n≦\nb\n\n{\\displaystyle a\\leqq x\\leqq b}\nである。\n特に定義域の指定されてない場合は、可能なかぎり定義域を広くとるのが普通である。\n\nたとえば、さきほどの関数 y=2x の問題の例 、\nでは、与えられた定義域で、この関数の値のとりうる最大の値は 6 である。\nこのように、ある関数が、与えられた条件下でもつ最大の値のことを、その関数の最大値(さいだいち, maximum)という。\nまたは、さきほど習った「値域」という言葉をつかうなら、「最大値」とは、値域の最大の値のことである。\nつまり、関数 y=2x    (1 ≦ x ≦ 3) の最大値は 6 である。\nもし、定義域を指定しなければ、関数 y=2x に最大値は無い(定義域の指定がなければ、xが どこまでも大きくなるし、それに比例してyも大きくなるので)。\n同様に、ある関数が、与えられた条件下でもつ最小の値のことを、その関数の最小値(さいしょうち, minimum)という。\n関数 y=2x    (1 ≦ x ≦ 3) の最小値は 2 である。\n\n定義域が実数全体である2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\n では、右図のように、aの正負によって最小値(a>0 の場合)、または最大値がある(a<0の場合)。\n\nと標準形にし、グラフを書くと右図のようになる。\nしたがってグラフより答えは最大値は\n\nx\n=\n0\n\n{\\displaystyle x=0}\n のとき\n\n5\n\n{\\displaystyle 5}\n, 最小値は\n\nx\n=\n−\n\n5\n2\n\n\n{\\displaystyle x=-{\\frac {5}{2}}}\n のとき\n\n−\n\n5\n4\n\n\n{\\displaystyle -{\\frac {5}{4}}}\n。\n上の例題と同様の問題のように思えるが、定義域が\n\n0\n≤\nx\n≤\n3\n\n{\\displaystyle 0\\leq x\\leq 3}\n ではなく、\n\n0\n≤\nx\n<\n3\n\n{\\displaystyle 0\\leq x<3}\n となっている。とりあえずグラフをかいてみることにする。\nグラフから、最大値は\n\nx\n=\n1\n\n{\\displaystyle x=1}\n のとき\n\n2\n\n{\\displaystyle 2}\n, 最小値は存在しない。\n二次不等式とは、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の二次式と不等号で表される式のことをいい、\nのような形をしている。グラフを利用して二次不等式の解を考えてみよう。\n2次関数 \n\ny\n=\nx\n2\n\n+\n4\nx\n=\nx\n(\nx\n+\n4\n)\n\n{\\displaystyle y=x^{2}+4x=x(x+4)}\n のグラフは右図のようになる。\nx\n2\n\n+\n4\nx\n>\n0\n\n{\\displaystyle x^{2}+4x>0}\n となる\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の値の範囲は右のグラフの\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸より上側にある部分に対する\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の値の範囲であるから、\nこの問題をより一般化してみよう。\n2次不等式\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n>\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c>0}\n を解くには\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\n のグラフをかけば一目瞭然である。しかし、グラフをかいた場合にも我々が注目するのは\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸より上か下かということと、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸との共有点である。\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸との共有点は二次方程式\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の解であるが、二次方程式の解の公式を思い出してほしい。それは次のようなものであった。\nこれを用いると、二次方程式\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\nが解を持つとき、\nと因数分解形で表すことができる。(右辺を展開して左辺と一致することを確かめてみよ。)\nここで、\nとおくと、\nとなる。\n\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n のとき\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\n のグラフは下に凸であるからこの不等式の解は、\nとなる。\n\na\n<\n0\n\n{\\displaystyle a<0}\n のときは両辺を\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle -1}\n で割ってから考えると、\nとなる。\n次の二次不等式を解け。\n(i)\n(ii)\n(i) 二次方程式\n\n12\nx\n2\n\n+\n17\nx\n−\n7\n=\n0\n\n{\\displaystyle 12x^{2}+17x-7=0}\nを解くと\nよって、この二次不等式の解は\n(ii) 二次方程式\n\n2\nx\n2\n\n+\n6\nx\n+\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle 2x^{2}+6x+1=0}\nを解くと\nよって、この二次不等式の解は\ny\n=\nx\n2\n\n−\n6\nx\n+\n9\n\n{\\displaystyle y=x^{2}-6x+9}\nの値の符号について考えよう。\n平方完成をすると\nこの関数のグラフは、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸と点\n\n(\n3\n \n,\n \n0\n)\n\n{\\displaystyle (3\\ ,\\ 0)}\nで接する。\n\n\ny\n=\nx\n2\n\n−\n6\nx\n+\n9\n\n{\\displaystyle y=x^{2}-6x+9}\nの値の符号について、下の表のようになる。\nよって\n次の二次不等式を解け。\n(i)\n(ii)\n(iii)\n(iv)\n(i)\nよって、-1以外のすべての実数\n(ii)\nよって、\n\nx\n=\n−\n\n2\n3\n\n\n{\\displaystyle x=-{\\frac {2}{3}}}\n\n(iii)\nよって、解はない\n(iv)\nよって、すべての実数\n2次関数\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nのグラフと\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸の位置関係について、\n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n<\n0\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac<0}\nのとき、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸と共有点をもたなかった。\nさらに\n\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\nという条件を加えると、\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}+bx+c}\nのグラフは\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸より上側にある。\na\n>\n0\n \n,\n \nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n<\n0\n\n{\\displaystyle a>0\\ ,\\ D=b^{2}-4ac<0}\nのとき\n次の二次不等式を解け。\n(i)\n(ii)\n(iii)\n(i)\nよって、解はない\n(ii)\nよって、すべての実数\n(iii)\nよって、解はない\n放物線と直線の共有点について考えよう。\n放物線 \n\ny\n=\nx\n2\n\n−\n4\nx\n+\n5\n\n{\\displaystyle y=x^{2}-4x+5}\n と次の直線の共有点の座標を求めよ。\n(i)\n(ii)\n(i) 求める共有点の座標は、連立方程式\nの実数の解である。\n\ny\n=\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y=x+1}\n を \n\ny\n=\nx\n2\n\n−\n4\nx\n+\n5\n\n{\\displaystyle y=x^{2}-4x+5}\n に代入すると\nすなわち\nこれを解いて\nx\n=\n1\n\n{\\displaystyle x=1}\n のとき \n\ny\n=\n2\n\n{\\displaystyle y=2}\n\n\n\nx\n=\n4\n\n{\\displaystyle x=4}\n のとき \n\ny\n=\n5\n\n{\\displaystyle y=5}\n\nよって、共有点の座標は\nである。\n(ii) 求める共有点の座標は、連立方程式\nの実数の解である。\n\ny\n=\n2\nx\n−\n4\n\n{\\displaystyle y=2x-4}\n を \n\ny\n=\nx\n2\n\n−\n4\nx\n+\n5\n\n{\\displaystyle y=x^{2}-4x+5}\n に代入すると\nすなわち\nこれを解いて\nこのとき \n\ny\n=\n2\n\n{\\displaystyle y=2}\n\nよって、共有点の座標は\nである。\n例題の(ii)のように、放物線とその軸に平行でない直線がただ1点を共有するとき、放物線は直線に接するといい、共有点を接点という。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6I/2%E6%AC%A1%E9%96%A2%E6%95%B0"} {"text": "本項は高等学校数学Iのデータの分析の解説です。\n中学校課程の資料の散らばりと代表値に続き、データの散布などの概念、また実際の処理がどのように行われるかを身近な事例やコンピュータの表計算ソフトを利用して学習します。大まかな内容は以下の通りです。\n資料の散らばりと代表値の内容は既習であるものとして解説を進めていきます。\nこの分野が基礎になる科目は数学Bの確率分布と統計的な推測があります。統計に加えて確率・数列・微積分の知識も必要となります。\n表計算のセクション(第5章・第6章)は2011年度以前の課程「統計とコンピュータ」の範囲で現在の指導要領では学習しません。ここで取り上げた資料の数値確認や演習に活用するといいでしょう。予め各自使用している表計算ソフトの操作を知っておくとスムーズに学習が進められます。このページではMicrosoft Excelの書式に基づいています。実践編は余力があればとりかかってみて下さい。ただしここでは数学Bで学習する確率分布などの関数は扱っていません。演習を始める前に必ず(基礎編)の冒頭にある注意書きをお読み下さい。\nこの分野の演習問題は大学受験数学 統計とコンピューターをご覧下さい(旧課程のものですが内容に殆ど変更がないのでこのまま使用しています)。表計算演習は該当セクション内の実習と前述のページ演習問題2・3にて代えます。\n以降、「資料の散らばりと代表値」でも用いた以下の資料を頻繁に使いますのでメモしておいたほうがよいでしょう。\n代表値が同じであってもその分布が代表値近くに密集していたりばらばらであったりと色々なことが考えられる。ここでは資料の散らばり具合の表す量について見てみよう。\n資料が取る最大値から最小値を引いた値をその資料の分布の範囲(はんい)と言う。\n資料1の範囲は\n\n70.0\n−\n53.6\n=\n16.4\n\n{\\displaystyle 70.0-53.6=16.4}\n(kg)となる。\nデータを大きさの順に並べた時、25%、50%、75%に当たる数値をその資料の四分位数と言う。特に下位から25%に当たる数値を第1四分位数、\n下位から75%に当たる数値を第3四分位数と言われる。下位から50%に当たる数値は第2四分位数と言うこともできるが、中央値と同義である。四分位数の英訳「Quartile」の頭文字を取ってそれぞれ\n\n\nQ\n1\n\n,\nQ\n2\n\n,\nQ\n3\n\n\n{\\displaystyle Q_{1},Q_{2},Q_{3}}\nと表すこととする。\n資料1の四分位数を求めてみよう。まずは資料を昇順に並びかえる。\nまずは中央値を求めてみる。中央値のセクションでも述べた通り、この資料の中央値は5番目と6番目の平均である61.5kgである。\n第1四分位数はこの資料では順位が6番目~10番目の中央値とも読み取ることができる。言い換えると8番目の値となるので56.1kgとなる。\n第3四分位数も同様に順位が1番目~5番目の中央値とできるので求める数値は3番目の値の65.4kgである。\n第3四分値と第1四分値の差をその資料の四分位範囲、四分位範囲の半分のことをその資料の四分位偏差と言う。\n資料1の四分位範囲は\n\n\nQ\n3\n\n−\nQ\n1\n\n=\n65.4\n−\n56.1\n=\n9.3\n(\nk\ng\n)\n\n{\\displaystyle Q_{3}-Q_{1}=65.4-56.1=9.3(kg)}\n、四分位偏差は\n\n\n\nQ\n3\n\n−\nQ\n1\n\n2\n\n=\n\n9.3\n2\n\n=\n4.65\n(\nk\ng\n)\n\n{\\displaystyle {\\frac {Q_{3}-Q_{1}}{2}}={\\frac {9.3}{2}}=4.65(kg)}\nとなる。\n資料のばらつき具合をグラフにまとめて見やすくしたものを箱ひげ図と言う。\n箱ひげ図の見方を以下で示す。なお、以下の図は資料3を参照して作成しているが、0.5kg未満の数値を切り捨てしてあるので正しく作成した図と等しくならないことには注意。\nデータの中に含まれることがある、他の値とは極端にかけ離れた値のことを外れ値と呼ぶ。データのとる値を変数xとみなしたとき、外れ値の基準を以下のように定める。\n外れ値が存在する場合、四分位数は全てのデータを用いて考えるが、箱ひげ図の左右のひげは外れ値を除いて考える。外れ値を箱ひげ図にあえて示す場合は以下のように⚪︎を用いて表す。\n外れ値は必ずしも測定ミス等で発生した異常な値とは限らない。外れ値の背景を調査することで、新たな問題が発見されたり問題解決の糸口が掴めたりする場合がある。\n変数xのとる値が\nのn個あるとき、各値と平均値\n\n\nx\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {x}}}\nとの差\nを、それぞれ平均値からの偏差(へんさ)という。\n資料1で、平均値からの偏差は次のようになる。\nさて、今知りたいのは資料全体の偏り具合の傾向であった。それを調べるために、試しに偏差の平均値を計算してみよう。\nこのように、偏差の平均値は常に0になる。\n偏差の平均は常に0となるので、これを計算してもデータの散らばりの大きさを知ることはできないことがわかった。そこで、偏差の2乗の平均値を考える。この値を分散(ぶんさん、英:variance)という。分散を\n\n\ns\n2\n\n\n{\\displaystyle s^{2}}\nで表すと、次のようになる。\ns\n2\n\n=\n\n(\nx\n1\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\n+\n(\nx\n2\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\n+\n⋯\n+\n(\nx\nn\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\nn\n\n\n{\\displaystyle s^{2}={\\frac {(x_{1}-{\\overline {x}})^{2}+(x_{2}-{\\overline {x}})^{2}+\\cdots +(x_{n}-{\\overline {x}})^{2}}{n}}}\nこの分散の定義は自然なものであるが、たとえば、データが身長の場合、その単位はcmであるが、分散は偏差の2乗の平均なので、その単位は\n\nc\nm\n2\n\n\n{\\displaystyle cm^{2}}\nになってしまう。そのため、単位を変量と合わせるために、分散\n\n\ns\n2\n\n\n{\\displaystyle s^{2}}\nの正の平方根sを考えることも多い。このsを資料xの標準偏差(ひょうじゅんへんさ、英:standard deviation)という。\ns\n=\n\n\n(\nx\n1\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\n+\n(\nx\n2\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\n+\n⋯\n+\n(\nx\nn\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n2\n\nn\n\n\n{\\displaystyle s={\\sqrt {\\frac {(x_{1}-{\\overline {x}})^{2}+(x_{2}-{\\overline {x}})^{2}+\\cdots +(x_{n}-{\\overline {x}})^{2}}{n}}}}\n資料1の分散と標準偏差を求めよう。\n分散\n\n\ns\n2\n\n\n{\\displaystyle s^{2}}\nは\n標準偏差sは\n度数分布表から分散と標準偏差を求めるときは次のようになる。\n階級値を\n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nr\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{r}}\nとし、それに対応する度数を\n\n\nf\n1\n\n,\nf\n2\n\n,\n⋯\n,\nf\nr\n\n\n{\\displaystyle f_{1},f_{2},\\cdots ,f_{r}}\nとする。分散\n\n\ns\n2\n\n\n{\\displaystyle s^{2}}\nと標準偏差sは\n諸君も興味を持っているかもしれない大学受験の世界では、「偏差値」という数値がしばしば取り上げられる。偏差値は、次の式で計算される。\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n.\n.\n.\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},...}\nの中の数値\n\n\nx\ni\n\n\n{\\displaystyle x_{i}}\nの偏差値は、\n10とか50といった定数は、出てきた数値が直感的にわかりやすい大きさとなるようにしている定数(規格化定数という)であり、直接に意味はない。注目すべきは、この計算式の中に、平均と標準偏差が含まれているということである。つまり、同じ学力を持った人どうしであっても、違う試験を受ければ、試験を受けた他の人たちの動向によって偏差値は大きく変化するということである。そのような数値であるので、少しの変化にあまり一喜一憂しすぎないようにしたい。\n分散の式は、次のように変形できる。\nすなわち、公式の形にするならば、次のように書ける。\nこの式を使って、資料1の分散を求めよう。\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle x^{2}}\nの平均は\nxの平均の2乗は\nよって、分散は\nと、前に出した方法と同じ値になる。\n変量xについてのデータ\n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots x_{n}}\nがあり、その平均値、分散、標準偏差をそれぞれ\n\n\nx\n¯\n\n,\ns\nx\n\n2\n\n,\ns\nx\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {x}},s_{x}^{2},s_{x}}\nとする。\n定数\n\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\nを用いて新たな変量yを\n\ny\n=\na\nx\n+\nb\n\n{\\displaystyle y=ax+b}\nで定義する。\nこのときyのデータはn個の値を持ち、それは\n\n\ny\n1\n\n=\na\nx\n1\n\n+\nb\n,\ny\n2\n\n=\na\nx\n2\n\n+\nb\n,\n⋯\n,\ny\nn\n\n=\na\nx\nn\n\n+\nb\n\n{\\displaystyle y_{1}=ax_{1}+b,y_{2}=ax_{2}+b,\\cdots ,y_{n}=ax_{n}+b}\nとなる。\nyのデータの平均値は、\ny\nk\n\n−\ny\n=\na\nx\nk\n\n+\nb\n−\n(\na\n\nx\n¯\n\n+\nb\n)\n=\na\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n\n{\\displaystyle y_{k}-y=ax_{k}+b-(a{\\overline {x}}+b)=a(x_{k}-{\\overline {x}})}\nを用いると、yのデータの分散は\nまた、上式よりyの標準偏差は\nこのように、変量xを定数a,bを用いた一次式によって別の変量yに変換した際、\n\n\ny\n¯\n\n,\ns\ny\n\n2\n\n,\ns\ny\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {y}},s_{y}^{2},s_{y}}\nを\n\na\n,\nb\n,\n\nx\n¯\n\n,\ns\nx\n\n2\n\n,\ns\nx\n\n\n{\\displaystyle a,b,{\\overline {x}},s_{x}^{2},s_{x}}\nのみで表すことができる。このような処理を変量の変換と呼ぶ。\nなお、数学Bの「統計的な推測」において、確率変数における変量の変換と期待値の変量変換について取り扱う。\n今までは1種類のステータスについてのデータ分析を行ってきた。ここでは2種類のステータスがどのような傾向になっているか見て行くこととしよう。\n以下の資料6は資料1に身長の値を加えたものである。\n例えば、上の資料6の体重をx(kg)、身長をy(cm)として、点\n\n\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\left(x,y\\right)}\nを座標平面上にとったとする。\n2つの変量からなる資料を平面上に図示したものを散布図(さんぷず)または相関図(そうかんず)という。以下は資料8の相関図である。点の付近にある数字はその数値に該当する人の出席番号を表す。\n一般に、散布図において、\n2つのデータx , yについて、次のn個の値の組を考える。\nxの平均値を\n\n\nx\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {x}}}\n、yの平均値を\n\n\ny\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {y}}}\nとすると\nまた、xの標準偏差を\n\n\nS\nx\n\n\n{\\displaystyle S_{x}}\n、yの標準偏差を\n\n\nS\ny\n\n\n{\\displaystyle S_{y}}\nとすると\nここで\nの値の符号について考える。(1)をxとyの共分散(きょうぶんさん、英:covariance)という。\n共分散が正のときは、\n\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})(y_{k}-{\\overline {y}})>0}\nとなるものが、\n\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})(y_{k}-{\\overline {y}})<0}\nよりも多いと考えられる。\nすなわち\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})>0}\n かつ \n\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (y_{k}-{\\overline {y}})>0}\nまたは\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})<0}\n かつ \n\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (y_{k}-{\\overline {y}})<0}\nが多いということになる。\nよって、共分散が正のとき、xとyには正の相関関係があるといえる。\n共分散が負のときは、\n\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})(y_{k}-{\\overline {y}})<0}\nとなるものが、\n\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})(y_{k}-{\\overline {y}})>0}\nよりも多いと考えられる。\nすなわち\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})>0}\n かつ \n\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (y_{k}-{\\overline {y}})<0}\nまたは\n(\nx\nk\n\n−\n\nx\n¯\n\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle (x_{k}-{\\overline {x}})<0}\n かつ \n\n(\ny\nk\n\n−\n\ny\n¯\n\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (y_{k}-{\\overline {y}})>0}\nが多いということになる。\nよって、共分散が負のとき、xとyには負の相関関係があるといえる。\n共分散の値は、資料x , yの内容によって大きく値が変わるので、x , yの偏差をそれぞれの標準偏差\n\n\nS\nx\n\n,\nS\ny\n\n\n{\\displaystyle S_{x},S_{y}}\nで割った値の積の平均値\nを考え、この値を資料x , yの相関係数(そうかんけいすう、英: correlation coefficient)といい、rで表す。\nであるから、\nxの平均値を\n\n\nx\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {x}}}\n、yの平均値を\n\n\ny\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {y}}}\nとすると、相関係数rは\n相関係数rは、一般に\n\n−\n1\n≤\nr\n≤\n1\n\n{\\displaystyle -1\\leq r\\leq 1}\nが成り立つ。\nではこれを用いて資料6の相関関係を見てみよう。\nよって相関係数rは\n\n\nr\n=\n\n(\n−\n0.9\n)\n×\n(\n−\n2.2\n)\n+\n(\n−\n3.3\n)\n×\n(\n−\n9.1\n)\n+\n4.2\n×\n(\n−\n0.6\n)\n+\n(\n−\n5.1\n)\n×\n(\n−\n3.0\n)\n+\n(\n−\n7.6\n)\n×\n(\n−\n7.7\n)\n+\n1.5\n×\n0.1\n+\n8.8\n×\n9.1\n+\n(\n−\n5.4\n)\n×\n3.0\n+\n5.9\n×\n9.8\n+\n1.9\n×\n0.6\n\n{\n(\n−\n0.9\n)\n2\n\n+\n(\n−\n3.3\n)\n2\n\n+\n(\n4.2\n)\n2\n\n+\n(\n−\n5.1\n)\n2\n\n+\n(\n−\n7.6\n)\n2\n\n+\n(\n1.5\n)\n2\n\n+\n(\n8.8\n)\n2\n\n+\n(\n−\n5.4\n)\n2\n\n+\n(\n5.9\n)\n2\n\n+\n(\n1.9\n)\n2\n\n}\n×\n{\n(\n−\n2.2\n)\n2\n\n+\n(\n−\n9.1\n)\n2\n\n+\n(\n−\n0.6\n)\n2\n\n+\n(\n−\n3.0\n)\n2\n\n+\n(\n7.7\n)\n2\n\n+\n(\n0.1\n)\n2\n\n+\n(\n9.1\n)\n2\n\n+\n(\n3.0\n)\n2\n\n+\n(\n9.8\n)\n2\n\n+\n(\n0.6\n)\n2\n\n}\n\n\n\n{\\displaystyle r={\\frac {(-0.9)\\times (-2.2)+(-3.3)\\times (-9.1)+4.2\\times (-0.6)+(-5.1)\\times (-3.0)+(-7.6)\\times (-7.7)+1.5\\times 0.1+8.8\\times 9.1+(-5.4)\\times 3.0+5.9\\times 9.8+1.9\\times 0.6}{\\sqrt {\\left\\{(-0.9)^{2}+(-3.3)^{2}+(4.2)^{2}+(-5.1)^{2}+(-7.6)^{2}+(1.5)^{2}+(8.8)^{2}+(-5.4)^{2}+(5.9)^{2}+(1.9)^{2}\\right\\}\\times \\left\\{(-2.2)^{2}+(-9.1)^{2}+(-0.6)^{2}+(-3.0)^{2}+(7.7)^{2}+(0.1)^{2}+(9.1)^{2}+(3.0)^{2}+(9.8)^{2}+(0.6)^{2}\\right\\}}}}}\n=\n0.755568\n⋯\n\n{\\displaystyle =0.755568\\cdots }\nとなり、この10人の身長と体重には正の相関関係があることが分かる。\nアンケートなど、資料の数が多い場合には手作業で計算をすると膨大な時間がかかる。そこでコンピュータの表計算ソフト(ここではMicrosoft Excelを例に取る)を用いて統計処理を行ってみよう。\nコンピュータにMicrosoft Excelが入っていない場合はフリーソフトのOpenoffice Calcなどで代用できる。自身のOS(Windows,Mac,Linuxなど)に合ったバージョンをダウンロードしないと動かないので注意。\n「はじめに」のセクションでも述べた通り、ここから先は学習指導要領外となりますので余力のある方が学習するといいでしょう。\n表計算ソフトを起動すると長方形の何も書かれていない枠が無数に並んでいる。この枠それぞれのことをセルと言う。また1,2,3,・・・から右に出るラインそれぞれを行と言い、A,B,C,・・・から下に出るラインそれぞれを列と言う。\nセルの個々の呼び方は列番号→行番号のように表す。例えば列番号がC、行番号が3であるセルは「C3のセル」であると言う。\nここでは数値が入力されたセルに対しての計算方法を学ぶ。表計算ソフトによって計算式の種類や入力方法など異なる場合があるので事前に確認しておくこと。ここではよく用いられる演算式を示すが、詳細は表計算ソフトのヘルプ・表計算ソフトについて書かれた書籍を参考にして欲しい。\n表計算ソフトでは直接セルに計算式を入力することによって、指定されたセルに対して計算を行い、その実行結果が計算式を入力したセルに反映される。またそのセルを複写すると複写先のセルに応じた計算式となって入力され、その実行結果が表示される。(※詳細は実践編「セルの参照」で)\nセルに計算式を入力することによって様々な計算ができる。また、その計算に必要な記号のことを(算術-)演算子と言う。一般にX1のセルとY1のセルに入力されている数値の計算は以下のようになる。\n一般に関数とはxの値を決めるとyの値が1つに定まるものであるが、コンピュータ分野においての関数は一般のそれとは異なり用途別に予め用意された計算式のことを表す。この時計算対象のセルを括弧で指定するが、括弧内を引数(ひきすう)と言う。X1のセルに入力された数値の演算の代表的な例を以下に挙げる。関数の計算結果を出力することを値を返すと言い、その値のことを返り値と言う。表計算ソフトには膨大な種類の関数が用意されているが、このページでの紹介は極一部に留める。\n今の段階ではあまり気にしなくてもよいが三角関数を用いる場合は弧度法(「弧の長さ\n\n÷\n\n{\\displaystyle \\div }\n半径の長さ」で記述する角の測り方で、単位はラジアン:詳細は数学IIで勉強する)での取扱いになる為、度数法での記述の場合は予め弧度法に直しておかなければならない。(※詳細は実践編「関数の仕様」で)\n度数法から弧度法への変換は、\n\n\nn\n∘\n\n=\nn\n×\n\nπ\n180\n\n\n{\\displaystyle n^{\\circ }=n\\times {\\frac {\\pi }{180}}}\nとすればよい。\nまたX1・X2・X3・・・Xnのセルに対して演算を行う場合は以下のようになる。A1・B1・C1・・・x1のセルに対して演算する場合は以下の(X1:Xn)を(A1:x1)と書き換えればよい。\n以下の表は資料2を表計算ソフトに入力したものである。ただし階級は、52.0kg以上55.0kg未満の階級のことを52.0-55.0などと表すことにする。セルに入る文字が長くデフォルトの大きさで収まらない場合、セルの大きさを調節して表を見やすくしてみよう。グラフの作成の仕方を以下に示す。\n度数折れ線は左右両端に度数が0である階級があるものとして作図をすると前に述べた。故にこのグラフを表計算ソフトで作成する場合は表2の2行の前の行に階級値が50.5であるもの、8行の後の行に階級値が74.5であるもの(それぞれ度数は0)を事前に挿入しておかなければならない。\n以下の表3は表2にいくつかの情報を追加したものである。尚、10行については表を見やすくするために空けてある。表の空欄を埋めながら実習をするとよい。\n尚、全ての空欄を埋めた表は以下の通りになる。\n以下の表4は資料7を表にしたものである。ここでは今まで学んだことを用いて全ての空欄を埋めて欲しい。13行は表の見やすさのために空けてある。いくつかのセルは結合されているがその手順を以下に示す。以下の例ではA1・A2のセルを結合させる場合を考える。\n全ての空欄を埋めた表は以下の通りである。各々作成した表と見比べ確かめてみるとよい。\nここではセルの参照など、実際の表計算で知っていると便利な項目を紹介しています。\n関数の中に別の関数を書くこともできますし、関数を項とみなして加減乗除などもできます。\n例えば30度の正弦を求めたい場合には\n\n=\nS\nI\nN\n(\nR\nA\nD\nI\nA\nN\nS\n(\n30\n)\n)\n\n{\\displaystyle =SIN(RADIANS(30))}\nと入力します。\n\n=\nR\nA\nD\nI\nA\nN\nS\n(\nd\ne\ng\nr\ne\ne\n)\n\n{\\displaystyle =RADIANS(degree)}\nは度数法を弧度法に変換する関数のことです。degreeには求めたい角度を入れます。(この行は数学IIの範囲です)\n表計算ソフトには統計に必要な関数が揃っており、以下は前セクションまでに扱った関数です。\n今までの関数を利用して資料1の代表値等をまとめてみましょう。\n\n=\nM\nA\nX\n(\nX\n1\n:\nX\nn\n)\n\n{\\displaystyle =MAX(X1:Xn)}\n は最大値を返す関数、\n\n=\nM\nI\nN\n(\nX\n1\n:\nX\nn\n)\n\n{\\displaystyle =MIN(X1:Xn)}\nは最小値を返す関数です。\n前の実習のようにいちいち式を書くのは面倒ですし間違いが起こりやすくなります。ここで活躍するのがセルの参照です。実際に見ていきましょう。\n下の表は表3のB・C・D列を抜き出し、E列に備考を加えたものです。備考には左隣のセルに対応する式が入ります。\nD2のセルは実習3の通り\n\n=\nB\n2\n∗\nC\n2\n\n{\\displaystyle =B2*C2}\nでしたね。D3以降は実習では\n\n=\nB\n3\n∗\nC\n3\n\n{\\displaystyle =B3*C3}\nや\n\n=\nB\n4\n∗\nC\n4\n\n{\\displaystyle =B4*C4}\n・・・とやったはずです。\nD2のセルの数式をコピーしD3のセルにペーストしてみましょう。するとD3のセルには169.5と出力されます。ここでD3に代入された式を見ると\n\n=\nB\n3\n∗\nC\n3\n\n{\\displaystyle =B3*C3}\nと参照しているセルが自動的にそれぞれが1行下になっていることが分かります。目で見える情報では番地になって出てきますがプログラム内では3つ左のセルの数値と2つ左のセルの数値を掛け合わせなさいという命令に置き換わっているのです。この命令をコピーペーストしているのですから、反映先のセルの命令も全く変わりません。下の表は必要な部分だけ抜き出しています。\n同じようにD列の他のセルにペーストしてみましょう。\nこれで完成しました。コピーペーストをした時に自動的に参照が変わる方法を相対参照と言います。\n下の表は表3の平均値の計算まで終わり偏差を求めようとする段階です。F列は備考としておきます。偏差は階級値-平均値でしたね。E2のセルに\n\n=\nB\n2\n−\nB\n11\n\n{\\displaystyle =B2-B11}\nと入力しましょう。\nE2のセルをコピーしてE3のセルにペーストしてみましょう。4行から9行は割愛しています。\n明らかに間違いな数値が出てきてしまいました。E3のセルの式を見ると\n\n=\nB\n3\n−\nB\n12\n\n{\\displaystyle =B3-B12}\n となっています。プログラム内では3つ左のセルの数値から3つ左、9つ下のセルの数値を引きなさいという命令に置き変わっています。コピーペーストしてもその命令は変わらないので、参照先が両方とも移動してしまいます。今の段階ではB12のセルに何も入っていないのですから、そのセルには0が入っているものとして計算されます。他のE列にコピーしてもやはり間違いな数値が出力されます(実験してみて下さい)。ここでは出てきませんが、文字列のセルと数値のセルを計算しようとするとエラーになります。\nこのような場合は参照するセルを固定することが必要になります。参照セルを固定する場合は固定したい番号の前に $ の文字を入れます。行番号も列番号も固定したい場合はそれぞれの番号の前に$をつけます。\nでは平均値が出力されているB11を固定してE2のセルをコピーしE3のセルにペーストしてみましょう。この場合は11のほうを固定したいのでB$11のように入力して固定します。\nこれで正しい結果を得ることができました。参照セルを固定する方法を絶対参照と言います。\n「結局$ はどうつければいいの?」という疑問があるかと思いますが、ここでは簡単のために左右に移動させたくない場合はアルファベットの前に$、上下に移動させたくない場合は数字の前に$、どちらにも移動させたくない場合はアルファベット・数字両方の前に$と思っておけばいいでしょう。つまずきやすい場所なので実際に練習してみて動きを見るのも大切です。慣れると考えずとも正しく$をつけられるようになります。\n詳しくは旧初級シスアド試験の表計算セクションに記述されています。\nある物事を一定の数値以上ならAを表示、それ未満ならBを表示する・・・などの操作をするためにどのようなことをするか学びましょう。\n以下の表はレタス・トマト・ねぎの値段を記したものです。ここで以下のような条件をつけてみます。\n値段を比較して昨年と同じか上がっている野菜は「↑」下がっていれば「↓」を比較列に入力する\nIF関数は\n\n=\nI\nF\n(\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n,\nv\na\nl\nu\ne\n1\n,\nv\na\nl\nu\ne\n2\n)\n\n{\\displaystyle =IF(formula,value1,value2)}\nで指定します。formulaには論理式、value1には真の場合の値を、value2には偽の場合の値を入力します。値が半角数字や関数でない場合はvalue1やvalue2に\" \"をつけるのを忘れずに。\" \"は\" \"で囲まれた文字を出力しなさい、という命令です。\n論理式には判定の条件となる式を入れます。真(true)であることは論理式を満たすもの、逆に偽(false)はそうでないもののことです。\n論理式には比較演算子なるものを入れます。簡単に言えば等号や不等号のことです。気をつけるべき点としてはいわゆる≧や≦、≠の全角記号は使えないということです。\nまた、真偽を反転させたい場合は\n\n=\nN\nO\nT\n(\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n)\n\n{\\displaystyle =NOT(formula)}\nで記述します。\n\n=\nN\nO\nT\n(\nt\nr\nu\ne\n)\n\n{\\displaystyle =NOT(true)}\nはfalse、\n\n=\nN\nO\nT\n(\nf\na\nl\ns\ne\n)\n\n{\\displaystyle =NOT(false)}\nはtrueになります。\nレタスを例にすると、D2のセルを選択し、以下のように記述します。昨年を基準として今年はそれ以上なのかどうかを判定するわけですから、論理式には\n\nB\n2\n<=\nC\n2\n\n{\\displaystyle B2<=C2}\nと入力します。真偽の部分には矢印を入れます。\nレタスは昨年より値段が下がっているので論理式を満たさず偽に書かれている内容が出力されます。\n他の野菜は相対参照を活用することができますので、似た式の入力を2回も3回もやる必要はありません。\nIF関数は真・偽の2つの分岐をする関数ですので、3分岐以上させるにはIF関数を複数使う必要があります。以下の表はある娯楽施設の入場料を示したものです。\nこちらは上記の娯楽施設の団体予約表です。\nまずは40人以上から設定しましょう。C2のセルにIF関数を用います。40人以上ならば入場料を1,000円にするので、以下のように設定します。\nここで偽となった場合、更に2種類の選択肢があります。更に分岐させる場合は1度IF関数を呼び出します。\n2つ目のIF関数において今度は30人~39人の入場料は1,100円を設定していきましょう。既に40人以上の設定は1つ目のIF関数で終わっているので30<=B2<=39と書く必要はなく30<=B2だけでよいのです。ここで真の場合は30人~39人、偽の場合は29人以下ですので、これで設定は全て終了です。エラーが出る場合は括弧や\" \"が正しく閉じているか、カンマに漏れや余計なものがないかに気をつけましょう。\nセルに反映してみましょう。4つ以上の場合も偽の場合に更にIF関数を使用することによって分岐できます。ただし、IF関数を同時に使用できるのは64回(Excel2003バージョンは7回)までなことには注意しましょう。\n条件が1つでない場合は論理式にAND関数ないしOR関数で複数の条件を記述します。\nAND関数の例を見てみましょう。以下はある資格試験の点数状況の受験番号の若い人から数人を示したものです。配点は第1問400点・第2問300点・第3問300点とし、合格ラインは全体7割以上かつ各問5割以上です。\n論理式には合格ラインを入れます。点数の条件が全て合格ライン以上でないと合格にならないため、AND関数を使用します。AND関数は\n\n=\nA\nN\nD\n(\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n1\n,\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n2\n,\n.\n.\n.\n)\n\n{\\displaystyle =AND(formula1,formula2,...)}\nで表記します。各formulaには条件式を入れます。\nこの試験の場合は第1問200点以上・第2問150点以上・第3問150点以上・全体700点以上の全てを満たせば合格です。\nこれを条件にしたIF文を記述します。受験番号1001Aの人の判定をしてみましょう。\n受験番号1001Aの人は合格ラインの全てを満たしていたので合格です。\n他の人も見ると受験番号1002Bの人は第1問が下回っていたので不合格、受験番号1003Cの人は全体が下回っていたので不合格となります。\nOR関数も同様にして\n\n=\nO\nR\n(\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n1\n,\nf\no\nr\nm\nu\nl\na\n2\n,\n.\n.\n.\n)\n\n{\\displaystyle =OR(formula1,formula2,...)}\nで記述します。\n先程の試験は第1問200点以上・第2問150点以上・第3問150点以上・全体700点以上の全てを満たせば合格でした。この合格ラインを逆に見ると第1問200点未満・第2問150点未満・第3問150点未満・全体700点未満のどれか1つでも満たしてしまうと不合格になるということです。これを条件にしてみましょう。\nOR関数が真の時不合格になるわけですから、真偽の振る舞いが先程とは逆になることに注意しましょう。\n受験番号1001Aの人の判定に上式を入れても2つ上の表と同じになります。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6I/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E5%88%86%E6%9E%90"} {"text": "本項は高等学校数学IIの式と証明・高次方程式の解説である。\n(\na\n+\nb\n)\n5\n\n=\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n+\nb\n)\n\n{\\displaystyle (a+b)^{5}=(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)}\n について考えよう。この式を展開するとき、\n\n\na\n2\n\nb\n3\n\n\n{\\displaystyle a^{2}b^{3}}\n の係数は、右辺の5個の \n\n(\na\n+\nb\n)\n\n{\\displaystyle (a+b)}\n から \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n を3回取る組み合わせに等しいから \n\n\n\n5\n\n\nC\n\n2\n\n=\n10\n\n{\\displaystyle _{5}\\mathrm {C} _{2}=10}\n である。\nこの考えを拡張して\nを展開する。\n\n\na\nr\n\nb\nn\n−\nr\n\n\n{\\displaystyle a^{r}b^{n-r}}\nの項の係数は、右辺の \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 個の \n\n(\na\n+\nb\n)\n\n{\\displaystyle (a+b)}\n から \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n を \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n 回取る組み合わせに等しいから \n\n\n\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {C} _{r}}\n である。\nよって、次の式が得られる:\n最後の式は数Bの数列で学ぶ総和記号 \n\nΣ\n\n{\\displaystyle \\Sigma }\n である。知らないのなら無視しても良い。\nこの式を 二項定理(binomial theorem) という。また、それぞれの項にかかる係数を二項係数(binomial coefficient) と呼ぶことがある。\n(I)\n(II)\n(II)\nをそれぞれ計算せよ。\n二項定理を用いて計算すればよい。実際に計算を行なうと、\n(I)\n(II)\n(III)\nとなる。\nすべての自然数nに対して\n(I)\n(II)\n(III)\nが成り立つことを示せ。\n二項定理\nについてa,bに適当な値を代入すればよい。\n(I)\na = 1,b=1を代入すると、\nとなり確かに与えられた関係が成立することが分かる。\n(II)\na=2,b=1を代入すると、\nとなり確かに与えられた関係が成立することが分かる。\n(III)\na=1,b=-1を代入すると、\nとなり確かに与えられた関係が成立することが分かる。\n二項定理を拡張して \n\n(\na\n+\nb\n+\nc\n)\nn\n\n\n{\\displaystyle (a+b+c)^{n}}\n を展開することを考えよう。\n\n\na\np\n\nb\nq\n\nc\nr\n\n\n{\\displaystyle a^{p}b^{q}c^{r}}\n \n\n(\np\n+\nq\n+\nr\n=\nn\n)\n\n{\\displaystyle (p+q+r=n)}\n の項の係数は \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 個の \n\n(\na\n+\nb\n+\nc\n)\n\n{\\displaystyle (a+b+c)}\n から \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n 個の \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n、\n\nq\n\n{\\displaystyle q}\n 個の \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n 、 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n 個の \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n を選ぶ組合せに等しいから \n\n\n\nn\n!\n\np\n!\nq\n!\nr\n!\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {n!}{p!q!r!}}}\n である。\nここでは、整式の除法と分数式について扱う。整式の除法は、整式を整数のように扱い除法を行なう計算手法のことである。実際に整数の除法と整式の除法には深いつながりがある。整式の因数分解を考えるとそれ以上因数分解できない整式が存在する。この整式を整数でいう素因数のように扱うことで整式の素因数分解が可能になる。\n上では、整式が整数に対応する性質を持つことを述べた。整数についてはたがいに素な2つの整数を取ることで有理数を定義することが出来る。整式に対しても同じ事が成立ち、そのような式を分数式と呼ぶ。\n分数を用いないときには、整数の除法は商と余りを用いて定義された。この時、割られる数Bは商Dと割る数A、余りRを用いて\nの性質を満たすことが知られている。整式に対しても似た性質が成立ち、割られる式B(x)が商D(x)と割る式A(x)、余りR(x)を用いて、\nの右辺でxについて2次の項が現われ左辺と一致しなくなる。よって商は実数である。商をa、余りをrとすると上の式は、\nとなるが、これはa=1,r=1で成立する。よって商1,余り1である。より高次の式に対しても同じ様に答えを定めていけばよい。例として、\nのような式を考える。この場合、\nで、B(x)が3次、A(x)が2次であることから、D(x)は1次であり、また、R(x)は2次より小さいことから1次以下の式になる。ここで、D(x)=ax+b,R(x)=cx+dとおくと、\nが得られる。右辺を展開すると、\nが得られるが、xにどんな値を入れてもこの等式が成り立たなければならないので、a = 1, b = 0, -a +c = 0, -b +d = 0が得られ、結局a=c=1, b=d=0が得られる。\nこの方法はどの除法に対しても用いることが出来るが、次数が高くなると計算が難しくなる。整数の場合と同様、整式の除法でも筆算を用いることが出来る。上の例を用いて結果だけを書くと、\nのようになる。)右に書かれた式が割られる式であり、)左に書かれた式が割る式である。--の一番上に書かれた式は商であり、整数の割り算同様左に書かれた数から順に割っていく。ここでは次数が大きい項がより先に計算される項である。割られる式の下にある式は商の第1項を割る式にかけて得る式である。ここでは、\n\nx\n(\nx\n2\n\n−\n1\n)\n\n{\\displaystyle x(x^{2}-1)}\nで、\n\n\nx\n3\n\n−\nx\n\n{\\displaystyle x^{3}-x}\nとなる。ただし、整数の除法と同様、位をそろえなくてはならない。その後、割られる式から\n\n\nx\n3\n\n−\nx\n\n{\\displaystyle x^{3}-x}\nを引き、残った式を新しい割られる式として扱う。ここでは、得た式が割る式よりも低次であることから、これで計算は終了である。\nx\n3\n\n+\n2\nx\n2\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle x^{3}+2x^{2}+1}\n、\n\n\nx\n4\n\n+\n4\nx\n2\n\n+\n3\nx\n+\n2\n\n{\\displaystyle x^{4}+4x^{2}+3x+2}\nを、\n\n\nx\n2\n\n+\n2\nx\n+\n6\n\n{\\displaystyle x^{2}+2x+6}\nで割った商と余りを求めよ。\nこの計算はアニメーションを使って\n詳しく表示されている。計算手法は、\n整数の場合の筆算と同じような手法が使える。\nが得られるので、商\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n、余り\n\n−\n6\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle -6x+1}\nである。\n2つ目の式については、\nが得られる。\nよって、答は\n商\n\n\nx\n2\n\n−\n2\nx\n+\n2\n\n{\\displaystyle x^{2}-2x+2}\n、余り\n\n11\nx\n−\n10\n\n{\\displaystyle 11x-10}\nである。\nここまでで整式を整数のように扱い、整式の除法を行なう方法について述べた。ここでは、整式に対して分数式を定義する方法について述べる。分数式とは、整数に対する分数のように、除法によって生じる式である。ここで、除法を行なう式はどのようなものでも差し支えない。分数式では、分子に割られる式を書き、分母に割る式を書く。例えば、\nは、分子x+1、分母\n\n\nx\n2\n\n+\n4\n\n{\\displaystyle x^{2}+4}\nの分数式である。分数式に対しても約分や通分が存在する。約分は共通因数を持った分子分母をもつ分数式で用いられる。この時には分子分母を共通因数で割り、式を簡単にすることが出来る。通分は、分数式の加法の時によく用いられるが、分子分母に同じ整式をかけても分数式が変化しない性質を用いる。\nを簡単にせよ。また、\nを計算せよ。\nについて分子と分母を因数分解すると、双方ともに\nを因数として含んでいることが分かる。このとき、共通の因数は約分することが必要である。計算された値は、\nとなる。\n次の問題では、\nを計算する。このとき、両辺の分母をそろえる必要があるが、今回については、単純にそれぞれの分数式の分子と分母に各々の分母をかけて分母を統一すればよい。計算すると、\nとなる。\n分数式の乗法は、分子分母を別々にかければよい。\n次の計算をせよ。\n(I)\n(II)\n(I)\n(II)\n等式 \n\n(\na\n+\nb\n)\n2\n\n=\na\n2\n\n+\n2\na\nb\n+\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle (a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}}\nは、文字\n\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\nにどのような値を代入しても成り立つ。このような等式を恒等式(こうとうしき)という。\n等式\n\n\n1\nx\n−\n1\n\n+\n\n1\nx\n+\n1\n\n=\n\n2\nx\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{x-1}}+{\\frac {1}{x+1}}={\\frac {2x}{x^{2}-1}}}\nは、両辺とも\n\nx\n=\n1\n,\n−\n1\n\n{\\displaystyle x=1,-1}\nを代入することはできないが、その他の値であれば代入することができ、またどのような値を代入しても等式が成り立っている。これも恒等式と呼ぶ。\nいっぽう、\n\n\nx\n2\n\n−\nx\n−\n2\n=\n0\n\n{\\displaystyle x^{2}-x-2=0}\n は、x=2 または x=ー1 を代入したときだけ成り立つが、このように文字に特定の値を代入したときにだけ成り立つ式のことを方程式と呼び、恒等式とは区別する。\n等式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n が \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての恒等式であるのはどのような場合か、考えてみよう。\nある式が「 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての恒等式である」とは、この式の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n にどのような値を代入しても、この等式は成り立つという意味である。なので、例えば \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n に\n\n−\n1\n \n,\n \n0\n \n,\n \n1\n\n{\\displaystyle -1\\ ,\\ 0\\ ,\\ 1}\n を代入した式\nはすべて成り立つ必要がある。これを解くと\nなので、等式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n が \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての恒等式になるならば、\n\na\n=\nb\n=\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle a=b=c=0}\nでなければならないことがわかる。\n一般に、等式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\na\n′\n\nx\n2\n\n+\nb\n′\nx\n+\nc\n′\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=a'x^{2}+b'x+c'}\n が恒等式であることと、\n\n(\na\n−\na\n′\n)\nx\n2\n\n+\n(\nb\n−\nb\n′\n)\nx\n+\n(\nc\n−\nc\n′\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle (a-a')x^{2}+(b-b')x+(c-c')=0}\n が恒等式であることと同じである。\nよって\nまとめると次のようになる。\nP\n \n,\n \nQ\n\n{\\displaystyle P\\ ,\\ Q}\n を \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての多項式または単項式とする。\n次の等式が \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての恒等式となるように、\n\na\n \n,\n \nb\n \n,\n \nc\n\n{\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c}\n の値を求めよ。\n等式の右辺を \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n について整理すると\nこの等式が \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n についての恒等式となるのは、両辺の同じ次数の項の係数が等しいときである。よって\nこれを解くと\nさきほど紹介した「恒等式」という言葉を使って「証明」の意味を説明するなら、「等式を証明する」とは、その式が恒等式であることを示すことである。\n一般に、等式 A=B を証明するためには、次のような手順のいずれかを実行すればよい。\n(\na\n+\nb\n)\n2\n\n−\n(\na\n−\nb\n)\n2\n\n=\n4\na\nb\n\n{\\displaystyle (a+b)^{2}-(a-b)^{2}=4ab}\n\nが成り立つことを証明せよ。\n(証明)\n左辺を展開すると、\nとなり、これは右辺に等しい。よって、等式 \n\n(\na\n+\nb\n)\n2\n\n−\n(\na\n−\nb\n)\n2\n\n=\n4\na\nb\n\n{\\displaystyle (a+b)^{2}-(a-b)^{2}=4ab}\n は証明された。(終)\n(\nx\n+\ny\n)\n2\n\n+\n(\nx\n−\ny\n)\n2\n\n=\n2\n(\nx\n2\n\n+\ny\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle (x+y)^{2}+(x-y)^{2}=2(x^{2}+y^{2})}\n\nが成り立つことを証明せよ。\n左辺を計算すると、\nこれは右辺に等しい。よって等式が成り立つことが証明された。(終)\n次の等式が成り立つことを証明せよ。\n(I)\n(I)\n(左辺)\n\n=\n(\n36\na\n2\n\n+\n84\na\nb\n+\n49\nb\n2\n\n)\n+\n(\n49\na\n2\n\n−\n84\na\nb\n+\n36\na\n2\n\n)\n=\n85\na\n2\n\n+\n85\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle =(36a^{2}+84ab+49b^{2})+(49a^{2}-84ab+36a^{2})=85a^{2}+85b^{2}}\n\n(右辺)\n\n=\n(\n81\na\n2\n\n+\n36\na\nb\n+\n4\nb\n2\n\n)\n+\n(\n4\na\n2\n\n−\n36\na\nb\n+\n81\nb\n2\n\n)\n=\n85\na\n2\n\n+\n85\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle =(81a^{2}+36ab+4b^{2})+(4a^{2}-36ab+81b^{2})=85a^{2}+85b^{2}}\n\n両辺とも同じ式になるから\n\n不等式のさまざまな公式については、次の4つの式を基本的な式として導出できる場合がよくある。\n高校数学では、次の4つの性質が 不等式の「基本性質」などとして紹介されている。\n(3)と(4)については、ひとつの性質として まとめている検定教科書もある(※ 啓林館など)。\n数学IAで習った「ならば」の意味の記号 \n\n⟹\n\n{\\displaystyle \\Longrightarrow }\n を使うと、\nとも書ける。\n上述の4つの基本性質から、\nを証明してみよう。\n(証明)\nまず a>0 なので、基本性質(2)より\nである。\nよって、\nなので、基本性質(1)より\n\na\n+\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a+b>0}\n\nが成り立つ。(終)\n同様にして、\nを証明できる。\nここまでに示したことから、不等式 \n\nA\n≧\nB\n\n{\\displaystyle A\\geqq B}\n を証明したい場合には、\nを証明すればよいことがわかった。こちらの方が証明しやすい場合がよくある。\n不等式を証明する際に根拠とする基本的な不等式として、次の性質がある。\n実数 a について、かならず\nが成り立つ。\nこの式で等号が成り立つ場合とは、 \n\na\n=\n0\n\n{\\displaystyle a=0}\n の場合だけである。\nこの定理(「実数を2乗すると、かならずゼロ以上である」)を、基本性質(3),(4)を使って証明してみよう。\n(証明)\naが正の場合と負の場合と0の場合の3通りに場合わけする。\n[aが正の場合] \nこのとき、基本性質(3)より、\nである。すなわち、\nである。\n[aが負の場合]\nこのとき、基本性質(4)より\n\n\n0\na\n<\na\na\n\n{\\displaystyle 0abとする。仮定より、a,b は正の数なので、\n\n(\na\n+\nb\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (a+b)>0}\n であり、別の仮定より、 a > b なので、\n\n(\na\n−\nb\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (a-b)>0}\n でもある。よって、\n\n\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n=\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n−\nb\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle a^{2}-b^{2}=(a+b)(a-b)>0}\n逆に、\n\n\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n>\n0\n\n{\\displaystyle a^{2}-b^{2}>0}\nのとき、\n\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n−\nb\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle (a+b)(a-b)>0}\nであり、\n\na\n>\n0\n,\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0,b>0}\nなので\n\na\n+\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a+b>0}\nである。よって、\n\na\n−\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a-b>0}\nなので、\n\na\n>\nb\n\n{\\displaystyle a>b}\nである。\nよって、\n\na\n>\nb\n⟺\n\na\n2\n\n>\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle a>b\\quad \\Longleftrightarrow \\quad a^{2}>b^{2}}\n である。\na≧bの場合も同様に証明できる。\n練習として、次の問題を問いてみよう。\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n, \n\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle b>0}\n のとき、次の不等式を証明せよ。\n(証明)\n不等式の両辺は正であるので、両辺の平方の差を考えればよい。両辺の平方の差は\nである。ここで、a,b はともに正の実数なので、\nであることを用いた。\nであるので、\nとなる。よって、\nである。(終)\n実数 a の絶対値 |a| について、\nであるから、次のことが成り立つ。\n|a|≧a , |a|≧ ーa , |a|2=a2 \nまた、2つの実数 a, b の絶対値 |ab| については、\nが成り立つので、これにさらに |ab|≧0 , |a||b|≧0 を組み合わせて、\n|ab| = |a| |b| \nが成り立つ。\n(例題)\n次の不等式を証明せよ。また、等号が成り立つのは どのような場合かを 調べよ。\n両辺の平方の差を考えると、\nこれがもし正なら、与えられた不等式 |a|+|b| ≧ |a+b| が正しい。\nここで、 |a| |b| ≧ ab であるので、\nである。\nしたがって、 |a|+|b| ≧ |a+b| である。\n等号が成り立つのは |a| |b| = ab の場合、すなわち ab ≧ 0 の場合である。(証明 おわり)\nなお\nの関係式のことを「三角不等式」という。\n2つの数\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n,\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\nに対し、\n\n\n\na\n+\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a+b}{2}}}\nを相加平均(そうかへいきん)と言い、\n\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {ab}}}\nを相乗平均(そうじょうへいきん)という。\n平均は、3つ以上のものにも定義される。3つ以上のn個のものの相加平均は \n\n\n\na\n1\n\n+\na\n2\n\n+\n⋯\n+\na\nn\n\nn\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a_{1}+a_{2}+\\cdots +a_{n}}{n}}}\n で定義される。\n\n本ページでは、2個の数の平均について考察する。\n相加平均と相乗平均について、次の関係式が成り立つ。\na\n≧\n0\n\n{\\displaystyle a\\geqq 0}\n ,\n\nb\n≧\n0\n\n{\\displaystyle b\\geqq 0}\nのとき、\n等号が成り立つのは、\n\na\n=\nb\n\n{\\displaystyle a=b}\nのときである。\n(証明)\na\n≧\n0\n,\nb\n≧\n0\n\n{\\displaystyle a\\geqq 0,b\\geqq 0}\nのとき\n(\n\na\n\n−\n\nb\n\n)\n\n2\n\n≧\n0\n\n{\\displaystyle \\left({\\sqrt {a}}-{\\sqrt {b}}\\right)^{2}\\geqq 0}\nであるから、\n\n\n\n(\n\na\n\n−\n\nb\n\n)\n\n2\n\n2\n\n≧\n0\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\left({\\sqrt {a}}-{\\sqrt {b}}\\right)^{2}}{2}}\\geqq 0}\n\nしたがって \n\n\n\na\n+\nb\n2\n\n≧\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a+b}{2}}\\geqq {\\sqrt {ab}}}\n\n等号が成り立つのは、\n\n\n(\n\na\n\n−\n\nb\n\n)\n\n2\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\left({\\sqrt {a}}-{\\sqrt {b}}\\right)^{2}=0}\n のとき、すなわち \n\na\n=\nb\n\n{\\displaystyle a=b}\n のときである。(証明 おわり)\n公式の利用では、上の式 \n\n\n\na\n+\nb\n2\n\n≧\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a+b}{2}}\\geqq {\\sqrt {ab}}}\n の両辺に2をかけた \n\na\n+\nb\n≧\n2\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle a+b\\geqq 2{\\sqrt {ab}}}\n の形の式を使う場合もある。\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n ,\n\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle b>0}\nのとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。\n(I)\n(II)\n(I)\n\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\nであるから、\n\n\n1\na\n\n>\n0\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{a}}>0}\n\nよって \n\na\n+\n\n1\na\n\n≧\n2\n\na\n×\n\n1\na\n\n\n=\n2\n\n{\\displaystyle a+{\\frac {1}{a}}\\geqq 2{\\sqrt {a\\times {\\frac {1}{a}}}}=2}\n\nしたがって\n(II)\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n,\n\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle b>0}\nであるから、\n\n\nb\na\n\n>\n0\n\n{\\displaystyle {\\frac {b}{a}}>0}\n,\n\n\na\nb\n\n>\n0\n\n{\\displaystyle {\\frac {a}{b}}>0}\n\nよって \n\n\nb\na\n\n+\n\na\nb\n\n+\n2\n≧\n2\n\n\nb\na\n\n×\n\na\nb\n\n\n+\n2\n=\n2\n+\n2\n=\n4\n\n{\\displaystyle {\\frac {b}{a}}+{\\frac {a}{b}}+2\\geqq 2{\\sqrt {{\\frac {b}{a}}\\times {\\frac {a}{b}}}}+2=2+2=4}\n\nしたがって\nもし読者が指数関数などを知っていれば、\nn個のものの相乗平均は、\nと書ける。\n数学的な「平均」には、相加平均と相乗平均のほかにも調和平均がある。\n調和平均は、電気回路の並列計算で使われる考え方である。\nn個のものの調和平均は、\nで定義される。\n一般に数学的には、調和平均、相乗平均、相加平均のあいだに次のような大小関係\nという関係が成り立つことが証明されている。\nすなわち、数式で書けば\nの関係式である。\n簡潔に書くと、\nとなる。\n2乗して負になる数、というものを考える。このような数は、中学で習った実数の中にはないことがわかる。なぜならば、正の数でも負の数でも2乗すると符号が打ち消して正の数になってしまうからである。そこで高校では、2乗して負になるという性質を持つ数の概念を新しく導入することにする。\nという方程式を考える。この方程式の解は実数にはない。そこで、この方程式の解となる数を新しく作り、その単位を文字 \n\ni\n\n{\\displaystyle i}\n であらわす。\nこの \n\ni\n\n{\\displaystyle i}\n のことを虚数単位(きょすうたんい)と呼ぶ。(虚数単位の記号 i 、英語のアルファベットのアイの小文字で、 imaginary unit に由来すると考えられている。)\n1\n+\ni\n\n{\\displaystyle 1+i}\n や \n\n2\n+\n5\ni\n\n{\\displaystyle 2+5i}\n のように、虚数単位\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\nと実数\n\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\nを用いて\nと表すことができる数を複素数(ふくそすう)という。このとき、aをこの複素数の実部(じつぶ)といい、bを虚部(きょぶ)という。\n例えば、\n\n1\n+\ni\n,\n2\n+\n5\ni\n,\n\n9\n2\n\n+\n\n7\n2\n\ni\n,\n4\ni\n,\n3\n\n{\\displaystyle 1+i,\\quad 2+5i,\\quad {\\frac {9}{2}}+{\\frac {7}{2}}i,\\quad 4i,\\quad 3}\n は、いずれも複素数である。\n複素数 a+bi は(ただし aとbは実数)、bが0の場合に、これを実数と見ることができる。\n言い方をかえると、複素数を基準に考えると、実数とは、 a+0i のような、虚部の係数がゼロになる複素数のことであるとも言える。\n4iのような、虚部が0以外で実部がゼロの複素数を純虚数(じゅんきょすう)と呼ぶ。純虚数は、2乗すると負になる数である。\n実数も虚部が0の複素数と考えられる。\n実数でない複素数のことを「虚数」(きょすう)という。\n2つの複素数 a+bi と c+di とが等しいとは、\nであることである。\nつまり、\nとくに、複素数a+bi が 0であるとは、a=0 かつ b=0 であることである。\n複素数\n\nz\n=\na\n+\nb\ni\n\n{\\displaystyle z=a+bi}\nに対して、虚部の符号を反転させた複素数\n\na\n−\nb\ni\n\n{\\displaystyle a-bi}\nのことを「共役(きょうやく)な複素数」または「複素数\n\nz\n\n{\\displaystyle z}\nの共役」のように呼び、 \n\n\n\nz\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\bar {z}}}\n であらわす。なお、「共役」は「共軛」の常用漢字による書き換えである。\n実数aと共役な複素数は、その実数 a 自身である。\n複素数 z=a+bi について\n\n複素数にも四則演算(加減乗除)が定義される。\n複素数の演算では、虚数単位\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\nを、通常の文字のように扱って計算する。一般に複素数\n\nz\n \n,\n \nw\n\n{\\displaystyle z\\ ,\\ w}\nが、\n\nz\n=\na\n+\nb\ni\n \n,\n \nw\n=\nc\n+\nd\ni\n\n{\\displaystyle z=a+bi\\ ,\\ w=c+di}\nで与えられるとき(ただし \n\na\n \n,\n \nb\n \n,\n \nc\n \n,\n \nd\n\n{\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c\\ ,\\ d}\nは実数とする)、\n\nというふうに複素数の加減乗除の計算法が定められている。\n乗法の定義は、一見すると難しそうにみえるが、実数の分配法則と同様に展開していき最後に i2にマイナス1を代入していっただけである。\n除法の定義は、分子と分母に、分母と共役な形の式を 掛け算 しただけである。\n乗法や除法の定義式を暗記する必要は無く、計算の際には、必要に応じて分配法則や共役などの、必要な式変形を行えばいい。\n例題\n2つの複素数\nについて、\n\na\n+\nb\n\n{\\displaystyle a+b}\n と \n\na\nb\n\n{\\displaystyle ab}\n と \n\n\na\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {a}{b}}}\n を、それぞれ計算せよ。\n解答\nである。\nを、さらに簡単にできないだろうか。実は、ちょっとしたテクニックを用いればより見やすい形にできる。\n分数は分母と分子に同じ数をかけてよかったので、分母と分子に分母の共役をかけてみる。すると、\nが得られる。この形のほうが元の式よりもずっと見やすい形である。\nこのような操作を分母の実数化ということもある。数学Iで学習した展開・因数分解公式 \n\n(\na\n+\nb\n)\n(\na\n−\nb\n)\n=\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle (a+b)(a-b)=a^{2}-b^{2}}\nの簡単な応用である。\n数の範囲を複素数にまで拡張すると、負の数の平方根も考えることができる。\n例として、 -5 の平方根について考えてみよう。\nであるから、 -5 の平方根は \n\n\n5\n\n \ni\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {5}}\\ i}\n と \n\n−\n\n5\n\n \ni\n\n{\\displaystyle -{\\sqrt {5}}\\ i}\n である。\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\nとするとき、負の数\n\n−\na\n\n{\\displaystyle -a}\nの平方根は、\n\n\na\n\n \ni\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {a}}\\ i}\nと\n\n−\n\na\n\n \ni\n\n{\\displaystyle -{\\sqrt {a}}\\ i}\nである。\n−\n5\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {-5}}}\nとは、\n\n\n5\n\n \ni\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {5}}\\ i}\n のこととする。\n\n−\n\n−\n5\n\n\n{\\displaystyle -{\\sqrt {-5}}}\nとは、\n\n−\n\n5\n\n \ni\n\n{\\displaystyle -{\\sqrt {5}}\\ i}\n のことである。\nとくに \n\n\n−\n1\n\n \n=\n \ni\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {-1}}\\ =\\ i}\n である。\nさて、-5 の平方根は、方程式\n\n\nx\n2\n\n=\n−\n5\n\n{\\displaystyle x^{2}=-5}\n の解でもある。\nこの方程式を移項することにより、-5 の平方根は、\nの解であるともいえる。\nさらに因数分解をすることにより、-5 の平方根は方程式\nの解でもあるともいえる。\n(I)   \n\n\n−\n2\n\n \n\n−\n6\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {-2}}\\ {\\sqrt {-6}}}\n を計算せよ。\n(I)\nこのように、まず、マイナスの数の平方根が出てきたら、まず虚数単位 i を用いた式に書き換える。\nそのあと、かけ算をしていく。\n(II)   \n\n\n\n2\n\n−\n3\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\sqrt {2}}{\\sqrt {-3}}}}\n を計算せよ。\n(III)   2次方程式 \n\n\nx\n2\n\n=\n−\n7\n\n{\\displaystyle x^{2}=-7}\n を解け。\n(II)\n(III)\n複素数の応用として、ここでは2次方程式の性質について述べる。任意の2次方程式は、解の公式によって解かれることを高等学校数学Iで述べた。しかし、解の公式に含まれる根号の中身が負の数の場合には実数解が存在しないことに注意する必要がある。2次方程式\nの解の公式は、\nである。\n判別式\n\nD\n\n{\\displaystyle D}\nは\nによって定義される。判別式は、解の公式の根号(ルート記号のこと)の中身に等しく、判別式の正負によって2次方程式が実数解を持つかどうかが決まる。\nD\n\n{\\displaystyle D}\nが負のときにはこの2次方程式は実数の範囲には解を持たない。\n判別式\n\nD\n\n{\\displaystyle D}\nが負の数であったとき、xの解は異なる2つの虚数になり、その2つの解は 共役 の関係になっている。\n複素数を用いて、2次方程式\n(1)\n(2)\n(3)\nを解け。\n解の公式を用いて解けばよい。(1)だけを計算すると、\nとなる。\n他も同じように扱うことが出来る。\n以降の解答は、\n(2)\n(3)\nとなる。\n方程式の解で、実数であるものを 実数解 という。\n方程式の解で、虚数であるものを 虚数解 という。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の解は \n\nx\n=\n\n−\nb\n±\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n\n2\na\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {-b\\pm {\\sqrt {b^{2}-4ac}}}{2a}}}\n である。\n2次方程式の解の種類は、解の公式の中の根号の中の式 \n\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle b^{2}-4ac}\n の符号を見れば判別することができる。\nこの式 \n\n\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle b^{2}-4ac}\n を、2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の判別式(はんべつしき)といい、記号 \n\nD\n\n{\\displaystyle D}\n で表す。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の判別式 \n\nD\n=\nb\n2\n\n−\n4\na\nc\n\n{\\displaystyle D=b^{2}-4ac}\n について\nまた、重解も実数解であるので、\nといえる。\n次の2次方程式の解を判別せよ。\n(I)\n(II)\n(III)\n(I)\nだから、異なる2つの実数解をもつ。\n(II)\nだから、異なる2つの虚数解をもつ。\n(III)\nだから、重解をもつ。\nまた、2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\n2\nb\n′\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+2b'x+c=0}\n のとき、\n\nD\n=\n4\n(\nb\n′\n2\n\n−\na\nc\n)\n\n{\\displaystyle D=4(b'^{2}-ac)}\nとなるので、\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\n2\nb\n′\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+2b'x+c=0}\n の判別式には\nをもちいてもよい。\nこれを用いて、前の問題\nの解を判別しよう。\na\n=\n4\n,\n\nb\n′\n=\n−\n10\n,\nc\n=\n25\n\n{\\displaystyle a=4\\,,\\,b'=-10\\,,\\,c=25}\n であるから\nだから、重解をもつ。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の2つの解を \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n とする。 この方程式は、\na\n(\nx\n−\nα\n)\n(\nx\n−\nβ\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle a(x-\\alpha)(x-\\beta)=0}\nと変形できる。\nこれを展開すると、\na\nx\n2\n\n−\na\n(\nα\n+\nβ\n)\nx\n+\na\nα\nβ\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}-a(\\alpha +\\beta)x+a\\alpha \\beta =0}\n係数を比較して、\nc\n=\na\nα\nβ\n,\nb\n=\n−\na\n(\nα\n+\nβ\n)\n\n{\\displaystyle c=a\\alpha \\beta ,b=-a(\\alpha +\\beta)}\nを得る。\nこれを変形すれば、\n\nα\n+\nβ\n=\n−\n\nb\na\n\n,\nα\nβ\n=\n\nc\na\n\n\n{\\displaystyle \\alpha +\\beta =-{\\frac {b}{a}},\\alpha \\beta ={\\frac {c}{a}}}\nとなる。\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の2つの解を \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n とすれば\n2次方程式 \n\n2\nx\n2\n\n+\n4\nx\n+\n3\n=\n0\n\n{\\displaystyle 2x^{2}+4x+3=0}\n の2つの解を \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n とするとき、\n\n\nα\n2\n\n+\nβ\n2\n\n\n{\\displaystyle \\alpha ^{2}+\\beta ^{2}}\n の値を求めよ。\n解と係数の関係より、\n\n\nα\n+\nβ\n=\n−\n\n4\n2\n\n=\n−\n2\n\n{\\displaystyle \\alpha +\\beta =-{\\frac {4}{2}}=-2}\n,\n\nα\nβ\n=\n\n3\n2\n\n\n{\\displaystyle \\alpha \\beta ={\\frac {3}{2}}}\n\n\n\nα\n2\n\n+\nβ\n2\n\n=\n(\nα\n+\nβ\n)\n2\n\n−\n2\nα\nβ\n=\n(\n−\n2\n)\n2\n\n−\n2\n×\n\n3\n2\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\alpha ^{2}+\\beta ^{2}=(\\alpha +\\beta)^{2}-2\\alpha \\beta =(-2)^{2}-2\\times {\\frac {3}{2}}=1}\n2つの数 \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n を解とする2次方程式は\nと表される。左辺を展開して整理すると次のようになる。\n2数 \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n を解とする2次方程式は\n次の2数を解とする2次方程式を作れ。\n(I)\n(II)\n(I)\n和 \n\n(\n3\n+\n\n5\n\n)\n+\n(\n3\n−\n\n5\n\n)\n=\n6\n\n{\\displaystyle (3+{\\sqrt {5}})+(3-{\\sqrt {5}})=6}\n\n積 \n\n(\n3\n+\n\n5\n\n)\n(\n3\n−\n\n5\n\n)\n=\n4\n\n{\\displaystyle (3+{\\sqrt {5}})(3-{\\sqrt {5}})=4}\n であるから\n(II)\n和 \n\n(\n2\n+\n3\ni\n)\n+\n(\n2\n−\n3\ni\n)\n=\n4\n\n{\\displaystyle (2+3i)+(2-3i)=4}\n\n積 \n\n(\n2\n+\n3\ni\n)\n(\n2\n−\n3\ni\n)\n=\n13\n\n{\\displaystyle (2+3i)(2-3i)=13}\n であるから\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の2つの解 \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n がわかると、2次式\nを因数分解することができる。\n解と係数の関係 \n\nα\n+\nβ\n=\n−\n\nb\na\n\n\n{\\displaystyle \\alpha +\\beta =-{\\frac {b}{a}}}\n,\n\nα\nβ\n=\n\nc\na\n\n\n{\\displaystyle \\alpha \\beta ={\\frac {c}{a}}}\n から、\n2次方程式 \n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{2}+bx+c=0}\n の2つの解を \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n ,\n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n とすると\n2次方程式は、複素数の範囲で考えるとつねに解をもつから、複素数まで使ってよいとすると、2次式は必ず1次式の積に因数分解することができる。\n複素数の範囲で考えて、次の2次式を因数分解せよ。\n(I)\n(II)\n(I)\n2次方程式 \n\n\nx\n2\n\n+\n4\nx\n−\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle x^{2}+4x-1=0}\n の解は\nよって\n(II)\n2次方程式 \n\n2\nx\n2\n\n−\n3\nx\n+\n2\n=\n0\n\n{\\displaystyle 2x^{2}-3x+2=0}\n の解は\nよって\n3次以上の整式による方程式を考える。\n一般に方程式を \n\nP\n(\nx\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle P(x)=0}\nととる。\nただし、\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nは、任意の次数の整式とする。\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nを1次式\n\nx\n−\na\n\n{\\displaystyle x-a}\nで割ったときの商を\n\nQ\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle Q(x)}\n、余りを\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nとすると、\nこの両辺の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nに\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nを代入すると、\nつまり、\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nを\n\nx\n−\na\n\n{\\displaystyle x-a}\nで割ったときの余りは\n\nP\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle P(a)}\nである。\n整式\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nを\n\nx\n−\na\n\n{\\displaystyle x-a}\nで割ったときの余りは、\n\nP\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle P(a)}\nに等しい。\n整式 \n\nP\n(\nx\n)\n=\nx\n3\n\n−\n2\nx\n+\n3\n\n{\\displaystyle P(x)=x^{3}-2x+3}\n を次の式で割った余りを求めよ。\n(I)\n(II)\n(III)\n(I) \n\nP\n(\n2\n)\n=\n2\n3\n\n−\n2\n×\n2\n+\n3\n=\n7\n\n{\\displaystyle P(2)=2^{3}-2\\times 2+3=7}\n\n(II) \n\nP\n(\n−\n1\n)\n=\n(\n−\n1\n)\n3\n\n−\n2\n×\n(\n−\n1\n)\n+\n3\n=\n4\n\n{\\displaystyle P(-1)=(-1)^{3}-2\\times (-1)+3=4}\n\n(III) \n\nP\n(\n\n1\n2\n\n)\n=\n\n(\n\n1\n2\n\n)\n\n3\n\n−\n2\n×\n(\n\n1\n2\n\n)\n+\n3\n=\n\n17\n8\n\n\n{\\displaystyle P\\left({\\frac {1}{2}}\\right)=\\left({\\frac {1}{2}}\\right)^{3}-2\\times \\left({\\frac {1}{2}}\\right)+3={\\frac {17}{8}}}\nある実数\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nに対して、\nが成り立ったとする。\nこのとき、整式\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\n は、 \n\n(\nx\n−\na\n)\n\n{\\displaystyle (x-a)}\n を因数に持つことが分る。\nこのことを因数定理(いんすうていり)と呼ぶ。\n整式\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nに対して、商\n\nQ\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle Q(x)}\n、割る式\n\n(\nx\n−\na\n)\n\n{\\displaystyle (x-a)}\nとする\n整式の除法を用いる。このとき、商\n\nQ\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle Q(x)}\n、\n(\n\nQ\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle Q(x)}\nは、\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nよりも1だけ次数が低い整式である。)\n余り\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n(\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\nは、実数。)とすると、\n整式\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\n は、\nと書ける。\nここで、 \n\nc\n=\n0\n\n{\\displaystyle c=0}\n でないと、 \n\nP\n(\na\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle P(a)=0}\n は満たされないが、\nこのとき、\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nは、\n\n(\nx\n−\na\n)\n\n{\\displaystyle (x-a)}\nによって割り切れる。\nよって、因数定理は成立する。\n整式\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle P(x)}\nについて\n因数定理を用いることで、より次数の高い整式を因数分解することが\n出来るようになる。例えば、3次の整式\nについて、\n\nx\n=\n1\n\n{\\displaystyle x=1}\nを代入すると、\nは0となる。よって、因数定理よりこの式は\nを因数として持つ。\nここで、実際整式の除法を使って計算すると、\nが得られる。\n因数定理を用いて\n(I)\n(II)\nを因数分解せよ。\n(I)\n因数分解の結果が(x+整数)の積の形なら、整数は6の因数でなければならない。そのため、\n\n±\n1\n,\n±\n2\n,\n±\n3\n,\n±\n6\n\n{\\displaystyle \\pm 1,\\pm 2,\\pm 3,\\pm 6}\nが候補となる。これらについては実際に代入して確かめるしかない。x=1を代入すると、\nとなるので、(x-1)が因数となる。実際に整式の除法を行なうと、商として\n\n\nx\n2\n\n−\n5\nx\n+\n6\n\n{\\displaystyle x^{2}-5x+6}\nが得られるが、これは\n\n(\nx\n−\n2\n)\n(\nx\n−\n3\n)\n\n{\\displaystyle (x-2)(x-3)}\nに因数分解できる。よって答えは、\nとなる。\n(II)\nここでも地道に24の因数を当てはめていくしかない。24の因数は数が多いのでかなりの計算が必要となる。ここでは、-2を代入すると、\nとなり、(x+2)が因数だとわかる。除法を行なうと、\n\n\nx\n2\n\n−\nx\n−\n12\n\n{\\displaystyle x^{2}-x-12}\nが得られるが、(x-4)(x+3)に因数分解できる。答えは、\nとなる。\n因数分解や因数定理を利用して高次方程式を解いてみよう。\n高次方程式\n(I)\n(II)\n(III)\nを解け。\n(I)\n左辺を\n\n\na\n3\n\n−\nb\n3\n\n=\n(\na\n−\nb\n)\n(\na\n2\n\n+\na\nb\n+\nb\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle a^{3}-b^{3}=(a-b)(a^{2}+ab+b^{2})}\nを用いて因数分解すると\nしたがって\n\n \nx\n−\n2\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\ x-2=0}\n または\n\n \nx\n2\n\n+\n2\nx\n+\n4\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\ x^{2}+2x+4=0}\n\nよって\n(II)  \n\n \nx\n2\n\n=\nX\n \n\n{\\displaystyle \\ x^{2}=X\\ }\nとおくと、\n左辺を因数分解すると\nよって \n\nX\n=\n4\n \n,\n \nX\n=\n−\n2\n\n{\\displaystyle X=4\\ ,\\ X=-2}\n\nゆえに \n\n\nx\n2\n\n=\n4\n \n,\n \nx\n2\n\n=\n−\n2\n\n{\\displaystyle x^{2}=4\\ ,\\ x^{2}=-2}\n\nしたがって\n(III)  \n\n \nP\n(\nx\n)\n=\nx\n3\n\n−\n5\nx\n2\n\n+\n7\nx\n−\n2\n \n\n{\\displaystyle \\ P(x)=x^{3}-5x^{2}+7x-2\\ }\nとおく。\nしたがって、\n\n \nx\n−\n2\n \n\n{\\displaystyle \\ x-2\\ }\nは\n\n \nP\n(\nx\n)\n \n\n{\\displaystyle \\ P(x)\\ }\nの因数である。\nよって \n\n(\nx\n−\n2\n)\n(\nx\n2\n\n−\n3\nx\n+\n1\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle (x-2)(x^{2}-3x+1)=0}\n\n\n\n \nx\n−\n2\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\ x-2=0}\n または\n\n \nx\n2\n\n−\n3\nx\n+\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\ x^{2}-3x+1=0}\n\nしたがって\n3次方程式 \n\na\nx\n3\n\n+\nb\nx\n2\n\n+\nc\nx\n+\nd\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0}\n の3つの解を 、\n\nα\n \n,\n \nβ\n \n,\n \nγ\n\n{\\displaystyle \\alpha \\ ,\\ \\beta \\ ,\\ \\gamma }\n とすると\nが成り立つ。\n右辺を展開すると\nよって\nゆえに\nしたがって、次のことが成り立つ。\n3次方程式 \n\na\nx\n3\n\n+\nb\nx\n2\n\n+\nc\nx\n+\nd\n=\n0\n\n{\\displaystyle ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0}\n の3つの解を 、\n\nα\n \n,\n \nβ\n \n,\n \nγ\n\n{\\displaystyle \\alpha \\ ,\\ \\beta \\ ,\\ \\gamma }\n とすると\nしばしば虚数は「現実には存在しない数」であると言われることがあり、歴史的にも虚数を扱った数学を考えるべきではないと考えられた時代は長かった。その時代の先進的な数学者の中には、虚数を有効に活用して研究を進める一方で、成果を発表する際には虚数を表に出さずに記述する努力をすることで、無用な抵抗を受けないように工夫した者もいたと言われるほどである。\nだが、よく考えてみれば、数が「現実に存在する」とはどういう意味なのだろうか。現実に鉛筆を使って紙に円を描くならば、円周の長さを「正確に円周率そのものにする」ことは不可能であるように思われるが、その割に円周率という実数は「存在する」と感じられるのはなぜだろうか。数直線が実数の「実在」を信じさせるならば、複素数は複素数平面(数学Cで習う)の上に存在するのだから、同じではないだろうか。\nこのように考えると、そもそも数とはすべてある意味で想像上の存在であり、それに対して「存在する」「存在しない」という問いを立てることがナンセンスであるように思われる。「存在しない」ように思われがちな虚数であるが、たとえば物理学の一分野である量子力学のシュレディンガー方程式に表れるなど、応用上のさまざまな場面においても、虚数を使って記述することが自然な対象は多いのだ。\n複素数どうしについて、その大小関係は定義しない。その理由は、どのように大小関係を定義しても、便利な性質を満たすことができないからである。具体的に言えば、既に述べた実数の大小関係についての「不等式の基本性質(1)(2)(3)(4)」にあたる式を成り立たせることができないのだ。\nたとえば、\n\na\n+\nb\ni\n<\na\n′\n+\nb\n′\ni\n\n{\\displaystyle a+bi5+iとなってしまう。これは基本性質(2)が成り立たないことを意味する。\nもちろんこれは適当に考えた定義がたまたま不適切だったというだけのことだが、実は、他にどのように定義してもこのような困難からは逃れられないことが知られている。それゆえに、複素数には大小関係を定義しないのである。\n今度は、複素数の平方根について考えてみよう。\n正の数\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nを考えたとき、\nでは、\n虚数単位\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\nの平方根を考えると、これはzについての方程式 \n\n\nz\n2\n\n=\ni\n\n{\\displaystyle z^{2}=i}\n の解 z の値であるから、これを解けばよい。どのような複素数zならこの式を満たすことができるだろうか。\nzを複素数とすると、\n\nz\n=\nx\n+\ny\ni\n\n{\\displaystyle z=x+yi}\n(x,yは実数)と表される。\n\n\n(\nx\n+\ny\ni\n)\n2\n\n=\ni\n⇔\nx\n2\n\n+\n2\nx\ny\ni\n−\ny\n2\n\n=\ni\n⇔\n(\nx\n2\n\n−\ny\n2\n\n)\n+\n(\n2\nx\ny\n−\n1\n)\ni\n=\n0\n\n{\\displaystyle (x+yi)^{2}=i\\Leftrightarrow x^{2}+2xyi-y^{2}=i\\Leftrightarrow (x^{2}-y^{2})+(2xy-1)i=0}\nx\n2\n\n−\ny\n2\n\n,\n2\nx\ny\n−\n1\n\n{\\displaystyle x^{2}-y^{2},2xy-1}\nは実数であるから、実部と虚部が共に0にならねばならないから、\n\n\n\n{\n\n\nx\n2\n\n−\ny\n2\n\n=\n0\n(\n⇔\nx\n=\n±\ny\n)\n\n\n2\nx\ny\n−\n1\n=\n0\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{cases}x^{2}-y^{2}=0(\\Leftrightarrow x=\\pm y)\\\\2xy-1=0\\end{cases}}}\nx\n=\ny\n\n{\\displaystyle x=y}\nのとき、\n\n2\nx\n2\n\n=\n1\n⇔\nx\n=\n±\n\n1\n2\n\n,\ny\n=\n±\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle 2x^{2}=1\\Leftrightarrow x=\\pm {\\frac {1}{\\sqrt {2}}},y=\\pm {\\frac {1}{\\sqrt {2}}}}\n (複号同順。x,yは共に実数であるから、条件を満たす。)\nx\n=\n−\ny\n\n{\\displaystyle x=-y}\nのとき、\n\n−\n2\ny\n2\n\n=\n1\n⇔\ny\n2\n\n=\n−\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle -2y^{2}=1\\Leftrightarrow y^{2}=-{\\frac {1}{2}}}\n ここで、これを満たす実数yは存在しないから不適。\nよって、\n\nz\n=\n±\n(\n\n1\n2\n\n+\n\n1\n2\n\ni\n)\n\n{\\displaystyle z=\\pm \\left({\\frac {1}{\\sqrt {2}}}+{\\frac {1}{\\sqrt {2}}}i\\right)}\n■\n実部がゼロを考慮して\n\nx\n=\n0\n\n{\\displaystyle x=0}\nか\n\nx\n=\n±\n\n3\n\ny\n\n{\\displaystyle x=\\pm {\\sqrt {3}}y}\nだが、虚部もゼロなので、xの値が前者のとき\n\ny\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle y=-1}\n、後者のとき\n\ny\n=\n1\n/\n2\n\n{\\displaystyle y=1/2}\nとなることがすぐにわかる。\n2次方程式には解の公式があり、日本の中学や高校でも習う。2次方程式の解の公式を用いれば、どんな係数の2次方程式であっても解を求められる。3次方程式と4次方程式にも、解の公式は存在し、係数がどんな係数であっても解を求められる。これらの解の公式は、代数方程式論で述べているように、係数に有限回の四則演算と根号をとる操作の組み合わせで表すことができる。\n5次方程式では、4次以下の方程式とは状況が異なる。一般の5次方程式の解は、2次方程式や4次方程式のように、係数に有限回の四則演算と根号をとる操作の組み合わせで表すことができないのである。ただし、「できない」ことの証明は容易ではない。このことを証明するには、ガロア理論を理解する必要がある(日本の大学の標準的なカリキュラムでは、理学部数学科の学生のみが大学3年生で学ぶのが一般的な程度の理論である)。\nなお、ここで言う「表すことができない」とは一般の方程式についてのことであり、特別な5次方程式の場合は簡単に解が求められる。たとえば、\n\n\nx\n5\n\n−\n32\n=\n0\n\n{\\displaystyle x^{5}-32=0}\n は解のひとつとして \n\nx\n=\n2\n\n{\\displaystyle x=2}\n をもつことはすぐわかる。この方程式は他の解についても三角関数を用いて簡単に表せることを高等学校数学C/複素数平面において学ぶ。\n「係数に有限回の四則演算と根号をとる操作の組み合わせ」に拘らなければ、一般の5次方程式の解を求める方法も存在するが、やや高度な数学を用いる必要がある。w:五次方程式に記述があるので興味のある読者は参照するとよい。\n高等学校で複素数が出てくる分野はこの分野と数学C「平面上の曲線と複素数平面」のみであり、複素数の基本計算や方程式を複素数範囲で解くこと、複素数の幾何学的意味について扱っている。しかし、大学数学においては、関数の定義域・値域を複素数範囲に広げて考える「複素関数論」というものを扱う。\n実数範囲での関数はx, yともに一次元の実数軸を持つため、入力値と出力値の成すグラフを考えるには二次元の座標平面で十分であった。しかし、複素数範囲での関数はx, yともに二次元の複素数平面を持つため、入力値と出力値の成すグラフを考えるには四次元の座標空間が必要であり、三次元空間に住む我々には描画することができない。そのため、複素関数論では関数のグラフを考えることは基本的にない。(ただし、出力された複素数の絶対値を考えることによって三次元グラフに落とし込むことは可能)\nでは何を考えるのかというと、複素関数の微分積分である。複素関数の微分に関連して「正則関数」という用語が出てくるが、複素関数論はこの正則関数というものの性質を調べる学問だと言って良い。\n複素関数論は物理学の特に波動に関する分野(音・電磁気など)において活躍している。「波動方程式」や「インピーダンス」という言葉は有名だろう。\nちなみに、複素数をさらに拡張した数として「w:四元数」というものがある。この四元数はベクトルや行列と深い関わりが存在しており、深掘ると面白いのだが、いささか冗長になるため割愛する。なお、四元数をさらに拡張した八元数や十六元数という数も研究されている。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6II/%E5%BC%8F%E3%81%A8%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%83%BB%E9%AB%98%E6%AC%A1%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F"} {"text": "ここでは直線と円などの性質を座標を用いて考察する。\n座標平面上の2点 \n\n\nA\n\n(\n\nx\n1\n\n \n,\n \ny\n1\n\n)\n \n,\n \nB\n\n(\n\nx\n2\n\n \n,\n \ny\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} \\left(x_{1}\\ ,\\ y_{1}\\right)\\ ,\\ \\mathrm {B} \\left(x_{2}\\ ,\\ y_{2}\\right)}\n 間の距離 \n\n\nA\n\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} \\mathrm {B} }\n を求めてみよう。直線 \n\n\nA\n\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} \\mathrm {B} }\n が座標軸に平行でないとき[1]、点 \n\n\nC\n\n(\n\nx\n2\n\n \n,\n \ny\n1\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {C} \\left(x_{2}\\ ,\\ y_{1}\\right)}\n をとると\n△\nA\n\nB\n\nC\n\n{\\displaystyle \\triangle \\mathrm {A} \\mathrm {B} \\mathrm {C} }\n は直角三角形であるから、三平方の定理より\nこの式は、直線 \n\n\nA\n\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} \\mathrm {B} }\n がx軸、y軸に平行なときにも成り立つ[2]。\n特に、原点 \n\n\nO\n\n{\\displaystyle \\mathrm {O} }\n と点 \n\n\nA\n\n(\n\nx\n1\n\n \n,\n \ny\n1\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} \\left(x_{1}\\ ,\\ y_{1}\\right)}\n 間の距離は\n点 \n\n\nA\n(\nx\n0\n\n,\ny\n0\n\n)\n,\nB\n(\nx\n1\n\n,\ny\n1\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (x_{0},y_{0}),\\mathrm {B} (x_{1},y_{1})}\n と実数 \n\nm\n,\nn\n>\n0\n\n{\\displaystyle m,n>0}\n に対して、線分 \n\n\nA\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} }\n 上の点 \n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n が存在して、\n\n\nA\nP\n:\nP\nB\n=\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AP} :\\mathrm {PB} =m:n}\n となるとき、点 \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n を \n\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ,\\mathrm {B} }\n を \n\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle m:n}\n に内分する点という。\nまた、線分 \n\n\nA\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} }\n 上でない点 \n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n が存在して、\n\n\nA\nP\n:\nP\nB\n=\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AP} :\\mathrm {PB} =m:n}\n となるとき、点 \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n を \n\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ,\\mathrm {B} }\n を \n\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle m:n}\n に外分する点という。\n数直線上の点 \n\n\nA\n(\na\n)\n,\nB\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (a),\\mathrm {B} (b)}\n を \n\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle m:n}\n に内分する点と外分する点を求める。\n内分点を \n\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x)}\n とする。\n\na\n<\nb\n\n{\\displaystyle a\nb\n\n{\\displaystyle a>b}\n のときも同様。\n次に外分点を求める。外分点を \n\n\nP\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x)}\n とする。\n\na\n<\nb\n\n{\\displaystyle a\nn\n\n{\\displaystyle m>n}\n のとき、\n\nx\n>\nb\n\n{\\displaystyle x>b}\n となるので、 \n\n\nA\nP\n=\nx\n−\na\n,\nB\nP\n=\nx\n−\nb\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AP} =x-a,\\mathrm {BP} =x-b}\n なので、\n\nm\n:\nn\n=\n(\nx\n−\na\n)\n:\n(\nx\n−\nb\n)\n\n{\\displaystyle m:n=(x-a):(x-b)}\n なので、\n\nx\n=\n\n−\nn\na\n+\nm\nb\n\nm\n−\nn\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {-na+mb}{m-n}}}\nこれは、\n\na\n>\nb\n\n{\\displaystyle a>b}\n または \n\nm\n<\nn\n\n{\\displaystyle m 0 のとき、xn = a の解は \n\nx\n=\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle x={\\sqrt[{n}]{a}}}\n であるから、\nまた\n例\n有理数を指数とする累乗を、次のように定義する。\nこれは、指数が有理数の場合にも、指数法則が成り立つように定義したのである。実際、次が成り立つ。\nたとえば、x1/3 は、3乗すると x1 = x に等しいので、x の3乗根 \n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt[{3}]{x}}}\nに等しい。\nまた、x0 については\nと考えることが出来る。よって、0以外の全ての実数x に対して、\nが成り立つ。\n指数法則1に、r = 3, s = -3 を代入すれば\nゆえに\n指数法則2に、r = 2/3, s = 3 を代入すれば\nとなるから、a2/3 は a2 の3乗根ということになる。つまり、\n指数法則1に、r = -2/3, s = 2/3 を代入すれば\nゆえに\nたとえば \n\n\n3\n\n2\n\n\n{\\displaystyle 3^{\\sqrt {2}}}\n の場合、 これは、 \n\n\n2\n\n=\n1.41421\n⋯\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {2}}=1.41421\\cdots }\n であるが、\nを考えると、その項は一定値 4.72880 ・・・ に近づくので、その値を \n\n\n3\n\n2\n\n\n{\\displaystyle 3^{\\sqrt {2}}}\n と定める。\nこのようにして、累乗の指数が無理数の場合にも定義を拡張することで、指数を実数にまで拡張できる。また、実数の場合も上述の指数法則が成り立つ。\n実数aを a>0 で a≠1 とするとき、\n\ny\n=\na\nx\n\n\n{\\displaystyle y=a^{x}}\n で表される関数のことを「 aを底(てい)とする指数関数」のようにいう。\nさて、指数関数の例として、たとえば、\nがあげられる。\n指数関数 \n\ny\n=\n2\nx\n\n\n{\\displaystyle y=2^{x}}\n のグラフを右に示す。指数関数はきわめて速く増加する関数であることが分かる。\n次に \n\ny\n=\n\n(\n\n1\n2\n\n)\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y=\\left({\\frac {1}{2}}\\right)^{x}}\n のグラフを書いてみよう。結果は、右のグラフの実線のようになる。\nさきほどのグラフと比較すると分かるように、y軸を対称軸として、\n\ny\n=\n\n(\n\n1\n2\n\n)\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y=\\left({\\frac {1}{2}}\\right)^{x}}\n のグラフと \n\ny\n=\n2\nx\n\n\n{\\displaystyle y=2^{x}}\n のグラフは対称になっている。\n一般に、\n\ny\n=\n\n(\n\n1\na\n\n)\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y=\\left({\\frac {1}{a}}\\right)^{x}}\n のグラフは、y軸に関して \n\ny\n=\na\nx\n\n\n{\\displaystyle y=a^{x}}\n のグラフと対称である。\nまた、\nいっぽう、\nなお、グラフの傾きをみれば分かるように、指数関数のグラフは、一次関数や二次関数のグラフと比べると、急激に増加または急激に減少していく。\n指数法則を用いて指数関数を簡単化せよ。\n(i)  \n\n\n2\nx\n\n⋅\n3\nx\n\n\n{\\displaystyle 2^{x}\\cdot 3^{x}}\n(ii)  \n\n(\n1\n/\n3\n)\nx\n\n\n{\\displaystyle (1/3)^{x}}\n解答\n指数関数の値域は正の実数全体である。\nまた、どんな正の実数も、0乗すると1になるので、よって指数関数 \n\ny\n=\na\nx\n\n\n{\\displaystyle y=a^{x}}\n のグラフは必ず点 (0,1) を通る。\na>0, a≠1 のとき、前章で習った指数関数のグラフの形からも分かるように、\n任意の正の実数Mに対して、 \n\n\na\np\n\n=\nM\n\n{\\displaystyle a^{p}=M}\nをみたす p はただ1つに定まる。\nこの p を \n\n\nlog\na\n\n⁡\nM\n\n{\\displaystyle \\log _{a}M}\n と書き\nという。 すなわち、\nである。\nなお、対数は英語で logarithm (ロガリスム)という。\nである。この場合、2 を log2 8 = 3 乗すると、8が得られるという関係になっている。\nlog\na\n\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\log _{a}x}\n について 以下の式が成り立つ。\n対数関数を、実数xに対し\nを対応させる関数として定義する。\nこの関数の定義域(ていぎいき)は、x > 0 に限られる。これは、仮に\nとすると、\nとなるが、 a が正の数であることからlがどのような値であろうと左辺は常に正であるから、xも正でなければならないからである。\nグラフの概形を右に示す。図を見ると、この関数は非常にゆっくりと増大する関数であることが分かる。\n更に、グラフの特徴として、\nから、対数関数のグラフは、点 (1, 0) および 点 (a , 1) の2点を必ず通過することが分かる。\n右図のように、対数関数のグラフは、対応する指数関数のグラフと y=x に関して対称である。\n一般に \n\ny\n=\nlog\na\n\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle y=\\log _{a}x}\n のグラフは \n\ny\n=\na\nx\n\n\n{\\displaystyle y=a^{x}}\n のグラフと直線 y=x に関して対称である。\n指数法則と対数の定義とを組み合わせることにより、次の公式が導かれる。\n(1. の証明)\nlog\na\n\n⁡\nM\n=\np\n\n{\\displaystyle \\log _{a}M=p}\n , \n\n\nlog\na\n\n⁡\nN\n=\nq\n\n{\\displaystyle \\log _{a}N=q}\n  とおくと、 \n\nM\n=\na\np\n\n\n{\\displaystyle M=a^{p}}\n , \n\nN\n=\na\nq\n\n\n{\\displaystyle N=a^{q}}\n  であるから\nよって   \n\n\nlog\na\n\n⁡\nM\nN\n=\np\n+\nq\n=\nlog\na\n\n⁡\nM\n+\nlog\na\n\n⁡\nN\n\n{\\displaystyle \\log _{a}MN=p+q=\\log _{a}M+\\log _{a}N}\n(2. 以降の証明)\n※ (1.)の証明法と同様に右辺を指数に置きかえて計算したあとに再び対数に変形することで証明できる。(証明は省略)\n上記の公式の特別な場合として、次の公式が成り立つ。\n次の公式が成り立つ。\n10を底とする対数を常用対数(じょうよう たいすう)という。1.00から9.99までの値に対する常用対数の値は常用対数表に示してある。また、近年ではコンピュータや関数電卓を用いて、対応する対数の値を知ることもできる。ただし、これらの値は計算上の制約を受けるため、盲目的にその値が正しいと考えてはならない。コンピュータ内の計算については、高等学校情報などを参照。\n235の桁数を常用対数を使って考えよう。\nが成り立つ。各辺の常用対数をとると\nすなわち\n逆に、235が \n\n2\n<\nlog\n10\n\n⁡\n235\n<\n3\n\n{\\displaystyle 2<\\log _{10}235<3}\n を満たすならば、上の計算を逆にたどって\nよって、235は3桁の整数である。桁数が不明な大きな数に対して同様に常用対数をとることによって、おおよその大きさを知ることができる。\n1 \n\n\nlog\n10\n\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\log _{10}x}\nが実数とする。\n上の式を満たすxが無限にあることを示せ\n2 \n\nx\n≦\na\n≦\nb\n\n{\\displaystyle x\\leqq a\\leqq b}\n\nとする。このとき\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nを実数全体の集合とする。\n\na\n,\nb\n,\nx\n∈\nR\n\n{\\displaystyle a,b,x\\in R}\nのとき\n\n\nlog\nx\n\n⁡\na\n=\nb\n\n{\\displaystyle \\log _{x}a=b}\nを満たすa,b,xが少なくとも1つはあることを示せ。\n3 \n\n\nlog\na\n\n⁡\n1\n+\nx\n\n{\\displaystyle \\log _{a}{1+x}}\nのグラフを書け。\nlog\n10\n\n⁡\nx\n=\nq\n\n{\\displaystyle \\log _{10}x=q}\nと置く。\n対数関数の定義より、\n\n\n10\nq\n\n=\nx\n\n{\\displaystyle 10^{q}=x}\nと書けるつまりxは\nx=100,10000,1000000•••のようになる。\n(qが自然数であるとき)\nつまりxを無限に近づけることで命題は示された。\nたとえば、星の等級(一等星や六等星など)は、指数で明るさの等級が決められており、\n等級が1下がるごとに明るさが\n倍となるように定められている。これは、等級とは明るさの対数だということである。\n地震のエネルギーを表すマグニチュードも、指数をつかった関係式で地震のエネルギーをEとし、地震のマグニュチュードをMとすると、\nとなるようにマグニチュードが定められている。\nつまり、マグニチュードはエネルギーの対数ということである。\nこのほか、音の大きさ(音圧レベル)をあらわすデシベルや、化学における水素イオン指数 pH も、対数で定義される。\nまた、放射性年代測定も、残存している放射性同位体の量の対数を考えることにより可能になる。\n一般に、非常に大きくなる量、または非常に小さくなる量をあらわすのに、対数を用いることが便利なのである。上記に紹介した、星の等級、地震のマグニチュード、音の大きさ、酸性度は、すべて、対数を使わないそのままでは桁が大きくなり扱いにくくなので、利便性のために対数を用いているということである。\n対数方眼紙というのがあり、右図のようになっている。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6II/%E6%8C%87%E6%95%B0%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%83%BB%E5%AF%BE%E6%95%B0%E9%96%A2%E6%95%B0"} {"text": "ここでは三角関数の定義をしたあと、三角関数の基本的な性質、加法定理、三角関数の応用について学ぶ。三角関数は波やベクトルの内積、フーリエ変換などさまざまな分野で応用されている。\n右図のように、定点Oを中心として回転する半直線 OP を考える。このときの回転する半直線 OP のことを動径という。\n半直線 OX を角度の基準とする。この基準となる半直線 OX のことを始線という。\n動径が時計回りに回転した場合、回転した角度は負であるとし、動径が反時計回りをした場合、回転した角度は正であるとする。\n負の角度や360°以上回転する角度も考えに入れた角のことを一般角という。\nいままでは角度の単位として一周を 360° とする度数法を使ってきたことだろう。ここで、弧度法による角度の表し方を学ぶ。\n半径1 の扇形において弧の長さが 1 のときの中心角を 1 rad、同様に弧の長さがθのときの中心角をθ radと定義する。この定義より 180° =π rad、360° = 2π rad 、さらに\nとなる。また弧度法の単位(rad)はしばしば省略される。\n弧度法を用いると、三角関数の微積分を考える際に便利である。(このことは数学IIIで学ぶ)\n扇形の半径をr 、弧度法で定義された角度をθとするとき、弧の長さl と面積S は\nと表せる。\n一般角が \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n の半直線と単位円が交わる円を \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n とする。このときの \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n の座標を\n\n(\ncos\n⁡\nθ\n,\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos \\theta ,\\sin \\theta)}\n とすることで、関数 \n\nsin\n,\ncos\n\n{\\displaystyle \\sin ,\\cos }\n を定める。また、\n\ntan\n⁡\nθ\n=\n\nsin\n⁡\nθ\n\ncos\n⁡\nθ\n\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta ={\\frac {\\sin \\theta }{\\cos \\theta }}}\n とすることで関数 \n\ntan\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta }\n を定める。\n\ntan\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta }\n は一般角が \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n の動径の傾きに等しい。\nまた、三角関数の累乗は \n\n(\nsin\n⁡\nθ\n)\nn\n\n=\nsin\nn\n\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle (\\sin \\theta)^{n}=\\sin ^{n}\\theta }\n と表記される。\ncos θ のグラフは sin θ のグラフを θ軸方向に \n\n−\n\nπ\n2\n\n\n{\\displaystyle -{\\frac {\\pi }{2}}}\nだけ平行移動したものである。\ny\n=\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle y=\\sin \\theta }\n や \n\ny\n=\ncos\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle y=\\cos \\theta }\n の形をした曲線のことを 正弦曲線 (せいげんきょくせん)という。\n関数 \n\nsin\n,\ncos\n\n{\\displaystyle \\sin ,\\cos }\n の値域はどちらも、\n\n[\n−\n1\n,\n1\n]\n\n{\\displaystyle [-1,1]}\n である。\n右図のように 、角 θ の動径と単位円との交点をPとして、\n直線OPと 直線x=1 との交点を T とすると、\nTの座標は\nになる。\nこのことを利用して、 y=tan θ のグラフをかくことができる。\ny=tan θ のグラフは、下図のようになる。\ny=tan θ のグラフでは、θの値が \n\n\nπ\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\pi }{2}}}\n に近づいていくと、\n直線 \n\nθ\n=\n\nπ\n2\n\n\n{\\displaystyle \\theta ={\\frac {\\pi }{2}}}\n に限りなく近づいていく。\nこのように、曲線がある直線に限り無く近づいていくとき、近づかれる直線のほうを 漸近線 (ぜんきんせん)という。\n同様に考え、次の直線も y=tanθ の漸近線である。\nは y=tanθ の漸近線である。\n一般に、 \nはy=tanθのグラフの漸近線である。[1]\n一般角が \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n の動径は一回転しても等しいので、一般角が \n\nθ\n+\n2\nπ\n\n{\\displaystyle \\theta +2\\pi }\n の動径と等しい。これより三角関数の周期性\nsin\n⁡\n(\nθ\n+\n2\nπ\nn\n)\n\n=\nsin\n⁡\nθ\n\n\ncos\n⁡\n(\nθ\n+\n2\nπ\nn\n)\n\n=\ncos\n⁡\nθ\n\n\ntan\n⁡\n(\nθ\n+\n2\nπ\nn\n)\n\n=\ntan\n⁡\nθ\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sin(\\theta +2\\pi n)&=\\sin \\theta \\\\\\cos(\\theta +2\\pi n)&=\\cos \\theta \\\\\\tan(\\theta +2\\pi n)&=\\tan \\theta \\end{aligned}}}\nを得る。\n点 \n\n(\ncos\n⁡\nθ\n,\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos \\theta ,\\sin \\theta)}\n を \n\nπ\n\n{\\displaystyle \\pi }\n 回転した点 \n\n(\ncos\n⁡\n(\nθ\n+\nπ\n)\n,\nsin\n⁡\n(\nθ\n+\nπ\n)\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos(\\theta +\\pi),\\sin(\\theta +\\pi))}\n は原点を中心に点対称移動した点 \n\n(\n−\ncos\n⁡\nθ\n,\n−\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (-\\cos \\theta ,-\\sin \\theta)}\n であることから\nsin\n⁡\n(\nθ\n+\nπ\n)\n\n=\n−\nsin\n⁡\nθ\n\n\ncos\n⁡\n(\nθ\n+\nπ\n)\n\n=\n−\ncos\n⁡\nθ\n\n\ntan\n⁡\n(\nθ\n+\nπ\n)\n\n=\ntan\n⁡\nθ\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sin(\\theta +\\pi)&=-\\sin \\theta \\\\\\cos(\\theta +\\pi)&=-\\cos \\theta \\\\\\tan(\\theta +\\pi)&=\\tan \\theta \\end{aligned}}}\nを得る。\n点 \n\n(\ncos\n⁡\nθ\n,\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos \\theta ,\\sin \\theta)}\n を \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸で線対称移動移動した点が \n\n(\ncos\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n,\nsin\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n)\n=\n(\ncos\n⁡\nθ\n,\n−\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos(-\\theta),\\sin(-\\theta))=(\\cos \\theta ,-\\sin \\theta)}\n であることから\nsin\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n\n=\n−\nsin\n⁡\nθ\n\n\ncos\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n\n=\ncos\n⁡\nθ\n\n\ntan\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n\n=\n−\ntan\n⁡\nθ\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sin(-\\theta)&=-\\sin \\theta \\\\\\cos(-\\theta)&=\\cos \\theta \\\\\\tan(-\\theta)&=-\\tan \\theta \\end{aligned}}}\nを得る。\n単位円周上の点 \n\n(\ncos\n⁡\nθ\n,\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (\\cos \\theta ,\\sin \\theta)}\n から原点までの距離は 1 なので、 \n\n\nsin\n2\n\n⁡\nθ\n+\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\sin ^{2}\\theta +\\cos ^{2}\\theta =1}\n が成り立つ。\nまた、この式に、 \n\ntan\n⁡\nθ\n=\n\nsin\n⁡\nθ\n\ncos\n⁡\nθ\n\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta ={\\frac {\\sin \\theta }{\\cos \\theta }}}\n つまり、 \n\nsin\n⁡\nθ\n=\ntan\n⁡\nθ\ncos\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\sin \\theta =\\tan \\theta \\cos \\theta }\n を代入すれば、\n\n1\n+\ntan\n2\n\n⁡\nθ\n=\n\n1\n\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n\n\n{\\displaystyle 1+\\tan ^{2}\\theta ={\\frac {1}{\\cos ^{2}\\theta }}}\n が成り立つことがわかる。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n に対して、0 でない実数 \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n が存在して、\n\nf\n(\nx\n+\np\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x+p)=f(x)}\n となるとき関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は周期関数という。実数 \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n が上の性質を満たすとき、\n\n−\np\n,\n2\np\n\n{\\displaystyle -p,2p}\n など、実数 \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n を0を除く整数倍した数も上の性質を満たす。そこで、周期関数を特徴づける量として、上の性質を満たす実数 \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n の内、正でかつ最小のものを選び、これを周期と呼ぶ。\nsin\n⁡\nx\n,\ncos\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\sin x,\\cos x}\n は周期を \n\n2\nπ\n\n{\\displaystyle 2\\pi }\n とする周期関数であり、\n\ntan\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\tan x}\n は周期を \n\nπ\n\n{\\displaystyle \\pi }\n とする周期関数である。\n演習問題\nk\n\n{\\displaystyle k}\n を0でない実数とする。関数 \n\nsin\n⁡\nk\nx\n\n{\\displaystyle \\sin kx}\n の周期を言え\n解答\nsin\n⁡\nk\n(\nx\n+\n\n2\nπ\nk\n\n)\n=\nsin\n⁡\nk\nx\n\n{\\displaystyle \\sin k\\left(x+{\\frac {2\\pi }{k}}\\right)=\\sin kx}\n なので答えは \n\n\n\n2\nπ\nk\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {2\\pi }{k}}}\n 。これは正であり、周期の最小性の条件を満たしている。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が \n\nf\n(\n−\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(-x)=f(x)}\n を満たすとき、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は偶関数という。偶関数は \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n 軸に関して対称なグラフになる。\nまた、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が \n\nf\n(\n−\nx\n)\n=\n−\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(-x)=-f(x)}\n を満たすとき、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は奇関数という。偶関数は原点に関して対象なグラフになる。\n関数 \n\ncos\n⁡\nθ\n,\nx\n2\nn\n\n\n{\\displaystyle \\cos \\theta ,x^{2n}}\n (\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n は整数)は偶関数となる。\n関数 \n\nsin\n⁡\nx\n,\nx\n2\nn\n+\n1\n\n\n{\\displaystyle \\sin x,x^{2n+1}}\n (\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n は整数)は奇関数となる。\ntan\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta }\n は偶関数かそれとも奇関数か調べよ。\n解答\nなので、 \n\ntan\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\tan \\theta }\n は奇関数である。[2]\n関数 \n\ny\n=\nsin\n⁡\n(\nθ\n−\n\nπ\n3\n\n)\n\n{\\displaystyle y=\\sin \\left(\\theta -{\\frac {\\pi }{3}}\\right)}\n のグラフは、\n\ny\n=\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle y=\\sin \\theta }\nのグラフを θ軸方向に \n\n\nπ\n3\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\pi }{3}}}\n だけ平行移動させたものになり、周期は \n\n2\nπ\n\n{\\displaystyle 2\\pi }\n である。(平行移動しても、周期は変わらず、sinθと同じく周期は \n\n2\nπ\n\n{\\displaystyle 2\\pi }\n のままである。)\n関数 y=2sin θ のグラフの形は y=sin θ をy軸方向に2倍に拡大したもので、周期は y=sin θ と同じく 2π である。\nー1 ≦ sin θ ≦ 1  なので、\n値域は  ー2 ≦ 2sin θ ≦ 2  である。\n関数 y=sin2θ のグラフはy軸を基準にθ軸方向に \n\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}}\n 倍に縮小したものになっている。 \nしたがって、周期も \n\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}}\n 倍になっており、y=sinθ の周期は \n\n2\nπ\n\n{\\displaystyle 2\\pi }\n だから、y=sin2θ の周期は \n\nπ\n\n{\\displaystyle \\pi }\n である。\n三角関数の加法定理\nが成り立つ。\n証明\n任意の実数 \n\nα\n,\nβ\n\n{\\displaystyle \\alpha ,\\beta }\n に対し、単位円周上の点 \n\n\nA\n(\ncos\n⁡\nα\n,\nsin\n⁡\nα\n)\n,\nB\n(\ncos\n⁡\nβ\n,\nsin\n⁡\nβ\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (\\cos \\alpha ,\\sin \\alpha),\\mathrm {B} (\\cos \\beta ,\\sin \\beta)}\n をとる。このとき、 線分 \n\n\nA\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} }\n の長さの2乗 \n\n\nA\nB\n\n2\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} ^{2}}\n は余弦定理を使うことにより \nA\nB\n\n2\n\n=\n2\n−\n2\ncos\n⁡\n(\nα\n−\nβ\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} ^{2}=2-2\\cos(\\alpha -\\beta)}\nである。次に三平方の定理を使って\nA\nB\n\n2\n\n=\n(\ncos\n⁡\nα\n−\ncos\n⁡\nα\n)\n2\n\n+\n(\nsin\n⁡\nα\n−\nsin\n⁡\nβ\n)\n2\n\n=\n2\n−\n2\n(\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n+\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} ^{2}=(\\cos \\alpha -\\cos \\alpha)^{2}+(\\sin \\alpha -\\sin \\beta)^{2}=2-2(\\cos \\alpha \\cos \\beta +\\sin \\alpha \\sin \\beta)}\nこれを整理して \ncos\n⁡\n(\nα\n−\nβ\n)\n=\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n+\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n{\\displaystyle \\cos(\\alpha -\\beta)=\\cos \\alpha \\cos \\beta +\\sin \\alpha \\sin \\beta }\nを得る。\ncos\n⁡\n(\nα\n+\nβ\n)\n=\ncos\n⁡\n(\nα\n−\n(\n−\nβ\n)\n)\n=\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\n(\n−\nβ\n)\n+\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\n(\n−\nβ\n)\n=\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n−\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n{\\displaystyle \\cos(\\alpha +\\beta)=\\cos(\\alpha -(-\\beta))=\\cos \\alpha \\cos(-\\beta)+\\sin \\alpha \\sin(-\\beta)=\\cos \\alpha \\cos \\beta -\\sin \\alpha \\sin \\beta }\nである。\n以上をまとめて\ncos\n⁡\n(\nα\n±\nβ\n)\n=\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n∓\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n{\\displaystyle \\cos(\\alpha \\pm \\beta)=\\cos \\alpha \\cos \\beta \\mp \\sin \\alpha \\sin \\beta }\nを得る。\nここで、\nsin\n⁡\n(\nα\n±\nβ\n)\n=\n−\ncos\n⁡\n(\nα\n+\n\nπ\n2\n\n±\nβ\n)\n=\n−\n{\ncos\n⁡\n(\nα\n+\n\nπ\n2\n\n)\ncos\n⁡\n(\nβ\n)\n∓\nsin\n⁡\n(\nα\n+\n\nπ\n2\n\n)\nsin\n⁡\nβ\n}\n=\nsin\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n±\ncos\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n{\\displaystyle \\sin(\\alpha \\pm \\beta)=-\\cos(\\alpha +{\\frac {\\pi }{2}}\\pm \\beta)=-\\{\\cos(\\alpha +{\\frac {\\pi }{2}})\\cos(\\beta)\\mp \\sin(\\alpha +{\\frac {\\pi }{2}})\\sin \\beta \\}=\\sin \\alpha \\cos \\beta \\pm \\cos \\alpha \\sin \\beta }\n[3]\nさらに、\n\ntan\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\tan x}\n についても\ntan\n⁡\n(\nα\n±\nβ\n)\n\n=\n\nsin\n⁡\n(\nα\n±\nβ\n)\n\ncos\n⁡\n(\nα\n±\nβ\n)\n\n\n\n\n=\n\nsin\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n±\ncos\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n∓\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n\n\n\n=\n\n\n\n\n\n\n\n\nsin\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n±\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n\n\n\n\n\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n∓\n\n\n\n\nsin\n⁡\nα\nsin\n⁡\nβ\n\n\n\n\ncos\n⁡\nα\ncos\n⁡\nβ\n\n\n\n\n\n\n\n\n=\n\ntan\n⁡\nα\n±\ntan\n⁡\nβ\n\n1\n∓\ntan\n⁡\nα\ntan\n⁡\nβ\n\n\n\n\n{\\textstyle {\\begin{aligned}\\tan(\\alpha \\pm \\beta)&={\\frac {\\sin(\\alpha \\pm \\beta)}{\\cos(\\alpha \\pm \\beta)}}\\\\&={\\frac {\\sin \\alpha \\cos \\beta \\pm \\cos \\alpha \\sin \\beta }{\\cos \\alpha \\cos \\beta \\mp \\sin \\alpha \\sin \\beta }}\\\\&={\\cfrac {{\\cfrac {\\sin \\alpha \\cos \\beta }{\\cos \\alpha \\cos \\beta }}\\pm {\\cfrac {\\cos \\alpha \\sin \\beta }{\\cos \\alpha \\cos \\beta }}}{{\\cfrac {\\cos \\alpha \\cos \\beta }{\\cos \\alpha \\cos \\beta }}\\mp {\\cfrac {\\sin \\alpha \\sin \\beta }{\\cos \\alpha \\cos \\beta }}}}\\\\&={\\frac {\\tan \\alpha \\pm \\tan \\beta }{1\\mp \\tan \\alpha \\tan \\beta }}\\end{aligned}}}\nが成り立つ。\n加法定理を用いて以下が証明できる。\nsin\n⁡\n2\nα\n=\nsin\n⁡\n(\nα\n+\nα\n)\n=\n2\nsin\n⁡\nα\ncos\n⁡\nα\n\n{\\displaystyle \\sin 2\\alpha =\\sin(\\alpha +\\alpha)=2\\sin \\alpha \\cos \\alpha }\ncos\n⁡\n2\nα\n=\ncos\n⁡\n(\nα\n+\nα\n)\n=\ncos\n2\n\n⁡\nα\n−\nsin\n2\n\n⁡\nα\n=\n2\ncos\n2\n\n⁡\nα\n−\n1\n=\n1\n−\n2\nsin\n2\n\n⁡\nα\n\n{\\displaystyle \\cos 2\\alpha =\\cos(\\alpha +\\alpha)=\\cos ^{2}\\alpha -\\sin ^{2}\\alpha =2\\cos ^{2}\\alpha -1=1-2\\sin ^{2}\\alpha }\ntan\n⁡\n2\nα\n=\n\n2\ntan\n⁡\nα\n\n1\n−\ntan\n2\n\n⁡\nα\n\n\n{\\displaystyle \\tan 2\\alpha ={\\frac {2\\tan \\alpha }{1-\\tan ^{2}\\alpha }}}\n次に、 \n\ncos\n\n{\\displaystyle \\cos }\n の倍角の公式を変形すると\nsin\n2\n\n⁡\nα\n=\n\n1\n−\ncos\n⁡\n2\nα\n2\n\n\n{\\displaystyle \\sin ^{2}\\alpha ={\\frac {1-\\cos 2\\alpha }{2}}}\ncos\n2\n\n⁡\nα\n=\n\n1\n+\ncos\n⁡\n2\nα\n2\n\n\n{\\displaystyle \\cos ^{2}\\alpha ={\\frac {1+\\cos 2\\alpha }{2}}}\nである。\n演習問題\n解答\nsin\n⁡\n15\n∘\n\n=\nsin\n⁡\n(\n45\n∘\n\n−\n30\n∘\n\n)\n=\n\n\n6\n\n−\n\n2\n\n4\n\n\n{\\displaystyle \\sin 15^{\\circ }=\\sin(45^{\\circ }-30^{\\circ })={\\frac {{\\sqrt {6}}-{\\sqrt {2}}}{4}}}\ncos\n⁡\n15\n∘\n\n=\ncos\n⁡\n(\n45\n∘\n\n−\n30\n∘\n\n)\n=\n\n\n6\n\n+\n\n2\n\n4\n\n\n{\\displaystyle \\cos 15^{\\circ }=\\cos(45^{\\circ }-30^{\\circ })={\\frac {{\\sqrt {6}}+{\\sqrt {2}}}{4}}}\ntan\n2\n\n⁡\nα\n=\n\n\nsin\n2\n\n⁡\nα\n\ncos\n2\n\n⁡\nα\n\n=\n\n1\n−\ncos\n⁡\n2\nα\n\n1\n+\ncos\n⁡\n2\nα\n\n\n{\\displaystyle \\tan ^{2}\\alpha ={\\frac {\\sin ^{2}\\alpha }{\\cos ^{2}\\alpha }}={\\frac {1-\\cos 2\\alpha }{1+\\cos 2\\alpha }}}\n今までの定理をまとめると、次のようになる。\n覚え方\n加法定理は「咲いたコスモスコスモス咲いた」、「コスモスコスモス咲いた咲いた」という語呂合せがあります。\ncos\n\n{\\displaystyle \\cos }\n の倍角の公式 \n\ncos\n⁡\n2\nθ\n=\n2\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n−\n1\n=\n1\n−\n2\nsin\n2\n\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\cos 2\\theta =2\\cos ^{2}\\theta -1=1-2\\sin ^{2}\\theta }\n は \n\n±\n1\n∓\n2\n\na\na\na\n\n2\n\nθ\n\n{\\displaystyle \\pm 1\\mp 2\\mathrm {aaa} ^{2}\\theta }\n という形を覚えて \n\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin }\n は符号が \n\n−\n\n{\\displaystyle -}\n、1 の符号はその逆と覚えます。\n2乗の三角関数 \n\n\nsin\n2\n\n⁡\nθ\n=\n\n1\n−\ncos\n⁡\n2\nθ\n2\n\n,\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n=\n\n1\n+\ncos\n⁡\n2\nθ\n2\n\n\n{\\displaystyle \\sin ^{2}\\theta ={\\frac {1-\\cos 2\\theta }{2}},\\cos ^{2}\\theta ={\\frac {1+\\cos 2\\theta }{2}}}\n は、\n\n\n\n1\n±\ncos\n⁡\n2\nθ\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1\\pm \\cos 2\\theta }{2}}}\n という形を覚えて、 \n\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin }\n は符号が\n\n−\n\n{\\displaystyle -}\n と考えます。\n三角関数の和\nにおいて、\n\na\n,\nb\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a,b\\neq 0}\n のとき\n{\n\na\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n\n}\n\n2\n\n+\n\n{\n\nb\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n\n}\n\n2\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\left\\{{\\dfrac {a}{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}\\right\\}^{2}+\\left\\{{\\dfrac {b}{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}\\right\\}^{2}=1}\n であるので、点 \n\n\n(\n\n\na\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n\n,\n\nb\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n\n)\n\n{\\displaystyle \\left({\\dfrac {a}{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}},{\\dfrac {b}{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}\\right)}\n は単位円周上の点なので、\nとなるようなαをとることができ、このαを用いて次のような変形ができる。\n演習問題\nr\n,\nα\n\n{\\displaystyle r,\\alpha }\n は \n\nr\n>\n0\n,\n−\nπ\n≤\nα\n<\nπ\n\n{\\displaystyle r>0,-\\pi \\leq \\alpha <\\pi }\n を満たすとする。\n解答\nsin\n⁡\nθ\n−\n\n3\n\ncos\n⁡\nθ\n\n=\n2\n(\n\n1\n2\n\nsin\n⁡\nθ\n−\n\n3\n2\n\ncos\n⁡\nθ\n)\n\n\n\n=\n2\n(\nsin\n⁡\nθ\ncos\n⁡\n\nπ\n3\n\n−\ncos\n⁡\nθ\nsin\n⁡\n\nπ\n3\n\n)\n\n\n\n=\n2\nsin\n⁡\n(\nθ\n−\n\nπ\n3\n\n)\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sin \\theta -{\\sqrt {3}}\\cos \\theta &=2\\left({\\frac {1}{2}}\\sin \\theta -{\\frac {\\sqrt {3}}{2}}\\cos \\theta \\right)\\\\&=2\\left(\\sin \\theta \\cos {\\frac {\\pi }{3}}-\\cos \\theta \\sin {\\frac {\\pi }{3}}\\right)\\\\&=2\\sin \\left(\\theta -{\\frac {\\pi }{3}}\\right)\\\\\\end{aligned}}}\n三角関数の加法定理を用いると、三角関数の和→積の公式、および積→和の公式が得られる。それぞれ\nとなる。\n加法定理\nから、 (1) + (2) より\n(1) - (2) より\n(3) + (4) より\n(3) - (4) より\nが得られる。\nA\n=\nα\n+\nβ\n,\nB\n=\nα\n−\nβ\n\n{\\displaystyle A=\\alpha +\\beta ,\\,B=\\alpha -\\beta }\n とおくと、 \n\nα\n=\n\nA\n+\nB\n2\n\n,\nβ\n=\n\nA\n−\nB\n2\n\n\n{\\displaystyle \\alpha ={\\frac {A+B}{2}},\\,\\beta ={\\frac {A-B}{2}}}\n である。これを積→和の公式に代入すれば、それぞれ\nが得られる。\n覚え方\n積→和の公式は、上2つは \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n と \n\nβ\n\n{\\displaystyle \\beta }\n を入れ替えれば同じ式なので、覚えるのは3式でいい。\n\nsin\n⁡\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin \\sin }\n の公式は \n\ncos\n⁡\ncos\n\n{\\displaystyle \\cos \\cos }\n の公式の符号を2つ \n\n−\n\n{\\displaystyle -}\n にしたものになっている。\n和→積の公式は、\n\n\n\na\na\na\n−\n\na\na\na\n\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {{aaa}-{\\rm {aaa}}}}}\n の式は \n\n\n\na\na\na\n+\n\na\na\na\n\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {{aaa}+{\\rm {aaa}}}}}\n の公式の \n\ncos\n\n{\\displaystyle \\cos }\n と \n\nsin\n\n{\\displaystyle \\sin }\n を逆にした形になっている。\nオシロスコープで おんさ の音を測定すると、正弦波に近い波形が観測される。\nしかし、実際の楽器の音は、正弦波とは違う。オシロスコープでギターやバイオリンなどの楽器の音を測定すると、正弦波でない波形が繰り返されている。\nこれら実際の楽器の音の波形は、周期の異なる複数個の正弦波を重ね合わせた波形になっている。\nここでは、指数関数、三角関数の定義域を実数としていたが、これらの関数の定義域を複素数まで拡張することができる。(興味のある意欲的な読者は複素関数論の書籍を読んでみるといい)\n複素数に拡張した指数関数、三角関数では \n\n\ne\ni\nθ\n\n=\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle e^{i\\theta }=\\cos \\theta +i\\sin \\theta }\n\nという関係式が成り立つ。ただし、\n\ne\n\n{\\displaystyle e}\n はネイピア数で \n\ne\n≈\n2.7\n\n{\\displaystyle e\\approx 2.7}\n である。ここで、 \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n に \n\nπ\n\n{\\displaystyle \\pi }\n を代入すると\n\n\ne\ni\nπ\n\n+\n1\n=\n0\n\n{\\displaystyle e^{i\\pi }+1=0}\nとなる。この等式は「世界一美しい等式」とも呼ばれ、小説にもなっているので知っている人もいるだろう。\n(1)下の度数法で表された値を弧度法て表せ\n1)\n\n150\n\n{\\displaystyle 150}\n\n2)\n\n720\n\n{\\displaystyle 720}\n(2)\n\nsin\n⁡\nπ\n/\n2\n\n{\\displaystyle \\sin \\pi /2}\nの値を求めよ\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6II/%E4%B8%89%E8%A7%92%E9%96%A2%E6%95%B0"} {"text": "ここでは微分積分の概念について理解し、多項式関数の微分積分を学ぶ。また、微分の応用を応用して接線の方程式やグラフの概形などを求めたり、積分を応用してグラフの面積を求める。微分積分は物理学や工学などさまざまな分野で応用されている。\n中学校では、一次関数と\n\ny\n=\na\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}}\nの変化の割合を求めただろう。ここでは、同じものを平均変化率と呼ぶことにする。一般の関数 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n の平均変化率を考えてみたい。中学校で学習したことと同様に考えると、 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n において、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n が \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n から \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n まで変化したときの平均変化率は、「 \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n の変化量/ \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の変化量」で求められる。つまり、 \n\n\n\nf\n(\nb\n)\n−\nf\n(\na\n)\n\nb\n−\na\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {f(b)-f(a)}{b-a}}}\n である。\n例\ny\n=\nx\n2\n\n+\n2\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle y=x^{2}+2x+1}\n において、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n が-1から3まで変化したときの平均変化率を求める。\n(\n3\n2\n\n+\n2\n⋅\n3\n+\n1\n)\n−\n(\n(\n−\n1\n)\n2\n\n+\n2\n⋅\n(\n−\n1\n)\n+\n1\n)\n\n3\n−\n(\n−\n1\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {(3^{2}+2\\cdot 3+1)-((-1)^{2}+2\\cdot (-1)+1)}{3-(-1)}}}\n\n\n=\n4\n\n{\\displaystyle =4}\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n において、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n が \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n とは異なる値をとりながら限りなく \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n に近づくとき、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が限りなく \n\nA\n\n{\\displaystyle A}\n に近づくことを、 \n\n\nlim\nx\n→\na\n\nf\n(\nx\n)\n=\nA\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow a}f(x)=A}\n とかく。\nlim\nx\n→\n0\n\n3\nx\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 0}3x}\nを求める。\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを、\n\n1\n,\n0.1\n,\n0.01\n,\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,0.1,0.01,0.001,\\cdots }\nと限りなく0に近づけてみる。すると、\n\n3\nx\n\n{\\displaystyle 3x}\nは、\n\n3\n,\n0.3\n,\n0.03\n,\n0.003\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 3,0.3,0.03,0.003,\\cdots }\nと、限りなく0に近づくことがわかる。\nよって、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを限りなく0に近づけると、\n\n3\nx\n\n{\\displaystyle 3x}\nは限りなく0に近づくので、\n\n\nlim\nx\n→\n0\n\n3\nx\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 0}3x=0}\nである。\n次に、\n\n\nlim\nx\n→\n1\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}{\\frac {x^{2}-1}{x-1}}}\nを求める。\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを、\n\n1.1\n,\n1.01\n,\n1.001\n,\n0.0001\n,\n1.00001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1.1,1.01,1.001,0.0001,1.00001,\\cdots }\nと、限りなく1に近づけてみると、\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}-1}{x-1}}}\nは、\n\n2.1\n,\n2.01\n,\n2.001\n,\n2.0001\n,\n2.00001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 2.1,2.01,2.001,2.0001,2.00001,\\cdots }\nと、限りなく2に近づく。\nなので、\n\n\nlim\nx\n→\n1\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n=\n2\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}{\\frac {x^{2}-1}{x-1}}=2}\nである。\nこれは、式に値を代入する前に、式自体を約分してしまった方が簡単に計算できる。すなわち、\n\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n=\n\n(\nx\n+\n1\n)\n(\nx\n−\n1\n)\n\nx\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}-1}{x-1}}={\\frac {(x+1)(x-1)}{x-1}}}\nであり、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを1とは異なる値を取りながら限りなく1に近づけるとき\n\nx\n≠\n1\n\n{\\displaystyle x\\neq 1}\nなので、これは約分でき、\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n=\n\n(\nx\n+\n1\n)\n(\nx\n−\n1\n)\n\nx\n−\n1\n\n=\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}-1}{x-1}}={\\frac {(x+1)(x-1)}{x-1}}=x+1}\nである。\nなので、\n\n\nlim\nx\n→\n1\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}{\\frac {x^{2}-1}{x-1}}}\nを求めるには、\n\n\nlim\nx\n→\n1\n\n(\nx\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}(x+1)}\nを求めれば良い。\nlim\nx\n→\n1\n\n(\nx\n+\n1\n)\n=\n2\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}(x+1)=2}\nであるので、\n\n\nlim\nx\n→\n1\n\n\n\nx\n2\n\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n=\n2\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\rightarrow 1}{\\frac {x^{2}-1}{x-1}}=2}\nと求めることができる。\n※発展 最初の例では、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを、\n\n1\n,\n0.1\n,\n0.01\n,\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,0.1,0.01,0.001,\\cdots }\nと、限りなく0に近づけたが、\n\n2\n,\n0.2\n,\n0.02\n,\n0.002\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 2,0.2,0.02,0.002,\\cdots }\nや、\n\n−\n1\n,\n−\n0.1\n,\n−\n0.01\n,\n−\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle -1,-0.1,-0.01,-0.001,\\cdots }\nのように近づけてみても\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nは限りなく0に近づく。他にも、\n\n1\n,\n−\n0.1\n,\n0.01\n,\n−\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,-0.1,0.01,-0.001,\\cdots }\nや\n\n0.1\n,\n0.5\n,\n0.01\n,\n0.05\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 0.1,0.5,0.01,0.05,\\cdots }\nなど\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを0に近づかせる方法はいくらでも考えられる。\nもちろん、この例では、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nをどのように近づけたとしても極限の値は変わらない。\nしかし、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを、\n\n1\n,\n0.1\n,\n0.01\n,\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,0.1,0.01,0.001,\\cdots }\nと近づけたとき、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nに近づくが、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを、\n\n2\n,\n0.2\n,\n0.02\n,\n0.002\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 2,0.2,0.02,0.002,\\cdots }\nと近づけたら、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nに近づかない。そんな関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nだってあるだろう。\nなぜ\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを\n\n1\n,\n0.1\n,\n0.01\n,\n0.001\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,0.1,0.01,0.001,\\cdots }\nと、近づけただけで、極限の値を求めることが出来るのか?と疑問に思う人もいるかも知れない。\n極限を厳密に定義するには、イプシロンデルタ論法を使う必要がある。しかし、高校生には少し難しいと考える人が多いので高校ではあまり教えられていない。\nなので、この本では、イプシロンデルタ論法を使わず、曖昧な方法で極限を定義した。なので、上のような疑問を持った人は、その疑問について深く考えずに先に進むか、イプシロンデルタ論法を学ぶかしてほしい。\n関数 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n の傾きについて考えてみよう。 \nx\n\n{\\displaystyle x}\n が \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n から \n\na\n+\nh\n\n{\\displaystyle a+h}\n まで変化したときの平均変化率は\nf\n(\na\n+\nh\n)\n−\nf\n(\na\n)\nh\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {f(a+h)-f(a)}{h}}}\nである。このとき、 \n\nh\n\n{\\displaystyle h}\n を限りなく0に近づければ \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n での傾きを求めることができる。つまり、関数 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n の \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n での傾きは\nlim\nh\n→\n0\n\n\nf\n(\na\n+\nh\n)\n−\nf\n(\na\n)\nh\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{h\\to 0}{\\frac {f(a+h)-f(a)}{h}}}\nで与えられる。これを \n\nx\n=\na\n\n{\\displaystyle x=a}\n における微分係数という。\nまた\nf\n′\n(\nx\n)\n=\nlim\nh\n→\n0\n\n\nf\n(\nx\n+\nh\n)\n−\nf\n(\nx\n)\nh\n\n\n{\\displaystyle f'(x)=\\lim _{h\\to 0}{\\frac {f(x+h)-f(x)}{h}}}\nで与えられる関数 \n\n\nf\n′\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f'(x)}\n を関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の導関数という。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の導関数は\n\n\n\nd\nf\n\nd\nx\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {df}{dx}}}\nと表されることもある。\nここで、いくつかの関数の導関数を求めてみよう。\nである。\nn\n\n{\\displaystyle n}\n を自然数とする。関数 \n\nf\n(\nx\n)\n=\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{n}}\n の導関数は二項定理を応用し\nと求められる\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n,\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x),g(x)}\n に対し次が成り立つ。\n証明\n演習問題\n次の関数を微分せよ\n1. \n\nf\n(\nx\n)\n=\n2\nx\n3\n\n+\n4\nx\n2\n\n−\n5\nx\n−\n1\n\n{\\displaystyle f(x)=2x^{3}+4x^{2}-5x-1}\n2. \n\nf\n(\nx\n)\n=\n(\n2\nx\n+\n3\n)\n(\n3\nx\n−\n5\n)\n\n{\\displaystyle f(x)=(2x+3)(3x-5)}\n解答\n1.\n2. \n\nf\n(\nx\n)\n=\n6\nx\n2\n\n−\nx\n−\n15\n\n{\\displaystyle f(x)=6x^{2}-x-15}\n であるから\n曲線 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n 上の点 \n\n(\nt\n,\nf\n(\nt\n)\n)\n\n{\\displaystyle (t,f(t))}\n における接線の方程式を求める。この接線の傾きは \n\n\nf\n′\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle f'(t)}\nであり、点 \n\n(\nt\n,\nf\n(\nt\n)\n)\n\n{\\displaystyle (t,f(t))}\n を通るので、方程式は \n\ny\n=\nf\n′\n(\nt\n)\n(\nx\n−\nt\n)\n+\nf\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle y=f'(t)(x-t)+f(t)}\n で与えられる。実際、\n\nx\n=\nt\n\n{\\displaystyle x=t}\n とすると \n\ny\n=\nf\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle y=f(t)}\n となるのでこの方程式は点 \n\n(\nt\n,\nf\n(\nt\n)\n)\n\n{\\displaystyle (t,f(t))}\n を通ることがわかり、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n の係数は \n\n\nf\n′\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle f'(t)}\n なので傾きは \n\n\nf\n′\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle f'(t)}\n である。\n曲線 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n 上の点 \n\n(\nt\n,\nf\n(\nt\n)\n)\n\n{\\displaystyle (t,f(t))}\n における法線の方程式は、\n\ny\n=\n−\n\n1\n\nf\n′\n(\nt\n)\n\n(\nx\n−\nt\n)\n+\nf\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle y=-{\\frac {1}{f'(t)}}(x-t)+f(t)}\n で与えられる。\nf'(x)は、fの傾きを表わすので、 \n\n\nf\n′\n(\nx\n)\n>\n0\n\n{\\displaystyle f'(x)>0}\n の点では、fは増大し、 \n\n\nf\n′\n(\nx\n)\n<\n0\n\n{\\displaystyle f'(x)<0}\n の点では、fは減少することがわかる。\nこれをもとに関数の概形を描くことができる。\n例\ny\n=\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle y=x^{3}}\n の増減を調べる\n両辺をxで微分すると\nf\n(\nx\n)\n=\nx\n3\n\n−\n3\nx\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{3}-3x}\nを微分すると\n増減表は次のようになる。\nこの関数のグラフは、\n\nx\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle x=-1}\nを境にして増加から減少の状態に変わり、\n\nx\n=\n1\n\n{\\displaystyle x=1}\nを境にして減少から増加の状態に変わる。\nこのとき、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは\n\nx\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle x=-1}\nにおいて極大(きょくだい)になるといい、そのときの\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの値\n\nf\n(\n−\n1\n)\n=\n2\n\n{\\displaystyle f(-1)=2}\nを極大値(きょくだいち)という。また、\n\nx\n=\n1\n\n{\\displaystyle x=1}\nにおいて極小(きょくしょう)になるといい、そのときの\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの値\n\nf\n(\n1\n)\n=\n−\n2\n\n{\\displaystyle f(1)=-2}\nを極小値(きょくしょうち)という。極大値と極小値を合わせて極値(きょくち)という。\n不定積分(indefinite integral)とは、微分したらその関数になる関数を求める操作である。\nつまり、関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nに対して、\n\n\nF\n′\n(\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F'(x)=f(x)}\nとなる、関数\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nを求める操作である。\nこのとき\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nを、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数(primitive function)と呼ぶ。\n例えば、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}}\nは微分すると、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nになるので、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}}\nは\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの原始関数である。\nしかし、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}+1}\nや、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n+\n3\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}+3}\nなども微分すると\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nになるので、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}+1}\nや、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n+\n3\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}+3}\nも\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの原始関数である。\n一般に、\n\n\n1\n2\n\nx\n2\n\n+\nC\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{2}}x^{2}+C}\n(Cは任意の定数)で表される関数は、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの原始関数である。\nx\n\n{\\displaystyle x}\nの原始関数は一つだけではなく、無数にあるのだ。\n一般に、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数の一つを \n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\n とするとき、原始関数に任意の定数を足した関数 \n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\n も \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数になる。\nなぜなら、\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nが\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数である、つまり、\n\n\nF\n′\n(\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F'(x)=f(x)}\nのとき、\n\n\n(\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n)\n′\n=\nF\n′\n(\nx\n)\n+\n\n(\nC\n)\n′\n=\nF\n′\n(\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle {(F(x)+C)}'=F'(x)+{(C)}'=F'(x)=f(x)}\nとなるからだ。\nまた、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数の一つが \n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\n であるとき、すべての関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数は \n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\n の形に書ける。\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\n の形に書けない関数 \n\nG\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle G(x)}\nが関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数であると仮定する。このとき、\n\nh\n(\nx\n)\n=\nF\n(\nx\n)\n−\nG\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle h(x)=F(x)-G(x)}\nとすると、関数 \n\nh\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle h(x)}\n は定数ではない。\nこのとき、 \n\n\nh\n′\n(\nx\n)\n=\n{\nF\n(\nx\n)\n−\nG\n(\nx\n)\n}\n′\n=\nF\n′\n(\nx\n)\n−\nG\n′\n(\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n−\nf\n(\nx\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle h'(x)=\\{F(x)-G(x)\\}'=F'(x)-G'(x)=f(x)-f(x)=0}\n であるはずだが、関数 \n\nh\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle h(x)}\n は定数ではないので \n\n\nh\n′\n(\nx\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle h'(x)=0}\n とならない。これは矛盾なので、すべての関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数は \n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\nの形に書けることが証明できる。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数の全体を、\n\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int f(x)dx}\n と表す。この表記法は最初は奇妙に思うだろうが、このように表記する理由は後に説明するので、今は、そのまま覚えて欲しい。\nまとめると、関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の原始関数の全体\n\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int f(x)dx}\nは、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数の一つを \n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\n として、その関数に任意の定数を足した関数\n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\nで表される。つまり、\nC\n\n{\\displaystyle C}\nは任意の定数としたが、この任意の定数 \n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n を積分定数(constant of integration)と呼ぶ。\n※注意 \n\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int f(x)dx}\nは定義にもあるように、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数の全体を表している。つまり、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数の一つを\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nとするとき、\n\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle \\int f(x)dx=F(x)+C}\nの右辺\n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\nは、\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nに定数を足した関数の全体を表している。つまり、\n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\nは、\n\nF\n(\nx\n)\n+\n1\n\n{\\displaystyle F(x)+1}\nや、\n\nF\n(\nx\n)\n−\n23\n\n{\\displaystyle F(x)-23}\nや、\n\nF\n(\nx\n)\n−\n5\nπ\n\n{\\displaystyle F(x)-5\\pi }\nなどの、\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nに定数を足した関数すべてをまとめて\n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\nと表している。このことがあやふやになっていると、重大な間違いを起こす可能性があるので、注意が必要である。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n=\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{n}}\n (ただし \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n は自然数)の不定積分を求めてみる。やや天下り的だが、\n\nF\n(\nx\n)\n=\n\n1\nn\n+\n1\n\n\nx\nn\n+\n1\n\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)={\\frac {1}{n+1}}x^{n+1}+C}\n (\n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n は任意の定数)とおくと、 \n\n\nF\n′\n(\nx\n)\n=\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle F'(x)=x^{n}}\n となるので、 \n\n\n1\nn\n+\n1\n\n\nx\nn\n+\n1\n\n+\nC\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{n+1}}x^{n+1}+C}\n は原始関数であることがわかる。\nしたがって \n\n∫\nx\nn\n\nd\nx\n=\n\n1\nn\n+\n1\n\n\nx\nn\n+\n1\n\n+\nC\n\n{\\displaystyle \\int x^{n}dx={\\frac {1}{n+1}}x^{n+1}+C}\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n,\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x),g(x)}\n の原始関数をそれぞれ、 \n\nF\n(\nx\n)\n,\nG\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x),G(x)}\n とする。\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n を任意の実数定数とすると\n{\nF\n(\nx\n)\n+\nG\n(\nx\n)\n}\n′\n=\nF\n′\n(\nx\n)\n+\nG\n′\n(\nx\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n+\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\{F(x)+G(x)\\}'=F'(x)+G'(x)=f(x)+g(x)}\n{\na\nF\n(\nx\n)\n}\n′\n=\na\nF\n′\n(\nx\n)\n=\na\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\{aF(x)\\}'=aF'(x)=af(x)}\nとなるので、\n∫\n{\nf\n(\nx\n)\n+\ng\n(\nx\n)\n}\nd\nx\n=\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n+\n∫\ng\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int \\{f(x)+g(x)\\}dx=\\int f(x)dx+\\int g(x)dx}\n∫\na\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\na\n∫\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int af(x)dx=a\\int f(x)dx}\nが成り立つことが分かる。\n演習問題\n不定積分 \n\n∫\n(\nx\n8\n\n+\n2\nx\n2\n\n−\n6\nx\n+\n9\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int (x^{8}+2x^{2}-6x+9)dx}\n を求めよ\n解答\n∫\n(\nx\n8\n\n+\n2\nx\n2\n\n−\n6\nx\n+\n9\n)\nd\nx\n=\n∫\nx\n8\n\nd\nx\n+\n2\n∫\nx\n2\n\nd\nx\n−\n6\n∫\nx\nd\nx\n+\n9\n∫\nd\nx\n=\n\nx\n9\n\n9\n\n+\n\n2\nx\n3\n\n3\n\n−\n3\nx\n2\n\n+\n9\nx\n+\nC\n\n{\\displaystyle \\int (x^{8}+2x^{2}-6x+9)dx=\\int x^{8}\\,dx+2\\int x^{2}\\,dx-6\\int x\\,dx+9\\int dx={\\frac {x^{9}}{9}}+{\\frac {2x^{3}}{3}}-3x^{2}+9x+C}\n (\n\nC\n\n{\\displaystyle C}\n は積分定数)\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの原始関数の一つを\n\nF\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x)}\nとする。この原始関数に値を代入して、その値の差を求める操作を、定積分と呼び、\n\n\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(x)dx}\nと書く。つまり、 \nである。\n[\nf\n(\nx\n)\n]\na\n\nb\n\n=\nf\n(\nb\n)\n−\nf\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle [f(x)]_{a}^{b}=f(b)-f(a)}\n[1]とする。\nこのようにすると、\n\n\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\n[\nF\n(\nx\n)\n]\na\n\nb\n\n=\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(x)dx=[F(x)]_{a}^{b}=F(b)-F(a)}\nと計算できる。\n定積分の値は原始関数の選択によらない。実際、原始関数として、 \n\nF\n(\nx\n)\n+\nC\n\n{\\displaystyle F(x)+C}\n を選び、定積分を計算すると、\n\n\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\n(\nF\n(\nb\n)\n+\nC\n)\n−\n(\nF\n(\na\n)\n+\nC\n)\n=\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(x)dx=(F(b)+C)-(F(a)+C)=F(b)-F(a)}\nとなり、原始関数としてどれを選んでも定積分の値は一定であることがわかる。[2]\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n,\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x),g(x)}\n に対して、原始関数をそれぞれ \n\nF\n(\nx\n)\n,\nG\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle F(x),G(x)}\n とする。 \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n を実数として、\n∫\na\n\nb\n\nk\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\nk\nF\n(\nb\n)\n−\nk\nF\n(\na\n)\n=\nk\n(\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n)\n=\nk\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}kf(x)\\,dx=kF(b)-kF(a)=k(F(b)-F(a))=k\\int _{a}^{b}f(x)\\,dx}\n∫\na\n\nb\n\n{\nf\n(\nx\n)\n+\ng\n(\nx\n)\n}\nd\nx\n=\n[\nF\n(\nx\n)\n+\nG\n(\nx\n)\n]\na\n\nb\n\n=\nF\n(\nb\n)\n+\nG\n(\nb\n)\n−\n(\nF\n(\na\n)\n+\nG\n(\na\n)\n)\n=\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n+\nG\n(\nb\n)\n−\nG\n(\na\n)\n=\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n+\n∫\na\n\nb\n\ng\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}\\{f(x)+g(x)\\}dx=[F(x)+G(x)]_{a}^{b}=F(b)+G(b)-(F(a)+G(a))=F(b)-F(a)+G(b)-G(a)=\\int _{a}^{b}f(x)\\,dx+\\int _{a}^{b}g(x)\\,dx}\n∫\na\n\na\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\nF\n(\na\n)\n−\nF\n(\na\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{a}f(x)\\,dx=F(a)-F(a)=0}\n∫\nb\n\na\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\nF\n(\na\n)\n−\nF\n(\nb\n)\n=\n−\n(\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n)\n=\n−\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{b}^{a}f(x)\\,dx=F(a)-F(b)=-(F(b)-F(a))=-\\int _{a}^{b}f(x)\\,dx}\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n=\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\na\n)\n=\n(\nF\n(\nb\n)\n−\nF\n(\nc\n)\n)\n+\n(\nF\n(\nc\n)\n−\nF\n(\na\n)\n)\n=\n∫\na\n\nc\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n+\n∫\nc\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(x)\\,dx=F(b)-F(a)=(F(b)-F(c))+(F(c)-F(a))=\\int _{a}^{c}f(x)\\,dx+\\int _{c}^{b}f(x)\\,dx}\nが成り立つ。\n∫\n2\n\n5\n\nx\n3\n\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{2}^{5}x^{3}dx}\nを求める。\n1\n4\n\nx\n4\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{4}}x^{4}}\nは、微分すると、\n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\nなので、\n\n\n1\n4\n\nx\n4\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{4}}x^{4}}\nは\n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\nの原始関数の一つである。よって\n\n\n∫\n2\n\n5\n\nx\n3\n\nd\nx\n=\n\n[\n\n1\n4\n\nx\n4\n\n]\n\n2\n\n5\n\n=\n\n1\n4\n\n5\n4\n\n−\n\n1\n4\n\n2\n4\n\n=\n\n609\n4\n\n\n{\\displaystyle \\int _{2}^{5}x^{3}dx=\\left[{\\frac {1}{4}}x^{4}\\right]_{2}^{5}={\\frac {1}{4}}5^{4}-{\\frac {1}{4}}2^{4}={\\frac {609}{4}}}\nである。\n1\n4\n\nx\n4\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{4}}x^{4}+1}\nも、微分すると、\n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\nなので、\n\n\n1\n4\n\nx\n4\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{4}}x^{4}+1}\nは\n\n\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle x^{3}}\nの原始関数の一つである。よって、\n\n\n∫\n2\n\n5\n\nx\n3\n\nd\nx\n=\n\n[\n\n1\n4\n\nx\n4\n\n+\n1\n]\n\n2\n\n5\n\n=\n(\n\n1\n4\n\n5\n4\n\n+\n1\n)\n−\n(\n\n1\n4\n\n2\n4\n\n+\n1\n)\n=\n\n609\n4\n\n\n{\\displaystyle \\int _{2}^{5}x^{3}dx=\\left[{\\frac {1}{4}}x^{4}+1\\right]_{2}^{5}=\\left({\\frac {1}{4}}5^{4}+1\\right)-\\left({\\frac {1}{4}}2^{4}+1\\right)={\\frac {609}{4}}}\nと求めることもできる。\naを定数とするとき、定積分\n\n\n∫\na\n\nx\n\nf\n(\nt\n)\nd\nt\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{x}f(t)\\,dt}\nはxの関数になる。\n関数\n\nf\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle f(t)}\nの原始関数の一つを\n\nF\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle F(t)}\nとすると\nこの両辺をxで微分すると、\n\nF\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle F(a)}\nは定数であるから\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが\n\na\n≦\nx\n≦\nb\n\n{\\displaystyle a\\leqq x\\leqq b}\nの範囲で常に正であるとする。このとき、定積分\n\n\n∫\na\n\nb\n\nf\n(\nx\n)\nd\nx\n\n{\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(x)dx}\nによって、関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nのグラフと、直線\n\nx\n=\na\n\n{\\displaystyle x=a}\n、直線\n\nx\n=\nb\n\n{\\displaystyle x=b}\n、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸で囲まれた部分の面積を求めることができる。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nのグラフと、直線\n\nx\n=\na\n\n{\\displaystyle x=a}\n、直線\n\nx\n=\nc\n\n{\\displaystyle x=c}\nと、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸で囲まれた部分の面積を\n\nS\n(\nc\n)\n\n{\\displaystyle S(c)}\nとすることによって、関数\n\nS\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle S(x)}\nを定める。(\n\na\n≦\nx\n≦\nb\n\n{\\displaystyle a\\leqq x\\leqq b}\nとする)\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nのグラフと、直線\n\nx\n=\nc\n\n{\\displaystyle x=c}\n、直線\n\nx\n=\nc\n+\nh\n\n{\\displaystyle x=c+h}\nと、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸で囲まれた部分の面積を考える(\n\na\n≦\nc\n+\nh\n≦\nb\n\n{\\displaystyle a\\leqq c+h\\leqq b}\nとする)。これは、\n\nS\n(\nc\n+\nh\n)\n−\nS\n(\nc\n)\n\n{\\displaystyle S(c+h)-S(c)}\nである。ここで、\n\nc\n<\nt\n<\nc\n+\nh\n\n{\\displaystyle c\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle \\alpha >\\lim _{n\\to \\infty }b_{n}}\nと仮定すると、\n\nα\n−\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n=\nϵ\n′\n>\n0\n\n{\\displaystyle \\alpha -\\lim _{n\\to \\infty }b_{n}=\\epsilon '>0}\nである。\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle b_{n}}\nは限りなく\n\nα\n−\nϵ\n′\n\n/\n2\n\n{\\displaystyle \\alpha -\\epsilon '/2}\nより小さい数に近づくから、\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが十分大きいときは常に\n\n\nb\nn\n\n<\nα\n−\nϵ\n′\n\n/\n2\n\n{\\displaystyle b_{n}<\\alpha -\\epsilon '/2}\nとなる。\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\nは限りなく\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nに近づくため、任意の正の数\n\nϵ\n\n{\\displaystyle \\epsilon }\nに対して、十分大きな数\n\nN\n\n{\\displaystyle N}\nであって、\n\nn\n≥\nN\n\n{\\displaystyle n\\geq N}\nならば常に\n\nα\n−\na\nn\n\n<\nϵ\n\n{\\displaystyle \\alpha -a_{n}<\\epsilon }\nが成り立つようなものが存在するはずである。いま、\n\n\na\nn\n\n≤\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}\\leq b_{n}}\nであったから、十分大きな\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nでは常に\n\n\nb\nn\n\n≥\nα\n−\nϵ\n\n{\\displaystyle b_{n}\\geq \\alpha -\\epsilon }\nとなる。\nϵ\n\n{\\displaystyle \\epsilon }\nは任意の正の数であったから、\n\nϵ\n=\nϵ\n′\n\n/\n2\n\n{\\displaystyle \\epsilon =\\epsilon '/2}\nとすると、十分大きな\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nについて矛盾する式が成立することになる。したがって、背理法により\n\nα\n≤\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle \\alpha \\leq \\lim _{n\\to \\infty }b_{n}}\nである。■\n興味を持った人は大学1年生程度を対象とする微分積分学の教科書を参照してほしい。例えば、解析学基礎など。\n次に、はさみうちの原理 を紹介する。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n, \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n, \n\n{\nc\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{c_{n}\\}}\n について、\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が十分に大きいとき常に \n\n\na\nn\n\n≤\nb\nn\n\n≤\nc\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}\\leq b_{n}\\leq c_{n}}\n を満たしていて、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\na\nn\n\n=\nlim\nn\n→\n∞\n\nc\nn\n\n=\nα\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }a_{n}=\\lim _{n\\to \\infty }c_{n}=\\alpha }\n ならば、\n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n の極限値も存在して、\nとなる。\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }b_{n}}\n が存在することはあきらか。先の定理より、\nであるので、\nが成立。■\nつぎの極限値を求めよ。\n実数の数列\n\n{\na\nn\n\n}\n,\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\},\\{b_{n}\\}}\nがあり、全ての\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nについて\n\n\na\nn\n\n≤\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}\\leq b_{n}}\nとする。\nこのとき、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\na\nn\n\n=\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }a_{n}=\\infty }\nならば\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n=\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }b_{n}=\\infty }\nである。\n同様に、全ての\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nについて\n\n\na\nn\n\n≥\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}\\geq b_{n}}\nであり\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\na\nn\n\n=\n−\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }a_{n}=-\\infty }\nならば、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\nb\nn\n\n=\n−\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }b_{n}=-\\infty }\nである。\n高校レベルでの証明はできないが、数列の各項を折れ線で結んだ\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\nー\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nグラフを書くことで成り立つことが直感的に理解できる。\n等比数列 \n\n{\nr\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{r^{n}\\}}\n の極限について考えてみよう。\nr\n=\n1\n+\nh\n\n{\\displaystyle r=1+h}\n とおくと、\nであるので、\nしたがって、\n\nn\n→\n∞\n\n{\\displaystyle n\\to \\infty }\n のとき、\n\n1\n+\nn\nh\n→\n∞\n\n{\\displaystyle 1+nh\\to \\infty }\n だから、\n1\n\n{\\displaystyle 1}\n は何乗しても \n\n1\n\n{\\displaystyle 1}\n だから、\nr\n=\n0\n\n{\\displaystyle r=0}\n ならばあきらかに、\nr\n≠\n0\n\n{\\displaystyle r\\neq 0}\nのとき、\n\n\n|\nr\n\n|\n\n−\n1\n\n>\n1\n\n{\\displaystyle |r|^{-1}>1}\nだから、(i) より\nしたがって、\nr\nn\n\n\n{\\displaystyle r^{n}}\n は\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が奇数の場合 \n\n−\n1\n\n{\\displaystyle -1}\n、 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が偶数の場合 \n\n1\n\n{\\displaystyle 1}\n となるので振動する。\n|\nr\n|\n>\n1\n\n{\\displaystyle |r|>1}\n より、\nとなるが、\n\n\nr\nn\n\n\n{\\displaystyle r^{n}}\n は \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が奇数の場合 \n\n\nr\nn\n\n<\n0\n\n{\\displaystyle r^{n}<0}\n、 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が偶数の場合 \n\n\nr\nn\n\n>\n0\n\n{\\displaystyle r^{n}>0}\n となるので振動する。\nまとめると、次のようになる。\n収束\n発散\n一般項が次のように表される数列の収束・発散について調べ、極限値があるならばこれを求めよ。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 項までの和を \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n と表すことにする。すなわち、\nこのとき、\n\n{\nS\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{S_{n}\\}}\n は数列の一種とみなすことができ、このようにある数列の初項から第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 項までを順番に足してできる数列を級数(きゅうすう) という。もとの数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n が無限数列である場合、級数 \n\n\n{\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\na\nk\n\n}\n\n{\\displaystyle \\left\\{\\sum _{k=1}^{n}a_{k}\\right\\}}\n も無限に項を持つことになる。このような級数を無限級数(むげんきゅうすう) という。以下、単に級数というときは無限級数であるとする。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n において、初項から第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 項までの和を第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 部分和(ぶぶんわ)という。\n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n から作られる級数の第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 部分和 (つまり、\n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\nの初項から第n項までの和)を \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n と表すことにし、この級数\n\n{\nS\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{S_{n}\\}}\n の極限値が \n\nS\n\n{\\displaystyle S}\n であるとき、\n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n は \n\nS\n\n{\\displaystyle S}\n に収束するといい、\n\nS\n\n{\\displaystyle S}\n を級数の和という。このことを次のように表す。\nまたは\nまたは\n2番目の表記はシグマ記号を使わない分直感には訴えやすい面もあるが、注意深く表記しないと「…」の指すものがはっきりしないため、あまり好ましくない。\n数列 \n\n{\nS\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{S_{n}\\}}\n が発散するときこの級数は発散するという。\nつぎの級数の収束・発散について調べ、和が存在するならば求めよ。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n から作られる級数 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n が収束する必要条件は、\nである。\nα\n≠\n0\n\n{\\displaystyle \\alpha \\neq 0}\n とし、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\na\nn\n\n=\nα\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }a_{n}=\\alpha }\nとする。\n\nn\n>\n1\n\n{\\displaystyle n>1}\n のとき、\nとなるので、\nしかし、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\nS\nn\n\n=\nlim\nn\n→\n∞\n\nS\nn\n−\n1\n\n=\nS\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }S_{n}=\\lim _{n\\to \\infty }S_{n-1}=S}\n であるから、これは矛盾。したがって、\n\nα\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\alpha =0}\n でなくてはならない。■\n逆に、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\na\nn\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }a_{n}=0}\n であっても、\n\n\n∑\nn\n\n∞\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{n}^{\\infty }a_{n}}\n が収束するとは限らない。\n初項が \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n で公比が \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n の数列から作られる級数を無限等比級数 または単に等比級数(とうひ きゅうすう) という。\n等比級数の収束・発散について考えてみよう。この等比級数の第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 部分和は、\nとなる。\nすべての\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n で\n\n\na\nn\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle a_{n}=0}\nとなるから、\n|\nr\n|\n<\n1\n\n{\\displaystyle |r|<1}\n とすると、\nであるから、\nr\n>\n1\n\n{\\displaystyle r>1}\n または \n\nr\n≤\n−\n1\n\n{\\displaystyle r\\leq -1}\n のときは、\n\n{\na\nr\nn\n−\n1\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{ar^{n-1}\\}}\n は発散するから、\n\n{\nS\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{S_{n}\\}}\n は発散する。また、\n\nr\n=\n1\n\n{\\displaystyle r=1}\nのときは、\nであるから、先の定理より \n\n{\nS\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{S_{n}\\}}\n は発散する。\nこのことは次のようにまとめられる。\na\n≠\n0\n\n{\\displaystyle a\\neq 0}\n のとき、初項 \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n, 公比 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n の等比級数は\n次の等比級数の収束・発散について調べ、収束するものについてはその和を求めよ。\ny\n=\n\n1\nx\n\n \n,\n \ny\n=\n\n2\nx\n−\n1\n\nx\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {1}{x}}\\ ,\\ y={\\frac {2x-1}{x-1}}}\nのように、xの分数式で表される関数をxの分数関数という。\ny\n=\n\nk\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {k}{x}}}\nのグラフは双曲線(そうきょくせん)で、原点に関して対称である。双曲線\n\ny\n=\n\nk\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {k}{x}}}\nの漸近線は、x軸とy軸である。\n関数\n\ny\n=\n\nk\nx\n−\np\n\n+\nq\n\n{\\displaystyle y={\\frac {k}{x-p}}+q}\nのグラフは、関数\n\ny\n=\n\nk\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {k}{x}}}\nのグラフをx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動したもので、漸近線は2直線\n\nx\n=\np\n \n,\n \ny\n=\nq\n\n{\\displaystyle x=p\\ ,\\ y=q}\nである。\n分数関数\n\ny\n=\n\n2\nx\n+\n3\n\nx\n+\n1\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {2x+3}{x+1}}}\nのグラフの漸近線の方程式を求めよ。\nゆえに、この関数のグラフは、双曲線\n\ny\n=\n\n1\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {1}{x}}}\nをx軸方向に-1、y軸方向に2だけ平行移動したものである。\n漸近線の方程式は\n\nx\n=\n−\n1\n \n,\n \ny\n=\n2\n\n{\\displaystyle x=-1\\ ,\\ y=2}\nである。\nx\n\n \n,\n \n\n3\nx\n−\n8\n\n3\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {x}}\\ ,\\ {\\sqrt[{3}]{3x-8}}}\nのように、根号の中に文字を含む式を無理式(むりしき)といい、変数xの無理式で表される関数をxの無理関数(むりかんすう)という。\ny\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {x}}}\nのグラフについて考える。\ny\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {x}}}\nの定義域は\n\nx\n≥\n0\n\n{\\displaystyle x\\geq 0}\n、値域は\n\ny\n≥\n0\n\n{\\displaystyle y\\geq 0}\nである。\ny\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {x}}}\nの両辺を2乗すると、\n\n\ny\n2\n\n=\nx\n\n{\\displaystyle y^{2}=x}\n、すなわち\nx\n=\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle x=y^{2}}\nのグラフは原点を頂点とし、x軸を対称軸とする放物線である。\ny\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {x}}}\nでは\n\ny\n≥\n0\n\n{\\displaystyle y\\geq 0}\nであるから、\n\ny\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {x}}}\nのグラフは\n\nx\n=\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle x=y^{2}}\nのグラフの上半分である。\n無理関数\n\ny\n=\n\na\nx\n+\nb\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {ax+b}}}\nについて、\nであるから、無理関数\n\ny\n=\n\na\nx\n+\nb\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {ax+b}}}\nのグラフは、\n\ny\n=\n\na\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {ax}}}\nのグラフをx軸方向に\n\n−\n\nb\na\n\n\n{\\displaystyle -{\\frac {b}{a}}}\nだけ平行移動したものである。\n無理関数\n\ny\n=\n\n−\n2\nx\n−\n6\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {-2x-6}}}\nのグラフは\n\ny\n=\n\n−\n2\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {-2x}}}\nのグラフをどのように平行移動したものか。\nゆえに、この関数のグラフは、\n\ny\n=\n\n−\n2\nx\n\n\n{\\displaystyle y={\\sqrt {-2x}}}\nをx軸方向に-3だけ平行移動したものである。\nなお、分母がn次式である分数関数をn次分数関数、根号の中がn次式である無理関数をn次無理関数と呼ぶ場合がある。また、高校で扱う整関数・三角関数・指数関数・対数関数・分数関数・無理関数及びそれらの逆関数を総称して初等関数と呼ぶ。\n二つの関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n と \n\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle g(x)}\n が与えられたとき、 \n\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle f(g(x))}\n という新しい関数を考えることができる。たとえば \n\nf\n(\nx\n)\n=\nx\n2\n\n+\nx\n+\n2\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{2}+x+2}\n, \n\ng\n(\nx\n)\n=\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle g(x)=x+1}\n とすると、\n一般に二つの関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n, \n\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle g(x)}\n が与えられたとき、関数 \n\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle f(g(x))}\n や \n\ng\n(\nf\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle g(f(x))}\n を \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n と \n\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle g(x)}\n の合成関数(ごうせい かんすう)という。合成関数 \n\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle f(g(x))}\n を \n\n(\nf\n∘\ng\n)\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (f\\circ g)(x)}\n とかくことがある。\nまた、\n\n(\nf\n∘\nf\n)\n(\nx\n)\n=\nf\n2\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (f\\circ f)(x)=f^{2}(x)}\n、\n\n(\nf\n2\n\n∘\nf\n)\n(\nx\n)\n=\nf\n3\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (f^{2}\\circ f)(x)=f^{3}(x)}\nのように、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n同士を\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n回合成した関数を\n\n\nf\nn\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{n}(x)}\nと表すことがある。ただし、三角関数(と双曲線関数)に限って\n\n\nf\nn\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{n}(x)}\nは\n\n(\nf\n(\nx\n)\n)\nn\n\n\n{\\displaystyle (f(x))^{n}}\nを意味するので注意。また、多階微分の記法\n\n\nf\n(\nn\n)\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{(n)}(x)}\nとも混同しないよう注意が必要である。\nf\n(\nx\n)\n=\nx\n2\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{2}-1}\n, \n\ng\n(\nx\n)\n=\n\nx\nx\n+\n1\n\n\n{\\displaystyle g(x)={\\frac {x}{x+1}}}\n のとき、合成関数 \n\n(\nf\n∘\ng\n)\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (f\\circ g)(x)}\n と \n\n(\ng\n∘\nf\n)\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (g\\circ f)(x)}\n を求めよ。\nこの例題のように、一般に \n\n(\nf\n∘\ng\n)\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (f\\circ g)(x)}\n と \n\n(\ng\n∘\nf\n)\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle (g\\circ f)(x)}\n は等しくない。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n と関数 \n\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle g(x)}\n が与えられて、\nをすべての定義域内の \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n で満たすとき、\n\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle g(x)}\n を \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の逆関数(ぎゃくかんすう)といい、\nと表す。\nf\n(\nx\n)\n=\nx\nn\n\n(\nx\n≥\n0\n)\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{n}(x\\geq 0)}\n の逆関数 \n\n\nf\n−\n1\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{-1}(x)}\n を求めよ。\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n とおいて \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n について解くと、\nとなる。したがって、\n\n\nf\n−\n1\n\n(\nx\n)\n=\n\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle f^{-1}(x)={\\sqrt[{n}]{x}}}\n。\nこの例題のように、ある関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の逆関数 \n\n\nf\n−\n1\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{-1}(x)}\n を求めるには \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n について解いて \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n と \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n を入れ替えればよい。\n関数の記号として数学では、よく \n\nf\n\n{\\displaystyle f}\nを使うが、これは関数が英語で function (ファンクション)ということに由来している。\n中国語で function を音訳すると「函数」になるので、日本でも第二次世界大戦が終わるまでは「函数」の字を使っていた。\nしかし、戦後の漢字改革により、「函」の字が当用漢字でなくなった事により、「関」は発音が同じことと、「関係している」の意味も兼ねて、functionの日本語訳として 「関数」 と書かれるようになった。(※ ここまで、実教出版の検定教科書に記述あり)\nなお、「函」の意味は「箱」である。日本語でも、よく「郵便ポストにハガキを投函(とうかん)する」などと言うが、その「投函」の「函」の字と同じである。このことから、関数の概念を教わる際に「ブラックボックス」を用いて説明される場合がある。\n(※ 範囲外)\n次に逆関数が存在する条件について考えてみよう。逆関数も関数であるから(逆関数の)定義域に含まれるすべての \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n で \n\n\nf\n−\n1\n\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f^{-1}(x)}\n が一意に定まらなくてはならない。すなわち、 \n\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\n において、定義域の \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n と値域の \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n のどちらかを定めるともう片方が一意に定まるような関数でなくてはならない。このことを関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が全単射(ぜんたんしゃ)である、または一対一 対応(いったいいち たいおう)であるという。関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が全単射であることは \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n に逆関数が存在することの必要十分条件である。\n詳しくは大学で写像の概念と共に学ぶ。\n(ここまで、範囲外)\nある関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n において、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n が定数 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n より小さい値をとりながら \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n に限りなく近づくときの関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の値が一定の値 \n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\n に限りなく近づくとき、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの左極限値(左側極限)は \n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\n であるといい、\nと表す。同様に \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n が定数 \n\n\na\n2\n\n\n{\\displaystyle a_{2}}\n より大きい値をとりながら \n\n\na\n2\n\n\n{\\displaystyle a_{2}}\n に限りなく近づくときの関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の値が一定の値 \n\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle b_{2}}\n に限りなく近づくとき、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の右極限値(右側極限)は \n\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle b_{2}}\n であるといい、\nと表す。\n右側極限と左側極限を合わせて片側極限と呼ぶ。\nここで、\nかつ\nであるとき、すなわち\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n における左極限値と右極限値が等しいとき \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は \n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n に収束するといい、\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n をそのときの\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n の極限値という。このことを、\nと表す。\nx\n→\na\n\n{\\displaystyle x\\to a}\nのとき、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が限りなく大きくなるならば、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は正の無限大に発散するといい、\n\n\nlim\nx\n→\na\n\nf\n(\nx\n)\n=\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to a}f(x)=\\infty }\n と書く。\nx\n→\na\n\n{\\displaystyle x\\to a}\nのとき、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が負の値をとって、その絶対値が限りなく大きくなるならば、 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は負の無限大に発散するといい、\n\n\nlim\nx\n→\na\n\nf\n(\nx\n)\n=\n−\n∞\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to a}f(x)=-\\infty }\n と書く。\nxを限りなく大きくするとf(x)がある値aに限りなく近づくとき\nと、xを負の値をとりながら限りなく絶対値を大きくするとf(x)がある値aに限りなく近づくとき、\nと書き、それぞれ正の無限大における極限値、負の無限大における極限値という。\nなお、数列の場合と同様にはさみうちの原理、追い出しの原理が成り立つ。\nある関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が定義域内の点 \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n で連続(れんぞく)であるとは、\nその関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nのグラフが\n\nx\n=\na\n\n{\\displaystyle x=a}\nの近傍で途切れることなく続いていることを意味する。数式で表すと次のようになる。\nであることをいう。また、ある区間で \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n が連続であるとは、区間内のすべての点で連続であることをいう。\nくどいかもしれないが、上式は左辺の極限値が存在して、かつ右辺と一致するということを意味する。左辺の極限値が存在しない場合はf(x)は連続ではない。\nまた、\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nが定義域の左端・右端に位置する場合、点\n\n(\na\n,\nf\n(\na\n)\n)\n\n{\\displaystyle (a,f(a))}\nで関数が連続である条件はそれぞれ、\nとなる。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n,\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x),g(x)}\nが定義域に含まれる値\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nで連続であるとき、以下の関数も\n\nx\n=\na\n\n{\\displaystyle x=a}\nで連続である。\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが定義域に含まれる全ての\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nについて連続であるとき、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nを連続関数と呼ぶ。一般に、初等関数は連続関数である。\nなお、以下のような場合には注意が必要である。\n区間について、以下のように定める。\nある区間を\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの定義域と考えたとき、区間に含まれる全ての点において\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが連続ならば\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nはその区間で連続であるという。\n一般に、次の定理が成り立つ。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが閉区間\n\n[\na\n,\nb\n]\n\n{\\displaystyle [a,b]}\nで連続ならば、この区間においてそのグラフには切れ目がなく、さらに\n\nf\n(\na\n)\n≠\nf\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle f(a)\\neq f(b)}\nならば\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは\n\nf\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f(a)}\nと\n\nf\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle f(b)}\nの間の全ての値を取る。よって、次の定理が成り立つ。\n三角関数については、次が成り立つことが基本的である。\nまず\nを示す。\n半径1、中心角θの扇形を考える。後にθ→+0とするので0<θ<π/2としてよい。\n扇形OABの面積は、θ/2となる。\nまた、三角形OABを考えると、その面積は\nとなる。\nさらに、点Aを通る辺OAの垂線と、半直線OBとの交点をB'とすると、三角形OAB'の面積は、\nとなる。\nここで、図から明らかに、面積について以下の不等式が成り立つ。\n[三角形OAB]<[扇形OAB]<[三角形OAB']\n即ち\n逆数をとって各辺にsinθを掛けると、\nいま、\nより、はさみうちの原理から、\nが示された。\nまた、θ<0のときは、\nを考えると、いま-θ>0であり、かつθ→-0のとき-θ→+0であるから、上の結果を使うことができて、これにより、\nとなる。以上より、\nが成り立つ。■\n指数・対数関数に関して、次が成り立つ\nまた、自然対数は高等学校数学III/微分法で導入されるが、自然対数については、次が成り立つ。\nw:ネピア数\n\ne\n\n{\\displaystyle e}\nの定義より、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\n(\n1\n+\n\n1\nn\n\n)\nn\n\n=\ne\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }(1+{\\frac {1}{n}})^{n}=e}\n。これの両辺の自然対数をとって\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\nn\nlog\n⁡\n(\n1\n+\n\n1\nn\n\n)\n=\nlog\n⁡\ne\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }n\\log(1+{\\frac {1}{n}})=\\log e=1}\n。ここで、\n\nx\n=\n\n1\nn\n\n\n{\\displaystyle x={\\frac {1}{n}}}\nとすると、\n\nn\n→\n∞\n\n{\\displaystyle n\\to \\infty }\nで\n\nx\n→\n0\n\n{\\displaystyle x\\to 0}\nなので、\n\n\nlim\nx\n→\n0\n\n\nlog\n⁡\n(\n1\n+\nx\n)\nx\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to 0}{\\frac {\\log(1+x)}{x}}=1}\nとなる。■\nまた、これを用いてネピア数\n\ne\n\n{\\displaystyle e}\nについては、次が導かれる。\nlim\nx\n→\n0\n\n\nlog\n⁡\n(\n1\n+\nx\n)\nx\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to 0}{\\frac {\\log(1+x)}{x}}=1}\nの関係式で、\n\n\ne\nt\n\n=\n1\n+\nx\n\n{\\displaystyle e^{t}=1+x}\nとおくと、\n\nx\n→\n0\n\n{\\displaystyle x\\to 0}\nのときに\n\nt\n→\n0\n\n{\\displaystyle t\\to 0}\nとなり、\n\n\n\nlog\n⁡\n(\ne\nt\n\n)\n\ne\nt\n\n−\n1\n\n=\n\nt\n\ne\nt\n\n−\n1\n\n→\n1\n(\nt\n→\n0\n)\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\log(e^{t})}{e^{t}-1}}={\\frac {t}{e^{t}-1}}\\to 1(t\\to 0)}\n。\n両辺の逆数をとり、tをxに書き換えると、\n\n\nlim\nx\n→\n0\n\n\n\ne\nx\n\n−\n1\nx\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to 0}{\\frac {e^{x}-1}{x}}=1}\nとなる。■\n次の極限を求めよ\n\nここでは、上述のような極限の説明に「なんかウサンクサイ」と思う生徒を対象に、そのような疑問に少しでも応えることを目標とする。よって、そのような疑問を持たない生徒が読んでも、あまり意味はない。\n疑問を抱いた諸君、諸君の疑問はいたって正当である。あまりこのようなことを大っぴらに書くべきではないかもしれないが、高等学校における極限の取り扱いは「子供だまし」であり、近代以降の数学では極限という概念はもっと厳密な形で取り扱われている。しかしその内容は高校生には少し難しいし、詳しい書籍はほかにも存在する(wikibooksでも解析学基礎にある程度の記述がある)。そこでここでは、高校の教科書のように「子供だまし」をするのではなく、かといって厳密な形で議論するのでもなく、諸君を納得させられるかもしれない答えを提示したい。\nさて改めて、極限値という概念に次のような疑問を持つ生徒はいないだろうか。\nここでは、この問いに対するひとつの解答例を示したいと思う。分り易さを重視しているので厳密では無いが、ひとつの考え方の例として読んでもらいたい。\n分数関数 \n\nf\n(\nx\n)\n=\n1\n/\nx\n\n{\\displaystyle f(x)=1/x}\n を考える。この関数の正の無限大における極限値は\n\n0\n\n{\\displaystyle 0}\nである。\n数式で書くならば以下の通りである。\nここで敢えて、この数式には極々小さな正の誤差が紛れ込んでいる、と考える。\n\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nが限りなく無限大に近づいたとしても、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは絶対にx軸とは交わらず、漸近的に近づいていくだけであるため、無限大であっても等号が成り立つはずは無いからである。\nそこで、極限という概念で考えるのではなく、直接\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nに無限大を代入した値を誤差として考える。\n(この時、この代入の不可能性については考えないものとする。)\n当然ながら、この誤差の大きさは、\n\n1\n/\n∞\n\n{\\displaystyle 1/\\infty }\nという大きさになるのだが、この大きさは一体どのようなものだろうか?\nそもそもこの誤差の値は、実数であるかどうかすらも怪しい。何故なら、そもそも無限大という数自体が実数とは思えない性質を持っているからだ。\n無限大というのは、どの実数よりも大きい数という定義である。この時点ですでに実数の定義からハズレている事がよくわかるだろう。\n実数にこの無限大という数が含まれるのであれば、無限大は無限大より大きい、という矛盾が生まれる。\nゆえに、無限大は実数と言う枠組みから外し、実数でない未知の数であると考えるべきだろう。\nさて、この未知の数の逆数である\n\n1\n/\n∞\n\n{\\displaystyle 1/\\infty }\nはどういう値なのだろうか。当然ながら、これも未知の数であると言わざるを得ない。\n無限大の定義より、\n\n1\n/\n∞\n\n{\\displaystyle 1/\\infty }\nはどの正の実数よりも小さい正の数、という定義になり、無限大の時と同様に、実数でないことが証明できる。\nなお、この数は一般に無限小と呼ばれ、実数に無限小と無限大という概念を加えた数を「超実数」と呼ぶ。\nさて、この無限小という誤差を実数としてみるとどう見えるだろうか?\n無限小はどのような正の実数よりも小さい、というのだから、実数から見たら見かけ上\n\n0\n\n{\\displaystyle 0}\nに見えるだろう。\nそのような視点で考えているのが極限値というものである。\nもう少し踏み込んで、値域を実数とする\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの値として、無限小という非実数値が出現した、という事実をどう考えるべきだろうか?\nその問いに対しての極限値という概念の答えは、「強引に実数に変換する」という手法なのである。\n値域を実数とする関数に、非実数をいきなり登場させるわけにはいかない、というのは誰にでもわかることだろう。\n其の様な問題に対して考えられる答えは「関数の値域そのものを超実数に拡張する」又は「超実数を実数に変換して、値域を実数として保つ」というものだ。\n極限(lim)と言う操作・概念はこの二つの答えの内、後者の答えを選んだものとなる。\nlimという記号には、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nに\n\nx\n=\na\n±\n1\n/\n∞\n\n{\\displaystyle x=a\\pm 1/\\infty }\nをそれぞれ代入した数を計算し、その値から無限小を無視して、超実数を実数に変換するという意味合いが有る。\n実数という数から見れば、無限小など全く意味の無い数であることから、等式が成り立つ、と解釈できるのである。\n前者の答えを選んだ学問は超準解析と呼ばれるが、これは易しい学問ではなく、高校で教えるのには向かない。\n少し話をかえて、「無限大」「無限小」というモノ自体の実在について考えてみる。\n上の説明では「無限大」というモノが、実数でないので何だかわからないのだが、とにかくある、という前提で話を進めてきた。ここに疑問を感じた生徒もいるかもしれない。そのような生徒に向けて、さらに補足説明する。\n上でも述べたが、「超準解析」という学問においては、無限大・無限小は実体のあるものであり、数学的に厳密に取り扱われる。しかし、無限大・無限小を数学的に厳密に取り扱う事は非常に難しく、歴史的にも20世紀後半にようやく確立されたほどであった。つまり普通、数学においては無限大・無限小といったものを表に出して扱わないのである。この教科書の本文をもう一度見直してほしい。このコラムにおいて用いている「無限大に近づける(近づく)」といった表現はなく「限りなく大きくする」という表現を用いているはずである。荒っぽく言えば、「∞」は単体では意味を持たない記号であり、「\n\n\nlim\nx\n→\n∞\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to \\infty }}\n」のような特定の文脈を与えられて初めて意味を持つ「状態を表す記号」なのである。なんらかの数を表すものではない、という事に注意してほしい。この「\n\n\nlim\nx\n→\n∞\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{x\\to \\infty }}\n」はひと固まりで初めて意味を持つ記号であり、「xを」「∞に」「近づける」と分解するようなことはナンセンスだ、とも言える。\nでは、このコラムにおける説明はなんだったのか。実はこれは説明の方便である。はじめに述べたように、厳密な記述は難しいのであえて厳密でない書き方をしている。近代的な(非超準解析的な)立場の極限の取り扱い方は、実質的にはこのコラムの内容と同じことを、∞を表に出さず巧妙に表現したものである。\n本文の#三角関数と極限で示されている\nという式について、上で示した証明は、「w:循環論法になっていて証明になっていない」と言われることがある。それはどういうことか、興味がある人のために解説を加えておく。\nさてここで、どのように「循環論法」が形成されているのかはっきりさせておこう。\n論理が循環している構造が分かっただろうか。「極限を求めるために、その極限を利用している」と言ってもいいだろう。\n現代の数学では、もちろんこの循環論法は回避できる。もっと言えば、高校数学(新課程)の範囲内でよりよい証明を示すこともできる。しかしそれは今学んでいるより後に学習する内容を利用することにもなり、少々複雑である。\n高校数学の目的は完全な論理を組み立てることではなく、むしろ数学の、高校内容の中での体系的な理解を目的としている。このような理由から、現在多くの教科書に上と同様の証明が掲載されていると考えられるし、WIKIBOOKSもこれに倣った。\nしかしここでは興味のある諸君のために、「高校内容の範囲(新課程)でのよりよい証明」を示しておこう。面積を利用することは避けて、円弧の長さから問題の極限の値を導いてみよう。ただし、数学IIIの微分、積分(新課程のみの内容も含む)の内容を利用する。\nまずは、「ラジアンとは何か」を考え直してみよう。というのも、ラジアンの定義には円弧の長さを利用したが、現代の数学では「w:曲線の長さ」も定義なしには扱えないからである。つまりわれわれは、円弧の長さを数学的に定義すればよいということだ。このあとの積分の単元(新課程)で学習することになるが、区間a≦x≦bで自身と導関数がともに連続である関数f について、y =f (x)(a≦x≦b)で表される曲線C の長さは、次の式で求められる。(証明は該当ページ参照 ※2014/02/08時点でWIKIBOOKS内では未作成)\nここで、f (x)を半円弧\n\n\n1\n−\nx\n2\n\n\n(\n−\n1\n≤\nx\n≤\n1\n)\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {1-x^{2}}}(-1\\leq x\\leq 1)}\nとすると、円弧の長さを計算できる。ただし、積分区間にx =-1もしくはx =1を含めると具合が悪いので(被積分関数が値を持たない(極限は正の無限大))、積分区間を\n\n−\n\n1\n2\n\n≤\nx\n≤\n\n1\n2\n\n\n{\\displaystyle -{\\frac {1}{\\sqrt {2}}}\\leq x\\leq {\\frac {1}{\\sqrt {2}}}}\nとしたものを四分円弧の長さとし、円の対称性から円弧一周の長さを決定するとよいとだけ補足しておく。\nさて、これでようやく円弧の長さを定義できたので、ラジアンも定義することができる。いよいよ問題の極限の値を求めてみよう。そのために一般的に、再び区間a≦x≦bで自身とその導関数がともに連続である関数f について、y =f (x)(a≦x≦b)で表される曲線C を考えよう。ここで、a≦x≦b, a≦x+Δx≦b, Δx≠0を満たすようにx およびΔxをとる。また、曲線C上に2点P(x,f (x)),Q(x +Δx,f (x +Δx))をとる。いま曲線PQの長さを\n\n\n\n\nP\n\nQ\n\n^\n\n\n{\\displaystyle {\\widehat {\\mathrm {P} \\mathrm {Q} }}}\n、直線PQの長さをPQで表すこととすると、\nが成り立つことを示そう。\nw:平均値の定理により、\nを満たす実数θが存在する。また、\n\n\n\n\nP\n\nQ\n\n^\n\n\n{\\displaystyle {\\widehat {\\mathrm {P} \\mathrm {Q} }}}\nを先述の式により定積分で表すと、\nであり、ここで、\n\n\n1\n+\n\n{\n\nf\n′\n(\nx\n)\n}\n\n2\n\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {1+\\left\\{f'(x)\\right\\}^{2}}}}\nが、\n\nx\n=\nx\n+\nθ\nM\n\nΔ\nx\n,\nx\n+\nθ\nm\n\nΔ\nx\n\n{\\displaystyle x=x+\\theta _{M}\\Delta x,x+\\theta _{m}\\Delta x}\n (0≦θM≦1, 0≦θm≦1)でそれぞれxからx +Δxの間での最大値、最小値をとるとすると、xからx +Δxの間の任意の実数t に対して、\nが成り立つ。各辺x からx +Δxまで積分することにより、\nを得る。よって\nここで、\nより、はさみうちの原理から、\nさて、今度こそ問題の極限を求めてみよう。\n本文と同様にθ>0をまず考える。\nとして、y =f (x)上のx座標がxである点をP,x+Δxである点をQとし、\nとする。すると、ラジアンの定義より、\n\n\n\n\nP\n\nQ\n\n^\n\n=\n2\nθ\n\n{\\displaystyle {\\widehat {\\mathrm {P} \\mathrm {Q} }}=2\\theta }\n となり、また図形的考察によりPQ=2sinθであることが分かる(Oから弦PQに垂線を下ろすと分かりやすい)。ここで\nを考えると、Δx→0のとき、θ→+0であるから、上で証明したことを用いると、\nθ<0のときは本文と同様である。以上より、循環論法に陥ることなく、\nが示された。■\nこのように、この循環論法を避けるのは少々難しい。循環論法を避けるために三角関数の微積分を後回しにして、この証明のための道具が揃うまで話を進めるのはこと「学習/教育」においてはどう考えても非効率的で、そのような回り道をするのは本末転倒である。ということで、「循環論法」と聞いて教科書に不信感を抱いた君も、ここまで読めば致し方ないことに納得してもらえたと思う。\nところでこの循環論法を避ける方法はこれだけではない。sinx及びcosxをxの非負整数乗の無限級数で定義する方法や、w:微分方程式を用いて定義する方法などが考えられるが、前者は少なくとも教科書に載せるには向かないし、後者はどう考えても高校範囲外である。ここで解説することはしないが、興味があれば次に示す参考文献を読んでみるといいかもしれない。\nそれにしてもこのコラムをここまで読み進めた君の好奇心は大したものである。君の成長を期待している。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6III/%E6%A5%B5%E9%99%90"} {"text": "ここでは、微分・積分の考えで学んだ微分の性質についてより詳しく扱う。特に、関数の和、差、積、商、更に合成関数や、逆関数の導関数について詳しく扱う。また、三角関数などの複雑な関数の微分についてもここでまとめる。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが任意の点xで極限値\nを持つとき、関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは微分可能と言い、関数f' を、関数fの導関数と呼ぶ。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nが微分可能ならば、連続関数である。\n(証明)\nfが微分可能とすると、\nなので、fは連続である。\nここでは、関数の和、差、積、商の微分について扱う。これらの方法は以降の計算で常に用いられる内容であるので、十分に習熟しておく必要がある。\nf,gを微分可能な関数とする。このとき、fとgの和について次が成り立つ。\nこれは、関数の和を微分して得られる導関数は、それぞれの関数の和を足し合わせたものに等しいことを表している。\n導出\n次に、関数の実数倍の導関数について考える。関数の実数倍をしたものを微分したものは、実数倍する前の関数に対する導関数を実数倍したものになる。具体的には次の式が成り立つ。\n\n(\na\nf\n)\n′\n=\na\nf\n′\n\n{\\displaystyle (af)'=af'}\n\n(aは定数) \n導出\n積に関しては、和や実数倍と比べて計算結果がより複雑になる。具体的には次が成り立つ。\nこれは、それぞれの関数の微分とそれ以外の関数との積が得られるということを表している。これは導出を見ないとなぜこうなるかがわからないかも知れないが、よく導出を検討することが重要である。\n導出\nここで、\n\n\nlim\nh\n→\n0\n\nf\n(\nx\n+\nh\n)\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle \\lim _{h\\rightarrow 0}f(x+h)=f(x)}\nに注意すると、\n商の導関数については次式が成り立つ。\nこの式についても、よく導出を検討することが必要である。\n導出\nまた、商の導関数の式と、積の導関数の式より、次の公式が導かれる。\nこの式は、積の式と商の式から直接従う式だが、よく現れる形であるので、覚えておくと便利なことがある。\n導出\n合成関数とは、2つの関数\n\nf\n,\ng\n\n{\\displaystyle f,g}\nを用いて、\n\nh\n(\nx\n)\n=\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle h(x)=f(g(x))}\nという形で書くことができる関数のことである。合成関数は、与えられた変数に対する関数と見ることができ、導関数を取ることも可能である。具体的には、\nが成り立つ。\n導出\nとなる。\nf\n(\nx\n)\n=\n\nx\n\n\n{\\displaystyle f(x)={\\sqrt {x}}}\n、\n\ng\n(\nx\n)\n=\nx\n2\n\n+\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle g(x)=x^{2}+x+1}\nとする。この合成関数は、\n\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n=\n\nx\n2\n\n+\nx\n+\n1\n\n\n{\\displaystyle f(g(x))={\\sqrt {x^{2}+x+1}}}\nである。\nこの合成関数の導関数を求めてみよう。\nf\n′\n(\nx\n)\n=\n\n1\n2\n\nx\n\n\n\n{\\displaystyle f'(x)={\\frac {1}{2{\\sqrt {x}}}}}\ng\n′\n(\nx\n)\n=\n2\nx\n+\n1\n\n{\\displaystyle g'(x)=2x+1}\nなので、\n\n\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n′\n=\nf\n′\n(\ng\n(\nx\n)\n)\ng\n′\n(\nx\n)\n=\n\n2\nx\n+\n1\n\n2\n\nx\n2\n\n+\nx\n+\n1\n\n\n\n{\\displaystyle {f(g(x))}'=f'(g(x))g'(x)={\\frac {2x+1}{2{\\sqrt {x^{2}+x+1}}}}}\nである。\n※関数\n\nf\n,\ng\n\n{\\displaystyle f,g}\nの合成関数を\n\nf\n∘\ng\n(\nx\n)\n=\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n\n{\\displaystyle f\\circ g(x)=f(g(x))}\nと書くことがある。\n合成関数の微分はライプニッツの記法を用いて、\n\ny\n=\nf\n(\nu\n)\n,\nu\n=\ng\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(u),u=g(x)}\nのとき、\n\n\n\nd\ny\n\nd\nx\n\n=\nf\n(\ng\n(\nx\n)\n)\n′\n\n{\\displaystyle {\\frac {dy}{dx}}=f(g(x))'}\n、\n\n\nf\n′\n(\nu\n)\n=\n\nd\ny\n\nd\nu\n\n\n{\\displaystyle f'(u)={\\frac {dy}{du}}}\n、\n\n\ng\n′\n(\nx\n)\n=\n\nd\nu\n\nd\nx\n\n\n{\\displaystyle g'(x)={\\frac {du}{dx}}}\nなので、\nと書くことができる。\n(\nf\n−\n1\n\n(\ny\n)\n)\n′\n=\n\n1\n(\nf\n(\nx\n)\n)\n′\n\n\n\n{\\displaystyle (f^{-1}(y))'={\\frac {1}{(f(x))'}}}\n導出\ny\n=\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y=f(x)}\nと置くと、\n\nx\n=\nf\n−\n1\n\n(\ny\n)\n\n{\\displaystyle x=f^{-1}(y)}\nで、\n\n\ny\n→\ny\n0\n\n\n{\\displaystyle y\\to y_{0}}\nのとき\n\nx\n→\nx\n0\n\n\n{\\displaystyle x\\to x_{0}}\nであるから、\nまた、\nである。\n(導出)\nここで、二項定理により\nただし\nなので、\nこの式を、式(1)の右辺に代入すると\nである。\nとなる。\n導出\nに注意すると、\nとなり、結果が得られた。\ntan\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\tan x}\nについては、\nここで\n\nk\n=\n\nh\nx\n\n\n{\\displaystyle k={\\frac {h}{x}}}\nと置くと、\nkを0に近づけていくと、\n\n(\n1\n+\nk\n)\n\n1\nk\n\n\n{\\displaystyle (1+k)^{\\frac {1}{k}}}\nは、\n1.1\n\n1\n0.1\n\n=\n2.5937424601\n\n{\\displaystyle 1.1^{\\frac {1}{0.1}}=2.5937424601}\n1.01\n\n1\n0.01\n\n=\n2.7048138294215260932671947108075\n\n{\\displaystyle 1.01^{\\frac {1}{0.01}}=2.7048138294215260932671947108075}\n1.001\n\n1\n0.001\n\n=\n2.7169239322358924573830881219476\n\n{\\displaystyle 1.001^{\\frac {1}{0.001}}=2.7169239322358924573830881219476}\n1.0001\n\n1\n0.0001\n\n=\n2.7181459268252248640376646749131\n\n{\\displaystyle 1.0001^{\\frac {1}{0.0001}}=2.7181459268252248640376646749131}\n0.9\n\n1\n−\n0.1\n\n\n=\n2.8679719907924413133222572312408\n\n{\\displaystyle 0.9^{\\frac {1}{-0.1}}=2.8679719907924413133222572312408}\n0.99\n\n1\n−\n0.01\n\n\n=\n2.7319990264290260038466717212578\n\n{\\displaystyle 0.99^{\\frac {1}{-0.01}}=2.7319990264290260038466717212578}\n0.999\n\n1\n−\n0.001\n\n\n=\n2.719642216442850365397553464404\n\n{\\displaystyle 0.999^{\\frac {1}{-0.001}}=2.719642216442850365397553464404}\n0.9999\n\n1\n−\n0.0001\n\n\n=\n2.7184177550104492651837311208356\n\n{\\displaystyle 0.9999^{\\frac {1}{-0.0001}}=2.7184177550104492651837311208356}\n(計算:Windows付属電卓)\nとなり、一定の値に近づいていく(証明は数学IIIの範囲ではできない)。\nこの一定の値、すなわち\nlim\nk\n→\n0\n\n(\n1\n+\nk\n)\n\n1\nk\n\n=\n2.718281828...\n\n{\\displaystyle \\lim _{k\\to 0}(1+k)^{\\frac {1}{k}}=2.718281828...}\nをeで表す。すると、\n\n\nlim\nk\n→\n0\n\n(\n1\n+\nk\n)\n\n1\nk\n\n=\ne\n\n{\\displaystyle \\lim _{k\\to 0}(1+k)^{\\frac {1}{k}}=e}\nこれを、上の式に代入すると、\n特に\n\na\n=\ne\n\n{\\displaystyle a=e}\nのとき、\n(\nlog\ne\n\n⁡\nx\n)\n′\n=\n\n1\nx\n\n\n{\\displaystyle (\\log _{e}x)'={\\frac {1}{x}}}\neを底とする対数を自然対数という。\n数学では、\n\n\nlog\ne\n\n⁡\nx\n\n{\\displaystyle \\log _{e}x}\nのeを省略してlog xと書く。\n数学以外の分野では、常用対数と区別するために、ln xが用いられることもある。\nまた、\n\nlog\n⁡\n|\nx\n|\n\n{\\displaystyle \\log |x|}\nの微分は、\nx>0のとき\nx<0のとき\nよって、\n\n(\nlog\n⁡\n|\nx\n|\n\n)\n′\n=\n\n1\nx\n\n\n{\\displaystyle (\\log |x|)'={\\frac {1}{x}}}\ny\n=\na\nx\n\n(\na\n>\n0\n)\n\n{\\displaystyle y=a^{x}(a>0)}\n両辺の自然対数をとると、\nlog\n⁡\ny\n=\nx\nlog\n⁡\na\n\n{\\displaystyle \\log y=x\\log a}\n両辺をxで微分すると、\ny\n′\ny\n\n=\nlog\n⁡\na\n\n{\\displaystyle {\\frac {y'}{y}}=\\log a}\ny\n′\n=\ny\nlog\n⁡\na\n\n{\\displaystyle y'=y\\log a}\ny\n′\n=\na\nx\n\nlog\n⁡\na\n\n{\\displaystyle y'=a^{x}\\log a}\n特にa=eの場合\n(\ne\nx\n\n)\n′\n=\ne\nx\n\n\n{\\displaystyle (e^{x})'=e^{x}}\naは実数とする。\n\ny\n=\nx\na\n\n\n{\\displaystyle y=x^{a}}\n両辺の絶対値の自然対数をとって\nlog\n⁡\n|\ny\n|\n=\na\nlog\n⁡\n|\nx\n|\n\n{\\displaystyle \\log |y|=a\\log |x|}\n両辺をxで微分して、\ny\n′\ny\n\n=\na\n∗\n\n1\nx\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {y'}{y}}=a*{\\frac {1}{x}}}\nよって\n導関数f'(x)をf(x)の第1次導関数という。\n導関数の導関数を第2次導関数という。\n導関数の導関数の導関数を第3次導関数という。\n一般に、関数f(x)をn回微分して得られる関数を第n次導関数といい、\ny\n(\nn\n)\n\n,\nf\n(\nn\n)\n\n,\n\n\nd\nn\n\ny\n\nd\nx\nn\n\n\n,\n\nd\nn\n\nd\nx\nn\n\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle y^{(n)},f^{(n)},{\\frac {d^{n}y}{dx^{n}}},{\\frac {d^{n}}{dx^{n}}}f(x)}\nのいずれかで表す。\nまた、nが1,2,3の時はそれぞれ\n\n\ny\n′\n,\ny\n″\n,\ny\n‴\n\n{\\displaystyle y',y'',y'''}\nや\n\n\nf\n′\n(\nx\n)\n,\nf\n″\n(\nx\n)\n,\nf\n‴\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f'(x),f''(x),f'''(x)}\nと表す。\n2次以上の導関数を高次導関数という。\n(例)\n\nf\n(\nx\n)\n=\nx\n5\n\n\n{\\displaystyle f(x)=x^{5}}\nの第3次導関数は\nf\n′\n(\nx\n)\n=\n5\nx\n4\n\n\n{\\displaystyle f'(x)=5x^{4}}\nf\n″\n(\nx\n)\n=\n20\nx\n3\n\n\n{\\displaystyle f''(x)=20x^{3}}\nf\n‴\n(\nx\n)\n=\n60\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle f'''(x)=60x^{2}}\nなので\n\n60\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 60x^{2}}\nである。\n関数\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n上の点\n\n(\na\n,\nf\n(\na\n)\n)\n\n{\\displaystyle (a,f(a))}\nにおける接線の傾きは\n\n\nf\n′\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f'(a)}\nであるので、接線の方程式は\ny\n−\nf\n(\na\n)\n=\nf\n′\n(\na\n)\n(\nx\n−\na\n)\n\n{\\displaystyle y-f(a)=f'(a)(x-a)}\nとなる。\nまた、接点を通り接線に垂直な直線を法線(ほうせん)という。\n垂直な直線同士は傾きの符号が逆であり、傾きの絶対値が逆数であるので、法線の方程式は\ny\n−\nf\n(\na\n)\n=\n−\n\n1\n\nf\n′\n(\na\n)\n\n(\nx\n−\na\n)\n\n{\\displaystyle y-f(a)=-{\\frac {1}{f'(a)}}(x-a)}\nとなる。\nf\n′\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f'(a)}\nは\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nの点\n\n(\na\n,\nf\n(\na\n)\n)\n\n{\\displaystyle (a,f(a))}\nでの傾きを表す。\nよって、\nである。\nまた、\n\n\nf\n′\n(\na\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle f'(a)=0}\nで、\n\na\n\n{\\displaystyle a}\nの前後で\n\n\nf\n′\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f'(x)}\nの符号が\n\n+\n\n{\\displaystyle +}\nから\n\n−\n\n{\\displaystyle -}\nに変わるならば、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは点\n\n(\na\n,\nf\n(\na\n)\n)\n\n{\\displaystyle (a,f(a))}\nで増加から減少に転じる。このときの\n\nf\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f(a)}\nを極大値(きょくだいち)という。\nまた、\n\n−\n\n{\\displaystyle -}\nから\n\n+\n\n{\\displaystyle +}\nに変わるならば、\n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\nは点\n\n(\na\n,\nf\n(\na\n)\n)\n\n{\\displaystyle (a,f(a))}\nで減少から増加に転じるので、このときの\n\nf\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f(a)}\nを極小値(きょくしょうち)という。\n極大値と極小値をまとめて極値(きょくち)という。\n\n\nf\n′\n(\na\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle f'(a)=0}\nであっても、前後で符号が変わらなければ\n\nf\n(\na\n)\n\n{\\displaystyle f(a)}\nは極値ではない。\n第二次導関数の図形的な意味を考えてみよう。導関数は各点での接線の傾きを表している。第二次導関数は導関数の導関数だから、接線の傾きの変化率、すなわちグラフの曲がり具合を表していることになる。第二次導関数が正のときは傾きが増加しているのだからグラフは下に凸、負のときは上に凸となる。\nグラフの曲がり具合が変わる点のことを変曲点(へんきょくてん)という。上の考察から、変曲点は第二次導関数の符号が変わる点であることがわかる。極値の場合と同様に、たとえ\n\n\nf\n″\n(\na\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle f''(a)=0}\nであっても、符号が変わらなければ変曲点ではない。\n関数のグラフを書くときには、変曲点の情報は極値と同様に重要なので、増減表にも第二次導関数の欄をつくり、変曲点を記入するとよい。\n数直線上を運動する物体が時刻 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n のとき位置 \n\nx\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle x(t)}\n にあるとする。この物体の速度を求める。\n時刻が \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n から \n\nt\n+\nh\n\n{\\displaystyle t+h}\n に移動するとき、物体は \n\nx\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle x(t)}\n から \n\nx\n(\nt\n+\nh\n)\n\n{\\displaystyle x(t+h)}\n の位置に移動する[1]。このときの平均の速度は \n\n\n\nΔ\nx\n\nΔ\nt\n\n=\n\nx\n(\nt\n+\nh\n)\n−\nx\n(\nt\n)\n\n(\nt\n+\nh\n)\n−\nt\n\n=\n\nx\n(\nt\n+\nh\n)\n−\nx\n(\nt\n)\nh\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\Delta x}{\\Delta t}}={\\frac {x(t+h)-x(t)}{(t+h)-t}}={\\frac {x(t+h)-x(t)}{h}}}\n\nここで、\n\nΔ\nt\n=\nh\n\n{\\displaystyle \\Delta t=h}\n なので、 \n\nh\n\n{\\displaystyle h}\n を限りなく 0 に近づければ、この物体の瞬間の速度が求められる。時刻 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n のときの物体の瞬間の速度を \n\nv\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle v(t)}\n とすれば、\n\n\nv\n(\nt\n)\n=\nlim\nh\n→\n0\n\n\nx\n(\nt\n+\nh\n)\n−\nx\n(\nt\n)\nh\n\n=\nx\n′\n(\nt\n)\n=\n\nd\nx\n\nd\nt\n\n\n{\\displaystyle v(t)=\\lim _{h\\to 0}{\\frac {x(t+h)-x(t)}{h}}=x'(t)={\\frac {dx}{dt}}}\n である。\n同様に、加速度についても、時刻 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n のときの物体の加速度を \n\na\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle a(t)}\n とすれば\na\n(\nt\n)\n=\nlim\nΔ\nt\n→\n0\n\n\nΔ\nv\n\nΔ\nt\n\n=\nlim\nΔ\nh\n→\n0\n\n\n\nx\n′\n(\nt\n+\nh\n)\n−\nx\n′\n(\nt\n)\nh\n\n=\nx\n″\n(\nt\n)\n=\n\n\nd\n2\n\nx\n\nd\nt\n2\n\n\n\n{\\displaystyle a(t)=\\lim _{\\Delta t\\to 0}{\\frac {\\Delta v}{\\Delta t}}=\\lim _{\\Delta h\\to 0}{\\frac {x'(t+h)-x'(t)}{h}}=x''(t)={\\frac {d^{2}x}{dt^{2}}}}\nこれは、平面上を運動する物体にも拡張できる。時刻 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n のときの物体の位置ベクトルが \n\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n=\n(\nx\n(\nt\n)\n,\ny\n(\nt\n)\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(t)=(x(t),y(t))}\n で与えられるとき、この物体の速度ベクトル \n\n\n\nv\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {v}}}\n は \n\n\n\nv\n→\n\n=\nlim\nΔ\nt\n→\n0\n\n\nΔ\n\nx\n→\n\n\nΔ\nt\n\n=\n\nd\n\nx\n→\n\n\nd\nt\n\n=\n(\n\n\nd\nx\n\nd\nt\n\n,\n\nd\ny\n\nd\nt\n\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {v}}=\\lim _{\\Delta t\\to 0}{\\frac {\\Delta {\\vec {x}}}{\\Delta t}}={\\frac {d{\\vec {x}}}{dt}}=\\left({\\frac {dx}{dt}},{\\frac {dy}{dt}}\\right)}\n である。同様に加速度ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n についても、 \n\n\n\na\n→\n\n=\n(\n\n\nd\n2\n\nx\n\nd\nt\n2\n\n\n,\n\n\nd\n2\n\nx\n\nd\nt\n2\n\n\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\left({\\frac {d^{2}x}{dt^{2}}},{\\frac {d^{2}x}{dt^{2}}}\\right)}\n。\n例えば、角速度 \n\nω\n\n{\\displaystyle \\omega }\n で原点を中心に半径 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n の円運動する物体が \n\nt\n=\n0\n\n{\\displaystyle t=0}\n で \n\n\n\nx\n→\n\n(\n0\n)\n=\n(\nr\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(0)=(r,0)}\n にあるとき、この物体の時刻 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n のときの位置ベクトル \n\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(t)}\n は \n\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n=\nr\n(\n\n\ncos\n⁡\nω\nt\n\n\nsin\n⁡\nω\nt\n\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(t)=r\\left({\\begin{aligned}\\cos \\omega t\\\\\\sin \\omega t\\end{aligned}}\\right)}\n である。速度ベクトルは、\n\n\n\nv\n→\n\n=\n\nd\n\nx\n→\n\n\nd\nt\n\n=\nr\nω\n(\n\n\n−\nsin\n⁡\nω\nt\n\n\ncos\n⁡\nω\nt\n\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {v}}={\\frac {d{\\vec {x}}}{dt}}=r\\omega \\left({\\begin{aligned}-\\sin \\omega t\\\\\\cos \\omega t\\end{aligned}}\\right)}\n。加速度ベクトルは\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nd\n2\n\n\nx\n→\n\n\n\nd\n2\n\nt\n\n=\n−\nr\nω\n2\n\n(\n\n\ncos\n⁡\nω\nt\n\n\nsin\n⁡\nω\nt\n\n\n)\n=\n−\nω\n2\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\frac {d^{2}{\\vec {x}}}{d^{2}t}}=-r\\omega ^{2}\\left({\\begin{aligned}\\cos \\omega t\\\\\\sin \\omega t\\end{aligned}}\\right)=-\\omega ^{2}{\\vec {x}}(t)}\n。ここから、位置ベクトル \n\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(t)}\n と速度ベクトル \n\n\n\nv\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {v}}(t)}\n は直行し、位置ベクトル \n\n\n\nx\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}(t)}\n と加速度ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}(t)}\n は逆向きであり、\n\n\n|\n\n\nv\n→\n\n(\nt\n)\n|\n=\nr\nω\n\n{\\displaystyle |{\\vec {v}}(t)|=r\\omega }\n 、 \n\n\n|\n\n\na\n→\n\n(\nt\n)\n|\n=\nr\nω\n2\n\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}(t)|=r\\omega ^{2}}\n が成立することが分かる。\nまた、円運動の \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 成分 または \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n 成分だけに注目すれば、それは単振動である。\n関数 \n\nf\n(\nx\n)\n\n{\\displaystyle f(x)}\n は \n\n[\na\n,\nb\n]\n\n{\\displaystyle [a,b]}\n で連続、 \n\n(\na\n,\nb\n)\n\n{\\displaystyle (a,b)}\n で微分可能とする。\nf\n(\na\n)\n=\nf\n(\nb\n)\n\n{\\displaystyle f(a)=f(b)}\n ならば \n\n\nf\n′\n(\nc\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle f'(c)=0}\n となる点 \n\na\n<\nc\n<\nb\n\n{\\displaystyle a\n0\n\n{\\displaystyle a>0}\n のときは双曲線となる(\n\n\ny\n2\n\n−\na\n\n(\nx\n+\n\nb\n2\na\n\n\n)\n\n2\n\n=\n\n−\nb\n2\n\n+\n4\na\nc\n\n4\na\n\n\n{\\displaystyle y^{2}-a\\left(x+{\\frac {b}{2a}}\\right)^{2}={\\frac {-b^{2}+4ac}{4a}}}\nより[1])。このとき、\n\ny\n=\n±\n\na\n\nx\n+\nt\n\n{\\displaystyle y=\\pm {\\sqrt {a}}x+t}\n すなわち \n\nt\n=\n∓\n\na\n\nx\n+\n\na\nx\n2\n\n+\nb\nx\n+\nc\n\n\n{\\displaystyle t=\\mp {\\sqrt {a}}x+{\\sqrt {ax^{2}+bx+c}}}\n と変換するとうまく計算できる(符号はどちらを選択しても良い)。幾何学的には、双曲線の漸近線に平行で切片が \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n の直線 \n\ny\n=\n±\n\na\n\nx\n+\nt\n\n{\\displaystyle y=\\pm {\\sqrt {a}}x+t}\n と双曲線のただ一つの交点 \n\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle (x,y)}\n を変数 \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n で表したものである。\n例 \n\n∫\n\nd\nx\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle \\int {\\frac {dx}{\\sqrt {x^{2}-1}}}}\n は \n\nt\n=\nx\n+\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle t=x+{\\sqrt {x^{2}-1}}}\n と置換すると、\n\n\n1\nt\n\n=\nx\n−\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{t}}=x-{\\sqrt {x^{2}-1}}}\n なので、\n\nt\n+\n\n1\nt\n\n=\n2\nx\n\n{\\displaystyle t+{\\frac {1}{t}}=2x}\n すなわち \n\n2\nd\nx\n=\n(\n1\n−\n\n1\nt\n2\n\n\n)\nd\nt\n\n{\\displaystyle 2dx=\\left(1-{\\frac {1}{t^{2}}}\\right)dt}\n また、 \n\nt\n−\n\n1\nt\n\n=\n2\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle t-{\\frac {1}{t}}=2{\\sqrt {x^{2}-1}}}\n.なので、\n\n∫\n\nd\nx\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n=\n∫\n\n1\n−\n\n1\nt\n2\n\n\n\nt\n−\n\n1\nt\n\n\nd\nt\n=\n∫\n\nd\nt\nt\n\n=\nln\n⁡\n|\nx\n+\n\nx\n2\n\n−\n1\n\n|\n+\nC\n\n{\\displaystyle \\int {\\frac {dx}{\\sqrt {x^{2}-1}}}=\\int {\\frac {1-{\\frac {1}{t^{2}}}}{t-{\\frac {1}{t}}}}dt=\\int {\\frac {dt}{t}}=\\ln |x+{\\sqrt {x^{2}-1}}|+C}\n である。\nところで、この変換は双曲線 \n\n\ny\n2\n\n=\nx\n2\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle y^{2}=x^{2}-1}\n と直線 \n\ny\n=\n−\nx\n+\nt\n\n{\\displaystyle y=-x+t}\n のただ一つの交点による変換であった。その交点を方程式を解いて \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n で表すと、\n\nx\n=\n\n1\n2\n\n(\nt\n+\n\n1\nt\n\n)\n,\ny\n=\n\n1\n2\n\n(\nt\n−\n\n1\nt\n\n)\n\n{\\displaystyle x={\\frac {1}{2}}\\left(t+{\\frac {1}{t}}\\right),\\,y={\\frac {1}{2}}\\left(t-{\\frac {1}{t}}\\right)}\n を得る。これは双曲線の媒介変数表示の一つである。また、 \n\nt\n→\ne\nt\n\n\n{\\displaystyle t\\rightarrow e^{t}}\n とすると、\n\nx\n=\n\n\ne\nt\n\n+\ne\n−\nt\n\n2\n\n=\ncosh\n⁡\nt\n,\ny\n=\n\n\ne\nt\n\n−\ne\n−\nt\n\n2\n\n=\nsinh\n⁡\nt\n.\n\n{\\displaystyle x={\\frac {e^{t}+e^{-t}}{2}}=\\cosh t,\\,y={\\frac {e^{t}-e^{-t}}{2}}=\\sinh t.}\n これは \n\nx\n>\n0\n\n{\\displaystyle x>0}\n の部分の双曲線の媒介変数表示である。最右辺は双曲線関数と呼ばれ、三角関数と似た性質を持つ。関数名の \n\n\nh\n\n{\\displaystyle \\mathrm {h} }\n はhyperbolaに由来する。例えば、双曲線の方程式より得られる \n\n\ncosh\n2\n\n⁡\nt\n−\nsinh\n2\n\n⁡\nt\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\cosh ^{2}t-\\sinh ^{2}t=1}\n は \n\n\nsin\n2\n\n⁡\nθ\n+\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\sin ^{2}\\theta +\\cos ^{2}\\theta =1}\n とよく似ている。例示の不定積分は \n\nx\n=\ncosh\n⁡\nt\n\n{\\displaystyle x=\\cosh t}\n と置換しても解くことが出来るが、ほとんど同じことなので省略する。\na\n<\nb\n\n{\\displaystyle a\n0\n\n{\\displaystyle f(x)>0}\nであるものとして考える。この曲線と、x軸、および直線\n\nx\n=\na\n,\nx\n=\nb\n(\na\n<\nb\n)\n\n{\\displaystyle x=a,x=b(a\n∠\nC\n\n{\\displaystyle AB\\angle C}\n の証明)\nA\nB\n<\nA\nC\n\n{\\displaystyle AB\n∠\nC\n\n{\\displaystyle \\angle B>\\angle C}\n(\n\n∠\nB\n>\n∠\nC\n \n⇒\n \nA\nB\n<\nA\nC\n\n{\\displaystyle \\angle B>\\angle C\\ \\Rightarrow \\ AB\n∠\nC\n\n{\\displaystyle \\angle B>\\angle C}\n であって、\n\nA\nB\n<\nA\nC\n\n{\\displaystyle AB\n∠\nC\n\n{\\displaystyle \\angle B>\\angle C}\n に反する。\nよって、\n\nA\nB\n<\nA\nC\n\n{\\displaystyle AB\nB\nC\n\n{\\displaystyle AB+AC>BC}\n を証明する。\n辺BAをAの方に延長し、その上に点Dを、\n\nA\nD\n=\nA\nC\n\n{\\displaystyle AD=AC}\n となるようにとる。\n△\nA\nC\nD\n\n{\\displaystyle \\triangle ACD}\n は二等辺三角形であるから\n△\nB\nC\nD\n\n{\\displaystyle \\triangle BCD}\n において、点Aは辺BD上にあるから\nよって、三角形の辺と角の大小の定理より\n△\nA\nB\nC\n\n{\\displaystyle \\triangle ABC}\n の3辺の長さを、\n\nB\nC\n=\na\n \n,\n \nC\nA\n=\nb\n \n,\n \nA\nB\n=\nc\n\n{\\displaystyle BC=a\\ ,\\ CA=b\\ ,\\ AB=c}\n とすると、上の定理より次のことがわかる。\n三角形の2辺の差は、残りの辺よりも小さい。\nであるから、\n\nb\n≥\nc\n\n{\\displaystyle b\\geq c}\n のとき、\n\nc\n+\na\n>\nb\n\n{\\displaystyle c+a>b}\n より\nb\n<\nc\n\n{\\displaystyle b\nc\n\n{\\displaystyle a+b>c}\n より\nが成り立つ。\n2つの定理より、三角形の3辺が \n\na\n \n,\n \nb\n \n,\n \nc\n\n{\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c}\n であるとき、\nが成り立つことがわかる。\n逆に、正の数 \n\na\n \n,\n \nb\n \n,\n \nc\n\n{\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c}\n が不等式 \n\n\n|\nb\n−\nc\n|\n<\na\n<\nb\n+\nc\n\n{\\displaystyle |b-c|\nr\n2\n\n\n{\\displaystyle r_{1}>r_{2}}\n),中心間の距離を\n\nl\n\n{\\displaystyle l}\nとすると、2円の位置関係として\nがある。\n2つの円がただ1つの共有点をもつとき、この2つの円は接するといい、この共有点を接点(せってん、英:point of contact)という。\n1つの直線が、2つの円に接しているとき、この直線を、2つの円の共通接線という。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6A/%E5%9B%B3%E5%BD%A2%E3%81%AE%E6%80%A7%E8%B3%AA"} {"text": "たとえば、おはじきを一列に並べる場合、並べ方の数には、いくつもの方法がある。じっさいに全ての並び方を試すことも、時間さえあれば実験可能である。\nこのように、「全部で何通りがあるか」という、その「何通り」の「何」にあたる数字を、場合の数(ばあいのかず) と呼ぶ。\nこのように事柄には、それらのやり方が全部で何通りあるかを数えることが出来る事柄がある。\nある事柄について(そのことが起こりうる)場合の数を正確に数えることが理解の基礎であり、その事柄について、どのことが起こりやすくどのことが起こりづらいかを見分けるための基礎となる。\nつまり、場合の数は事柄が起こりうる確率と密接な関係にある。\n例えば、ポーカーなどのカードゲームでは集めることが難しい役は高いランクが与えられているが、\nこれは起こりにくい役が出来るトランプの組み合わせの現われる確率が小さいことによる。\nこのことは、52枚のカードから5枚を引いて来たときに全てのカードを引く確率が同じであるとしたとき、ある役に対応するカードの組み合わせを引く場合の数がより少ないことに対応する。\nこのように、場合の数は事柄が起こりうる確率と密接な関係にある。\nカードゲームのように確率が具体的に計算できる場合の他にも、確率の考え方を用いて計算される事柄は多くある。\nたとえば、保険(ほけん)と呼ばれるものはある事柄に値段をつけるものであるが、\n保険を下ろさなくてはならない事柄が起こりにくいと客観的に思われるものほど、そのものの値段が下がるという特徴がある。\n例えば、自動車保険に加入するのに必要な代金は若者では高く、年令を重ねるごとに低くなっていく。\nこれは、若者は自動車の免許を取得して時間が短い場合が多く、保険金の支払を必要とする自動車事故をおこす可能性が高いことによる。\nいっぽう、年令を重ねたものについては運転の技量が時とともに上達すると一般に考えられるので保険をかけるための代金は少なくなるのである。\nまた、同じ若者でも既に何度か事故を重ねたものは同じ年代の他の若者よりも保険料が高くなる傾向がある。\nこれは、何度か事故を重ねたものは運転の仕方に何らかの問題がある傾向があり、それによってふたたび事故をおこす可能性が通常のものと比べてより高いと考えられることによる。\n銀行の融資(ゆうし)でもやはり確率の考えを用いて高い利益を出すことが実践されている。\n融資でもやはり保険業とおなじく、より貸倒れになる可能性が高い相手に対しては高い金利で資金を貸し付け、\nより安定した資金を持っている相手に対してはより低い金利で資金を貸し付けることを実行して来た。\n利益を安定的に稼ぐ方法として、いくつかの会社が発行する互いに性質の異なった株などを合わせて購入先を分散することで株の値段が下がったときでも値段があまり減ることが無いようにする方法が考案されている。\n(ただし、値段が減りづらいのと同様に、値段は上がりづらい。)\nこれは、性質の異なった商品を合わせて扱うことで、値段が急変する確率を下げることが出来ることを表わしている。\nしかし、確率では、必ずしも予測した通りに事が進むわけでは無いことに注意する必要がある。\nこの章では場合の数と確率の計算法を紹介する。まず先に様々な事柄の場合の数の計算法を扱い、その結果を用いてある事柄が起こる確率を計算する方法を紹介する。\nここでは、有限集合 A の要素の個数を n(A) で表す。\nたとえば、10以下の自然数の集合を U として、そのうち 偶数の集合を A とする場合、\nなので、Aの要素の個数は5個なので\nである。\nなお、\nU={1, 2, 3, 4, 5, 6 , 7, 8, 9, 10}\nで要素の個数は10個なので\nである。\n次のような問題を考えてみよう。\n100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?\nこのような問題の解法を考えるため、準備の問題として、まず10までの自然数で考えてみよう。\n先程の例題で2の倍数については考えたので、次の問題として10までの3の倍数の個数について考えよう。\n10以下の自然数の集合を U として、そのうち 3の倍数の集合を B とする場合、\nB={3, 6 , 9}\nなので、Bの要素の個数は3個なので\nである。\nさて、\nには共通して 6 という要素が含まれている。\n自然数10までにある2または3の倍数にあたる要素は、\nであり、要素の個数をかぞえると 7個である。\n一方、\nであり、1個多い。\nこのように1個多くなってしまった原因は、 集合Aと集合Bに共通して含まれている要素 6 を二重に数えてしまっているからである。\n一般に、2つの集合A,Bの要素の個数 n(A) と n(B) を用いて、AまたはBの条件を満たす要素の個数をかぞえたい場合には、AとBに共通して含まれている要素の個数を差し引かなければならない。\nこのことを式で表すと\nになる。\nただし、「∪」とは和集合の記号で、 A∪B とは 集合Aと集合Bの和集合のことである。\n「∩」とは共通部分の記号で、 「A∩B」とは 集合Aと集合Bの共通部分のことである。\nでは、この公式を参考にして\n100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?\nの答えを求めよう。\n100までの自然数のうちの、2の倍数の集合をAとして、3の倍数の集合をBとすると\nさらに、2の倍数でもあり3の倍数でもある数の集合 A∩B とは、つまり6の倍数の集合のことであり(なぜなら 2 と 3 の最小公倍数が 6 なので)、\n96÷6=16 なので、A∩B の要素の個数は 16 個、つまり n(A∩B)= 16 である。\nそして、公式\nを適用すると、\nである。\nよって、100までの自然数のうちの2または3の倍数の個数は 67個 である。\n3つの有限集合の和集合の要素の個数については、次の公式が成り立つ\nn(A∪B∪C) = n(A) + n(B) + n(C) −n(A∩B) −n(B∩C) −n(C∩A) + n(A∩B∩C)\n右の図を参考に、上の公式を証明せよ。\n100以下の自然数のうち、2の倍数または3の倍数または5の倍数であるものの個数を求めよ。\n(解法)\nまず、100以下の自然数のうち、\nとする。\n100÷2=50なので、100は50番目の2の倍数であり、よって100以下の2の倍数は50個である。同様に考えて要素の個数を求めると、\nである。\n一方、100以下の自然数のうち\nとなる。\nよって、先ほどと同様に考えると\nまた、100以下の自然数のうち、\nA∩B∩C の要素の個数は\nである。\nよって、\nなので、100以下の自然数のうちの2の倍数または3の倍数または5の倍数であるものの個数は 74個である。\nたとえば大中小3個のサイコロをふって、目の和が5になる目の組は、何通りあるだろうか。\nこのような問題を解く方法のひとつとして、図のように、組み合わせを総当たりで書く方法がある。\n大中小の合計3個のサイコロをそれぞれ A,B,C として表し、それらの文字に、どの目が出れば合計5になるかを考えると、結果は図のようになる。\nこのような図を 樹形図(じゅけいず) という。\n3個のサイコロをふるとき、目の和が6になる場合は何通りあるか。\n最初に、n個の異なったものを並べ換える場合の数を数える。\nまず最初に並べるものはn個、次に並べるものは(n-1)個、その次に並べるものは(n-2)個 ... とだんだんと選べるものの数が減って行き、最後には1個しか残らなくなることに注目すると、この事柄に関する場合の数は\nとなり、1からnまでの自然数の積になる。\nこの数を 階乗 (かいじょう、factorial)と呼び、階乗nの記号は \n\nn\n!\n\n{\\displaystyle n!}\n で表す。\nすなわち、階乗は\nn\n!\n=\nn\n(\nn\n−\n1\n)\n(\nn\n−\n2\n)\n⋯\n3\n⋅\n2\n⋅\n1\n\n{\\displaystyle n!=n(n-1)(n-2)\\cdots 3\\cdot 2\\cdot 1}\nと定義される。この階乗の記号を使えば、この問題のときの場合の数は n!であると言うことが出来る。\nをそれぞれ計算せよ。\nを用いて計算すればよい。\n答えは、\nとなる。\nそれぞれに1から5までの数字が書かれた5枚のカードが置いてある。\nこのカードを並べ換えたとき、\n(I)カードの並べ方の数、 (II)偶数が得られるカードの並べ方の数、 (III)奇数が出るカードの並べ方の数を、それぞれ計算せよ。\n(I)\nカードの数が5枚でそれぞれが区別できることから、カードの並べ方の数は\nとなり、120となる。\n(II)\n偶数を得るためには一の位である最も右に出るカードが、偶数となればよい。\nこのようなカードは2と4であり、それぞれに対して後の4枚は自由に選んでよい。\nこのため、このようなカードの並べ方は、\nとなる。\n(III)\n奇数を得るためには一の位である最も右に出るカードが、奇数となればよい。\nこのようなカードは1,3,5であり、それぞれに対して後の4枚は自由に選んでよい。\nこのため、このようなカードの並べ方は、\nとなる。一方、5枚のカードを並べ換えて得られる数は必ず偶数か奇数の\nどちらかであるので、(I)の結果から(II)の結果を引くことによっても\n(III)の結果は得られるはずだが、実際にそれを計算すると\nとなり、確かにそのようになっている。\n0,1,2,3,5が書かれた5枚のカードがある。これを並び換えたとき、\nをそれぞれ求めよ。\n(I)\n先頭が0になったときには5桁の数にならないことに注意すればよい。求める場合の数は\nとなる。\n(II)\n最初が0でなく最後が0か2である数を数えればよい。まず、最後が0であるときには、残りの4枚は任意であるので\n通りの組み合わせがある。\n次に、最後が2であるときには最初は0であってはいけないので、\n通りある。\n2つを合わせた数が5桁の偶数が得られる場合の数である。答えは、\nとなる。\n(III)\n(I)の結果から(II)の結果を引けばよいが、ここではその結果が正しいかどうか\n確かめるためにも5桁の奇数が得られる組み合わせを数え上げてみる。\n5桁の奇数を得るためには最後の数は1,3,5のいずれかでなくてはならない。\nこのうちのどの場合についても5桁の数を得るためには最初の数が0で\n合ってはならないのでそれぞれの場合の数は、\nとなりこれが5桁の奇数を得る場合の数である。\n(II)の結果と足し合わせると確かに(I)の結果と等しい96を得る。\n(IV)\n5の倍数を得るためには最後の数が0か5であればよい。\nこのとき最後が0になる場合の数は他の4つが任意であるため\n存在する。次に、最後が5になる場合の数は最初の数が0であってはならないため\nだけ存在する。\nよって答えは\nとなる。\nn個の異なったものからr個を選んで、順番をつけて並べる仕方の数を、\n\n\n\nn\n\n\nP\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {P} _{r}}\nと書く。\nまた、このような計算の仕方を 順列 (じゅんれつ、英:permutation) という。\nn個の異なったものからr個を選んで順番をつけて並べる仕方の数のこと を、\nのように言う。\n最初に並べるものはn通り、次に並べるものは (n−1)通り 、その次に並べるものは (n−2)通り ,... 最後には (n−(r−1))通り というように、だんだん選べるものの数が減って行くことに注目すると、順列の総数として\nが得られる。\n一般に \n\n\n\nn\n\n\nP\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {P} _{r}}\n では n ≧ r である。\n(I)\n(II)\n(III)\n(IV)\n(V)\n(VI)\nをそれぞれ計算せよ。\nそれぞれ\nを用いて計算すればよい。\n結果は、\n(I)\n(II)\n(III)\n(IV)\n(V)\n(VI)\nとなる。\n(V)と(VI)については一般的に整数nに対して\nが得られる。このとき\nは元々の順列の定義からすると\"n個のものの中から1つも選ばない場合の数\"に対応しており、少々不自然なように思えるが、このように値を置いておくと便利であるため通常このように置くのである。あまり、実際の場合の数の計算でこのような値を扱うことは多くはないといえる。\n\nA, B, C, D, E の5人が円形に手をつないで輪をつくるとき、その並び方は何通りあるか。\nこのような問題の場合、図のように、回転すると重なる並びは同じ並びであると考える。\n解き方の考え方は数種類ある。\nどちらにせよ、結果は\nである。\n一般に 異なる n個 のものを円形に並べたものを円順列という。\n円順列の総数として、次のことが成り立つ。\n異なる n個 の円順列の総数は \n\n(\nn\n−\n1\n)\n!\n\n{\\displaystyle (n-1)!}\n である。\nn個の異なったものからr個を選んで、順番をつけずに並べる仕方の数を、\n\n\n\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {C} _{r}}\nと書き、このような計算を 組み合わせ(combination) という。\n例えば、いくつもあるボールに番号がふってあるなどの方法で、それぞれのボールが区別できるn個のボールが入った箱の中からr個のボールを取りだす時、取りだしたボールを取りだした順に並べるとすると、この場合の数は順列\n\n\n\nn\n\n\nP\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {P} _{r}}\nに対応する。\n一方、取りだしたボールの種類が重要であり取りだした順番が特に必要でないときには、この場合の数は組み合わせ\n\n\n\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {C} _{r}}\nに対応する。これらの数はお互いに異なった場合の数であり、互いに異なった計算法が必要となる。\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {C} _{r}}\nは、\n\n\n\nn\n\n\nP\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {P} _{r}}\n通りの並べ方を作った後にそれらの並びを無視したものに等しい。ここで、r個を取りだして作った並びについて、並べ方を無視するとr!個の並びが同一視されることがわかる。\nなぜなら、r個のお互いに区別できる数を自由に並び換える場合の数はr!であり、それらが全て同一視されるとすれば全体の場合の数は\nr!の分だけ減ることになるからである。よって、\nが得られる。\n演習問題\n次の値を計算せよ\n(I)\n(II)\n(III)\n(VI)\nそれぞれについて\nを用いて計算すればよい。\n(I)\n(II)\n(III)\n(VI)\nとなる。(IV)については一般に整数nに対して\nを定義する。\nこれはもともとの組み合わせの計算としてはn個の物体のなかから0個の物体を選ぶ場合の数に対応しており、\n実際にはこのような場合の数を計算しようと考えることはあまり無いと思われるが、計算の便宜上のため定義を上のようにする。\nまた、上の計算では\nの式をそのまま用いると、\nつまり、\nとなっている。\n実際には階乗の計算は整数nについてはnから1までを下がりながらかけ算していくという仕方で計算されていたので、上の結果は妙に思える。\nしかし実際には、より進んだ理論によってこの結果は正当化されるのであり、\nこの場合も便宜上\nを0の階乗の定義として受けいれるのである。\n演習問題\n5個のボールが入ったボール入れから2つのボールを取りだすとき(ボールはそれぞれ\n区別できるものとする。)2つのボールの選び方は、\n何通りあるか計算せよ。\nボールの取りだし方は組み合わせの数を用いて計算できる。\n5つのボールの中から2つを取りだすのであるからその場合の数は、\nとなる。よって、ボールの取りだし方は10通りであることがわかる。\n演習問題\n6個の互いに区別できるボールが入った箱がある。\nこの中から (I)3つのボールと2つのボールを取りだす方法の場合の数、(II)2つのボールを取り出すことを2回くり返し、それぞれを別の互いに区別できる袋にいれる場合の数、(III)2つのボールを取り出すことを2回くり返し、それぞれを別の互いに区別できない袋にいれる場合の数、をそれぞれ計算せよ。\n(I)\n最初にボールを取りだすときには、6つのボールの中から3つのボールを取りだすことからその場合の数は\nだけある。また、次にそれを取り除いた中から2つのボールを取り除くときには\nその取りだし方は、\nだけある。\nよって、このときの場合の数は\nだけになる。実際この値を計算すると、\nとなり、60通りであることが分かる。\n(II)\n(I)の場合と同様に6つのボールの中から2つのボールを\n取りだすことからその場合の数は\nだけある。また、次にそれを取り除いた中から2つのボールを取り除くときには\nその取りだし方は、\nだけある。\nよって、このときの場合の数は\nだけになる。実際この値を計算すると、\nとなり、90通りであることが分かる。\n(III)\n(II)と同じ計算で値を求めることが出来るが、今回はボールをいれた袋が\n互いに区別できないことに注意しなくてはならない。\nこのことによって、起こりうる場合の数は(II)の場合の半分になるので\n求める場合の数は45通りとなる。\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle {}_{n}\\mathrm {C} _{r}}\nについて以下の式が成り立つ。\n導出\nを用いると、\nが得られ、示された。\n同様に\nを用いると、\nとなり示された。\n最初の式は、異なるn個のもののうちr個にXというラベルをつけ、残りのn-r個にYというラベルをつける場合の数から求めることができる。異なるn個のもののうちからr個を選びラベルXをつけ、残りにラベルYをつける場合の数は\n\n\n\nn\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {C} _{r}}\n であり、異なるn個のもののうちからn-r個を選び、ラベルYをつけ、残りにラベルXをつける場合の数は\n\n\n\nn\n\n\nC\n\nn\n−\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {C} _{n-r}}\n である。当然、前者と後者の場合の数は等しいので、ここから、\n\n\n\nn\n\n\nC\n\nr\n\n=\nn\n\n\nC\n\nn\n−\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {C} _{r}=_{n}\\mathrm {C} _{n-r}}\n が求められる。\n2つ目の式は、\n\"n個のものからr個を選ぶ仕方の数は、次の数の和である。\n最初の1つを選ばずに他のn-1個からr個を選ぶ仕方の数と、最初の1つを選んで他のn-1個からr-1個を選ぶ仕方の数との\n和である。\"\nということを表わしている。\nを用いて\n(I)\n(II)\n(III)\n(VI)\nをそれぞれ計算せよ。\n上の式を用いて計算することが出来る。もちろん直接に計算しても\n答えを得ることが出来るが、通常は簡単化してから計算した方が楽である。\n(I)\n(II)\n(III)\n(VI)\nとなる。\n図のようなルートを左下の点から右上の点まで歩いて行く人がいる。\nただし、この人は右か上にしか進めないとする。このとき、\nを計算せよ。ただしa点は*と書かれている点のすぐ下の通路のことをさしている。\nそれぞれのルートは途切れていない縦4つ、横5つの碁盤目上のルートに\nなっていることに注意せよ。\n___________\n|_|_|_|_|_|\n|_|_|*|_|_|\n|_|_|_|_|_|\n|_|_|_|_|_|\n(I)\n左下にいる人は9回進むことで右上の点に辿り着ける。そのため、左下にいる人が選びうるルートの数は9回のうちのどの回で右ではなく上を\n選ぶかの場合の数に等しい。このような場合の数は、9回のうちから自由に4つの場所を選ぶ方法に等しく、組み合わせを用いて書くことが出来る。実際に9回のうちから自由に4つの場所を選ぶ方法は、\nで書かれる。この量を計算すると、\nが得られる。\n(II)\na点を通過して進むルートの数はa点の左の点までいってからa点を通過し、a点の右の点を通って右上の点までいく仕方の数に等しい。\nそれぞれのルートの数は(I)の方法を用いて計算することができる。この数を実際に計算すると、\nとなり、36通りであることが分かる。\n演習問題\n\n\nr\nn\n\n\nC\n\nr\n\n=\nn\nn\n−\n1\n\n\nC\n\nr\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle r_{n}\\mathrm {C} _{r}=n_{n-1}\\mathrm {C} _{r-1}}\nを示せ\nr\nn\n\n\nC\n\nr\n\n=\nr\n\nn\n!\n\nr\n!\n(\nn\n−\nr\n)\n!\n\n=\nn\n\n(\nn\n−\n1\n)\n!\n\n(\nr\n−\n1\n)\n(\n(\nn\n−\n1\n)\n−\n(\nr\n−\n1\n)\n)\n!\n\n=\nn\nn\n−\n1\n\n\nC\n\nr\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle r_{n}\\mathrm {C} _{r}=r{\\frac {n!}{r!(n-r)!}}=n{\\frac {(n-1)!}{(r-1)((n-1)-(r-1))!}}=n_{n-1}\\mathrm {C} _{r-1}}\n異なるn個の空箱にr個のものを入れる場合の数を重複組み合わせといい、 \n\n\n\nn\n\n\nH\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {H} _{r}}\n で表す。\n重複組合せについて次のように考察する。\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nn\n\n,\nr\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{n},r}\n を非負整数とし、方程式 \n\n\nx\n1\n\n+\nx\n2\n\n+\n⋯\n+\nx\nn\n\n=\nr\n\n{\\displaystyle x_{1}+x_{2}+\\cdots +x_{n}=r}\n の解の個数について考える。この解の個数は \n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{n}}\n に \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n 個の1を分配する場合の数と考えることができるので、重複組み合わせの定義から、\n\n\n\nn\n\n\nH\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {H} _{r}}\n である。\nまた、この方程式の非負整数解の個数は、r個の○にn-1個の区切りを置く場合の数とも考えられる。つまり、○○○...○○(r個)にn-1個の区切り|を並べると○|○○|...○|○のようになる。ここで、左から順に区切りで区切られた○の個数をそれぞれ、\n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{n}}\n とすると、これは方程式の解となる。\nこの場合の数は、r個の○とn-1個の区切り|を並べえる場合の数なので、\n\n\n\nn\n+\nr\n−\n1\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n+r-1}\\mathrm {C} _{r}}\n である。方程式の非負整数解の個数について2通りの方法で求まったのでこれらは等しく、 \n\n\n\nn\n\n\nH\n\nr\n\n=\nn\n+\nr\n−\n1\n\n\nC\n\nr\n\n\n{\\displaystyle _{n}\\mathrm {H} _{r}=_{n+r-1}\\mathrm {C} _{r}}\n が成り立つ。\nある場合の数が、実際に現われる割合のことを確率(かくりつ、英:probability)と呼ぶ。\nある場合の数が実際に現われる割合は、その場合の数を割り算で、その事柄において起こり得る全ての事柄の場合の数で割ったものに等しい。\nたとえば、全く等しい割合で全ての面が出るさいころをふったときに1が出る確率は\n\n\n1\n6\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{6}}}\nである。\nこれは1が出る場合の数1を、1,2,3,4,5,6のいずれかが出る場合の数6で割ったものに等しい。\n起こりうるすべての場合の数をN、事象Aの起こる場合の数をaとするとき、事象Aの起こる確率P(A)は以下の式で求められる。\n赤玉2個と白玉3個が入った袋から、玉を2個同時に取り出す。このとき、2個とも白玉が出る確率を求めよ。\n赤白あわせて5個の玉から2個を取り出す方法は\nこのうち、2個とも白玉になる場合は\nよって求める確率は \n\n\n3\n10\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {3}{10}}}\n確率の定義から、次の性質が得られる。\n(1)どんな事象Aについても、 \n\n0\n≦\nP\n(\nA\n)\n≦\n1\n\n{\\displaystyle 0\\leqq P(A)\\leqq 1}\n\n(2)決して起こらない事象の確率は 0\n(3)必ず起こる事象の確率は 1\n2つの事象A,Bが同時に起こらないとき、事象AとBは互いに排反(はいはん、英:exclusive)である、またはAとBは排反事象であるという。\nAとBが排反事象のとき、AまたはBが起こる確率は\n男子7人、女子5人の中から、くじ引きで3人の委員を選ぶとき、3人とも同性である確率を求めよ。\n12人の中から3人の委員を選ぶ場合の数は\nここで、「3人とも男子である」事象をA、「3人とも女子である」事象をBとすると、「3人とも同性である」事象は、和事象A ∪ Bであり、しかも、AとBは排反事象である。\nよって求める確率は \n\nP\n(\nA\n∪\nB\n)\n=\nP\n(\nA\n)\n+\nP\n(\nB\n)\n=\n\n35\n220\n\n+\n\n10\n220\n\n=\n\n45\n220\n\n=\n\n9\n44\n\n\n{\\displaystyle P(A\\cup B)=P(A)+P(B)={\\frac {35}{220}}+{\\frac {10}{220}}={\\frac {45}{220}}={\\frac {9}{44}}}\n事象Aに対して、「Aでない」事象を\n\n\nA\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {A}}}\nで表し、Aの余事象(よじしょう)という。\nAの余事象を\n\n\nA\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {A}}}\nとすると\n赤玉5個、白玉3個の計8個入っている袋から3個の玉を取り出すとき、少なくとも1個は白玉である確率を求めよ。\n8個の玉から3個の玉を取り出す場合の数は\nいま、「少なくとも1個は白玉である」事象をAとすると、\n\n\nA\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {A}}}\nは「3個とも赤玉である」という事象だから\nよって求める確率は\nたがいに他の結果に対して影響をおよぼさない操作を繰りかえすとき、それぞれの試行は独立(どくりつ、英:independent)であると言う。独立な試行については、ある試行の起こる確率が定められていて、それをn回繰りかえしたとき、それらが起こる確率は、それぞれの試行が起こる確率の積となる。\n2つの独立な試行S,Tについて、Sでは事象Aが、Tでは事象Bが起こる確率は\n赤玉3個、白玉2個の計5個入っている袋がある。この中から1個の玉を取り出して色を確かめてから袋に戻し、再び1個を取り出すとき、1回目は赤玉、2回目は白玉を取り出す確率を求めよ。\n1回目に取り出した玉を袋に戻すので、「1回目に取り出す」試行と「2回目に取り出す」試行とは互いに独立である。\n1回目に取り出した1個が赤玉である確率は \n\n\n3\n5\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {3}{5}}}\n2回目に取り出した1個が白玉である確率は \n\n\n2\n5\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {2}{5}}}\n\nしたがって求める確率は\n同じ試行を何回か繰り返して行うとき、各回の試行は独立である。この一連の独立な試行をまとめて考えるとき、それを反復試行(はんぷく しこう)という。\nある試行で、事象Eの起こる確率がpであるとする。この試行をn回繰り返すとき、事象Eがそのうちr回だけ起こる確率は\n1個のさいころを5回投げるとき、3の倍数の目が4回出る確率を求めよ。\n1個のさいころを1回投げるとき、3の倍数の目が出る確率は\nよって、1個のさいころを5回投げるとき、3の倍数の目が4回出る確率は\n記号「Σ」についてはこちらを参照。\nある試行があったとき、\nその試行で得られると期待される値のことを期待値(きたいち、英:expected value)という。期待値は、n個の事象\n\n\nr\nk\n\n \n(\nk\n=\n1\n,\n2\n,\n⋯\n,\nn\n)\n\n{\\displaystyle r_{k}\\ (k=1,2,\\cdots ,n)}\nに対して、各々\n\n\nv\nk\n\n\n{\\displaystyle v_{k}}\nという値が得られ、事象\n\n\nr\nk\n\n\n{\\displaystyle r_{k}}\nが起こる確率が\n\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle p_{k}}\nで与えられているとき、\nによって与えられる。例えば、さいころをふったとき出る目の期待値は、\nとなる。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6A/%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%81%AE%E6%95%B0%E3%81%A8%E7%A2%BA%E7%8E%87"} {"text": "本項は高等学校数学Aの「数学と人間の活動」の解説です。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6A/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%A8%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AE%E6%B4%BB%E5%8B%95"} {"text": "ここで扱う数列は離散的な現象を扱う際に威力を発揮する。数列はいろいろなところに応用されている。例えば、単利の計算には等差数列が、複利の計算には等比数列が応用できる。\n数を一列に並べたもの数列(sequence of numbers)という。数列のそれぞれの数を項という。\n1番目から数えて、第1項、第2項、第3項のように、n 番目の項を第 n 項という。特に第1項は初項(first term)ともいう。以下、特に断りのない限り n は 1 以上の自然数とする。\n第 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 項が \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\n である数列を \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n と表記する。つまり、数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第1項から数項並べると\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n において、この数列の第 n 項 \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\n を n の式で表すとき、この式を数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の一般項(general term)という。たとえば、数列 1, 2, 3, 4, 5, ... の一般項は \n\n\na\nn\n\n=\nn\n\n{\\displaystyle a_{n}=n}\n である。自然数の偶数の数列 2, 4, 6, 8, 10, ... の一般項は \n\n\na\nn\n\n=\n2\nn\n\n{\\displaystyle a_{n}=2n}\n である。\n項の数が有限である数列を有限数列(finite sequence of numbers)という。有限数列の最後の項を末項(final term)といい、項の総数を項数(arity)という。末項が存在しない数列を無限数列(infinite sequence of numbers)という。数列 1, 2, 3, 4, 5, ... は無限数列である。\n演習問題\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の一般項が以下で与えられるとき、この数列の第 1 項から第 5 項を求めよ。\n演習問題\n次の数列の一般項を推測せよ。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n において、定数 \n\nd\n\n{\\displaystyle d}\n が存在して、任意の自然数 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n に対し \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\na\nn\n\n+\nd\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=a_{n}+d}\n となるとき、この数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n を等差数列(arithmetic progression (sequence))といい、 \n\nd\n\n{\\displaystyle d}\n を公差(common difference)という。\na\nn\n+\n1\n\n=\na\nn\n\n+\nd\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=a_{n}+d}\n を変形すると \n\n\na\nn\n+\n1\n\n−\na\nn\n\n=\nd\n\n{\\displaystyle a_{n+1}-a_{n}=d}\n である。等差数列は名前の通り隣り合った項の差が等しい数列である。\n例えば、 \n\n2\n,\n5\n,\n8\n,\n11\n,\n14\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 2,5,8,11,14,\\cdots }\n は初項 2 、公差 3 の等差数列である。\n初項 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n 、公差 \n\nd\n\n{\\displaystyle d}\n の等差数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n について\nなので、一般項は \n\n\na\nn\n\n=\na\n1\n\n+\n(\nn\n−\n1\n)\nd\n\n{\\displaystyle a_{n}=a_{1}+(n-1)d}\n である。\n初項 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n 、公差 \n\nd\n\n{\\displaystyle d}\n の等差数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第1項から第 n 項までの和 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n は\nS\nn\n\n=\na\n1\n\n+\n(\na\n1\n\n+\nd\n)\n+\n(\na\n1\n\n+\n2\nd\n)\n+\n⋯\n+\n(\na\nn\n\n−\nd\n)\n+\na\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}=a_{1}+(a_{1}+d)+(a_{1}+2d)+\\cdots +(a_{n}-d)+a_{n}}\nである。 これを逆順に並び替えて\nS\nn\n\n=\na\nn\n\n+\n(\na\nn\n\n−\nd\n)\n+\n(\na\nn\n\n−\n2\nd\n)\n+\n⋯\n+\n(\na\n1\n\n+\nd\n)\n+\na\n1\n\n\n{\\displaystyle S_{n}=a_{n}+(a_{n}-d)+(a_{n}-2d)+\\cdots +(a_{1}+d)+a_{1}}\nを得る。この2つをそれぞれ足すと \n\n2\nS\nn\n\n=\nn\n(\na\n1\n\n+\na\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle 2S_{n}=n(a_{1}+a_{n})}\n である。これより\nS\nn\n\n=\n\nn\n2\n\n(\na\n1\n\n+\na\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle S_{n}={\\frac {n}{2}}(a_{1}+a_{n})}\n を得る。また \n\n\na\nn\n\n=\na\n1\n\n+\n(\nn\n−\n1\n)\nd\n\n{\\displaystyle a_{n}=a_{1}+(n-1)d}\n を代入して\nS\nn\n\n=\n\nn\n2\n\n(\n2\na\n1\n\n+\n(\nn\n−\n1\n)\nd\n)\n\n{\\displaystyle S_{n}={\\frac {n}{2}}(2a_{1}+(n-1)d)}\nである。\n演習問題\n初項3、 公差2の等差数列の一般項を求め、この数列の第 1 項から第 n 項までの和 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n を求めよ。\na\nn\n\n=\n2\nn\n+\n1\n\n{\\displaystyle a_{n}=2n+1}\nS\nn\n\n=\nn\n2\n\n+\n2\nn\n\n{\\displaystyle S_{n}=n^{2}+2n}\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n がこの順に隣り合った等差数列の項であるとき、 \n\nc\n−\nb\n=\nb\n−\na\n\n{\\displaystyle c-b=b-a}\n より、 \n\n2\nb\n=\na\n+\nc\n\n{\\displaystyle 2b=a+c}\n である。\nまた、\n\n2\nb\n=\na\n+\nc\n\n{\\displaystyle 2b=a+c}\n が成り立つとき、\n\nc\n−\nb\n=\nb\n−\na\n\n{\\displaystyle c-b=b-a}\n より、\n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n はこの順に隣り合った等差数列の項である。\n以上より、 \n\n2\nb\n=\na\n+\nc\n⟺\n\n{\\displaystyle 2b=a+c\\iff }\n\n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n はこの順に隣り合った等差数列の項\n演習問題\n2\n,\n2\nx\n−\n1\n,\nx\n2\n\n\n{\\displaystyle 2,2x-1,x^{2}}\n がこの順に隣り合った等差数列の項であるとき、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n を求めよ。\n2\n(\n2\nx\n−\n1\n)\n=\nx\n2\n\n+\n2\n\n{\\displaystyle 2(2x-1)=x^{2}+2}\n より \n\nx\n=\n2\n\n{\\displaystyle x=2}\n演習問題\n150以下の自然数の内、7で割った余りが2である自然数の和を求めよ。\n7で割った余りが2 である自然数は \n\n7\nn\n+\n2\n(\nn\n≥\n0\n)\n\n{\\displaystyle 7n+2\\,(n\\geq 0)}\n と表せる。\n\n7\nn\n+\n2\n\n{\\displaystyle 7n+2}\n が 150以下の自然数となる条件は \n\n7\nn\n+\n2\n≤\n150\n\n{\\displaystyle 7n+2\\leq 150}\n より \n\nn\n≤\n\n148\n7\n\n=\n21.148...\n\n{\\displaystyle n\\leq {\\frac {148}{7}}=21.148...}\n から、\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が21以下であればいい。150以下の自然数の内、7で割った余りが2である自然数の和は等差数列 \n\n7\nn\n+\n2\n\n{\\displaystyle 7n+2}\nの0項から21項までの和である。この和は1661である。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n において、定数 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n が存在して、任意の自然数 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n に対し \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\nr\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=ra_{n}}\n が成り立つとき、この数列を等比数列(geometric progression)といい、 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n を公比(common ratio)という。\na\nn\n+\n1\n\n=\nr\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=ra_{n}}\n を変形すると \n\n\n\na\nn\n+\n1\n\na\nn\n\n\n=\nr\n\n{\\displaystyle {\\frac {a_{n+1}}{a_{n}}}=r}\n である。等比数列は名前の通り隣り合った項の比が等しい数列である。\n例えば、 \n\n3\n,\n6\n,\n12\n,\n24\n,\n48\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 3,6,12,24,48,\\cdots }\n は初項 3 、公比 2 の等比数列である。\n初項 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n 、公比 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n の等比数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の各項を並べて書くと、\nのようになることから、等比数列の一般項は \n\n\na\nn\n\n=\na\n1\n\nr\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{n}=a_{1}r^{n-1}}\n で与えられる。\n初項 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n 、公比 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n \n\n(\n≠\n1\n)\n\n{\\displaystyle (\\neq 1)}\nの等比数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第1項から第 n 項までの和 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n は\nS\nn\n\n=\na\n1\n\n+\na\n1\n\nr\n+\na\n1\n\nr\n2\n\n+\n⋯\n+\na\n1\n\nr\nn\n−\n2\n\n+\na\n1\n\nr\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle S_{n}=a_{1}+a_{1}r+a_{1}r^{2}+\\cdots +a_{1}r^{n-2}+a_{1}r^{n-1}}\n (1)\nである。両辺に \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n をかけて\nr\nS\nn\n\n=\na\n1\n\nr\n+\na\n1\n\nr\n2\n\n+\na\n1\n\nr\n3\n\n+\n⋯\n+\na\n1\n\nr\nn\n−\n1\n\n+\na\n1\n\nr\nn\n\n\n{\\displaystyle rS_{n}=a_{1}r+a_{1}r^{2}+a_{1}r^{3}+\\cdots +a_{1}r^{n-1}+a_{1}r^{n}}\n (2)\nを得る。\n(2) - (1) より \n\nr\nS\nn\n\n−\nS\nn\n\n=\na\n1\n\nr\nn\n\n−\na\n1\n\n\n{\\displaystyle rS_{n}-S_{n}=a_{1}r^{n}-a_{1}}\n なので、 \n\n\nS\nn\n\n=\n\n\na\n1\n\n(\nr\nn\n\n−\n1\n)\n\nr\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle S_{n}={\\frac {a_{1}(r^{n}-1)}{r-1}}}\n である。\nまた \n\nr\n=\n1\n\n{\\displaystyle r=1}\n のとき第1項から第 n 項までの和 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n は \n\n\nS\nn\n\n=\nn\na\n1\n\n\n{\\displaystyle S_{n}=na_{1}}\n である。[2]\n演習問題\n初項3、 公比が4の等比数列の一般項を求め、この数列の第 1 項から第 n 項までの和 \n\n\nS\nn\n\n\n{\\displaystyle S_{n}}\n を求めよ。\na\nn\n\n=\n3\n⋅\n4\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{n}=3\\cdot 4^{n-1}}\nS\nn\n\n=\n4\nn\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle S_{n}=4^{n}-1}\nそれぞれ 0 ではない数 \n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n がこの順に隣り合った等比数列の項であるとき、 \n\n\nb\na\n\n=\n\nc\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {b}{a}}={\\frac {c}{b}}}\n より \n\n\nb\n2\n\n=\na\nc\n\n{\\displaystyle b^{2}=ac}\n が成り立つ。\nまた、\n\n\nb\n2\n\n=\na\nc\n\n{\\displaystyle b^{2}=ac}\n ならば、\n\n\nb\na\n\n=\n\nc\nb\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {b}{a}}={\\frac {c}{b}}}\n より、\n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n がこの順に隣り合った等比数列の項である。\nよって、 \n\n\nb\n2\n\n=\na\nc\n⟺\n\n{\\displaystyle b^{2}=ac\\iff }\n\n\na\n,\nb\n,\nc\n\n{\\displaystyle a,b,c}\n がこの順に隣り合った等比数列の項\nここで、総和を効率よく表せる表記法について学ぼう。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n に対し、この数列の第 m 項から第 n 項までの和を \n\n\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\na\nk\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=m}^{n}a_{k}}\n で表す。つまり\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\na\nk\n\n=\na\nm\n\n+\na\nm\n+\n1\n\n+\na\nm\n+\n2\n\n+\n⋯\n+\na\nn\n−\n1\n\n+\na\nn\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=m}^{n}a_{k}=a_{m}+a_{m+1}+a_{m+2}+\\cdots +a_{n-1}+a_{n}}\nである。[3]\n例えば、 \n\n\n∑\nk\n=\n2\n\n4\n\n(\nk\n2\n\n−\n2\nk\n)\n=\n(\n2\n2\n\n−\n2\n⋅\n2\n)\n+\n(\n3\n2\n\n−\n2\n⋅\n3\n)\n+\n(\n4\n2\n\n−\n2\n⋅\n4\n)\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=2}^{4}(k^{2}-2k)=(2^{2}-2\\cdot 2)+(3^{2}-2\\cdot 3)+(4^{2}-2\\cdot 4)}\n である。\nちなみにこの Σ はギリシア文字のシグマの大文字である。これは、Sum(和)を意味するラテン語 Summa の頭文字 S に対応するギリシャ文字である。\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n と \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n と実数[4] \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n に対し、\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\n(\na\nk\n\n+\nb\nk\n\n)\n\n=\n(\na\nm\n\n+\nb\nm\n\n)\n+\n(\na\nm\n+\n1\n\n+\nb\nm\n+\n1\n\n)\n+\n⋯\n+\n(\na\nn\n\n+\nb\nn\n\n)\n\n\n\n=\n(\na\nm\n\n+\na\nm\n+\n1\n\n+\n⋯\n+\na\nn\n\n)\n+\n(\nb\nm\n\n+\nb\nm\n+\n1\n\n+\n⋯\n+\nb\nn\n\n)\n\n\n\n=\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\na\nk\n\n+\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\nb\nk\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{k=m}^{n}(a_{k}+b_{k})&=(a_{m}+b_{m})+(a_{m+1}+b_{m+1})+\\cdots +(a_{n}+b_{n})\\\\&=(a_{m}+a_{m+1}+\\cdots +a_{n})+(b_{m}+b_{m+1}+\\cdots +b_{n})\\\\&=\\sum _{k=m}^{n}a_{k}+\\sum _{k=m}^{n}b_{k}\\end{aligned}}}\n[5]\nまた、\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\nc\na\nk\n\n\n=\nc\na\nm\n\n+\nc\na\nm\n+\n1\n\n+\n⋯\n+\nc\na\nn\n\n\n\n\n=\nc\n(\na\nm\n\n+\na\nm\n+\n1\n\n+\n⋯\n+\na\nn\n\n)\n\n\n\n=\nc\n∑\nk\n=\nm\n\nn\n\na\nk\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{k=m}^{n}ca_{k}&=ca_{m}+ca_{m+1}+\\cdots +ca_{n}\\\\&=c(a_{m}+a_{m+1}+\\cdots +a_{n})\\\\&=c\\sum _{k=m}^{n}a_{k}\\end{aligned}}}\nである。\nここで、 \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n=\n1\n+\n2\n+\n⋯\n+\nn\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k=1+2+\\cdots +n}\n を求めてみよう。\n等差数列で習ったことを思い出せば、\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k}\n は第1項が1、公差が1の等差数列の第 n 項までの和なので、 \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n=\n\n1\n2\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k={\\frac {1}{2}}n(n+1)}\n である。\nまた、等比数列の和を総和記号を使って書き直せば、 \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\na\nr\nk\n−\n1\n\n=\n\na\n(\nr\nn\n\n−\n1\n)\n\nr\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}ar^{k-1}={\\frac {a(r^{n}-1)}{r-1}}}\n である。\n次に、\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n2\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k^{2}}\n を求めてみよう。\n(\nk\n+\n1\n)\n3\n\n−\nk\n3\n\n=\n3\nk\n2\n\n+\n3\nk\n+\n1\n\n{\\displaystyle (k+1)^{3}-k^{3}=3k^{2}+3k+1}\n である。ここで \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n に 1 から \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n までを代入したものはそれぞれ\n2\n3\n\n−\n1\n3\n\n=\n3\n⋅\n1\n2\n\n+\n3\n⋅\n1\n+\n1\n\n{\\displaystyle 2^{3}-1^{3}=3\\cdot 1^{2}+3\\cdot 1+1}\n3\n3\n\n−\n2\n3\n\n=\n3\n⋅\n2\n2\n\n+\n3\n⋅\n2\n+\n1\n\n{\\displaystyle 3^{3}-2^{3}=3\\cdot 2^{2}+3\\cdot 2+1}\n4\n3\n\n−\n3\n3\n\n=\n3\n⋅\n3\n2\n\n+\n3\n⋅\n3\n+\n1\n\n{\\displaystyle 4^{3}-3^{3}=3\\cdot 3^{2}+3\\cdot 3+1}\n⋮\n\n{\\displaystyle \\vdots }\n(\nn\n+\n1\n)\n3\n\n−\nn\n3\n\n=\n3\nn\n2\n\n+\n3\nn\n+\n1\n\n{\\displaystyle (n+1)^{3}-n^{3}=3n^{2}+3n+1}\nである。この \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 式をそれぞれ足し合わせると\n左辺はほとんどが打ち消し合い、 \n\n(\nn\n+\n1\n)\n3\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle (n+1)^{3}-1}\n となるので\n(\nn\n+\n1\n)\n3\n\n−\n1\n=\n3\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n2\n\n+\n3\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n+\nn\n\n{\\displaystyle (n+1)^{3}-1=3\\sum _{k=1}^{n}k^{2}+3\\sum _{k=1}^{n}k+n}\nである。ここで \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n=\n\n1\n2\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k={\\frac {1}{2}}n(n+1)}\n を代入して \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n2\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k^{2}}\n について整理すれば\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n2\n\n=\n\n1\n6\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n(\n2\nn\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k^{2}={\\frac {1}{6}}n(n+1)(2n+1)}\nを得る。\n同様に \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n\nk\n3\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}{k^{3}}}\n を求めることが出来る。\n(\nk\n+\n1\n)\n4\n\n−\nk\n4\n\n=\n4\nk\n3\n\n+\n6\nk\n2\n\n+\n4\nk\n+\n1\n\n{\\displaystyle (k+1)^{4}-k^{4}=4k^{3}+6k^{2}+4k+1}\n であるので、 \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n に 1 から \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n までを代入してそれぞれを足し合わせれば、\n(\nn\n+\n1\n)\n4\n\n−\n1\n=\n4\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n3\n\n+\n6\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n2\n\n+\n4\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n+\nn\n\n{\\displaystyle (n+1)^{4}-1=4\\sum _{k=1}^{n}k^{3}+6\\sum _{k=1}^{n}k^{2}+4\\sum _{k=1}^{n}k+n}\n である。これを変形して \n\n\n\n4\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n3\n\n\n=\n(\nn\n+\n1\n)\n4\n\n−\n1\n−\n6\n⋅\n\n1\n6\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n(\n2\nn\n+\n1\n)\n−\n4\n⋅\n\n1\n2\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n−\nn\n\n\n\n=\n(\nn\n4\n\n+\n4\nn\n3\n\n+\n6\nn\n2\n\n+\n4\nn\n)\n−\n(\n2\nn\n3\n\n+\n3\nn\n2\n\n+\nn\n)\n−\n2\n(\nn\n2\n\n+\nn\n)\n−\nn\n\n\n\n=\nn\n4\n\n+\n2\nn\n3\n\n+\nn\n2\n\n\n\n\n=\nn\n2\n\n(\nn\n2\n\n+\n2\nn\n+\n1\n)\n\n\n\n=\nn\n2\n\n(\nn\n+\n1\n)\n2\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}4\\sum _{k=1}^{n}k^{3}&=(n+1)^{4}-1-6\\cdot {\\frac {1}{6}}n(n+1)(2n+1)-4\\cdot {\\frac {1}{2}}n(n+1)-n\\\\&=(n^{4}+4n^{3}+6n^{2}+4n)-(2n^{3}+3n^{2}+n)-2(n^{2}+n)-n\\\\&=n^{4}+2n^{3}+n^{2}\\\\&=n^{2}(n^{2}+2n+1)\\\\&=n^{2}(n+1)^{2}\\end{aligned}}}\nなので、 \n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nk\n3\n\n=\n\n1\n4\n\nn\n2\n\n(\nn\n+\n1\n)\n2\n\n=\n\n{\n\n1\n2\n\nn\n(\nn\n+\n1\n)\n}\n\n2\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}k^{3}={\\frac {1}{4}}n^{2}(n+1)^{2}=\\left\\{{\\frac {1}{2}}n(n+1)\\right\\}^{2}}\n である。[6]\n演習問題\n以下を計算せよ。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n に対し\nで与えられる数列 \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n を数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の階差数列という。\n数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の階差数列 \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n および初項 \n\n\na\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{1}}\n を利用して \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の一般項を求めてみる\n階差数列の定義から\nb\n1\n\n=\na\n2\n\n−\na\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}=a_{2}-a_{1}}\nb\n2\n\n=\na\n3\n\n−\na\n2\n\n\n{\\displaystyle b_{2}=a_{3}-a_{2}}\nb\n3\n\n=\na\n4\n\n−\na\n3\n\n\n{\\displaystyle b_{3}=a_{4}-a_{3}}\n⋮\n\n{\\displaystyle \\vdots }\nb\nn\n−\n1\n\n=\na\nn\n\n−\na\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{n-1}=a_{n}-a_{n-1}}\nである。\nそれぞれの式を足し合わせれば\na\nn\n\n−\na\n1\n\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n−\n1\n\nb\nk\n\n\n{\\displaystyle a_{n}-a_{1}=\\sum _{k=1}^{n-1}b_{k}}\nつまり\n演習問題\nb\nn\n\n=\n2\nn\n+\n2\n\n{\\displaystyle b_{n}=2n+2}\n として数列 \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n を定める。初項が 3 で、数列 \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n を階差数列とする数列を \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n とする。数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第 1 項から第 4 項までを求め、さらに、数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の一般項を求めよ。\na\n1\n\n=\n3\n\n{\\displaystyle a_{1}=3}\na\n2\n\n=\nb\n1\n\n+\na\n1\n\n=\n7\n\n{\\displaystyle a_{2}=b_{1}+a_{1}=7}\na\n3\n\n=\nb\n2\n\n+\na\n2\n\n=\n13\n\n{\\displaystyle a_{3}=b_{2}+a_{2}=13}\na\n4\n\n=\nb\n3\n\n+\na\n3\n\n=\n21\n\n{\\displaystyle a_{4}=b_{3}+a_{3}=21}\nである。\n数列 \n\n{\nb\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{b_{n}\\}}\n を階差数列とする数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の第 n 項は\nであることを思いだそう。\nこれを元に計算すれば、\n\nn\n≧\n2\n\n{\\displaystyle n\\geqq 2}\n のとき、\na\nn\n\n=\n3\n+\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n−\n1\n\n(\n2\nk\n+\n2\n)\n=\n3\n+\n(\nn\n−\n1\n)\nn\n+\n2\n(\nn\n−\n1\n)\n=\nn\n2\n\n+\nn\n+\n1\n\n{\\displaystyle a_{n}=3+\\sum _{k=1}^{n-1}(2k+2)=3+(n-1)n+2(n-1)=n^{2}+n+1}\nである。\n\n\na\n1\n\n=\n3\n\n{\\displaystyle a_{1}=3}\n だったので、この式は \n\nn\n=\n1\n\n{\\displaystyle n=1}\n でも成り立つことが確かめられる。\n数列の隣り合った項どうしの関係を表す式を漸化式(recurrence relation)という。\nたとえば、上の漸化式を満たす数列は公差1の等差数列である。これだけでは数列は一意的には定まらないが、さらに初項を \n\n\na\n1\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle a_{1}=1}\n と与えると、自然数列\nを得ることができる。ここでは漸化式が与えられたとき、それを満たす数列 \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle {a_{n}}}\n にはどのようなものがあるか、具体的に求める方法を考える。漸化式を満たす数列を求めることを、漸化式を解くという。\n簡単なもう一つの例として、\nのようなものがある。これは、\nと変形することで、公比2の等比数列であることがわかる。\n\n\na\n1\n\n=\n3\n\n{\\displaystyle a_{1}=3}\nであることをあわせると、一般項は\nであることがわかる。\n一般に、漸化式 \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\na\nn\n\n+\nd\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=a_{n}+d}\n を満たす数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n は等差数列なので、一般項は \n\n\na\nn\n\n=\na\n1\n\n+\n(\nn\n−\n1\n)\nd\n\n{\\displaystyle a_{n}=a_{1}+(n-1)d}\n である。\n漸化式 \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\nr\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=ra_{n}}\n を満たす数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n は等比数列なので、一般項は \n\n\na\nn\n\n=\na\n1\n\nr\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{n}=a_{1}r^{n-1}}\n である。\n隣接二項間漸化式の定義は次のとおりである。\n定義 ― \np, q を n に無関係な定数とし、数列 \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle {a_{n}}}\n の漸化式が\nで表されるとき、この漸化式を(定数係数をもつ線型の)隣接二項間漸化式という。\nこのような隣接二項間漸化式は等差数列または等比数列に帰着できることが知られている。まず p = 1 のとき、漸化式は \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\na\nn\n\n+\nq\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=a_{n}+q}\n であるから、これは等差数列である。次に、 p ≠ 1 の場合を考える。\nここで、もし \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\np\na\nn\n\n+\nq\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=pa_{n}+q}\n を \n\n\na\nn\n+\n1\n\n−\nc\n=\np\n(\na\nn\n\n−\nc\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+1}-c=p(a_{n}-c)}\n と変形することが出来れば、数列 \n\n{\na\nn\n\n−\nc\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}-c\\}}\n は等比数列であり、一般項は \n\n\na\nn\n\n−\nc\n=\np\nn\n−\n1\n\n(\na\n1\n\n−\nc\n)\n\n{\\displaystyle a_{n}-c=p^{n-1}(a_{1}-c)}\n である。よって \n\n\na\nn\n\n=\np\nn\n−\n1\n\n(\na\n1\n\n−\nc\n)\n+\nc\n\n{\\displaystyle a_{n}=p^{n-1}(a_{1}-c)+c}\n と数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n の一般項を求めることができる。\nさて、問題は \n\n\na\nn\n+\n1\n\n−\nc\n=\np\n(\na\nn\n\n−\nc\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+1}-c=p(a_{n}-c)}\n を満たす \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n をどのように求めるかということだが、\n\n\na\nn\n+\n1\n\n−\nc\n=\np\n(\na\nn\n\n−\nc\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+1}-c=p(a_{n}-c)}\n を変形して \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\np\na\nn\n\n−\np\nc\n+\nc\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=pa_{n}-pc+c}\n となる。これが \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\np\na\nn\n\n+\nq\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=pa_{n}+q}\n と等しくなるので、 \n\nq\n=\n−\np\nc\n+\nc\n\n{\\displaystyle q=-pc+c}\n つまり、 \n\nc\n=\np\nc\n+\nq\n\n{\\displaystyle c=pc+q}\n となる \n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n を求めればよい。[7]\n演習問題\na\n1\n\n=\n3\n\n{\\displaystyle a_{1}=3}\n であり、漸化式 \n\n\na\nn\n+\n1\n\n=\n2\na\nn\n\n+\n1\n\n{\\displaystyle a_{n+1}=2a_{n}+1}\n を満たす数列 \n\n{\na\nn\n\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}\\}}\n を求めよ。\nc\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle c=-1}\n は方程式 \n\nc\n=\n2\nc\n+\n1\n\n{\\displaystyle c=2c+1}\n を満たすので、 \n\n\na\nn\n+\n1\n\n+\n1\n=\n2\n(\na\nn\n\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+1}+1=2(a_{n}+1)}\n と変形できる。なので数列 \n\n{\na\nn\n\n+\n1\n}\n\n{\\displaystyle \\{a_{n}+1\\}}\n は等比数列であり、一般項は \n\n\na\nn\n\n+\n1\n=\n2\nn\n−\n1\n\n(\na\n1\n\n+\n1\n)\n\n{\\displaystyle a_{n}+1=2^{n-1}(a_{1}+1)}\n よって \n\n\na\nn\n\n=\n2\nn\n+\n1\n\n−\n1\n\n{\\displaystyle a_{n}=2^{n+1}-1}\n である。\n隣接三項間漸化式の定義は次のとおりである。\n定義 ― \np, q を n に無関係な定数とし、数列 \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle {a_{n}}}\n の漸化式が\nで表されるとき、この漸化式を(定数係数をもつ線型の)隣接三項間漸化式という。\nここでは (1) の隣接三項間漸化式を等比数列に帰着して解く方法を考える。公比 β の等比数列\nの一般項を \n\n\nb\nn\n\n=\na\nn\n+\n1\n\n−\nα\na\nn\n\n\n{\\displaystyle b_{n}=a_{n+1}-\\alpha a_{n}}\n で定義すると、\n(2) の等比数列を (1) と係数比較すると、次の関係が得られる。\nこれは二次方程式の解と係数の関係であるから、二次方程式\nの解 α, β を用いて、(1) の隣接三項間漸化式は (2) の等比数列の漸化式に帰着することができる。この二次方程式を隣接三項間漸化式の特性方程式という。特性方程式の2つの解は便宜上区別したもので、解の取り方によらない(以下の定理は α と β を入れ換えても成立する)。\n隣接三項間漸化式 \n\n\na\nn\n+\n2\n\n=\np\na\nn\n+\n1\n\n+\nq\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n+2}=pa_{n+1}+qa_{n}}\n(p, q は n に無関係な定数)は、特性方程式 \n\n\nx\n2\n\n=\np\nx\n+\nq\n\n{\\displaystyle x^{2}=px+q}\n の解 α, β を用いて、公比 β の等比数列 \n\n\na\nn\n+\n2\n\n−\nα\na\nn\n+\n1\n\n=\nβ\n(\na\nn\n+\n1\n\n−\nα\na\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+2}-\\alpha a_{n+1}=\\beta (a_{n+1}-\\alpha a_{n})}\n に変形することができる。\n隣接三項間漸化式は等比数列 \n\n\na\nn\n+\n2\n\n−\nα\na\nn\n+\n1\n\n=\nβ\n(\na\nn\n+\n1\n\n−\nα\na\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle a_{n+2}-\\alpha a_{n+1}=\\beta (a_{n+1}-\\alpha a_{n})}\n に変形することにより、等比数列の一般項の公式 \n\n\na\nn\n+\n1\n\n−\nα\na\nn\n\n=\n(\na\n2\n\n−\nα\na\n1\n\n)\nβ\nn\n−\n1\n\n\n{\\displaystyle a_{n+1}-\\alpha a_{n}=(a_{2}-\\alpha a_{1})\\beta ^{n-1}}\n を用いてただちに解くことができる。\n(i)\n(ii)\n(iii)\nの\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\nをそれぞれ計算せよ。\nただし、\n(aは任意の実数。)\nとする。さらに、一般に\n(b,cは任意の実数。)についても計算せよ。\n(i)\n特性方程式は、\nとなる。よって、この式は、\nと書き換えられる。ここで、\nと書き換えると、上の式は\nとなり、通常の等比数列の表式となる。ここで、\nを用いると、\nとなる。ここで、\nを再び用いると、\nが得られる。\n(ii),(iii)についても同様に計算を行うと、\nが得られる。\n次に、より一般的な場合について計算する。\nについて特性方程式を用いると、\nとなる。\nよって、上の式は、\nとなる。\nを用いると、\nが得られる。\n実際、\nの結果を代入すると、\nが得られ、上の結果と一致する。\n(i)\n(ii)\nについて\nを計算せよ。\nただし、\n漸化式の右辺が通常の数でないときには、それぞれ異なった手法で計算を進める必要がある。このような場合の一般的な計算は指導要領の範囲を超えるため、限られた場合について例を示すことにする。\n(i)の場合については、右辺の\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nについて、\nを\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nを\n\nn\n+\n1\n\n{\\displaystyle n+1}\nとした\nを引くことで右辺が定数に等しくなることに注意する。このとき、実際に引き算した値を計算すると、\nが得られる。ただし、\nとおいた。この式は、先ほど一般的に計算した式と等しいため、簡単に\nを計算できる。ただし、今回は初期値である\n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\nの値が求められていないので、まずは\n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\nを計算しなくてはならない。ここで、\nとなり、\n\n\nb\n1\n\n\n{\\displaystyle b_{1}}\nが求められた、この値を数列bnの初項として上の\n\n\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle b_{n}}\nに関する漸化式を解くと、\nが得られる。ここで、\nは数列\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\nの階差数列に等しい。よって、\nが得られる。この和を計算すると、\nが得られる。\n(ⅱ)\n左辺は既に見た漸化式と同じ形であるが右辺に\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a^{n}}\n(aは実数)が加わった点が異なる場合である。この場合にはまず最初に両辺を\n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a^{n}}\nで割るとよい。 このとき、上の式は\nとなる。更に\n\n\nb\nn\n\n=\n\na\nn\n\n2\nn\n−\n1\n\n\n\n{\\displaystyle b_{n}={\\frac {a_{n}}{2^{n-1}}}}\nの置き換えをすると、漸化式\nが得られるがこれは既に扱った漸化式である。この式は\nとなり\nが得られる。\n\n\nb\nn\n\n=\n\na\nn\n\n2\nn\n−\n1\n\n\n\n{\\displaystyle b_{n}={\\frac {a_{n}}{2^{n-1}}}}\nを用いると\n\n\nb\n1\n\n=\na\n1\n\n=\na\n\n{\\displaystyle b_{1}=a_{1}=a}\n\nが得られるので、これを用いて\nが得られるが、この式から\n\n\na\nn\n\n=\n2\nn\n−\n1\n\nb\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}=2^{n-1}b_{n}}\nは、\nとなる。\n自然数 1, 2, 3, 4, 5, ... は無限に存在するので、任意の自然数に関しての命題を証明するとき、1つ1つの自然数を列挙していくことは不可能である。そこで、ここでは任意の自然数に関して成り立つ命題を有限の手順で証明する方法を考える。\n自然数 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n に関する命題 \n\nP\n(\nn\n)\n\n{\\displaystyle P(n)}\n [8]が任意の自然数に関して成り立つことを証明するには、次の2つの事柄を示せばよい。\n2. の条件より n = 1 について P は真であるから、1. の条件より n + 1 = 1 + 1 = 2 についても P は真である。これより n = 2 について P は真であるから、n + 1 = 2 + 1 = 3 についても P が真であることがいえ、以下同様にすべての自然数に対して P は真であると結論できる。\nこのような証明法を数学的帰納法(mathematical induction)という。\n数学的帰納法を用いて\nを導出する。まずn=1のとき、\n(lhsは左辺の意味。)\n,そして\n(rhsは右辺の意味。)\nとなり、確かに正しいことが分かる。次にn = lのときこのことが正しいと仮定する。このとき、\nとなり、n = l+1 のときにも、この式が正しいことが示された。よって数学的帰納法より、この式は1以上の全てのnについて成立する。\nフィボナッチ数列は \n\n1\n,\n1\n,\n2\n,\n3\n,\n5\n,\n8\n,\n13\n,\n21\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle 1,1,2,3,5,8,13,21,\\cdots }\n のように、前とその前の項の和が次の項になる数列である。\nフィボナッチ数列の漸化式\nは隣接三項間漸化式であるが、\n\n\na\nn\n+\n2\n\n−\na\nn\n+\n1\n\n−\na\nn\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle a_{n+2}-a_{n+1}-a_{n}=0}\n よりこの特性方程式は\nである。これを解くと、\n公比 β の等比数列の一般項に初項 \n\n\na\n1\n\n=\n1\n,\na\n2\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle a_{1}=1,a_{2}=1}\n を代入すると、\nただし α + β = 1 より 1 - α = β という関係を使った。これは α と β を入れ換えても成り立つため、次の連立方程式が得られる。\n辺々を引いて \n\n\na\nn\n\n\n{\\displaystyle a_{n}}\n について解くと、\nここで \n\nα\n−\nβ\n=\n\n5\n\n\n{\\displaystyle \\alpha -\\beta ={\\sqrt {5}}}\n であるから、求める一般項は次のようになる。\nこれはフィボナッチ数列の一般項を求める公式(ビネの公式、Binet's formula)として知られている。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6B/%E6%95%B0%E5%88%97"} {"text": "本項は高等学校数学Bの「確率分布と統計的な推測」の解説です。\nこの分野は数学Iのデータの分析、数学Aの確率と関連があります。\n同じく数学Bの数列、数学Ⅱの微分・積分の考えを既習であるものとします。また、この分野を学習後に同じく数学Bの数学と社会生活で扱うデータ解析の内容も参照することを推奨します。\nk\n\n{\\displaystyle k}\nは自然数で\n\n1\n≤\nk\n≤\nn\n\n{\\displaystyle 1\\leq k\\leq n}\nを満たすものとします。\n試行の結果によってどの値をとるか定まり、とり得る値の各々に対してその値をとる確率が定まるような変数を確率変数と呼ぶ。\n確率変数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nのとり得る値が\n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{n}}\nであるとき、\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nが値\n\n\nx\nk\n\n\n{\\displaystyle x_{k}}\nをとる確率 を\n\nP\n(\nX\n=\nx\nk\n\n)\n\n{\\displaystyle P(X=x_{k})}\n、\n\na\n≤\nx\nk\n\n≤\nb\n\n{\\displaystyle a\\leq x_{k}\\leq b}\nである確率 \n\nP\n(\na\n≤\nX\n≤\nb\n)\n\n{\\displaystyle P(a\\leq X\\leq b)}\nのように表す。\nP\n(\nX\n=\nx\nk\n\n)\n\n{\\displaystyle P(X=x_{k})}\nを\n\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle p_{k}}\nと表すこととすると、\n\n\nx\nk\n\n\n{\\displaystyle x_{k}}\nと\n\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle p_{k}}\nの対応関係は以下のようになる。\nこの対応関係を\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの確率分布あるいは単に分布と呼び、確率変数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nはこの分布に従うという。\nこのとき、常に\n\n\np\nk\n\n≥\n0\n\n{\\displaystyle p_{k}\\geq 0}\nであり、\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\np\nk\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}p_{k}=1}\nである。\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの確率分布が以下の表であるとする。\nこのとき、\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}x_{k}p_{k}}\nを\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの期待値と呼び、\n\nE\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle E(X)}\nまたは\n\nm\n\n{\\displaystyle m}\nまたは\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nで表す(\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nはギリシャ文字で、アルファベットの\n\nm\n\n{\\displaystyle m}\nに対応する文字である)。\n次に、確率変数\n\n(\nX\n−\nm\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle (X-m)^{2}}\nを考える。この確率変数の期待値を\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの分散と呼び、\n\nV\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle V(X)}\nで表すこととする。このとき、期待値の定義から\n\nV\n(\nX\n)\n=\nE\n{\n(\nX\n−\nm\n)\n2\n\n}\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nx\nk\n\n−\nm\n)\n2\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle V(X)=E\\{(X-m)^{2}\\}=\\sum _{k=1}^{n}(x_{k}-m)^{2}p_{k}}\nであり、\n\nV\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle V(X)}\nの単位は測定単位の二乗(例えば\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの単位が\n\nc\nm\n\n{\\displaystyle cm}\nなら\n\nV\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle V(X)}\nの単位は\n\nc\nm\n2\n\n\n{\\displaystyle cm^{2}}\n)である。そこで、\n\n\nV\n(\nX\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {V(X)}}}\nを\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの標準偏差と呼び、\n\nσ\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle \\sigma (X)}\nで表すこととする(\n\nσ\n\n{\\displaystyle \\sigma }\nは\n\nΣ\n\n{\\displaystyle \\Sigma }\nの小文字である)。\n分散を表す式を変形すると、\nV\n(\nX\n)\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nx\nk\n\n−\nm\n)\n2\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle V(X)=\\sum _{k=1}^{n}(x_{k}-m)^{2}p_{k}}\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nx\nk\n\n2\n\n−\n2\nm\nx\nk\n\n+\nm\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle =\\sum _{k=1}^{n}(x_{k}^{2}-2mx_{k}+m^{2})}\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\n2\n\np\nk\n\n−\n2\nm\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\np\nk\n\n+\nm\n2\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle =\\sum _{k=1}^{n}x_{k}^{2}p_{k}-2m\\sum _{k=1}^{n}x_{k}p_{k}+m^{2}\\sum _{k=1}^{n}p_{k}}\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\n2\n\np\nk\n\n−\n2\nm\n⋅\nm\n+\nm\n2\n\n⋅\n1\n\n{\\displaystyle =\\sum _{k=1}^{n}x_{k}^{2}p_{k}-2m\\cdot m+m^{2}\\cdot 1}\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\n2\n\np\nk\n\n−\nm\n2\n\n\n{\\displaystyle =\\sum _{k=1}^{n}x_{k}^{2}p_{k}-m^{2}}\nとなり、\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\n2\n\np\nk\n\n\n{\\displaystyle \\sum _{k=1}^{n}x_{k}^{2}p_{k}}\nは確率変数\n\n\nX\n2\n\n\n{\\displaystyle X^{2}}\nの期待値に等しいので\n\nV\n(\nX\n)\n=\nE\n(\nX\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle V(X)=E(X^{2})-\\{E(X)\\}^{2}}\nが成り立つ。\n今までの事項を纏めると以下のようになる。\n確率変数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの期待値・分散・標準偏差のことをそれぞれ\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの分布の平均・分散・標準偏差とも呼ぶ。標準偏差は分布の平均を中心として\n\n\nx\nk\n\n\n{\\displaystyle x_{k}}\nの散らばる傾向の程度を表しており、標準偏差の値が小さいほど\n\n\nx\nk\n\n\n{\\displaystyle x_{k}}\nは分布の平均の近傍に集中する。\nなお、分散と標準偏差を纏めて散布度、代表値と合わせて分布の特性値と呼ぶ場合がある。\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの確率分布が以下の表であるとする。\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\nを定数とすると、一次式\n\nY\n=\na\nX\n+\nb\n\n{\\displaystyle Y=aX+b}\nで定められる\n\nY\n\n{\\displaystyle Y}\nも確率変数となり、そのとる値は\n\n\ny\nk\n\n=\na\nx\nk\n\n+\nb\n\n{\\displaystyle y_{k}=ax_{k}+b}\nとなる。よって\n\nY\n\n{\\displaystyle Y}\nの確率分布は以下の表のようになる。\n確率変数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nに対して上のような\n\nY\n\n{\\displaystyle Y}\nを考えることを確率変数の変換と呼ぶ。\nY\n\n{\\displaystyle Y}\nの期待値・分散・標準偏差は以下のようになる。\n\n\nE\n(\nY\n)\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\ny\nk\n\np\nk\n\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\na\nx\nk\n\n+\nb\n)\np\nk\n\n=\na\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\np\nk\n\n+\nb\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\np\nk\n\n=\na\nE\n(\nX\n)\n+\nb\n\n{\\displaystyle E(Y)=\\sum _{k=1}^{n}y_{k}p_{k}=\\sum _{k=1}^{n}(ax_{k}+b)p_{k}=a\\sum _{k=1}^{n}x_{k}p_{k}+b\\sum _{k=1}^{n}p_{k}=aE(X)+b}\nV\n(\nY\n)\n=\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n{\ny\nk\n\n−\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\np\nk\n\n=\na\n2\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n{\nx\nk\n\n−\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\np\nk\n\n=\na\n2\n\nV\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle V(Y)=\\sum _{k=1}^{n}\\{y_{k}-E(Y)\\}^{2}p_{k}=a^{2}\\sum _{k=1}^{n}\\{x_{k}-E(X)\\}^{2}p_{k}=a^{2}V(X)}\n\n\n\n∵\ny\nk\n\n−\nE\n(\nY\n)\n=\na\nx\nk\n\n+\nb\n−\n{\na\nE\n(\nX\n)\n+\nb\n}\n=\na\n{\nx\nk\n\n−\nE\n(\nX\n)\n}\n\n{\\displaystyle \\because y_{k}-E(Y)=ax_{k}+b-\\{aE(X)+b\\}=a\\{x_{k}-E(X)\\}}\nσ\n(\nY\n)\n=\n\nV\n(\nY\n)\n\n=\n|\na\n|\n\nV\n(\nX\n)\n\n=\n|\na\n|\nσ\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle \\sigma (Y)={\\sqrt {V(Y)}}=|a|{\\sqrt {V(X)}}=|a|\\sigma (X)}\n確率変数\n\nX\n,\nY\n,\nZ\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle X,Y,Z,\\cdots }\nと実数\n\na\n,\nb\n,\nc\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle a,b,c,\\cdots }\nに対し\n\nX\n=\na\n,\nY\n=\nb\n,\nZ\n=\nc\n,\n⋯\n\n{\\displaystyle X=a,Y=b,Z=c,\\cdots }\nが同時に成り立つ確率を\n\nP\n(\nX\n=\na\n,\nY\n=\nb\n,\nZ\n=\nc\n,\n⋯\n)\n\n{\\displaystyle P(X=a,Y=b,Z=c,\\cdots)}\nのように表すこととする。\n2つの確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nについてとりうる値がそれぞれ\n\n\nx\n1\n\n,\nx\n2\n\n,\n⋯\n,\nx\nn\n\n\n{\\displaystyle x_{1},x_{2},\\cdots ,x_{n}}\n、\n\n\ny\n1\n\n,\ny\n2\n\n,\n⋯\n,\ny\nm\n\n\n{\\displaystyle y_{1},y_{2},\\cdots ,y_{m}}\nであるとする。\n\nP\n(\nX\n=\nx\ni\n\n,\nY\n=\ny\nj\n\n)\n=\nr\ni\nj\n\n\n{\\displaystyle P(X=x_{i},Y=y_{j})=r_{ij}}\nとおいたとき、以下の表のように全ての\n\ni\n,\nj\n\n{\\displaystyle i,j}\nの組み合わせにおいて\n\n(\nx\ni\n\n,\ny\nj\n\n)\n\n{\\displaystyle (x_{i},y_{j})}\nと\n\n\np\ni\nj\n\n\n{\\displaystyle p_{ij}}\nとの対応が得られる。\nこのような対応を\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nと\n\nY\n\n{\\displaystyle Y}\nの同時分布という。\n各\n\ni\n,\nj\n\n{\\displaystyle i,j}\nについて、それぞれ\n\nP\n(\nX\n=\nx\ni\n\n)\n=\n∑\nj\n=\n1\n\nm\n\nr\ni\nj\n\n=\np\ni\n\n,\nP\n(\nY\n=\ny\nj\n\n)\n=\n∑\ni\n=\n1\n\nn\n\nr\ni\nj\n\n=\nq\nj\n\n\n{\\displaystyle P(X=x_{i})=\\sum _{j=1}^{m}r_{ij}=p_{i},P(Y=y_{j})=\\sum _{i=1}^{n}r_{ij}=q_{j}}\nが成り立つので、\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nの確率分布はそれぞれ以下のようになる。\n2つの確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nについて、和\n\nX\n+\nY\n\n{\\displaystyle X+Y}\nもまた確率変数であり、同時分布表と確率変数変換の等式から、確率変数の和の期待値について\n\nE\n(\nX\n+\nY\n)\n=\nE\n(\nX\n)\n+\nE\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle E(X+Y)=E(X)+E(Y)}\n、\n\nE\n(\na\nX\n+\nb\nY\n)\n=\na\nE\n(\nX\n)\n+\nb\nE\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)}\nが成り立つことがわかる。これは確率変数が3つ以上であっても同様に成り立つ。\n一般に2つの事象\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle A,B}\nにおいて\n\n\nP\nA\n\n(\nB\n)\n=\nP\n(\nB\n)\n\n{\\displaystyle P_{A}(B)=P(B)}\nが成り立つとき、事象\n\nA\n\n{\\displaystyle A}\nが起こることは事象\n\nB\n\n{\\displaystyle B}\nの起こる確率に無関係である。これを事象\n\nA\n\n{\\displaystyle A}\nは事象\n\nB\n\n{\\displaystyle B}\nに独立であるという。このとき、確率の乗法定理により\n\nP\n(\nA\n∩\nB\n)\n=\nP\n(\nA\n)\nP\n(\nB\n)\n\n{\\displaystyle P(A\\cap B)=P(A)P(B)}\nが成り立つ。この式は\n\n\nP\nB\n\n(\nA\n)\n=\nP\n(\nA\n)\n\n{\\displaystyle P_{B}(A)=P(A)}\nと同値であるため、事象\n\nB\n\n{\\displaystyle B}\nが起こることも事象Aの起こる確率に無関係、つまり事象\n\nB\n\n{\\displaystyle B}\nは事象\n\nA\n\n{\\displaystyle A}\nに独立であると言える。よって、\n\nP\n(\nA\n∩\nB\n)\n=\nP\n(\nA\n)\nP\n(\nB\n)\n\n{\\displaystyle P(A\\cap B)=P(A)P(B)}\nが成り立つとき、2つの事象\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle A,B}\nは互いに独立である。独立でない場合は2つの事象\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle A,B}\nは従属であるという。なお、事象\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle A,B}\nの独立・従属と対応する確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nの独立・従属は一致する。\n2つの確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nについて、積\n\nX\nY\n\n{\\displaystyle XY}\nもまた確率変数である。\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nが互いに独立なとき、同時分布表より確率変数の積の期待値は以下のように計算される。\nE\n(\nX\nY\n)\n=\n∑\ni\n=\n1\n\nn\n\n∑\nj\n=\n1\n\nm\n\n(\nx\ni\n\ny\nj\n\n)\n(\np\ni\n\nq\nj\n\n)\n=\n∑\ni\n=\n1\n\nn\n\nx\ni\n\np\ni\n\n⋅\n∑\nj\n=\n1\n\nm\n\ny\nj\n\nq\nj\n\n=\nE\n(\nX\n)\nE\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle E(XY)=\\sum _{i=1}^{n}\\sum _{j=1}^{m}(x_{i}y_{j})(p_{i}q_{j})=\\sum _{i=1}^{n}x_{i}p_{i}\\cdot \\sum _{j=1}^{m}y_{j}q_{j}=E(X)E(Y)}\nこれは3つ以上の確率変数においても互いに独立ならば成立する。\n確率変数\n\nX\n+\nY\n\n{\\displaystyle X+Y}\nの分散について考える。\nV\n(\nX\n+\nY\n)\n=\nE\n{\n(\nX\n+\nY\n)\n2\n\n}\n−\n{\nE\n(\nX\n+\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle V(X+Y)=E\\{(X+Y)^{2}\\}-\\{E(X+Y)\\}^{2}}\n=\nE\n(\nX\n2\n\n+\n2\nX\nY\n+\nY\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n+\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle =E(X^{2}+2XY+Y^{2})-\\{E(X)+E(Y)\\}^{2}}\n=\nE\n(\nX\n2\n\n)\n+\n2\nE\n(\nX\nY\n)\n+\nE\n(\nY\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n−\n2\nE\n(\nX\n)\nE\n(\nY\n)\n−\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle =E(X^{2})+2E(XY)+E(Y^{2})-\\{E(X)\\}^{2}-2E(X)E(Y)-\\{E(Y)\\}^{2}}\nこのとき、確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nが互いに独立ならば\n\nE\n(\nX\nY\n)\n=\nE\n(\nX\n)\nE\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle E(XY)=E(X)E(Y)}\nを用いることで、\n上式\n\n=\nE\n(\nX\n2\n\n)\n+\nE\n(\nY\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n−\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle =E(X^{2})+E(Y^{2})-\\{E(X)\\}^{2}-\\{E(Y)\\}^{2}}\n=\n[\nE\n(\nX\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n]\n+\n[\nE\n(\nY\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n]\n\n{\\displaystyle =[E(X^{2})-\\{E(X)\\}^{2}]+[E(Y^{2})-\\{E(Y)\\}^{2}]}\n=\nV\n(\nX\n)\n+\nV\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle =V(X)+V(Y)}\nと変形できる。\n同様に、確率変数変換の等式より確率変数\n\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nが互いに独立ならば\n\nV\n(\na\nX\n+\nb\nY\n)\n=\na\n2\n\nV\n(\nX\n)\n+\nb\n2\n\nV\n(\nY\n)\n\n{\\displaystyle V(aX+bY)=a^{2}V(X)+b^{2}V(Y)}\nが成り立つ。\nこれらは3つ以上の確率変数においても互いに独立ならば成立する。\n確率変数\n\nX\nY\n\n{\\displaystyle XY}\nの分散について考える。\n分散の性質より\n\nV\n(\nX\nY\n)\n=\nE\n(\nX\n2\n\nY\n2\n\n)\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle V(XY)=E(X^{2}Y^{2})-\\{E(X)\\}^{2}\\{E(Y)\\}^{2}}\nと変形できる。\nX\n,\nY\n\n{\\displaystyle X,Y}\nが互いに独立ならば\n\n\nX\n2\n\n,\nY\n2\n\n\n{\\displaystyle X^{2},Y^{2}}\nも互いに独立であるので、\n\nE\n(\nX\n2\n\nY\n2\n\n)\n=\nE\n(\nX\n2\n\n)\nE\n(\nY\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle E(X^{2}Y^{2})=E(X^{2})E(Y^{2})}\nが成り立つ。\nよって\n\nV\n(\nX\nY\n)\n=\nE\n(\nX\n2\n\n)\nE\n(\nY\n2\n\n)\n−\n\nE\n(\nX\n)\n\n2\n\n\nE\n(\nY\n)\n\n2\n\n\n{\\displaystyle V(XY)=E(X^{2})E(Y^{2})-{E(X)}^{2}{E(Y)}^{2}}\nとなる。\nここで分散の性質より上式は\n\n[\nV\n(\nX\n)\n+\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n]\n[\nV\n(\nY\n)\n+\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n]\n−\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\n\n{\\displaystyle [V(X)+\\{E(X)\\}^{2}][V(Y)+\\{E(Y)\\}^{2}]-\\{E(X)\\}^{2}\\{E(Y)\\}^{2}}\nと変形できるので、\n展開して\n\nV\n(\nX\nY\n)\n=\nV\n(\nX\n)\nV\n(\nY\n)\n+\n{\nE\n(\nX\n)\n}\n2\n\nV\n(\nY\n)\n+\n{\nE\n(\nY\n)\n}\n2\n\nV\n(\nX\n)\n\n{\\displaystyle V(XY)=V(X)V(Y)+\\{E(X)\\}^{2}V(Y)+\\{E(Y)\\}^{2}V(X)}\nとなる。\nこれは3つ以上の確率変数においても互いに独立ならば成立する。\nなお、上記で紹介した確率変数の和の分散、確率変数の積の期待値・分散については、確率変数が従属である場合には確率変数のとる値を用いて直接計算する必要がある。\n確率\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nで\n\nA\n\n{\\displaystyle A}\nか\n\nB\n\n{\\displaystyle B}\nかの2通りの結果をとる試行を独立に\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n回繰り返したとき、\n\nA\n\n{\\displaystyle A}\nが起こる回数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nの確率分布は反復試行の確率より以下のようになる。ただし、\n\n0\n<\np\n<\n1\n,\nq\n=\n1\n−\np\n\n{\\displaystyle 0>\nn\n\n{\\displaystyle N>>n}\n)場合には近似的に復元抽出による標本と見なすことができる。\n大きさ\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nの標本について、\n\n\nX\n¯\n\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}X_{k}}\nを標本平均、\n\n\nS\n2\n\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nX\nk\n\n−\n\nX\n¯\n\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle S^{2}={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}(X_{k}-{\\overline {X}})^{2}}\nを標本分散、\n\nS\n=\n\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nX\nk\n\n−\n\nX\n¯\n\n)\n2\n\n\n\n{\\displaystyle S={\\sqrt {{\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}(X_{k}-{\\overline {X}})^{2}}}}\nを標本標準偏差と呼ぶ。\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}}\nは「母集団から標本を抽出する」という試行の結果で値が定まる確率変数なので、\n\n\nX\n¯\n\n,\nS\n2\n\n,\nS\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}},S^{2},S}\nも同様の試行の結果で値が定まる確率変数である。\n復元抽出の場合、確率変数の値\n\n\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}}\nは大きさ1の標本の確率変数と見なすことができ、それぞれ母集団分布に従うので、\n\nE\n(\nX\nk\n\n)\n=\nμ\n,\nV\n(\nX\nk\n\n)\n=\nσ\n2\n\n,\nσ\n(\nX\nk\n\n)\n=\nσ\n\n{\\displaystyle E(X_{k})=\\mu ,V(X_{k})=\\sigma ^{2},\\sigma (X_{k})=\\sigma }\nが成り立つ。\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}}\nはそれぞれ互いに独立なので、確率変数の和の期待値・分散を求める公式より\n\n\nE\n(\n\nX\n¯\n\n)\n=\nE\n(\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nx\nk\n\n)\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nE\n(\nX\nk\n\n)\n=\n\n1\nn\n\n⋅\nn\nμ\n=\nμ\n\n{\\displaystyle E({\\overline {X}})=E({\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}x_{k})={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}E(X_{k})={\\frac {1}{n}}\\cdot n\\mu =\\mu }\n\n\n\nV\n(\n\nX\n¯\n\n)\n=\nV\n(\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n)\n=\n\n1\nn\n2\n\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nV\n(\nX\nk\n\n)\n=\n\n1\nn\n2\n\n\n⋅\nn\nσ\n2\n\n=\n\nσ\n2\n\nn\n\n\n{\\displaystyle V({\\overline {X}})=V({\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}X_{k})={\\frac {1}{n^{2}}}\\sum _{k=1}^{n}V(X_{k})={\\frac {1}{n^{2}}}\\cdot n\\sigma ^{2}={\\frac {\\sigma ^{2}}{n}}}\n\n\n\nσ\n(\n\nX\n¯\n\n)\n=\n\nV\n(\n\nX\n¯\n\n)\n\n=\n\nσ\nn\n\n\n{\\displaystyle \\sigma ({\\overline {X}})={\\sqrt {V({\\overline {X}})}}={\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}}\n非復元抽出の場合も\n\nN\n>>\nn\n\n{\\displaystyle N>>n}\nならば同様である。\n母集団全体の中である特性Aを持つ要素の割合を特性Aの母比率、標本の中で特性Aを持つ要素の割合を特性Aの標本比率と呼ぶ。\n特性Aの母比率が\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nである十分大きな母集団から、大きさがnの標本を無作為抽出するとき、標本の中で特性Aを持つ要素の個数を\n\nT\n\n{\\displaystyle T}\nとおくと、\n\nT\n∼\nB\n(\nn\n,\np\n)\n\n{\\displaystyle T\\sim B(n,p)}\nである。ここで、\n\nq\n=\n1\n−\np\n\n{\\displaystyle q=1-p}\nとして正規化すると、近似的に\n\nT\n∼\nN\n(\nn\np\n,\nn\np\nq\n)\n\n{\\displaystyle T\\sim N(np,npq)}\nである。\n特性Aの標本比率を\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nとおくと、\n\nR\n=\n\nT\nn\n\n\n{\\displaystyle R={\\frac {T}{n}}}\nより\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nは確率変数であり、\n\n\nE\n(\nR\n)\n=\n\n1\nn\n\nE\n(\nT\n)\n=\n\n1\nn\n\n⋅\nn\np\n=\np\n\n{\\displaystyle E(R)={\\frac {1}{n}}E(T)={\\frac {1}{n}}\\cdot np=p}\nV\n(\nR\n)\n=\n\n1\nn\n2\n\n\nE\n(\nT\n)\n=\n\n1\nn\n2\n\n\n⋅\nn\np\nq\n=\n\np\nq\nn\n\n\n{\\displaystyle V(R)={\\frac {1}{n^{2}}}E(T)={\\frac {1}{n^{2}}}\\cdot npq={\\frac {pq}{n}}}\nであるので、近似的に\n\nR\n∼\nN\n(\np\n,\n\np\nq\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle R\\sim N(p,{\\frac {pq}{n}})}\nである。\n特性Aの母比率が\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nである母集団において、特性Aを持つ要素を1、持たない要素を0で表す変量\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\nを考える。このとき、\n\n\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}}\nはそれぞれ1または0である。特性Aの標本比率\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nはこれらのうち値が1であるものの割合であるから、\n\nR\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n=\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle R={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}X_{k}={\\overline {X}}}\nが成り立つ。よって、標本比率は標本平均の特別な場合である。\n一般に、標本平均\n\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}}\nについて以下の法則が成り立つ。\n標本標準偏差について、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\nσ\n(\n\nX\n¯\n\n)\n=\nlim\nn\n→\n∞\n\n\nσ\nn\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }\\sigma ({\\overline {X}})=\\lim _{n\\to \\infty }{\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}=0}\nより、\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが大きくなると\n\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}}\nは母平均\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nの近くに集中して分布する。すなわち、\n\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}}\nが\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nに近い値をとる確率を\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nとすると、\n\n\nlim\nn\n→\n∞\n\np\n=\n1\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }p=1}\nである。\nlim\nn\n→\n∞\n\n\n{\\displaystyle \\lim _{n\\to \\infty }}\nは「\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nを限りなく大きくする」という意味の記号である。詳しくはこちらを参照。\nしたがって、以下が成り立つ。\n母集団が大きいとき、母平均を求めるには時間も労力も相当にかかる。そこで、標本平均から母平均を推定することを考える。\n標本の大きさ\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが大きいとき、近似的に\n\n\nX\n¯\n\n∼\nN\n(\nμ\n,\n\nσ\n2\n\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}\\sim N(\\mu ,{\\frac {\\sigma ^{2}}{n}})}\nであるのは先程学んだ。\n\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}}\nの標準化を考えて\n\nZ\n=\n\n\nX\n¯\n\n−\nμ\n\nσ\nn\n\n\n\n{\\displaystyle Z={\\frac {{\\overline {X}}-\\mu }{\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}}}\nとおくと、近似的に\n\nZ\n∼\nN\n(\n0\n,\n1\n)\n\n{\\displaystyle Z\\sim N(0,1)}\nである。\nここで正規分布表より\n\nP\n(\n|\nZ\n|\n≤\n1.96\n)\n≒\n0.95\n\n{\\displaystyle P(|Z|\\leq 1.96)\\fallingdotseq 0.95}\nなので、\nP\n(\nμ\n−\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n≤\n\nX\n¯\n\n≤\nμ\n+\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n)\n≒\n0.95\n\n{\\displaystyle P(\\mu -1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}\\leq {\\overline {X}}\\leq \\mu +1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}})\\fallingdotseq 0.95}\nすなわち\n\nP\n(\n\nX\n¯\n\n−\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n≤\nμ\n≤\n\nX\n¯\n\n+\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n)\n≒\n0.95\n\n{\\displaystyle P({\\overline {X}}-1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}\\leq \\mu \\leq {\\overline {X}}+1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}})\\fallingdotseq 0.95}\nである。\nこの式は区間\n\n\nX\n¯\n\n−\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n≤\nx\n≤\n\nX\n¯\n\n+\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n\n{\\displaystyle {\\overline {X}}-1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}\\leq x\\leq {\\overline {X}}+1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}}\nが値\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nを含むことが約95%の確実さで期待できることを示している。\nこの区間を母平均\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nに対する信頼度95%の信頼区間と呼び、\n\n[\n\nX\n¯\n\n−\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n,\n\nX\n¯\n\n+\n1.96\n⋅\n\nσ\nn\n\n]\n\n{\\displaystyle [{\\overline {X}}-1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}},{\\overline {X}}+1.96\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}]}\nのように表す。\n母平均\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nに対して信頼度95%の信頼区間を求めることを、「母平均\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nを信頼度95%で区間推定する」という。\n信頼度95%とは、大きさ\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nの無作為抽出を繰り返し、得られたそれぞれの標本平均に対し区間推定をして信頼区間を多数作ると、母平均\n\nμ\n\n{\\displaystyle \\mu }\nの含まれる区間が95%の割合で現れることが期待できることを指している。\n信頼度99%で推定する場合、正規分布表より\n\nP\n(\n|\nZ\n|\n≤\n2.58\n)\n≒\n0.99\n\n{\\displaystyle P(|Z|\\leq 2.58)\\fallingdotseq 0.99}\nなので、信頼区間は\n\n[\n\nX\n¯\n\n−\n2.58\n⋅\n\nσ\nn\n\n,\n\nX\n¯\n\n+\n2.58\n⋅\n\nσ\nn\n\n]\n\n{\\displaystyle [{\\overline {X}}-2.58\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}},{\\overline {X}}+2.58\\cdot {\\frac {\\sigma }{\\sqrt {n}}}]}\nとなる。\nなお、実際の統計では母標準偏差\n\nσ\n\n{\\displaystyle \\sigma }\nがわからない場合が多いので、\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが大きいときは代わりに標本標準偏差\n\nS\n\n{\\displaystyle S}\nを用いて良い。\n母平均と同様、標本比率\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nから母比率\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nを区間推定することもできる。\n標本の大きさ\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが大きいとき、先ほど学んだように\n\nR\n∼\nN\n(\np\n,\nn\np\nq\n)\n\n{\\displaystyle R\\sim N(p,npq)}\nである。したがって、母平均の推定の場合と同様に考えて\n\nP\n(\nR\n−\n1.96\n\n\nn\np\nn\n\n≤\np\n≤\nR\n+\n1.96\n\n\np\nq\nn\n\n)\n\n{\\displaystyle P(R-1.96{\\sqrt {\\frac {np}{n}}}\\leq p\\leq R+1.96{\\sqrt {\\frac {pq}{n}}})}\nである。\nq\n=\n1\n−\np\n\n{\\displaystyle q=1-p}\nであり、大数の法則より\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\nが大きいとき\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nは\n\nR\n\n{\\displaystyle R}\nと見做して良いから、\n\nQ\n=\n1\n−\nR\n\n{\\displaystyle Q=1-R}\nとおくと、母比率\n\np\n\n{\\displaystyle p}\nに対する信頼度95%の信頼区間は\n\n[\nR\n−\n1.96\n\n\nR\nQ\nn\n\n,\nR\n+\n1.96\n\n\nR\nQ\nn\n\n]\n\n{\\displaystyle [R-1.96{\\sqrt {\\frac {RQ}{n}}},R+1.96{\\sqrt {\\frac {RQ}{n}}}]}\nである。\n信頼度99%で推定する場合、標本平均の場合と同様に考えて信頼区間は\n\n[\nR\n−\n2.58\n\n\nR\nQ\nn\n\n,\nR\n+\n2.58\n\n\nR\nQ\nn\n\n]\n\n{\\displaystyle [R-2.58{\\sqrt {\\frac {RQ}{n}}},R+2.58{\\sqrt {\\frac {RQ}{n}}}]}\nとなる。\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}}\nのとる値は1または0であるから、\n\n\nX\nk\n\n2\n\n=\nX\nk\n\n\n{\\displaystyle X_{k}^{2}=X_{k}}\nである。ここで\n\nR\n=\n\nX\n¯\n\n\n{\\displaystyle R={\\overline {X}}}\nを用いると、標本分散\n\n\nS\n2\n\n\n{\\displaystyle S^{2}}\nについて以下のように変形できる。\nS\n2\n\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nX\nk\n\n−\n\nX\n¯\n\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle S^{2}={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}(X_{k}-{\\overline {X}})^{2}}\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\n(\nX\nk\n\n2\n\n−\n2\nX\nk\n\n\nX\n¯\n\n+\n\nX\n2\n\n¯\n\n)\n\n{\\displaystyle ={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}(X_{k}^{2}-2X_{k}{\\overline {X}}+{\\overline {X^{2}}})}\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n2\n\n−\n\n2\nn\n\n⋅\nn\n\nX\n¯\n\n⋅\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n+\n\nX\n2\n\n¯\n\n\n{\\displaystyle ={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}X_{k}^{2}-{\\frac {2}{n}}\\cdot n{\\overline {X}}\\cdot \\sum _{k=1}^{n}X_{k}+{\\overline {X^{2}}}}\n=\n\n1\nn\n\n∑\nk\n=\n1\n\nn\n\nX\nk\n\n−\n2\n\nX\n2\n\n¯\n\n+\n\nX\n2\n\n¯\n\n\n{\\displaystyle ={\\frac {1}{n}}\\sum _{k=1}^{n}X_{k}-2{\\overline {X^{2}}}+{\\overline {X^{2}}}}\n=\n\nX\n¯\n\n−\n\nX\n2\n\n¯\n\n\n{\\displaystyle ={\\overline {X}}-{\\overline {X^{2}}}}\n=\nR\n−\nR\n2\n\n\n{\\displaystyle =R-R^{2}}\n=\nR\n(\n1\n−\nR\n)\n\n{\\displaystyle =R(1-R)}\n先ほど母標準偏差\n\n\np\nq\n\n(\nq\n=\n1\n−\np\n)\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {pq}}(q=1-p)}\nを確率変数\n\n\nR\nQ\n\n(\nQ\n=\n1\n−\nR\n)\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {RQ}}(Q=1-R)}\nで置き換えたが、上式より\n\n\nR\nQ\n\n=\nS\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {RQ}}=S}\nなので、この置き換えは母平均の推定で行なった「母標準偏差\n\nσ\n\n{\\displaystyle \\sigma }\nを標本標準偏差\n\nS\n\n{\\displaystyle S}\nで置き換える」ことの特別な場合である。\nここでは信頼区間を大括弧[]で表したが、実は一般に区間\n\na\n≤\nx\n≤\nb\n\n{\\displaystyle a\\leq x\\leq b}\nは「閉区間」と呼ばれ、\n\n[\na\n,\nb\n]\n\n{\\displaystyle [a,b]}\nで表される。詳しくは数学Ⅲの極限で扱う。\nなお、ある区間でもって母集団の特性値を推定する区間推定に対し、一つの値から母集団の特性値を推定することを点推定と呼ぶ。例として、大数の法則を利用して標本平均から母平均を近似することが挙げられる。区間推定と点推定を合わせて統計的推定と呼ぶ。\n数学Iで扱ったように、仮説検定とは以下の手順で仮説が正しいか判断する手法である。\nなお、仮説[2]が正しくないと判断できないとき、仮説[1]の真偽を判断することはできない\n仮説[1]を対立仮説、仮説[2]を帰無仮説と呼び、仮説が正しくないと判断することを「仮説を棄却する」という。棄却の基準となる確率を有意水準あるいは危険率と呼び、\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nで表す。有意水準にはよく5%(\n\nα\n=\n0.05\n\n{\\displaystyle \\alpha =0.05}\n)、1%(\n\nα\n=\n0.01\n\n{\\displaystyle \\alpha =0.01}\n)が用いられる。有意水準に対して帰無仮説が棄却されるような確率変数の値の範囲を棄却域と呼ぶ。また、有意水準\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nを用いて仮説検定を行うことを「有意水準\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nで検定する」という。なお、対立仮説、帰無仮説をそれぞれ「仮説\n\n\nH\n1\n\n\n{\\displaystyle H_{1}}\n:〇〇」「仮説\n\n\nH\n0\n\n\n{\\displaystyle H_{0}}\n:☆☆(〇〇でない)」のように表すこともある。また、仮説が棄却されないことを「仮説を採択する」という場合がある。\n数学Iでは、公正なコインを投げて裏表の出る回数を調べる試行の相対度数から帰無仮説のもとで事象が起こる確率を求めたが、ここでは正規分布を利用することを考える。\n母比率の検定において、帰無仮説のもとで二項分布に従う確率変数\n\nX\n\n{\\displaystyle X}\nを設定すると、正規分布表を利用することができる。\n上の例題において、正規近似と標準化を同時に行なっていることに注意。\n母平均の検定も、同様に行うことができる。\nなお、上の例題において\n\nα\n=\n0.05\n\n{\\displaystyle \\alpha =0.05}\nならば帰無仮説を棄却できる。このように、有意水準の値を変えると結論が変わる場合がある。\n上の二つの例題では、棄却域を正規分布の両側にとっている。このような検定を両側検定と呼ぶ。\n両側検定に対し、棄却域を正規分布の片側にとる検定を片側検定と呼ぶ。\n両側検定との違いは、対立仮説が「確率(平均)値が示されている値通りである」でなく「確率(平均)値が上がった(下がった)」である点である。\n棄却域を片側にとっているため、正規分布で近似する値は\n\n1\n−\nα\n\n{\\displaystyle 1-\\alpha }\nではなく\n\n0.5\n−\nα\n\n{\\displaystyle 0.5-\\alpha }\nであることに注意。\n仮説検定の問題を解く際は、文脈から両側検定なのか片側検定なのか判断することになるので、文章読解力が必要になる。\nなお、実際に検定を行うとき、「両側検定・片側検定の片方で帰無仮説が棄却されないからもう片方を試す」という操作は「検証が恣意的」と判断されてしまう可能性があるためしてはいけない。\n仮説検定を行うと、2種類の誤りが生じる可能性がある。\n一つは、帰無仮説が本当は正しいのにも拘らず、得られたデータが棄却域に入ってしまったことにより帰無仮説が棄却されることである。これを第一種の過誤と呼ぶ。このとき有意水準\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nは第一種の過誤が起こる確率であり、有意水準のことを「危険率」とも呼ぶのはこれが理由である。\nもう一つは、帰無仮説が本当は誤っているにも拘らず、得られたデータが棄却域に入らなかったために帰無仮説を採択してしまうことである。これを第二種の過誤と呼ぶ。\n纏めると、以下の表のようになる。\nこの二つの過誤を品質管理に当てはめると、第一種の過誤は「本当は製品に問題がないにも拘らず、製品の検査段階で不良品と判断して出荷しないこと」に対応し、生産者リスクと呼ばれる。また、第二種の過誤は「本当は製品に問題があるにも拘らず、検査段階で問題なしと判断され出荷されてしまうこと」に対応し、消費者リスクと呼ばれる。\np\n(\n−\nu\n)\n=\np\n(\nu\n)\n\n{\\displaystyle p(-u)=p(u)}\nなので、\n\nu\n\n{\\displaystyle u}\nが正の値のときみ記載する。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6B/%E7%A2%BA%E7%8E%87%E5%88%86%E5%B8%83%E3%81%A8%E7%B5%B1%E8%A8%88%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%8E%A8%E6%B8%AC"} {"text": "本項は高等学校数学Bの「数学的と社会生活」の解説です。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6B/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%A8%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%94%9F%E6%B4%BB"} {"text": "理科において、力は大きさと向きを持つ量であると習っただろう。大きさと向きを持つ量は、力の他にも、速度や風の吹き方などがある。\n例えば、ある地点ある時刻における風の吹き方は、風速と風向から成り立つ。このように、大きさと向きを持つ量を導入すると、これらを効率よく扱える。\nこのページでは、大きさと向きを持つ量であるベクトルを扱う。\nまた、図形の問題に対して代数的なアプローチを取れるのもベクトルの利点の一つである。\n平面上の点 \n\n\nS\n\n{\\displaystyle \\mathrm {S} }\n から点 \n\n\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {T} }\n へ向かう矢印を考える。このような矢印のように向きを持つ線分を有向線分という。\nこのとき、点 \n\n\nS\n\n{\\displaystyle \\mathrm {S} }\n を始点、点 \n\n\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {T} }\n を終点という。\n有向線分で、大きさと方向が同じものはベクトルとして同じものとする。\n有向線分は位置、長さ(大きさ)、向きという情報を持つ。ベクトルは、有向線分の持つ情報のうち、位置の情報を忘れて、大きさ、向きだけに着目したものと考えることができる。\n有向線分 \n\n\nS\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {ST} }\n で表されるベクトルを \n\n\n\nS\nT\n→\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {\\vec {ST}} }\n とかく。ベクトルは一文字で \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n などと表されることがある[1]。ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n の大きさを \n\n\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}|}\n で表す。\n有向線分 \n\n\nS\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {ST} }\n、有向線分 \n\n\nS\n′\n\nT\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {S'T'} }\n に対し、大きさが等しく、向きが等しいなら、位置が違っていても、ベクトルとして等しく、\n\n\n\nS\nT\n→\n\n=\n\n\nS\n′\n\nT\n′\n\n→\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {\\vec {ST}} =\\mathrm {\\vec {S'T'}} }\n である。[2]\n大きさが 1 であるベクトルを単位ベクトルという。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n に対し、ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n と方向が逆で、大きさが等しいベクトルを逆ベクトルといい、\n\n−\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle -{\\vec {a}}}\n とかく。\n始点と終点が等しいベクトルを零ベクトルといい、\n\n\n\n0\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {0}}}\n で表す。任意の点 \n\n\nA\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} }\n に対し、\n\n\n\nA\nA\n→\n\n=\n\n0\n→\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {\\vec {AA}} ={\\vec {0}}}\n である。ゼロベクトルの大きさは 0 で、向きは考えないものとする。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n に対し、\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nA\nB\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n=\n\n\nB\nC\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\mathrm {\\vec {AB}} ,{\\vec {b}}=\\mathrm {\\vec {BC}} }\n となる点をとる。このときベクトルの加法を \n\n\n\na\n→\n\n+\n\nb\n→\n\n=\n\n\nA\nC\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}+{\\vec {b}}=\\mathrm {\\vec {AC}} }\n で定める。\nベクトルの加法について以下が成り立つ。\nまた、\n\n\n\na\n→\n\n+\n\n0\n→\n\n=\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}+{\\vec {0}}={\\vec {a}}}\n とする。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n に対し、 \n\n\n\na\n→\n\n−\n\nb\n→\n\n=\n\na\n→\n\n+\n(\n−\n\nb\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}-{\\vec {b}}={\\vec {a}}+(-{\\vec {b}})}\n とかく。\nゼロベクトルはないベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n と実数 \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n に対し、ベクトルの実数倍 \n\nk\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle k{\\vec {a}}}\n を以下のように定める。\nまたゼロベクトル \n\n\n\n0\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {0}}}\n に対し、実数倍を \n\nk\n\n0\n→\n\n=\n\n0\n→\n\n\n{\\displaystyle k{\\vec {0}}={\\vec {0}}}\n で定める。\n以下の性質がなりたつ。\nゼロベクトルではないベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n(\n≠\n\n0\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}\\,(\\neq {\\vec {0}})}\n に対し、\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nA\nA\n′\n\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n=\n\n\nB\nB\n′\n\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\vec {\\mathrm {AA'} }},{\\vec {b}}={\\vec {\\mathrm {BB'} }}}\n となる点をとる。\nこのとき、直線 \n\n\nA\nA\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AA'} }\n と直線 \n\n\nB\nB\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {BB'} }\n が平行であるとき、ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n は平行であるといい、 \n\n\n\na\n→\n\n∥\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\parallel {\\vec {b}}}\n で表す。\nまた、直線 \n\n\nA\nA\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AA'} }\n と直線 \n\n\nB\nB\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {BB'} }\n が垂直であるとき、ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n は垂直であるといい、\n\n\n\na\n→\n\n⊥\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\perp {\\vec {b}}}\n で表す。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n が平行のとき、明らかに、片方のベクトルを実数倍すれば大きさと向きが一致するので、\na\n→\n\n∥\n\nb\n→\n\n\n⟺\n\n\nb\n→\n\n=\nk\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\parallel {\\vec {b}}\\iff {\\vec {b}}=k{\\vec {a}}}\n となる実数 \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n が存在する\nが成り立つ。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n がともにゼロベクトルでなく(\n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n≠\n\n0\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}\\neq {\\vec {0}}}\n) 、平行でないとき、任意のベクトル \n\n\n\np\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {p}}}\n に対して、 \n\n\n\np\n→\n\n=\ns\n\na\n→\n\n+\nt\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {p}}=s{\\vec {a}}+t{\\vec {b}}}\n となる実数 \n\ns\n,\nt\n\n{\\displaystyle s,t}\n を取ることができる。\n証明\na\n→\n\n=\n\n\nO\nA\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n=\n\n\nO\nB\n→\n\n,\n\np\n→\n\n=\n\n\nO\nP\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\vec {\\mathrm {OA} }},{\\vec {b}}={\\vec {\\mathrm {OB} }},{\\vec {p}}={\\vec {\\mathrm {OP} }}}\n となる点をとる。点 \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n を通り、直線 \n\n\nO\nB\n,\nO\nA\n\n{\\displaystyle \\mathrm {OB} ,\\mathrm {OA} }\n に平行な直線が、それぞれ 直線 \n\n\nO\nA\n,\nO\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {OA} ,\\mathrm {OB} }\n と交わる点をそれぞれ \n\n\nS\n,\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {S,T} }\n と置く。\nこのとき、 \n\n\n\nO\nS\n→\n\n=\ns\n\na\n→\n\n,\n\n\nO\nT\n→\n\n=\nt\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {OS} }}=s{\\vec {a}},{\\vec {\\mathrm {OT} }}=t{\\vec {b}}}\n となる実数 \n\ns\n,\nt\n\n{\\displaystyle s,t}\n を取ることができる。ここで、四角形 \n\n\nO\nS\nP\nT\n\n{\\displaystyle \\mathrm {OSPT} }\n は平行四辺形なので、 \n\n\n\np\n→\n\n=\ns\n\na\n→\n\n+\nt\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {p}}=s{\\vec {a}}+t{\\vec {b}}}\n が成り立つ。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n に対して、座標平面上の原点を \n\n\nO\n\n{\\displaystyle \\mathrm {O} }\n とするとき、\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nO\nA\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\mathrm {\\vec {OA}} }\n となる点 \n\n\nA\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (a_{x},a_{y})}\n を取ることができる。そこで、 \n\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle (a_{x},a_{y})}\n をベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n の成分表示とし、 \n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a_{x},a_{y})}\n、または、縦に並べて、 \n\n\n\na\n→\n\n=\n(\n\n\na\nx\n\n\n\na\ny\n\n\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\left({\\begin{aligned}a_{x}\\\\a_{y}\\end{aligned}}\\right)}\n と書く。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},{\\vec {b}}}\n に対して、\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nO\nA\n→\n\n,\n\n\nb\n→\n\n=\n\n\nO\nB\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\mathrm {\\vec {OA}} ,\\,{\\vec {b}}=\\mathrm {\\vec {OB}} }\n となる点 \n\n\nA\n,\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ,\\mathrm {B} }\n をとり、\n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n,\n\n\nb\n→\n\n=\n(\nb\nx\n\n,\nb\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a_{x},a_{y}),\\,{\\vec {b}}=(b_{x},b_{y})}\n とするとき\na\n→\n\n=\n\nb\n→\n\n\n⟺\n\n\nO\nA\n→\n\n=\n\n\nO\nB\n→\n\n\n⟺\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\vec {b}}\\iff {\\vec {\\mathrm {OA} }}={\\vec {\\mathrm {OB} }}\\iff }\n点 \n\n\nA\n,\n\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ,\\,\\mathrm {B} }\n が一致する \n\n\n⟺\n\na\nx\n\n=\nb\nx\n\n\n{\\displaystyle \\iff a_{x}=b_{x}}\n かつ \n\n\na\ny\n\n=\nb\ny\n\n\n{\\displaystyle a_{y}=b_{y}}\nまた、 \n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a_{x},a_{y})}\n に対して、\n\n\n\na\n→\n\n=\n\n\nO\nA\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=\\mathrm {\\vec {OA}} }\n とするとき、 \n\n\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}|}\n は線分 \n\n\nO\nA\n\n{\\displaystyle \\mathrm {OA} }\n の長さなので、\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n=\n\na\nx\n\n2\n\n+\na\ny\n\n2\n\n\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}|={\\sqrt {a_{x}^{2}+a_{y}^{2}}}}\nである。\nベクトル \n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n,\na\ny\n\n)\n,\n\nb\n→\n\n=\n(\nb\nx\n\n,\nb\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a_{x},a_{y}),{\\vec {b}}=(b_{x},b_{y})}\n に対して、\na\n→\n\n+\n\nb\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n+\nb\nx\n\n,\na\ny\n\n+\nb\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}+{\\vec {b}}=(a_{x}+b_{x},a_{y}+b_{y})}\na\n→\n\n−\n\nb\n→\n\n=\n(\na\nx\n\n−\nb\nx\n\n,\na\ny\n\n−\nb\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}-{\\vec {b}}=(a_{x}-b_{x},a_{y}-b_{y})}\nk\n\na\n→\n\n=\n(\nk\na\nx\n\n,\nk\na\ny\n\n)\n\n{\\displaystyle k{\\vec {a}}=(ka_{x},ka_{y})}\nがなりたつ。\nある点を基準にして、その点を始点とするベクトルについて考えることにより、ベクトルを用いて点の位置関係について考察することができる。\n点の位置関係基準となる点 \n\n\nO\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {O}}}\n をあらかじめ定める。このとき、点 \n\n\nA\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {A}}}\n に対して、ベクトル \n\n\n\nO\nA\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\rm {OA}}}}\n を点 \n\n\nA\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {A}}}\n の位置ベクトルという。位置ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n で与えられる点 \n\n\nA\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {A}}}\n を \n\n\nA\n(\n\na\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ({\\vec {a}})}\n で表す。\nまた、点 \n\n\nA\n(\n\na\n→\n\n)\n,\n\nB\n(\n\nb\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} ({\\vec {a}}),\\,\\mathrm {B} ({\\vec {b}})}\n のとき、\n\n\n\nA\nB\n→\n\n=\n\n\nO\nB\n→\n\n−\n\n\nO\nA\n→\n\n=\n\nb\n→\n\n−\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\rm {AB}}}={\\vec {\\rm {OB}}}-{\\vec {\\rm {OA}}}={\\vec {b}}-{\\vec {a}}}\n が成り立つ。\n以下、位置ベクトルの基準点を点 \n\n\nO\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {O}}}\n とする。\n点 \n\n\nA\n(\n\na\n→\n\n)\n,\n\nB\n(\n\nb\n→\n\n)\n\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {A({\\vec {a}}),\\,{\\rm {B({\\vec {b}})}}}}}\n を通る線分 \n\n\nA\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} }\n を \n\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle m:n}\n に内分する点 \n\n\nP\n(\n\np\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} ({\\vec {p}})}\n を求める。\nA\nP\n→\n\n=\n\nm\nm\n+\nn\n\n\n\nA\nB\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AP} }}={\\frac {m}{m+n}}{\\vec {\\mathrm {AB} }}}\n より、\n\n\n\np\n→\n\n−\n\na\n→\n\n=\n\nm\nm\n+\nn\n\n(\n\nb\n→\n\n−\n\na\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {p}}-{\\vec {a}}={\\frac {m}{m+n}}({\\vec {b}}-{\\vec {a}})}\n したがって、\n\n\n\np\n→\n\n=\n\nn\n\na\n→\n\n+\nm\n\nb\n→\n\n\nm\n+\nn\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {p}}={\\frac {n{\\vec {a}}+m{\\vec {b}}}{m+n}}}\n である。[3]\n次に、点 \n\n\nA\n(\n\na\n→\n\n)\n,\n\nB\n(\n\nb\n→\n\n)\n\n\n\n{\\displaystyle {\\rm {A({\\vec {a}}),\\,{\\rm {B({\\vec {b}})}}}}}\n を通る線分 \n\n\nA\nB\n\n{\\displaystyle \\mathrm {AB} }\n を \n\nm\n:\nn\n\n{\\displaystyle m:n}\n に外分する点 \n\n\nQ\n(\n\nq\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {Q} ({\\vec {q}})}\n を求める。\nm\n>\nn\n\n{\\displaystyle m>n}\n の場合は、 \n\n\n\nA\nQ\n→\n\n=\n\nm\nm\n−\nn\n\n\n\nA\nB\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AQ} }}={\\frac {m}{m-n}}{\\vec {\\mathrm {AB} }}}\n より、\n\n\n\nq\n→\n\n−\n\na\n→\n\n=\n\nm\nm\n−\nn\n\n(\n\nb\n→\n\n−\n\na\n→\n\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {q}}-{\\vec {a}}={\\frac {m}{m-n}}({\\vec {b}}-{\\vec {a}})}\n したがって、\n\n\n\nq\n→\n\n=\n\n−\nn\n\na\n→\n\n+\nm\n\nb\n→\n\n\nm\n−\nn\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {q}}={\\frac {-n{\\vec {a}}+m{\\vec {b}}}{m-n}}}\n である。[4]\nm\n<\nn\n\n{\\displaystyle m\n0\n\n{\\displaystyle r>0}\nを用いた。)\nよって、上の式を満たす点は全て点\n\n(\na\n,\nb\n,\nc\n)\n\n{\\displaystyle (a,b,c)}\nからの距離が\n\nr\n\n{\\displaystyle r}\nである点であり、これは中心\n\n(\na\n,\nb\n,\nc\n)\n\n{\\displaystyle (a,b,c)}\n半径\n\nr\n\n{\\displaystyle r}\nの円に他ならない。\n演習問題\n中心\n半径\nの球の式を求めよ。\nに代入することで、\nが求められる。\n演習問題\nがどのような\n球に対応するか計算せよ。\nこのような数式が球に対応するとき、\nの係数は必ず等しくなくてはならない。そうでない場合はこの図形は楕円体に対応するのだが、これは指導要領の範囲外である。\nここでは上の式はその条件を満たしている。\nここでは、この式を\nの形に持って行くことが重要である。\nのそれぞれについてこの式を平方完成すると、\nが得られる。よって、上の式\nは、\n中心\n、半径\nの球に対応する。\n次に3次元空間上におけるベクトルを考察する。\n2次元空間上ではベクトルは2つの量の組み合わせで表わされた。\nこれは1つのベクトルはx軸方向に対応する量とy軸方向に対応する量の2つを持っている必要があったからである。\nこのことから、3次元空間のベクトルは3つの量の組み合わせで書けることが予想される。\n特に\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸方向の成分\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n,\n\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n軸方向の成分\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n,\n\n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n軸方向の成分\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n\n(\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n,\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\n,\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\nは任意の定数。)\nで表わされるベクトルを、\nと書いて表わすことにする。\n2次元平面では\nあるベクトル\nは、\n(\n\na\n\n{\\displaystyle a}\n,\n\nb\n\n{\\displaystyle b}\nは任意の定数。)\nの2本のベクトルを用いて、\nで表わされた。\n3次元空間でもこのような記述法があり、上で用いたベクトル\nは、\nを用いて\nと書かれたベクトルに対応している。\n3次元ベクトルに対しても2次元ベクトルで定めた定義や性質がほぼそのまま成立する。\n3次元ベクトルの加法は、それぞれのベクトル要素を独立に足し合わせることによって定義する。\nまた、それぞれのベクトルの要素が全て等しいベクトルを\"ベクトルとして等しい\"と表現する。\n演習問題\nベクトルの和\nを計算せよ。\nが得られる。\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n,\n\n\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {b}}}\n間のベクトルの内積も平面の場合と同様に\n(\n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\nは、ベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n,\n\n\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {b}}}\nのなす角。)\n分配法則や1次独立の性質もそのまま成り立つ。\nただし、3次元空間の全てのベクトルを張るには、3つの線形独立なベクトルを持って来る必要がある。\nこのことの証明はおそらく線型代数学などに詳しい。\n演習問題\n2つのベクトルの内積\nを計算せよ。\n2次元の場合と同じようにここでもそれぞれの要素は互いに直交する単位ベクトル\nによって張られている。そのため以前と同じく要素ごとの計算が可能であり、\nとなる。\nもうすこし細かく計算を行なうと、\nが得られる。それぞれのベクトルを\nに従って展開し、\n(\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\n,\n\nj\n\n{\\displaystyle j}\nは1,2,3のどれか。)\nを代入することで上の式が計算できるはずである。\nしかし、\n\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\nと\n\nj\n\n{\\displaystyle j}\nが等しくないときには\nが成り立つことから、上の展開した後の9個の項のうちで、6つは\nに等しい。\nまた、\n\n\ni\n\n{\\displaystyle i}\nと\n\nj\n\n{\\displaystyle j}\nが等しいときには\nが成り立つことから、上の式\nの展開は\nとなって確かに要素ごとの計算と一致する。\n演習問題\n2次元空間のベクトルは2本の1次独立なベクトルがあれば、必ずそれらの線形結合によって計算できるはずである。 \nここで、\nと\nを用いて、\nを、\nの形に書いてみよ。\n(\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n,\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nは、何らかの定数。)\n2次元のベクトルの係数を求める問題である。\n\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n,\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nの文字をそのまま用いると、\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n,\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nの満たす条件は\nつまり\nとなる。これは\n\n\nc\n\n{\\displaystyle c}\n,\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nに関する連立1次方程式で書き換えられる。\nこれを解くと、\nが得られる。\nよって、\n上の式は\nと書け、確かに2本の線形独立なベクトルによって他のベクトルが書き表されることが分かった。\nこのような計算は3次元ベクトルに対しても可能であるが、計算手法として3元1次連立方程式を扱う必要があり、指導要領の範囲外である。実際の計算手法は、線型代数学,物理数学I 線形代数を参照。\nこの表式を用いて、以前見た\nの図形的解釈を述べる。\nこの図形上の任意の点を\n\n(\nx\n,\ny\n,\nz\n)\n\n{\\displaystyle (x,y,z)}\nで表わす。\nこの点は原点Oに対する位置ベクトルを用いると\n\n(\nx\n,\ny\n,\nz\n)\n\n{\\displaystyle (x,y,z)}\nで与えられる。\n便宜のために\nこのベクトルを\n\n\n\nx\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}}\nと書くことにする。\n一方、ベクトル\n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\n,\nb\n,\nc\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a,b,c)}\nを用いると、上の式はベクトルの内積を用いて\n\n\n\na\n→\n\n⋅\n\nx\n→\n\n=\nd\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\cdot {\\vec {x}}=d}\nで与えられる。\nつまり、この式で表わされる図形はあるベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nとの内積を一定に保つ図形である。\nこの図形は、実際には\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nに直交する平面で与えられる。\nなぜならこのような平面上の点は、必ず平面上のある一点の位置ベクトルに加えて、\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nに直交するベクトルを加えたもので書くことが出来る。\nしかし、\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nに直交するベクトルと\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nの内積は必ず0であるので、\nこのような点の集合は\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n\nと一定の内積を持つのである。\nよって元の式\nは、\nベクトル\n\n\n\na\n→\n\n=\n(\na\n,\nb\n,\nc\n)\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}=(a,b,c)}\nに直交する平面に対応することが分かった。\n次に\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nが、図形が表わす平面と、原点との距離に関係があることを示す。\n特に、ベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\nに比例する位置ベクトルを持つ点\n\n\n\nx\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}}\nを考える。このときこの点と原点との距離は、\n平面\nと原点との距離に対応する。\nなぜなら、位置ベクトル\n\n\n\nx\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}}\nは、原点から平面\nに垂直に下ろした線に対応するからである。\nこのことから仮に\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\n方向の単位ベクトルを\n\n\n\nn\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {n}}}\nと書き、平面と原点との距離を\n\nm\n\n{\\displaystyle m}\nと書くと、\n\n\n\nx\n→\n\n=\nm\n\nn\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {x}}=m{\\vec {n}}}\nが得られる。\nこの式を\nに代入すると、\nが得られる。よって、\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nは、\n平面と原点の距離\n\nm\n\n{\\displaystyle m}\nとベクトル\n\n\n\na\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}}\nの大きさをかけたものである。\n\n演習問題\n特にベクトル\nを取ると、どのような式が得られて、その式は\nどのような図形に対応するか。\nこのとき\nは、\nに対応する。\nこの式は\n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n座標が\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nに対応し、それ以外の\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n,\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n座標を任意に動かした\n平面に対応しているが、これは\n\n\nx\ny\n\n{\\displaystyle xy}\n平面に平行であり、\n\n\nx\ny\n\n{\\displaystyle xy}\n平面からの距離が\n\nd\n\n{\\displaystyle d}\nである平面である。\nまた、\n\nx\ny\n\n{\\displaystyle xy}\n平面とベクトル\nは直交しているので、そのことからもこの式は正しい。\n外積は高校数学範囲外で入試には出ないが、外積は数学や物理などに応用でき、便利なのでここで扱う。\n三次元ベクトル \n\n\n\na\n→\n\n,\n\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},\\,{\\vec {b}}}\n に対し、外積 \n\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}}\n を次を満たすものとする。\n次に外積の成分表示を考えてみよう。この定義から成分表示を直接導くのは面倒なので、天下り的に成分表示を与えてから、それが外積の定義を満たすことを確認する。\na\n→\n\n=\n\n(\n\n\na\n1\n\n\n\na\n2\n\n\n\na\n3\n\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\begin{pmatrix}a_{1}\\\\a_{2}\\\\a_{3}\\end{pmatrix}}}\n 、\n\n\n\nb\n→\n\n=\n\n(\n\n\nb\n1\n\n\n\nb\n2\n\n\n\nb\n3\n\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {b}}={\\begin{pmatrix}b_{1}\\\\b_{2}\\\\b_{3}\\end{pmatrix}}}\n としたとき、\n\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n=\n\n(\n\n\na\n2\n\nb\n3\n\n−\na\n3\n\nb\n2\n\n\n\na\n3\n\nb\n1\n\n−\na\n1\n\nb\n3\n\n\n\na\n1\n\nb\n2\n\n−\na\n2\n\nb\n1\n\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}={\\begin{pmatrix}a_{2}b_{3}-a_{3}b_{2}\\\\a_{3}b_{1}-a_{1}b_{3}\\\\a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1}\\end{pmatrix}}}\n である。\nまずは、\n\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}}\n は \n\n\n\na\n→\n\n,\n\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}},\\,{\\vec {b}}}\n それぞれと垂直であることを確認する。これは、\n\n(\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n)\n⋅\n\na\n→\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle ({\\vec {a}}\\times {\\vec {b}})\\cdot {\\vec {a}}=0}\n と \n\n(\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n)\n⋅\n\nb\n→\n\n=\n0\n\n{\\displaystyle ({\\vec {a}}\\times {\\vec {b}})\\cdot {\\vec {b}}=0}\n であることを成分表示を代入すれば証明できる。\n次に、 \n\n\n|\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n|\n=\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n\n|\n\n\nb\n→\n\n\n|\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}|=|{\\vec {a}}||{\\vec {b}}|\\sin \\theta }\n を証明する。\n\n\n|\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\n=\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n\n2\n\n|\n\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\nsin\n2\n\n⁡\nθ\n=\n\n\n|\n→\n\na\n\n|\n\n2\n\n|\n\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\n(\n1\n−\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}|^{2}=|{\\vec {a}}|^{2}|{\\vec {b}}|^{2}\\sin ^{2}\\theta ={\\vec {|}}a|^{2}|{\\vec {b}}|^{2}(1-\\cos ^{2}\\theta)}\n 。ここで、 \n\n\ncos\n2\n\n⁡\nθ\n=\n\n(\n\na\n→\n\n⋅\n\nb\n→\n\n\n)\n2\n\n\n|\n\n\na\n→\n\n\n|\n\n2\n\n|\n\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\n\n\n{\\displaystyle \\cos ^{2}\\theta ={\\frac {({\\vec {a}}\\cdot {\\vec {b}})^{2}}{|{\\vec {a}}|^{2}|{\\vec {b}}|^{2}}}}\n を代入し、\n\n\n|\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\n=\n\n\n|\n→\n\na\n\n|\n\n2\n\n|\n\n\nb\n→\n\n\n|\n\n2\n\n−\n(\n\na\n→\n\n⋅\n\nb\n→\n\n\n)\n2\n\n\n{\\displaystyle |{\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}|^{2}={\\vec {|}}a|^{2}|{\\vec {b}}|^{2}-({\\vec {a}}\\cdot {\\vec {b}})^{2}}\n を得る。この式に、成分表示を代入すれば、両辺が等しいことが確認できる。\n最後に、フレミングの左手の法則で \n\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}}\n は親指の方向であることを確認する。\na\n→\n\n=\n\n(\n\n1\n\n\n0\n\n\n0\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}={\\begin{pmatrix}1\\\\0\\\\0\\end{pmatrix}}}\n、 \n\n\n\nb\n→\n\n=\n\n(\n\n0\n\n\n1\n\n\n0\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {b}}={\\begin{pmatrix}0\\\\1\\\\0\\end{pmatrix}}}\n のとき、\n\n\n\na\n→\n\n×\n\nb\n→\n\n=\n\n(\n\n0\n\n\n0\n\n\n1\n\n)\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {a}}\\times {\\vec {b}}={\\begin{pmatrix}0\\\\0\\\\1\\end{pmatrix}}}\n である。これより、二番目の性質も確認できた。\n外積の応用\n2つのベクトルに垂直なベクトルを求めたいときなどは、外積の成分表示から計算すれば、面倒な計算をしなくても求められる。\n四面体 \n\n\nO\nA\nB\nC\n\n{\\displaystyle \\mathrm {OABC} }\n の体積は \n\n\n1\n6\n\n|\n(\n\n\nO\nA\n→\n\n×\n\n\nO\nB\n→\n\n)\n⋅\n\n\nO\nC\n→\n\n\n|\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{6}}|({\\vec {\\mathrm {OA} }}\\times {\\vec {\\mathrm {OB} }})\\cdot {\\vec {\\mathrm {OC} }}|}\n\nである。\n実際、 \n\n\n1\n6\n\n|\n(\n\n\nO\nA\n→\n\n×\n\n\nO\nB\n→\n\n)\n⋅\n\n\nO\nC\n→\n\n\n|\n=\n\n1\n3\n\n|\n\n1\n2\n\n\n\nO\nA\n→\n\n×\n\n\nO\nB\n→\n\n\n|\n\n|\nh\n|\n\n{\\displaystyle {\\frac {1}{6}}|({\\vec {\\mathrm {OA} }}\\times {\\vec {\\mathrm {OB} }})\\cdot {\\vec {\\mathrm {OC} }}|={\\frac {1}{3}}\\left|{\\frac {1}{2}}{\\vec {\\mathrm {OA} }}\\times {\\vec {\\mathrm {OB} }}\\right||h|}\nである。ただし、 h はΔABCを底面としたときの四面体の高さである。\nまた、物理学のローレンツ力は外積を使うと \n\n\n\nF\n→\n\n=\nq\n\nv\n→\n\n×\n\nB\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {F}}=q{\\vec {v}}\\times {\\vec {B}}}\n と簡潔に表せる。\n覚え方\n図のように要素をかけ合わせる。\n複素数とベクトルの理論はそれぞれ独立した理論として教えられているが、歴史的にはハミルトンによって複素数を拡張した四元数が発見され、四元数を元にギブスなどによってベクトルが発見された。\n四元数は、\nのように、実数と3つの虚数単位i,j,kをもちいて表される数である。\nここで、i,j,k は i^2=-1, j^2=-1, k^2=-1 を満たす数で、i,j,k は互いに異なる。\n実数の単位1個に加えて、さらに3つの単位 i,  j,  k をもっているので、合計で4個の単位があるので四元数といわれるわけである。\nさて、ハミルトンによる四元数の発見後、さらに研究が進むと、図形や物理学などの問題を解くさいには 2乗して-1になる性質はほとんどの空間・立体(3次元の図形)の問題を解く応用の場合には不要であることが分かり、学校教育の場ではベクトルと複素数を別々に教えるようになったわけである。\nそして、四元数の公式のうち、ベクトルでも類似の公式が成り立つ場合には、その四元数の公式がベクトル用に改良されてベクトルの公式として輸入されたので、結果的にハミルトンはベクトルの公式の発見者としても紹介されることになった。\nまた、四元数は現代では3DCGなどの分野で応用されている。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6C/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB"} {"text": "放物線(parabola)、楕円(ellipse)、双曲線(hyperbola)をまとめて、2次曲線や円錐曲線という。これらが、2次曲線と呼ばれる理由は、放物線、楕円、双曲線は \n\nx\n,\ny\n\n{\\displaystyle x,y}\n の2次式 \n\nF\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle F(x,y)}\n によって \n\nF\n(\nx\n,\ny\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle F(x,y)=0}\n で表すことができ、また \n\nx\n,\ny\n\n{\\displaystyle x,y}\n の2次式 \n\nF\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle F(x,y)}\n によって \n\nF\n(\nx\n,\ny\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle F(x,y)=0}\n と表される曲線は放物線、楕円、双曲線、2直線のいずれかになるからである。\n円錐曲線と呼ばれる理由は、円錐面を「全ての母線と交わり、底面に平行な平面で切断」したときの断面が円。「全ての母線と交わり、底面に平行でない平面で切断」したときの断面が楕円。「母線に平行な面で切断」したときの断面が放物線。「母線に平行でない平面で切断」したときの断面が双曲線となるからである。\n2次曲線は直線や円についで重要な曲線である。\n平面上に点 \n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n と、点 \n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n を通らない直線 \n\nl\n\n{\\displaystyle l}\n をとる。このとき、直線 \n\nl\n\n{\\displaystyle l}\n からの距離と点 \n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n からの距離が等しい点の軌跡を放物線という。このとき、点 \n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n を放物線の焦点、直線 \n\nl\n\n{\\displaystyle l}\n を放物線の準線という。\n焦点を \n\n\nF\n(\np\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} (p,0)}\n 準線を \n\nl\n:\nx\n=\n−\np\n\n{\\displaystyle l:x=-p}\n とする放物線の方程式を求める。\n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n がこの放物線の点とすると、点 \n\n\nP\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} }\n と直線 \n\nl\n\n{\\displaystyle l}\n の距離は \n\nx\n+\np\n\n{\\displaystyle x+p}\n であり、\n\n\nP\nF\n=\n\n(\nx\n−\np\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {PF} ={\\sqrt {(x-p)^{2}+y^{2}}}}\n である。なので、 \n\n(\nx\n+\np\n)\n2\n\n=\n(\nx\n−\np\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n{\\displaystyle (x+p)^{2}=(x-p)^{2}+y^{2}}\n である。これを整理して、\ny\n2\n\n=\n4\np\nx\n\n{\\displaystyle y^{2}=4px}\nを得る。\nここで、放物線 \n\n\ny\n2\n\n=\n4\np\nx\n\n{\\displaystyle y^{2}=4px}\n において、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n と \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n を入れ替えれば \n\ny\n=\n\nx\n2\n\n4\np\n\n\n{\\displaystyle y={\\frac {x^{2}}{4p}}}\n である。ここから中学から学んできた放物線の定義と一致することがわかる。\n演習問題\n放物線 \n\ny\n=\na\nx\n2\n\n(\na\n≠\n0\n)\n\n{\\displaystyle y=ax^{2}\\quad (a\\neq 0)}\n の焦点と準線を求めよ。\n解答\n焦点 \n\n\n(\n0\n,\n\n1\n4\na\n\n\n)\n\n{\\displaystyle \\left(0,{\\frac {1}{4a}}\\right)}\n 準線 \n\ny\n=\n−\n\n1\n4\na\n\n\n{\\displaystyle y=-{\\frac {1}{4a}}}\n平面上に異なる2点 \n\n\nF\n,\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} ,\\mathrm {F'} }\n をとる。\n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n との距離と、 \n\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F'} }\n との距離の和が一定である点の軌跡を楕円という。このとき、点 \n\n\nF\n,\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} ,\\mathrm {F'} }\n を楕円の焦点という。\n焦点を \n\n\nF\n(\nc\n,\n0\n)\n,\n\nF\n′\n\n(\n−\nc\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} (c,0),\\mathrm {F'} (-c,0)}\n とする。点 \n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n が楕円上の点であるとき、 \n\n\nP\nF\n+\nP\nF\n′\n\n=\n2\na\n\n{\\displaystyle \\mathrm {PF} +\\mathrm {PF'} =2a}\n である。\n\n\nP\nF\n=\n2\na\n−\nP\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {PF} =2a-\\mathrm {PF'} }\n より\n(\nx\n−\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n=\n2\na\n−\n\n(\nx\n+\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {(x-c)^{2}+y^{2}}}=2a-{\\sqrt {(x+c)^{2}+y^{2}}}}\n両辺を2乗して整理すると\na\n\n(\nx\n+\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n=\na\n2\n\n+\nc\nx\n\n{\\displaystyle a{\\sqrt {(x+c)^{2}+y^{2}}}=a^{2}+cx}\n再度、両辺を2乗して整理すると\n(\na\n2\n\n−\nc\n2\n\n)\nx\n2\n\n+\na\n2\n\ny\n2\n\n=\na\n2\n\n(\na\n2\n\n−\nc\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle (a^{2}-c^{2})x^{2}+a^{2}y^{2}=a^{2}(a^{2}-c^{2})}\nここで \n\n\na\n2\n\n−\nc\n2\n\n=\nb\n2\n\n(\nb\n>\n0\n)\n\n{\\displaystyle a^{2}-c^{2}=b^{2}\\quad (b>0)}\n と置き換えると\nb\n2\n\nx\n2\n\n+\na\n2\n\ny\n2\n\n=\na\n2\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle b^{2}x^{2}+a^{2}y^{2}=a^{2}b^{2}}\n両辺を \n\n\na\n2\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle a^{2}b^{2}}\n で割ると\nx\n2\n\na\n2\n\n\n+\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n1\n(\na\n>\nb\n>\n0\n)\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}+{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1\\quad (a>b>0)}\nが導かれる。\nx軸との交点は\n\n(\na\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle (a,0)}\n、\n\n(\n−\na\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle (-a,0)}\n、y軸との交点は\n\n(\n0\n,\nb\n)\n\n{\\displaystyle (0,b)}\n、\n\n(\n0\n,\n−\nb\n)\n\n{\\displaystyle (0,-b)}\nとなる。\na\n>\nb\n>\n0\n\n{\\displaystyle a>b>0}\nのとき、\n\n2\na\n\n{\\displaystyle 2a}\nは長軸の長さ(長径)、\n\n2\nb\n\n{\\displaystyle 2b}\nは短軸の長さ(短径)となり、xy平面上にグラフを書くと横長の楕円になる。また焦点は長径であるx軸上にありその座標は\n\n(\n−\n\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n\n,\n0\n)\n,\n(\n\na\n2\n\n−\nb\n2\n\n\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle (-{\\sqrt {a^{2}-b^{2}}},0),({\\sqrt {a^{2}-b^{2}}},0)}\nとなる。\n逆に、\n\nb\n>\na\n>\n0\n\n{\\displaystyle b>a>0}\nのとき、\n\n2\nb\n\n{\\displaystyle 2b}\nは長軸の長さ(長径)、\n\n2\na\n\n{\\displaystyle 2a}\nは短軸の長さ(短径)となり、xy平面上にグラフを書くと縦長の楕円になる。また焦点は長径であるy軸上にありその座標は\n\n(\n0\n,\n\nb\n2\n\n−\na\n2\n\n\n)\n,\n(\n0\n,\n−\n\nb\n2\n\n−\na\n2\n\n\n)\n\n{\\displaystyle (0,{\\sqrt {b^{2}-a^{2}}}),(0,-{\\sqrt {b^{2}-a^{2}}})}\nとなる。\n2つの焦点が近いほど楕円は円に近づき、2つの焦点が重なったとき \n\na\n=\nb\n\n{\\displaystyle a=b}\n となり、楕円は円になる。\nちなみに、恒星の周りを公転する惑星の軌道は、恒星を焦点とする楕円になる。\n平面上に異なる2点 \n\n\nF\n,\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} ,\\mathrm {F'} }\n をとる。\n\n\nF\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} }\n との距離と、 \n\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F'} }\n との距離の差が一定である点の軌跡を双曲線といい、2点 \n\n\nF\n,\n\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} ,\\mathrm {F'} }\n を双曲線の焦点という。\n焦点を \n\n\nF\n(\nc\n,\n0\n)\n,\n\nF\n′\n\n(\n−\nc\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {F} (c,0),\\mathrm {F'} (-c,0)}\n とする。点 \n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n が双曲線上の点であるとき、 \n\n\n|\n\nP\nF\n−\nP\nF\n′\n\n|\n=\n2\na\n\n{\\displaystyle |\\mathrm {PF} -\\mathrm {PF'} |=2a}\n である。\n\n\nP\nF\n=\n±\n2\na\n+\nP\nF\n′\n\n\n{\\displaystyle \\mathrm {PF} =\\pm 2a+\\mathrm {PF'} }\n より\n(\nx\n−\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n=\n±\n2\na\n+\n\n(\nx\n+\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n\n{\\displaystyle {\\sqrt {(x-c)^{2}+y^{2}}}=\\pm 2a+{\\sqrt {(x+c)^{2}+y^{2}}}}\n両辺を2乗して整理すると\n±\na\n\n(\nx\n+\nc\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n=\n−\na\n2\n\n−\nc\nx\n\n{\\displaystyle \\pm a{\\sqrt {(x+c)^{2}+y^{2}}}=-a^{2}-cx}\n再度両辺を2乗して整理すると\n(\nc\n2\n\n−\na\n2\n\n)\nx\n2\n\n−\na\n2\n\ny\n2\n\n=\na\n2\n\n(\nc\n2\n\n−\na\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle (c^{2}-a^{2})x^{2}-a^{2}y^{2}=a^{2}(c^{2}-a^{2})}\nここで、 \n\n\nb\n2\n\n=\nc\n2\n\n−\na\n2\n\n(\nb\n>\n0\n)\n\n{\\displaystyle b^{2}=c^{2}-a^{2}\\quad (b>0)}\n とおき、両辺を \n\n\na\n2\n\nb\n2\n\n\n{\\displaystyle a^{2}b^{2}}\n で割れば\nx\n2\n\na\n2\n\n\n−\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1}\nである。\n双曲線が\n\n\n\nx\n2\n\na\n2\n\n\n−\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1}\nで表されるとき、焦点の座標は\n\n(\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n,\n0\n)\n,\n(\n−\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n,\n0\n)\n\n{\\displaystyle ({\\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0),(-{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)}\nとなる。\n逆に、双曲線が\n\n\n\nx\n2\n\na\n2\n\n\n−\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=-1}\nで表されるとき、焦点の座標は\n\n(\n0\n,\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n)\n,\n(\n0\n,\n−\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n)\n\n{\\displaystyle (0,{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}),(0,-{\\sqrt {a^{2}+b^{2}}})}\nとなる。\nx\n=\nf\n(\nt\n)\n,\ny\n=\ng\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle x=f(t),y=g(t)}\n で表される点 \n\n\nP\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {P} (x,y)}\n の集合はある曲線を描く。このような曲線の表示を媒介変数表示という。\n媒介変数表示では \n\nF\n(\nx\n,\ny\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle F(x,y)=0}\n の形では表しにくい曲線も簡潔に表すことができる。例えば、\nx = t - sin t,\ny = 1 - cos t\nである。これはサイクロイドと呼ばれる。\nx\n=\nf\n(\nt\n)\n,\ny\n=\ng\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle x=f(t),y=g(t)}\n と媒介変数表示されている曲線を \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 方向に \n\np\n\n{\\displaystyle p}\n、 \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n 方向に \n\nq\n\n{\\displaystyle q}\n だけだけ平行移動した曲線は \n\nx\n=\nf\n(\nt\n)\n+\np\n,\ny\n=\ng\n(\nt\n)\n+\nq\n\n{\\displaystyle x=f(t)+p,y=g(t)+q}\n と表せる。\nx\n=\np\nt\n2\n\n,\ny\n=\n2\np\nt\np\n≠\n0\n\n{\\displaystyle x=pt^{2},y=2pt\\quad p\\neq 0}\n で表される曲線は \n\nt\n\n{\\displaystyle t}\n を消去すると \n\n\ny\n2\n\n=\n4\np\nx\n\n{\\displaystyle y^{2}=4px}\n となるので放物線である。\n円 \n\n\nx\n2\n\n+\ny\n2\n\n=\nr\n2\n\n\n{\\displaystyle x^{2}+y^{2}=r^{2}}\n を媒介変数表示すると \n\nx\n=\nr\ncos\n⁡\nθ\n,\ny\n=\nr\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle x=r\\cos \\theta ,y=r\\sin \\theta }\n となる。このことから、三角関数のことを円関数と呼ぶ場合もある。\n楕円\n\n\n\nx\n2\n\na\n2\n\n\n+\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}+{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1}\nを媒介変数表示すると\n\nx\n=\nb\ncos\n⁡\nθ\n.\ny\n=\na\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle x=b\\cos \\theta .y=a\\sin \\theta }\nとなる。\n双曲線\n\n\n\nx\n2\n\na\n2\n\n\n−\n\ny\n2\n\nb\n2\n\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle {\\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1}\nの媒介変数表示は\n\nx\n=\n\na\ncos\n⁡\nθ\n\n,\ny\n=\nb\ntan\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle x={\\frac {a}{\\cos \\theta }},y=b\\tan \\theta }\nとなる。\n曲線\n\nx\n=\nf\n(\nt\n)\n,\ny\n=\ng\n(\nt\n)\n\n{\\displaystyle x=f(t),y=g(t)}\nを\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸方向に\n\np\n\n{\\displaystyle p}\n、\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n軸方向に\n\nq\n\n{\\displaystyle q}\nだけ並行移動した曲線は\n\nx\n=\nf\n(\nt\n)\n+\np\n,\ny\n=\ng\n(\nt\n)\n+\nq\n\n{\\displaystyle x=f(t)+p,y=g(t)+q}\nと書き表される。\nなお、(複素数\n\nZ\n\n{\\displaystyle Z}\nの方程式)\n\n=\nx\n+\ny\ni\n\n{\\displaystyle =x+yi}\nの形で表された式を\n\nZ\n\n{\\displaystyle Z}\nの極形式を用いて解くと二次曲線の媒介変数表示が現れる場合がある。\nこれまでの学習では、\n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n軸と\n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n軸を使った座標平面(直交座標という)\n\n(\nx\n,\ny\n)\n\n{\\displaystyle (x,y)}\n使うことで、座標平面上の1点を定めた。\nここで学ぶ極座標では、\n\n(\nr\n,\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (r,\\theta)}\n の文字で与えられる式を使って曲線を表すことを考える。\nある一点Oと半直線OXを定めると、平面上の点Pは、点Oからの距離rと、\n\n∠\n\n{\\displaystyle \\angle }\nXOPの角\n\nθ\n(\n0\n≤\nθ\n<\n2\nπ\n)\n\n{\\displaystyle \\theta \\,(0\\leq \\theta <2\\pi)}\nの大きさで一意に定まる。\n極座標の定義\n原点Oと軸OXを定める。平面上の点Pについて、OP間の距離をr、\n\n∠\n\n{\\displaystyle \\angle }\nXOPの大きさをθで表した座標\n\n(\nr\n,\nθ\n)\n\n{\\displaystyle (r,\\theta)}\nを極座標という。\nこのとき、Oを極、OXを始線という。\nまた、\n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\nを偏角という。\nまた、直交座標と極座標の関係は次のようになる。\n直交座標と極座標の関係\n{\n\nr\n=\n\nx\n2\n\n+\ny\n2\n\n\n\n\ncos\n⁡\nθ\n=\n\nx\nr\n\n\n\nsin\n⁡\nθ\n=\n\ny\nr\n\n\n\n\n\n\n{\n\nx\n=\nr\ncos\n⁡\nθ\n\n\ny\n=\nr\nsin\n⁡\nθ\n\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{cases}r={\\sqrt {x^{2}+y^{2}}}\\\\\\cos \\theta =\\displaystyle {\\frac {x}{r}}\\\\\\sin \\theta =\\displaystyle {\\frac {y}{r}}\\end{cases}}\\,\\,{\\begin{cases}x=r\\cos \\theta \\\\y=r\\sin \\theta \\end{cases}}}\nこれは直感的には複素数平面上の点の絶対値と偏角を定めたときに似ている。\nr\n=\nf\n(\nθ\n)\n\n{\\displaystyle r=f(\\theta)}\nの形で与えられる式を極方程式(きょくほうていしき)という。極方程式はrとθについての関数であるが、これらはxとyへの変換が可能であり、よってxy平面上に曲線をかいてもよいことになる。\nさまざまな極方程式\n(1)中心O,半径aの円 \n\nr\n=\na\n\n{\\displaystyle r=a}\n(2)中心\n\n(\nr\n0\n\n,\n\nθ\n\n0\n\n)\n\n{\\displaystyle (r_{0},{\\theta }_{0})}\n,半径aの円 \n\n\nr\n2\n\n−\n2\nr\nr\n0\n\ncos\n⁡\n\nθ\n\n0\n\n+\n\nr\n0\n\n\n2\n\n=\na\n2\n\n\n{\\displaystyle r^{2}-2rr_{0}\\cos {\\theta }_{0}+{r_{0}}^{2}=a^{2}}\n(3)極Oを通り、始線とαの角をなす直線 \n\nθ\n=\nα\n\n{\\displaystyle \\theta =\\alpha }\n(4)点\n\n(\na\n,\nα\n)\n\n{\\displaystyle (a,\\alpha)}\nを通り、OAに垂直な直線 \n\nr\ncos\n⁡\n(\nθ\n−\nα\n)\n=\na\n\n{\\displaystyle r\\cos(\\theta -\\alpha)=a}\n(例)円\n\n(\nx\n−\n1\n)\n2\n\n+\ny\n2\n\n=\n1\n\n{\\displaystyle (x-1)^{2}+y^{2}=1}\nを極方程式で表す.\n\n\nx\n=\nr\ncos\n⁡\nθ\n,\ny\n=\nr\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle x=r\\cos \\theta ,y=r\\sin \\theta }\nを代入して整理すると\n\n\nr\n(\nr\n−\n2\ncos\n⁡\nθ\n)\n=\n0\n\n{\\displaystyle r(r-2\\cos \\theta)=0}\nr\n=\n0\n\n{\\displaystyle r=0}\nは極を表すから \n\nr\n=\n2\ncos\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle r=2\\cos \\theta }\nこれまでに、2次曲線、媒介変数表示、極方程式などの曲線とその性質について述べてきた。以下では、これらを利用してさまざまな曲線の式を示す。一般に概形をつかむのは困難なため、コンピュータを使用する。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6C/%E5%B9%B3%E9%9D%A2%E4%B8%8A%E3%81%AE%E6%9B%B2%E7%B7%9A"} {"text": "虚数単位 \n\ni\n\n{\\displaystyle i}\n を \n\n\ni\n2\n\n=\n−\n1\n\n{\\displaystyle i^{2}=-1}\n を満たす数とする。2つの実数 \n\na\n,\nb\n\n{\\displaystyle a,b}\n によって \n\na\n+\nb\ni\n\n{\\displaystyle a+bi}\n と表される数を複素数という。\n座標平面上の点 \n\n(\na\n,\nb\n)\n\n{\\displaystyle (a,b)}\n と複素数 \n\na\n+\nb\ni\n\n{\\displaystyle a+bi}\n を同一視することで、複素数を座標平面上の点と考えることができる。この平面を複素数平面(complex plane)という。[1]\n複素数平面において、 \n\nx\n\n{\\displaystyle x}\n 軸を実軸(real part)、 \n\ny\n\n{\\displaystyle y}\n 軸を虚軸(imaginary part)という。\n複素数平面上で複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n に対応する点 \n\n\nA\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} }\n のことを \n\n\nA\n(\nz\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (z)}\n と表現することもある。\n複素数 \n\nz\n=\na\n+\nb\ni\n\n{\\displaystyle z=a+bi}\n について複素数 \n\n\n\nz\n¯\n\n=\na\n−\nb\ni\n\n{\\displaystyle {\\bar {z}}=a-bi}\n を \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n の共役複素数といい、\n\n\n\nz\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\bar {z}}}\n で表す。\n複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n と複素数 \n\n−\nz\n\n{\\displaystyle -z}\n は原点に対して対称であり、複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n と複素数 \n\n\n\nz\n¯\n\n\n{\\displaystyle {\\bar {z}}}\n は実軸に対して対称である。\n複素数平面において、複素数 \n\nz\n=\na\n+\nb\ni\n\n{\\displaystyle z=a+bi}\n から原点までの距離を絶対値といい \n\n\n|\nz\n|\n\n{\\displaystyle |z|}\n で表す。三平方の定理より \n\n\n|\nz\n|\n=\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n\n{\\displaystyle |z|={\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}\n である。 \nz\n\nz\n¯\n\n=\n(\na\n+\nb\ni\n)\n(\na\n−\nb\ni\n)\n=\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n=\n|\nz\n\n|\n\n2\n\n\n{\\displaystyle z{\\bar {z}}=(a+bi)(a-bi)=a^{2}+b^{2}=|z|^{2}}\n である。\n上記のように、複素数平面では、複素数の実部と虚部をそれぞれ平面上の点の直交座標に対応させている。ところで、平面上の点の位置の表し方として、直交座標の他に極座標があった。点の位置を極座標で表すことに対応する複素数の表し方を、極形式という。直交座標と極座標は\nで変換することができるのであった。つまり、極形式とは次のような形の複素数の表現である。\nここで、rを複素数a+biの絶対値、θを複素数a+biの偏角といい、\n\nθ\n=\narg\n⁡\nz\n\n{\\displaystyle \\theta =\\arg z}\nで表す。\n\nr\n=\n\na\n2\n\n+\nb\n2\n\n\n=\n|\nz\n|\n\n{\\displaystyle r={\\sqrt {a^{2}+b^{2}}}=|z|}\nである。θは原点と \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n 、 \n\na\n\n{\\displaystyle a}\n を頂点とする三角形の原点の角度を表している。\n極形式で複素数を表すと、複素数の積が次のように簡単に計算できる。\nz\n1\n\n=\nr\n1\n\n(\ncos\n⁡\nθ\n1\n\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n1\n\n)\n\n{\\displaystyle z_{1}=r_{1}(\\cos \\theta _{1}+i\\sin \\theta _{1})}\n, \n\n\nz\n2\n\n=\nr\n2\n\n(\ncos\n⁡\nθ\n2\n\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n2\n\n)\n\n{\\displaystyle z_{2}=r_{2}(\\cos \\theta _{2}+i\\sin \\theta _{2})}\n とすると、\n整数 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n に対し、複素数 \n\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\cos \\theta +i\\sin \\theta }\n の \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n 乗は、\nとなることが知られている。これを ド・モアブルの定理 という。\nこれを証明しよう。\nまず、\n\nn\n≥\n0\n\n{\\displaystyle n\\geq 0}\n の場合を数学的帰納法で証明する。\nn\n=\n0\n\n{\\displaystyle n=0}\n のとき、\nである。\nn\n≥\n1\n\n{\\displaystyle n\\geq 1}\n とし、\nn\n−\n1\n\n{\\displaystyle n-1}\n のとき\nが成り立つと仮定すると\nn\n≥\n1\n\n{\\displaystyle n\\geq 1}\n のとき、\n(\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n)\n−\nn\n\n\n=\n{\n(\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n)\n−\n1\n\n}\nn\n\n\n\n\n=\n{\ncos\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n+\ni\nsin\n⁡\n(\n−\nθ\n)\n}\nn\n\n\n\n\n=\ncos\n⁡\n(\n−\nn\nθ\n)\n+\ni\nsin\n⁡\n(\n−\nn\nθ\n)\n\n\n\n{\\displaystyle {\\begin{aligned}(\\cos \\theta +i\\sin \\theta)^{-n}&=\\{(\\cos \\theta +i\\sin \\theta)^{-1}\\}^{n}\\\\&=\\{\\cos(-\\theta)+i\\sin(-\\theta)\\}^{n}\\\\&=\\cos(-n\\theta)+i\\sin(-n\\theta)\\end{aligned}}}\nしたがって、 \n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n が整数のときド・モアブルの定理が成り立つことが証明できた。\nド・モアブルの定理を用いて、\n\nz\n\n{\\displaystyle z}\nについての\n\nn\n\n{\\displaystyle n}\n次方程式\nの複素数解をすべて求めてみよう。まず、aが正の実数のときを考える。\n\nz\n=\nr\n(\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n)\n\n{\\displaystyle z=r(\\cos \\theta +i\\sin \\theta)}\nと極形式で表すとき、ド・モアブルの定理より\n\n\nz\nn\n\n=\nr\nn\n\n(\ncos\n⁡\nn\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nn\nθ\n)\n\n{\\displaystyle z^{n}=r^{n}(\\cos n\\theta +i\\sin n\\theta)}\nである。正の実数aの絶対値はa、偏角は0であることに注意すると、\n\n\nz\nn\n\n=\na\n\n{\\displaystyle z^{n}=a}\nを満たすとき、\nでなければならないことがわかる。ただし \n\nk\n\n{\\displaystyle k}\n は整数である。rが正の実数であることに注意してこの式を解くと、\nであるから、整数kを用いて\nと表される数が複素数解のすべてである。\n一般の複素数\n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\nに対して、zについてのn次方程式\nを考えると、まったく同様の計算により解は整数kを用いて\nと表される。\n偏角が \n\n2\nπ\n\n{\\displaystyle 2\\pi }\n の整数倍ずれるだけの複素数は同じ複素数であることに注意すると、いずれの場合も異なる解はちょうどn個存在することがわかる。そのn個の解を複素数平面上で考えると、原点を中心とする正n角形を描くことが確かめられる。\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n を複素数、\n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n を正の実数とする。 方程式 \n\n\n|\nz\n−\nα\n|\n=\nr\n\n{\\displaystyle |z-\\alpha |=r}\n を満たす複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n の軌跡は、 \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n を中心とし、 \n\nr\n\n{\\displaystyle r}\n を半径とする円である。[2]\nα\n,\nβ\n\n{\\displaystyle \\alpha ,\\beta }\n を複素数とする、方程式 \n\n\n|\nz\n−\nα\n|\n=\n|\nz\n−\nβ\n|\n\n{\\displaystyle |z-\\alpha |=|z-\\beta |}\n を満たす複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n の軌跡は、\n\nα\n,\nβ\n\n{\\displaystyle \\alpha ,\\beta }\n を通る線分の二等分線である。\n複素数平面上の点 \n\n\nA\n(\nα\n)\n,\n\nA\n′\n\n(\nα\n′\n)\n,\nB\n(\nβ\n)\n,\n\nB\n′\n\n(\nβ\n′\n)\n\n{\\displaystyle \\mathrm {A} (\\alpha),\\mathrm {A'} (\\alpha '),\\mathrm {B} (\\beta),\\mathrm {B'} (\\beta ')}\n に対し、 \n\narg\n⁡\n\n\nα\n′\n−\nα\n\nβ\n′\n−\nβ\n\n\n{\\displaystyle \\arg {\\frac {\\alpha '-\\alpha }{\\beta '-\\beta }}}\n はベクトル \n\n\n\n\nA\nA\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AA} '}}}\n とベクトル \n\n\n\n\nB\nB\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {BB} '}}}\n のなす角である。特に、 \n\n\n\nα\n′\n−\nα\n\nβ\n′\n−\nβ\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\alpha '-\\alpha }{\\beta '-\\beta }}}\n が実数のときベクトル \n\n\n\n\nA\nA\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AA} '}}}\n とベクトル \n\n\n\n\nB\nB\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {BB} '}}}\n は平行。\n\n\n\nα\n′\n−\nα\n\nβ\n′\n−\nβ\n\n\n{\\displaystyle {\\frac {\\alpha '-\\alpha }{\\beta '-\\beta }}}\n が純虚数のときはベクトル \n\n\n\n\nA\nA\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AA} '}}}\n とベクトル \n\n\n\n\nB\nB\n′\n→\n\n\n{\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {BB} '}}}\n は垂直である。\n複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n に複素数 \n\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n\n{\\displaystyle \\cos \\theta +i\\sin \\theta }\n をかけた複素数 \n\n(\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n)\nz\n\n{\\displaystyle (\\cos \\theta +i\\sin \\theta)z}\n は、複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n を原点を中心に \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n だけ回転した点を表す。\n一般に、複素数 \n\nz\n\n{\\displaystyle z}\n を複素数 \n\nα\n\n{\\displaystyle \\alpha }\n を中心に \n\nθ\n\n{\\displaystyle \\theta }\n だけ回転した点 \n\n\nz\n′\n\n{\\displaystyle z'}\n は、\n\n\nz\n′\n=\n(\nz\n−\nα\n)\n(\ncos\n⁡\nθ\n+\ni\nsin\n⁡\nθ\n)\n+\nα\n\n{\\displaystyle z'=(z-\\alpha)(\\cos \\theta +i\\sin \\theta)+\\alpha }\n である。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6C/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%B9%B3%E9%9D%A2"} {"text": "本項は高等学校数学Cの「数学的な表現の工夫」の解説です。\n", "url": "https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6C/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%9A%84%E3%81%AA%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E3%81%AE%E5%B7%A5%E5%A4%AB"}